クロスワールドストーリー   作:貧乳は至高である

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第一印象は外見で決まる

どんなに中身が臆病でも見てくれが怖ければ怯えられるのだ


ファーストコンタクトIN幽霊船

「……なな、なんや、霧出てきとるな」

 

「……ち、近くで見ると、け、結構迫力あるわね」

 

「っ、〜っ!?」

 

「ぽ、ぽいぃ〜……」

 

「………その、みんな大丈夫?」

 

鎮守府へと無線で現状を報告し、提督から刺激しないように接触するよう指示を得た龍驤達は例の木造帆船のすぐ側まで静かに近づいていた。ひゅうひゅうとどこからか風鳴りの音が聞こえ、徐々に立ち込める白い霧と鬼火のような青白いランタンの灯りに彩られた良く言えば赴きのある、悪く言えばナニか出そうな古さをかもし出す帆船を手で触れられそうな至近距離で見上げて固まっている

 

若干青い顔で震えた声で強がる龍驤と雷、真っ青で声も出せずにぷるぷるしてる電、涙目の夕立。時雨以外のその手のものが苦手なメンツは、まだ何もしてないのに精神的に行動不能になりそうだ

 

と、そこで船の方がこちらに気づいたのか甲板に人影が現れ、龍驤達にも姿が見える船縁まで近寄ってくる

 

「ん?誰かこっちにくるみたいだね…って」

 

人影に気づいた時雨が怯える他の艦娘達に注意を促し、少なくともちゃんと人がいるとホッとした全員の視線がそちらに固定された瞬間。さぁっと風が吹き一時的に霧が晴れる。そこにいたのは目の部分に鬼火のような炎を灯し、裾の擦り切れた一昔前の船乗りの格好をして首をかしげながら身を乗り出してこちらを見下ろす動く白骨死体(スケルトン)だった

 

「「ひぃあああああぁ―――――ッ!?」」

 

「…………」

 

「ぼいいぃっぽいぃ――ッ!?」

 

「はぐ、ぅ!?」

 

龍驤と雷が揃って絹を裂く悲鳴を轟かせ、泣きじゃくって腰を抜かしながら互いに抱きしめあう。電が声もなく昇天(気絶)して後ろにばしゃんと倒れ、号泣する夕立が時雨の腹部目掛けて全力でタックルし二人揃って海面を転がるように吹き飛んでいく

 

騒ぎを聞きつけたのか船の側面から半透明の白い人影が壁を突き抜けるようにゆらりと幾人も顔を覗かせ、炎の中に人の顔が浮かぶ拳より大きな赤い人魂の群れがマストの方からこっちにやってくる

 

「いやあぁ―――ッ!?ぎゃあああぁっ!?」

 

「かんにんしてっ、かんにんしてぇええっ!?お化けいややああぁ―――ッ!?ひにゃあああああああぁっ!?」

 

「ぼいいぃっぼいいぃ―――ッ!?うわあああぁんっ」

 

「っ、っぎ、ぶ…ゆ、だち……くび、ぃ」

 

腰が抜けた状態で悲鳴を上げ泣きじゃくって海面を這いながらそれでも気絶した姉妹艦を必死に回収しようと手を伸ばす雷、子供のように泣きながら後ずさりし涙でぐちゃぐちゃの顔でぶるぶる震えて縮こまる龍驤、時雨の首に力いっぱいしがみつき恐慌状態の夕立と完全にキマッた状態で他とは違う意味で顔を青くし必死に夕立の腕を叩く時雨。誰がどう見ても阿鼻叫喚の地獄絵図である

 

「うわ、ちょっ、何事!?」

 

船の方からさらに男性らしい声が聞こえ、こちらにふわりとナニかが飛んでくる。身体に揺らめくオーラをまとい古めかしい灰色のマントのフードを目深に被って顔が見えない人型のナニかが体重を感じさせない滑るような動きで龍驤達の方へやってくる

 

「「「ぴゃあああああああぁ―――ッ!?」」」

 

「っ」

 

今日一番の絶叫のコーラスが轟き、夕立の腕により力がこもる。全力で叫んで軽い酸欠になり、精神的にも限界がきた3人がふっと意識を失って力なく海に横たわり、絞め落とされた時雨がちょっとヤバげな痙攣を始めた

 

「え、えっ……ええ〜…と、とりあえず回収っ特にそっちの絞め落とされてびくびくしてる娘はすぐに治療するぞ」

 

ちみっこいのばっかりだけどどう見ても艦娘だよなーこの娘ら、と頬をかきながら困ったように駆逐艦隊に混じって涙でぐちゃぐちゃの顔でオチ(気絶し)てる保護者役だろう軽空母(龍驤)を見下ろし、とりあえず夕立の腕を時雨からひっぺがして。船の持ち主であり不可抗力で艦娘達に精神的なトドメをさしたソラが幽霊船(見た目だけ)の船員を兼ねた召喚獣にため息をつきながら指示を出した

 

 

 

