「確かに…明石の言う通りなら、あのゴミ袋の中身は着たら洗わずに捨てられた制服と云う事か」
俺達は一旦事務所に戻ると会議室で、先程見たゴミ袋の中身について話を始めた。
「段ボール分は総て見ていないので何とも言えないけど…恐らくは制服の在庫だと、そしてゴミ袋は着古して洗わずに捨てられた分かと思うけど…だとしても洗いもせずに下着ごと棄てられているのはおかしいです…誰かが隠れ住んでいなければ…」
青葉もやはり同じ疑問に辿り着いた。
「2棟目迄の2階には誰もいないし、同じ様に段ボールの山が出来ていたので…可能性としては3棟目の2階部分が怪しいですね」
夕張がこの集積所の平面図をみながら3棟目の倉庫の部分をペンで丸をつけた。
「鍵図面から判断すると2階部分で3棟共に繋がっているなので2階から入って確認してみるか」
俺は鍵図面と描かれたファイルを拡げると、倉庫2階部分の頁を開いた。
「早速行ってみるか」
俺は鍵図面に記載されていた鍵を事務所から探し出すと、3人を連れて1号倉庫から入る事にした。
「よし入るぞ」
俺は2号倉庫へ繋がる扉を静かに開いた。
「誰もいないな…」
俺達は段ボールを静かにどけながら3号倉庫へ繋がる扉の前迄着た。
「よし………開けるぞ」
俺は音を立てない様に鍵を開けると扉を静かに開いた。
「中佐…アレ」
青葉が右側の段ボールの壁の向こうに人影を発見した。
「全員油断して爆睡してやがるな…」
窓側の床に段ボールに包まって…時雨、夕立、陽炎、吹雪、深雪の5人が眠ったていた。
「やれやれ…幽霊の正体みたり枯れ尾花かよ」
俺はそう呟くと、
「総員起こし!」
と声を張り上げた。
「!」
それは見事に全員が飛び起きた…問題は全員が全裸で寝ていた為に、お年頃の女の子の裸をみてしまったことだった…その後は阿鼻叫喚とでも云うのか…胸と股間隠して尻隠さずだったり…お尻隠して胸をさらけ出したりと大変だった…。
「先ずは認識票を出せ、それから制服を着たら事務所に出頭、いいな逃げるなよ…特に時雨、君にはイロイロと聞きたいからな」
俺は時雨に念を押すと全員から認識票を回収し青葉と事務所へと戻ることにした…あとの事(着替えや健康状態のチェック)は明石と夕張に丸投げした。
「中佐、脱走艦娘ですかね」
青葉が倉庫を出ると聞いてきた。
「いや違うだろうな、最近と言ってもこの3年位は脱走艦娘の手配を見たことが無い…嫌な予感だが、戦没艦娘履歴を調べてみる…棄艦にされたのかもしれん」
「了解です」
俺と青葉は事務所に戻ると直ぐにデータベースにアクセスした。
「嫌な予感ほど当たるな…」
全員がとある作戦で戦死扱いとなっていた。
「元いた鎮守府は…此処か」
俺は海図や軍令部に提出されていた報告書と彼女達から回収した航海日誌と付き合わせた。
「…辻褄があわない」
青葉が報告書に記載されていた航路と艤装の航海日誌を突き合わせながら首を傾げていた。
「此処に辿り着くには…」
「青葉、この戦死報告の時刻をみてみろよ、鎮守府出撃から30分で全艦轟沈…有り得るか、それに航海日誌には戦闘の記録は無かった」
「艤装にも損傷無かったわよ、弾薬の消費もね」
丁度明石が時雨達を連れて事務所へと戻ってきた。
「時雨、何があった」
予備制服が白露型しかなかったので全員白露型の制服を着ていた…陽炎や吹雪、深雪はある意味新鮮な感じがした…特に吹雪は芋っぽさが完全に抜けていた。
「僕達は特攻作戦を命じられたんだ…だけど敵と邂逅出来なくて…提督に指示をあおいだら…その…そしたらお前たちは用済みだから帰って来なくてもいいって言われて…当てもなく航行していたら…此処を見つけたんだ」
時雨がポツリポツリと語った。
「そうか…」
俺は時雨達をどうするか考えていた。
「中佐、来客です」
タイミングよく葛谷中将視察にやってきたのだった。
「クソジジィ丁度良かった…」
俺は今迄の事を総て話すと、証拠の航海日誌や報告書を葛谷中将に提出した。
「フム…わかった、この娘達についてはなんとかしよう、もちろん配属は此処とする」
葛谷中将は端末を開くと処理を完了させた。
「後であの鎮守府は徹底的に監査する必要があるな…ワシは一旦帰るぞ」
葛谷中将は本来の任務である査察を打ち切ると、軍令部へと引き上げていった。
「僕達…此処にいてもいいの?」
時雨が上目遣いで聞いてきた。
「ああ、お前たちは正式に此処に配属となったからな」
こうして場末物質集積所に新たな仲間が増えた。
「改めて、よろしくな…」
俺は、『時雨』『夕立』『陽炎』『吹雪』『深雪』を前に改めて施設を説明した。
後日、時雨達がいた以前の鎮守府提督は監査の結果、悪事が露呈し逮捕された。