艦これ《思い付くままに……》   作:屋根裏散歩

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とある鎮守府

「提督!お早く退避を!」

 

執務室警備の兵士が声を荒げた。

 

「一体何が起きたと言うのだっ!」

 

窓の外からは艦娘やそれに同調した兵士達の声が響いていた、

 

「提督を引き釣りだせ!」

「提督を鎮守府から叩き出せっ!」

 

中には殺せや吊るせ等といった過激な声も上がり始めていた。

 

「提督もはや此処まですお早く脱出を、このままではお命も…」

 

側近の従卒が生命の危機もあり得ると口にした。

 

「そ…そうだな、判った」

 

提督は鎮守府からの脱出を図るために、扉へと手を掛けたその時だった。

 

「全員、そのまま動くなっ!」

 

MPと書かれた腕章を付けた一団が執務室になだれ込んできた。

 

「提督以下この部屋にいる全員の身柄を拘束する」

 

一人の男が逮捕状と書かれた紙を提督に提示した。

 

「ワシが逮捕だとっ!」

 

提督が抵抗しようとしたが、直ぐに制圧された。

それからまもなく、艦娘達が執務室になだれ込んできた、

 

「提督、貴様に…これは…一体何が」

 

艦娘達は言葉が途切れた、何故なら眼前には床に押し付けられ後ろ手に手錠をかけられ銃を突き付けられたた提督がいたからだ。

 

「長門さんですね、お初にお目にかかります…情報部の羽鳥中佐です」

「ああっ…如何にも長門だが………これは一体」

「この男には、色々とありましてな…陸奥さんにでしたかね、彼女からの情報提供でという事で」

 

恐らく責任者だと思われる男が長門に説明した。

 

「陸奥は、陸奥は無事なのか?」

「ええ、我々に同行してますよ、陸奥さんを此処に」

 

責任者が部下に陸奥を連れて来るように指示していた。

 

「それから暫くはこの鎮守府に提督は配置されませんので、長門さん以下の戦艦娘で運用してください、それでは我々はこれで撤収します」

 

責任者は其処まで話すと、陸奥を残し撤収していった。

 

「我々で鎮守府の運用か…ある程度期限付きとはいえ…」

 

長門が腕を組み考えていた。

 

「やるしか無いか」

 

長門は覚悟を決めると、提督代行としての職務を開始していった。

 

ーーーーー半年後ーーーーー

 

 

「やはり我々は…」

 

長門の手には1枚の紙が握られていた。

 

「遂に提督が配属されると…」

 

扶桑が任命書を長門の手から取ると読んていた。

 

「配属は………今日?!こうしてはいられませんね」

 

扶桑が満面の笑みを浮かべていた、それは今迄見たことのない幸せそうな笑みだった。

 

「扶桑…」

 

長門は扶桑が提督配属で精神的に壊れたと思っていた。

 

「間宮さん、厨房少し借りますね」

 

扶桑は厨房に来ると、間宮に頼み込んで食材と場所を借りた。

 

「久しぶりね」

 

扶桑が楽しそうに料理をしていた。

 

「そう………あの子も18歳になるのですね」

 

扶桑はとある男の子を思い出しながら料理を作っていた。

 

 

ーーーーーその頃執務室ーーーーー

 

 

「本日付けで提督を拝命した『田神 健司』大佐です、宜しく」

 

一人の恐らくは二十歳前の男が長門に任命書を提示していた。

 

「そうか………貴様が、新しい提督か」

 

明らかに長門は歓迎してはいないという顔をしていた。

 

「健司君…大きくなりましたね」

 

扶桑が執務室に戻ってくると、新しい提督に近づくと優しく抱きしめていた、

 

「お姉ちゃん…」

 

新しい提督が扶桑をお姉ちゃんと呼んで懐かしそうにしていた。

 

「扶桑、知り合いなのか」

 

長門が口を開いた。

 

「ええ、隣に住んでいて、弟みたいな子ですね」

 

扶桑が提督との関係を話したが、提督は弟という単語に少し表情を曇られていた、まぁ其処は理解できる。

 

「健司君、はいお弁当」

 

扶桑が提督にお弁当を手渡した、

 

「お姉ちゃん、有り難う」

「扶桑が料理を!」

 

長門が驚きの声を上げた、

 

「お姉ちゃんの手作り弁当、久しぶり今からお昼が楽しみだよ」

 

提督の口振りから昔から扶桑が弁当を作ってあげていたようだ。

 

「扶桑姉様のあんな顔………」

 

山城が扶桑の表情をみて驚いていた。

 

「弟みたいなか………この提督なら奴よりも信頼は出来るか」

 

長門の表情が少しだけ緩んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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