さすがに気絶させるほどヤバかったらしい見た目ホラー軍団に運ばせたり介抱させる訳にもいかず、1人ずつ流体操作系の魔法で海水から作ったイルカに乗せて空いた船室まで運びこみ身体を魔法で清めてから全員まとめてベッドに寝かせておく。もちろん身内に仕留められかけた一番不憫な駆逐艦娘の首には自己治癒能力を強化する包帯を巻いてあげた

 

「診察しても時雨以外は単なる気絶だし……まぁ、これで大丈夫だろ」

 

鬼岩城隠密調査隊からの報告待ちで他の案件への対応と短期決戦に向けた準備をやっていたら外に繋げてある索敵用モニターから悲鳴が聞こえてこの騒ぎである。見てくれ以上の広さがある艦船型迷宮のローレライは迎撃トラップエリアなど物騒な設備もあるため、変なところに入り込まないよう見張りも兼ねてベッド脇で仮想ウィンドウを大量に広げ、各種部隊編成やら補給線の構築やら大規模戦闘の準備をしながらトラブルメイカー仕事しすぎじゃね?と大分昔に諦めたスキルの能力に遠い目になってしまう

 

「う、うぅ〜…ん」

 

よほど怖かったのか泣きそうな顔でうなされる龍驤の頭をそっと撫でてやると安心したように表情を緩めてすり寄ってくる。大変かわいらしい…って違う違う、そろそろ起きてもらわないと。鎮守府側からしたらこの状況で音信不通のままじゃヤバいだろ。救助部隊派遣とか絶対ホラー的二次災害が起きるって

 

「おーい、お嬢さん?そろそろ起きてくんないー?」

 

ぺしぺしとすべすべした龍驤の頬を軽く叩いて刺激を与えるとうめくように声を出して、寝ぼけているのかぼんやりとした明るい茶色の瞳がこちらを見上げた

 

数回パチパチと瞬きをし、意識が覚醒したのかガバッと起き上がって怯えたように周囲を見回しじわじわと涙目になっていく

 

「あぁ、うん。大丈夫だからなー、(見た目が)怖い奴らはここにはいないからなー。気絶してた他の娘達もみんな無事だから安心していいぞー」

 

「ふぇ?…え、っぁ」

 

ヨシヨシと頭を撫でて落ち着かせれば、きょとんとした顔で彼女はこちらを見上げ……最後の記憶からようやく自分のおかれた状況を飲み込めたのか、決壊寸前の涙目のまま赤くなってぷるぷる震えながら毛布に顔を埋めるように撃沈した

 

「うぅ……恥ずいよううぅ…ウチ、あんな…あんなあぁ……」

 

「ええ、と……とりあえず、お嬢さんらがどこの誰なのか教えて欲しいんだけど?俺らも時間がおしてて余裕がなくてなー、予定がキツキツだから忙しいんだよね」

 

「ぐすっ…ウチは横須賀鎮守府、所属艦娘の軽空母、龍驤や。一応、そこにおる娘達の旗艦もやっとるよ……くすんっ」

 

べっこりへこんだ状態でぐすぐすとぐずり始めた龍驤を刺激しないようにこちらも伝えるべきことを伝えていく

 

「俺はソラ。この船のまぁ…まとめ役兼持ち主ってとこかな。所属は何でも屋ギルドの道化の王冠(クラウン・クラウン)で、そこのマスターもやってるな」

 

「ギルド?」

 

「そう、こことは違う世界からきた魔法使いの所属する組織だね」

 

突然出てきた荒唐無稽な単語に思わず顔を上げてぽかんとこちらを見上げる龍驤と目線をあわせて、ソラはいたずらっ子の笑みを浮かべながら指先に展開した王冠を掲げた道化の紋章が中央に描かれた小さな魔法陣から光の小鳥と舞い散る花の幻を飛ばして見せた

 

 




登場モンスター

幽霊船ローレライの召喚獣たち
基本的に幽霊船と海に関わる種族だけと縛りがある。海上戦闘と雑用のスケルトン系、水中戦闘の半魚人、水中支援の人魚、後方魔法型の鬼火系と幽霊(ゴースト)系、水中移動用のイルカ、索敵用の海鳥や魚、伝令のオウム、愛玩枠兼艦内警備の猫と結構多彩だが、外部から保護した怪我人や病人の面倒を無難に見れるのがオーナーか人魚(INたらい)しかいない罠。だって幽霊船だもん






Q 何で艦娘の名前がわかるの?

A 事前原作情報込みの鑑定スキルってチートだよね?目測(オンナノテキ)スキルもあるし(笑)


Q 何でこんなに龍驤がべっこべこなの?

A 洗浄作業できれいにしたのは海水汚れや涙だけではないからです。さすがに見てくれは置いといて空母(艦種設定年齢的に最低でも18歳)なのに漏水事故は心に深い傷が出来ました。どこからとは言わない優しさ


Q 龍驤が現状不審者な主人公に友好的と言うか素直なのは?

A 所属不明艦船のオーナーとはいえ協力的で普通に受け答えできるし、紳士的で自分たちの扱いもいいのが部屋の内装からわかってるからです。ついでにどのくらい寝てたかは知らないけど身体や服がきれいになってる時点で漏水事故()の処理もしてもらってるのが確定済みなのも強く出れない理由です。精神的にちょっと子供返りしてるとも言う
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