自衛官だったけどクローンになったのでジェダイを救ってみた   作:みどり色

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第54話 取り敢えず何も考えたくない

俺達は地上に戻ってきたがデス・ウォッチの増援が向かってきていた事から、速やかな退却を余儀なくされた。

生き残ったナイト・アウルのメンバーはそのままマンダロアに残ったが、俺達はシャトルに乗り込んでマンダロアを脱出した。

 

その時、眼下には崩れ落ちる施設が見える。

建物は崩壊し、地下に建造されていた基地が無事だとは思えなかった。

 

「レイ・・・」

 

俺を心配したアナキンが声を掛けてくれるが、次の言葉が出ないようだ。

先ほどの戦闘で、『生まれた時から一緒にいる』というボ=カターンに言った俺の言葉を傍で聞いていた為、どんな言葉を掛けても意味がないような気がしているんだろう。

 

他の二人(アディス、オーリー)も同じ気持ちのはずだが今は任務中だ。

優先順位は理解している為、他の仲間を危険に晒してまで戻ろうとは言わなかった。

 

それに戦争の被害に遭っている国民には、家族を失った人々もたくさんいる。

小さい子供を亡くした親や、反対に両親を一度に無くして戦争孤児になってしまった年端も行かない子供が数えきれない程いるのだ。

 

兵士の俺たちだけが辛い想いをしている訳じゃない。

俺達はまだマシだ。

いつ死んでもおかしくない立場に身を置いているし、死ぬ覚悟だって出来ているんだからな。

 

とにかく、今は無事に脱出することが優先だ。

ヒュメルだって同じ立場だったら任務を優先するだろう。

 

「・・・大丈夫だアナキン、今は任務を優先しよう」

 

・・・だが理解しているのと、納得しているのは別問題だ。

本当だったら、俺だけでもあそこに飛んでいきたい。

あの時ヒュメルは何か嫌な予感がしていたのかもしれない・・・

俺は彼に救われたんだ。

 

 

 

 

 

<惑星コルサント ジェダイ評議会>

 

あれからナイト・アウルのメンバーと別れて、レイ達は報告の為にコルサントへ戻ってきていた。

そしてアナキンは惑星マンダロアで起きた出来事を、ジェダイ評議会に報告していた。

 

「・・・そしてケイレブ・デュームとトリラ・スドゥリーを保護することに成功しましたが、マスター・タパルのパダワン、カル・ケスティスは発見することが出来ず、加えて脱出の際にはARCSトルーパーのキャプテン・ヒュメルが爆発に巻き込まれ、現在行方不明となっております」

 

「ご苦労だったアナキン、それにしても前回の報告でもあったが、惑星マンダロアがシスの暗黒卿に支配されているとはな・・・」

 

「パダワンが攫われ、クローンが被害に遭った事で評議会や軍が動く必要が出てきたのは間違いない。それにサティーン侯爵もこちら側にいる」

 

そう話すのは、マスター・ウィンドゥとマスター・ムンディだ。

 

「サティーン侯爵の話ではアルメクが首相の座に就き、それを裏で操っているのがモールだと言う事です。ですが今回の誘拐に関しても人民に示す証拠がない。共和国軍が惑星マンダロアに侵攻すれば、明らかな平和条約の違反と映るでしょう」

 

「オビ=ワンの言う通りだな。それに元老院の承認が得られるまで、今しばらく時間が掛かるだろう」

 

そう話すメイスはマスター・ヨーダの方に視線を向け、彼の言葉を待つ。

 

「うーむ、今はマンダロアの内戦よりもこの戦争を終わらせる事が優先じゃの。それに戦争が終われば、彼らの星を救う事も出来るはずじゃ」

 

 

 

<惑星コルサント 共和国軍基地>

 

俺達はアナキンが評議会へ報告に向かった為、一先ず基地で時間を潰していた。

オーリーはリハビリだと言って射撃訓練場に引き籠っており、アディスに関しては散歩だと言って基地内を歩き回っているようだった。

その為、俺は一人で士官用にあてがわれている部屋のベッドで横になっていた。

 

何のことは無い。

それぞれが戦友を亡くした事を乗り越えようとしているんだ。

 

「ふっ、戦友か・・・アイツは家族だ」

 

俺達は文字通り、身体の一部を失ったような気分になっていた。

これまでだって兄弟であるクローンを大勢亡くし、この手の中で看取ってきた回数も、もはや覚えていない程だ。

 

・・・だがアイツらは特別だ。

生まれた時から一緒で、これからも戦場を共に戦い、そして戦争が終わってからも何だかんだ一緒にいるものだと思っていた。

 

その一部が急に消えたんだ。

それも、俺を守るために・・・

 

