自衛官だったけどクローンになったのでジェダイを救ってみた   作:みどり色

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第99話 取り敢えず中将ウザい

<惑星コルサント上空>

 

「嘘だろ・・・本部に呼びかけろ!」

 

軍の再編成に伴い外縁部の視察を兼ねて首都を離れていた俺は目の前に広がる光景に言葉を失った。

 

俺は自分の船であるヴェネター級スター・デストロイヤー“アルテミス”と直属の第117コマンド軍団の指揮を執り、帰還の為にハイパースペースを航行していた。

部下の羽を伸ばさせることが出来ると思っていた矢先、ハイパースペースを出ると巨大な宇宙ステーションが鎮座していた。

その宇宙ステーションは太陽に照らされ、信じられないほどの巨体を惜しげもなく晒している。

 

“デス・スター”

 

アレを見るのは二度目だが、その巨大過ぎる姿はスクリーンで見るのとは訳が違う。

あれ程巨大な物体を破壊することなど可能なのだろうか?

まさに絶望と言う表現をそのまま形にしたような威圧感だ。

 

加えて目を疑ったのはコルサントの状況だ。

銀河の中心に位置するこの惑星は光を失っていた。

惑星全体が大都市であるコルサントは眠る事はない。

しかし、現実はどうだろう?

見た限り破壊の跡などは確認できないが、この目に映るコルサントはまるで機能を停止したドロイドのように静かだった。

 

『軍本部、応答ありません!』

 

通信士官からもたらされた報告は、首都の状況を見れば納得できた。

 

何故だ?

どうしてコルサントが死んでいる?

それにこの状況、帝国にコルサントを丸ごと人質に取られているようなものだ。

デス・スターの力をもってすれば、一つの惑星を破壊することなど造作もないだろう。

 

『デス・スターからTIEファイターが多数発艦、本艦に向かってきます!』

 

「こちらもファイターを出せ! 迎撃しろ!!」

 

「それは悪手ではないかねコマンダー?」

 

そう口にするのはオブザーバーとしてこの艦に乗艦しているエドモン・ランパート中将だ。

少し・・・というか、かなりいけ好かない奴だ。

いや、寧ろ嫌いな人種だ。

自分を選ばれた者だと思い込み、上流階級の者以外はクソだと考えている人間だ。

こういう類の連中はパルパティーンが帝国樹立を宣言した際に共和国を裏切り、皇帝に合流したのだが一定数連合国に残っている。

 

マジで迷惑だからさっさと向こう(帝国)に行ってくれ。

いや、生かしておいては何かと面倒か。

今ここで撃ち殺すのもアリだな。

任務中の事故という事で処理すれば—————

 

「おい、聞いているのかコマンダー?」

 

俺は少将から中将くらいの階級であるマーシャル・コマンダーだ。

概ねコイツと同程度の階級のため、階級優位の立場じゃない。

それに現在の俺は陸軍参謀本部(グランド・アーミー)のトップでもなければ、第10星系軍の指揮官でもない。

以前、その地位にいたのは“軍再編に伴う暫定的な処置”という認識が正しいだろう。

分離主義者達と銀河連合国を築いてからは、世間体というのもあって以前の立場に戻っている。

何が言いたいかというと、このクソッタレ野郎に命令できる立場じゃないってことだ。

 

「———ああ、聞いている。ならアンタはどうするのが良いと?」

 

「・・・なんだ、それは?クローンが随分と偉そうな態度じゃないか?」

 

ダメだ、話が進まない。

この類の連中はクローンを奴隷か何かだと思っている。

ジェダイや元老院の前ではその態度を潜めるが、上位者が居ない場合は毎回こんな感じだ。

ランパートのような奴がオブザーバーとして乗艦するような状況を見ても、連合国にも着々と腐敗が広がっているように思えてならない。

 

「中将殿のオブザーバーとしての意見が聞きたいだけさ。まさか何の考えもなく、俺の指示を否定したわけじゃないだろう?」

 

こうしている間にも、帝国のTIEファイターは迫って来ている。

悠長に議論している暇はないんだ。

 

「も、もちろんだ。現状を鑑みて一度撤退し、態勢を整えるべきだ」

 

「撤退だって?連合国の首都があんな状態なんだぞ?そもそも何処へ逃げるって言うんだ、寧ろこの機会を逃したら次はハイパースペースを出た瞬間に木っ端みじんにされるぞ」

 

帝国からしてみれば、今の俺たちは“奇襲を掛けた”状況と同じだ。

次は網を張られて、何もできないまま宇宙の塵にされることだろう。

まさか我が身大事さに言っている訳じゃないよな?

