自衛官だったけどクローンになったのでジェダイを救ってみた   作:みどり色

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明日も0600時更新です。


第107話 ポチっとな

今元老院ビルは大騒ぎだった。

あらゆる場所で煙が立ちこみ、火災報知器が鳴り響いている。

 

「成功です」

 

そう話すのは端末にアクセスしていたエコーだった。

彼は端末からビル全体にハッキングを仕掛け、火災報知機を作動させた。

他にも防火扉も稼働させたため、ビル内の退路も限定させた。

あとは通気口からスモークグレネードによって煙を発生させれば“演出”は完成だ。

 

「これで俺たちは名実ともに放火犯だな。知っているか? 放火は罪が重いんだぞ?」

 

「・・・はあ、お前といると飽きないな」

 

アディスは呆れた様子でため息をついている。

だが少し面白がっているのを俺は知っているぞ?

管理職になってから知らない間にストレスをため込んでいるんだよな?

分かるぞ、うん。

そういえば仕事を奴に押し付け・・・んっんん!

頼んだことも一度や二度だけでは無かったな。

自重しよう、そうしよう。

 

「とにかく、これでビル内のお掃除も完了だ。これでママをぶっ壊しちまえばミッション完了だ」

 

 

 

 

<元老院ビル 議長の作業オフィス>

 

退路確保に回していたコマンドー分隊の内、爆破を担当している伍長を呼び寄せた。

彼のバックパックには多種多様な爆発物が収納されている。

これを使ってドカンと行ってやろう。

 

「それで、母機というのはどこにあるんだ?」

 

「お待ちを・・・」

 

アディスの言葉を受け、エコーがオフィスの端末にアクセスする。

セキュリティーが堅く、少し時間を要している。

 

暫くすると議長の演壇が突然動き出し、上階の議会場に上昇していく。

俺達は慌てて演壇に飛び乗った。

さすがにこの人数で乗ると狭いな。

おい、降りろオーリー!

ってアイツいなかったな()

 

ゆっくりと上昇していく演壇が議会場に侵入すると、辺りには煙が立ち込めているのを確認できる。

さっきのスモークグレネードが原因だろう。

こちらの思惑通り、もぬけの殻となった議会場だったが妙に音が響き渡る。

 

演壇が定位置に到着すると、議会場の天井が開き巨大な物体が出現する。

その物体は議会場の照明を反射し、眩しい程の光を放っているようだった。

 

「・・・・・」

 

俺達は言葉を失った。

EMP発生装置の母機を構成しているカイバー・クリスタルは、議会場の天井を覆いつくす程の大きさを誇っていた。

 

その圧倒的な存在を目の前にして、俺たちは周囲の警戒も忘れ無防備にクリスタルを眺めている。

フォースのことなんて理解できないが、巨大で、神秘的で、美しい存在を目の当たりにすると何とも形容し難い感覚に陥る。

 

『人間などが壊してよいものではない・・・いや、そもそも人間が自らの目的の為に利用してよいものではない』

そんな感情が湧き上がる。

 

 

・・・って何惚けているんだ。

らしくもない。

キモイぞ、俺!

誰にも需要がないシーンだ。

さっさと任務を進めよう。

 

「アディスは狙撃ポジションへ、エコーとヘヴィーはカバー、伍長は俺に付いて来い」

 

俺はメンバーに指示を出し、コマンドーの伍長と共にアーマーの背面に装着したジェットパックを使ってクリスタルの所まで上昇する。

俺の傘下である第117コマンド軍団は特に特殊戦に特化した部隊である為、構成している隊員一人一人がジェットパックを装備している。

他にも新装備や実戦配備前のプロトタイプなどの実地運用データを集める役割なども担っている。

その分、部隊運営に掛かる経費は膨大だがそれに見合った戦果を上げている。

 

というか・・・

 

「近くで見るとほんとデカいな」

 

接近するとその大きさ故に全容が確認できない。

ということは遠目から見るよりも見惚れることもない。

ということは作業が進む。

うん、大きくて良かった。(?)

 

というか・・・(2回目)

 

「なあ伍長、これ壊したらクリスタルの残骸で議会場ぐちゃぐちゃだよな?」

 

「はい」

 

「そもそも爆発だけでもぐちゃぐちゃだよな?」

 

「そうなります」

 

コマンドーは簡潔に答えてくれる。

もっとスマートに壊したかったが、どうも無理そうだ。

ま、まあ人的被害が出ないだけマシと思うことにしよう。

うん、そうしよう。

戦争が終われば責任取ってすぐに退役したって良いんだ。

・・・牢屋にぶち込まれなければの話だけど。

 

俺の心配を他所に伍長はテキパキと自分の仕事を進めている。

クソッ、優秀だな。

いやそれは良いことなんだが、今のこの状況では俺の心の準備ができていない。

こんな事になるならコマンドーを連れてくるんじゃなかった(錯乱)

 

「な、なあ伍長、もっとノンビリ行こうぜ? そんなに急いでも良いこと無いって。な?」

 

「コマンダー、“遅かれ早かれ”というやつです」

 

「はい、すみませんでした」

 

117の連中ってこうなんだよ!

最初は『めっちゃ憧れてました!』みたいな態度なのに、慣れてくると遠慮が無くなってくるんだよ!

俺ってマーシャルコマンダーだよね?

割と偉いよね?

まあ、良いんだけどさ。

威厳ってどうやったら身につくの?

メイス・ウィンドゥとか『誰も逆らえません』って雰囲気醸し出してるけど、あれって生まれつきの資質ですか?

俺には無縁ですか?

 

そんなことを考えているうちに、伍長は一人で爆発物の設置を終わらせてしまった。

俺の居る意味とは?

隊員が優秀過ぎるのも考え物だな。

俺が割と真面目に訓練の水準を下げることを考えていると、とうとう来る時が来てしまった。

 

「は~い、全員退避~」

 

「おい、レイ。もっとやる気をだせ」

 

 

 

 

「はーい、ドカンとやりたい人は挙手してくださーい」

 

俺達はコマンドー分隊と合流した後、元老院ビルを脱出していた。

今は元老院ビルを遠目に眺めながら周囲の安全を確保している。

 

「「「・・・・・」」」

 

おい、お前ら。

息をピッタリ合わせて、俺から絶妙な速度で顔を逸らすんじゃないよ!

レッカーだったら泣いて喜ぶぞ?

 

「・・・仕方ない。ここは階級に物を言わせて—————」

 

—————できそうもないな。

まあ、冗談だしな。

責任を負うのは俺一人で良い。

 

「たーまやー(ポチッ)」

 

お世辞にも綺麗とは言えないその爆発は、遠目からでもハッキリと確認できる。

まあ、銀河の中心のこれまたその中心で腐敗の限りを尽くしてきた場所を吹き飛ばせるというのも悪い気もしないしな。

 




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