「俺はどこで間違えてしまったんだろうな、ヒュメル・・・」

 

その時、この部屋の扉をノックする音が聞こえる。

俺は力が抜けきってしまった気怠い身体を起こし、扉を開けるために歩みを進める。

 

「・・・アナキン」

 

「レイ、こんな時にすまないが君に会いたいと言う人がいるんだ」

 

そこには心配そうな目を向けたアナキンが立っていた。

そして彼と入れ替わるように現れたのは、意外な人物だった。

 

「お久しぶりですね、コマンダー・レイ」

 

「貴女は・・・」

 

姿を現したのは惑星マンダロアの重要人物で、ボ=カターンの姉に当たるサティーン侯爵だった。

 

 

 

俺は二人を部屋に招き入れ、護衛のトルーパーは外で待たせていた。

まあ護衛と言うのは建前で、本当は彼女を見張っているんだろうけどな。

 

「それで話と言うのは?」

 

「ええ、実は改めてお礼が言いたかったの。以前オビ=ワンと貴方に助けて頂いた時に、きちんとお礼が言えなかったから」

 

「いえ、任務でしたので・・・」

 

そんな事を言いに来たのか?

本音を言えば後にして欲しかった。

酷い言い方になってしまうが、彼女の礼など受け取ったところで今の俺の気持ちが晴れるわけじゃない。

 

「それと、惑星マンダロアに残っているボ=カターンから連絡が入ったの」

 

「ボ=カターンから?」

 

「ええ、デス・ウォッチが例の施設の残骸処理や、爆発に巻き込まれた人々の救助をしていたようなのだけれど、彼女が偵察したところでは“彼”は確認できなかったそうよ。良いニュースを持ってこられたら良かったのだけれど・・・本当にゴメンなさい」

 

「・・・そうですか、お伝え頂きありがとうございます」

 

そんな事か。

一瞬もしかしたらと期待を持ってしまったが、やはりヒュメルは見つかっていないんだな。

爆発の近くにいたから、跡形も無く吹き飛んでしまっている可能性だってある。

死体が見つかっていないのは、何も捜索が捗っていない事ばかりが理由ではないだろう。

 

「・・・」

 

「レイ、そのアーマーをまだ着ていたのか?」

 

沈黙を破ったのはアナキンだった。

彼は暗い雰囲気を変えるために、俺が先の任務から着続けているマンダロリアン・アーマーに話題を振った。

 

「ああ・・・帰還してすぐにこの部屋に来たからな。それに俺のアーマーもあの爆発で吹き飛んでしまった」

 

そういえば着替える事すら忘れていた。

帰還してすぐにこの部屋に引き籠っていた為、全く気にも留めなかった。

俺のアーマーもあの爆発で吹き飛んでしまったんだな。

次の任務までに新しい装備を揃えなくては・・・。

 

「もしよければそのアーマーを使って下さい。貴方は私の恩人ですし、せめてものお礼です」

 

「そんな・・・いただけません」

 

そ、そんなに簡単に貰っていい物じゃないだろう?

これはマンダロリアンの伝統その物と言っても良い。

部外者が着て良い物じゃないだろう。

 

・・・既に何回か着ているけどな。

以前にサティーン侯爵を助けた時にデス・ウォッチから奪った物は、既に彼女へ還している。

オビ=ワン、アナキン、ヴェントレス、俺が着ていた物をあわせると計四着分のアーマーがサティーンの手元にあると言う事になる。

 

正確には、今も俺が着ている物もあるから計五着だな。

まあ、とにかくこのアーマーは貰えないって事だ。

 

「マンダロリアン・アーマーとしての伝統を気にされているようでしたら、クローン・トルーパー・アーマー用に再精錬すれば問題ありません。それに元々デス・ウォッチが着ていた物ですから・・・。それに私の手元には貴方が着ているものとで、合計五着分のヴェスカーがあります。クローン用のアーマーを作るには普通のマンダロリアン・アーマーに比べて大量のヴェスカーを使う事になるでしょうが、足りないと言う事はないでしょう。私の知人に腕の良い職人がいるので、すぐに出来上がると思いますよ」

 

そういうものなのか?

正直、今はヒュメルの事で頭が一杯で他のことを考えていたくない。

深く考えず、流れに身を任せよう。

 

 

こうして俺は大切な家族を失った代わりに、世界最強のクローン・トルーパー・アーマーを手にするのだった。

 




はい、お疲れさまでした。

レイ達は今までの様々な経験から、ヒュメルの事はある程度受け入れられている状態です。
しかし100%正常な精神状態ではなく、乗り越えるためにはある程度の時間が必要なようです。

それではまた近いうちに・・・
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