・・・まさかね?

 

「・・・・・」

 

「とにかく、他に良い案がないなら黙ってろ。アンタはあくまで“オブザーバー”って立場なんだ。この艦の指揮権は俺にある」

 

俺は担当士官に向かって頷くと、それを確認した士官がファイターを発進させる。

誰かさんのせいで対応が遅れた。

とにかく今はデス・スターの射線に入らないように立ち回って、作戦を練るしかない。

コルサントの状況も分からないしな・・・。

俺はコムリンクを操作して、副官のライズを呼び出す。

 

「コマンダー、何か問題ですか?」

 

所要で席を外していたライズはすぐにブリッジに姿を現す。

既に何か感じ取っているようだ。

 

「ライズ、お前にはアイツを見張って欲しい」

 

「警報が鳴っているのに対応が遅いと思ったら・・・将軍閣下の有難いご意見でも?」

 

「その通りだ。どうもきな臭くてな」

 

「イエッサー、何かあれば報告します」

 

「頼む。それと部隊を集めてくれ、少数で良い」

 

そして『後の指揮は任せたぞ』と付け加える。

彼は頷くと、すぐに動き出す。

無線が役に立たない以上、地上の状況を知るためには現地に行く必要がある。

危険が伴うが、偵察が必要だ。

 

 

 

 

俺は少数の選抜チームと共に、艦の格納庫に集まっていた。

数百機ものファイターが格納できるほど巨大な空間だが、その多くが帝国との戦闘の為に出払っている。

 

「ヘヴィー、エコー、お前らがいてくれて助かる」

 

「光栄です、コマンダー」

 

「貴方の為ならいつでも」

 

ARCトルーパーであるヘヴィーとエコーがこの場にいてくれたのは大きな戦力だ。

新兵訓練で落ちこぼれのドミノ分隊と呼ばれていたのが遠い昔の様だ。

いや、実際もう何年も経っているか。

 

その他に俺の直属である第117コマンド軍団のクローン・コマンドーとコマンドー・ドロイドそれぞれ一個組が集結している。

偵察はこの7人+4体で行うことになる。

正直偵察、斥候任務にしては多いが不測事態に備えてこの編成で行く。

 

「お前たちも承知していると思うが、現在コルサントとの連絡が途絶えている。それだけではなく、コルサントのインフラが完全に停止している。真っ暗なコルサントなんて初めて見たぞクソッタレ」

 

俺の汚い言葉を咎める者は誰もいない。

皆、同じ気持ちなのだ。

それを俺が代表して言っているだけだ。

 

「現在お前たちに共有できる情報は皆無だ。事前情報なしで闇に覆われた首都に入る事となる」

 

『コマンダー、お言葉ですがどんなに不利な状況でも我々は任務を完遂できる能力があります。その為に訓練してきました』

 

『我々は連合国が誇る最精鋭部隊、誉ある第117コマンド軍団です』

 

2人のクローン・コマンドーがそう口にする。

彼らは困難な任務であればある程、その高い能力を発揮する。

そして任務を確実に完遂するために全力を尽くす。

経験によって培われた自信と技術は、必ずや連合国に勝利をもたらすだろう。

俺はそう信じている。

 

「ああ、お前たちに多くを語る必要はない」

 

俺は部隊を引き連れ、かつてARCSトルーパーのメンバーと銀河を飛び回ったニュー級アタック・シャトルに乗り込む。

あの頃の状況とは何もかも違っている。

だが兵の在り方だけは不変なのかもしれない。

 

 

シャトルはよく整備されており、機嫌よく起動して新品かのような挙動で宙を舞う。

外は敵味方のファイターがひしめき合っている。

主として兵員輸送に用いられるこのシャトルが襲われれば、不利な戦いを強いられることになる。

悟られることなく進むには遠回りするしかない。

 

「・・・“急がば回れ”だな」

 

「それはどういう意味ですか?」

 

ぼそっと呟くと、エコーが不思議そうに聞いてくる。

そうか、これは日本の言葉だったな。

 

「『慌てず着実に進む方が結果的に上手くいく』って意味さ」

 

「なるほど、一理ありますね」

 

慎重派のエコーはこの言葉を気に入ったよう。

不良分隊のレッカーが聞いたら卒倒しそうだな。

 

俺達は静かに闇が支配するコルサントへと降下していくのだった。

 




はい、お疲れ様でした。

少しばかり10月は忙しくて執筆が遅れていますが、今月中に更新したかったので書き上げました。
季節の変わり目で体調も崩しやすくなっているので、気をつけてお過ごしください。

それではまた近いうちに・・・・・
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