自衛官だったけどクローンになったのでジェダイを救ってみた   作:みどり色

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第61話 取り敢えず“選ばれし者”

「・・・マスター、下がってください」

 

アナキンが自らのライトセーバーを起動した事で、パルパティーンはその口元を緩めて笑みを浮かべている。

 

「彼には聞きたいことがあります」

 

そう言うとアナキンは、静かにライトセーバーをパルパティーンに向ける。

まさか自分がライトセーバーを向けられるとは思ってもいなかったのか、パルパティーンは呆気にとられたような顔をするが、すぐに平静を取り戻す。

 

「・・・どういうつもりだ、アナキン?」

 

先ほどまで、ジェダイに殺されると騒ぎ立てていた者とは思えないほど冷静に、そして冷たく言葉を口にする。

その眼は黄色く、不気味に輝いているように見える。

 

「・・・議長、貴方は本当に親切にしてくれました。父親のいない僕からすると『父とはこのような存在なのかもしれない』と思うほどでした。ジェダイの中でも異質の存在である僕は、他者との違いに苦しみ、本当の意味で自分を理解してくれる人は居ないとまで思っていました」

 

アナキンは一度起動したライトセーバーを収め、静かに話し始める。

 

「・・・」

 

パルパティーンはアナキンの話を静かに聞いている。

アナキンは自分なりに、彼との関係に区切りを付けようとしているのかもしれない。

理由はどうあれ、孤独であった自分を温かく見守り、そして寄り添ってくれていた存在なのは間違いないのだから。

 

「貴方がシスの暗黒卿だと言う事はわかっています。どうして滅ぼすべき存在である僕に良くしてくれたのですか?」

 

「・・・余の存在に気が付いていたとは、予想よりも飛躍的な成長を遂げたようだな、選ばれし者よ」

 

目の前にいるのは、既にシーヴ・パルパティーンでは無かった。

銀河元老院最高議長と言う仮面を取り払い、当代最強の暗黒卿、ダース・シディアスとなっていた。

 

「其方は強いフォースの使い手・・・いずれ余すらも打ち倒し、必ずや無敵のシスとなるだろう。こうしてシスは長きに渡って力を蓄え、もはや死さえも超越した存在となったのだ・・・。アナキン、今一度問う。奴らを倒し、我が弟子となるのだ。そうすれば、愛する者を死の淵から救う術すらも我が物に出来るのだ!」

 

シディアスは、アナキンからの問いに答える事は無かった。

彼からの信頼を、己自ら永遠に手放したのだ。

 

「アナキン・・・!」

 

ウィンドゥがライトセーバーを構え直してアナキンに注意を促すが、彼は至極冷静であった。

一歩踏み出そうとするウィンドゥにアナキンは手を出して、彼の行く先を遮った。

 

歴戦のジェダイ・マスターであり、ライトセーバー戦では右に出る者はいないとまで称されるウィンドゥが、彼の発するオーラに一瞬尻込んでしまう。

 

「・・・予言にある“選ばれし者”か」

 

そう呟くのはダース・シディアスだ。

先ほど口にした“選ばれし者”と同じ単語だが、意味合いは全く異なっていた。

 

フォースを感じ取れない俺でもわかるほどの圧力(プレッシャー)・・・

アナキンはとうとう覚醒したようだ。

“選ばれし者”に・・・。

 

 

その姿を確認し、シディアスは既に彼を手に入れる事は不可能であると考えたようだ。

身体の自由を縛っていた拘束を、自らのフォースで外してその場に立ち上がる。

 

 

シディアスの最大の目的は、ジェダイをこの銀河から排除することだ。

アナキンはその過程で手に入れば良いという認識のため、手に入らなくても彼のやるべきことは変わらない。

 

シディアスは、服の袖からライトセーバーを取り出して起動する。

そこから発せられる光剣は、今まで手にかけてきた人間の血で塗り固められているような赤い色をしていた。

 

「・・・残念です、議長」

 

そう一言発すると、アナキンも自らのライトセーバーを起動する。

 

「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!!!」

 

アナキンからの言葉に答える代わりに、ダース・シディアスは不気味な叫び声を上げた。

これはフォース・スクリーム(フォースの叫び)と呼ばれるシスの秘儀で、怒りなどの負の感情を利用して一時的に己の力を強化する技だ。

さらに負の感情を辺りに解き放つ事で、自分以外の人物のフォースを掻き乱し、一時的に能力を弱体化させる効果もある。

 

劇中で議長逮捕に向かった錚々(そうそう)たるメンバーが、一瞬のうちに撃破されたのはこの秘儀が一役買っているのだろう。

 

シディアスの強力なライトセーバーによる攻撃を、洗練されたテクニックで防いでいくアナキンとウィンドゥ。

一瞬の隙を突き、アナキンが攻撃を仕掛けるがもう一方の腕から二本目のライトセーバーを取り出すことで、その攻撃を防いでしまう。

 

正直、俺がどうこう出来るレベルじゃない。

アナキン達がシディアスの相手をしている間に、俺はオビ=ワンとドゥークーを安全な所まで運ぶ。

コイツ(ドゥークー)には、パルパティーンの悪事を証言してもらわなければいけないからな。

死なせる訳にはいかない。

 

その時、俺達が入ってきた入り口が突然開き、二人の人影が部屋に飛び込んでくる。

 

「あれは・・・!」

 

入って来た一人は黒装束の兵士で、惑星スカコマイナーで対峙したあの指揮官級だった。

加えて、もう一人の方はモールだ。

奴らが共にやってきたと言う事は、指揮官級はやはりシディアスの手の者だったようだ。

 

モールはフォースで肉体を強化することで一瞬のうちにシディアスの下まで跳躍し、その勢いの乗った斬撃をアナキンに繰り出す。

突然の乱入者からの攻撃だったが冷静に対処するアナキンは、シディアスをウィンドゥに任せて、モールを引き受けることにする。

 

ジェダイ・マスターとシスの暗黒卿、それぞれが一騎打ちを始めるのだった。

 

 

 

「・・・会いたかったぞ。その仮面を引っぺがして面を拝んでやる」

 

俺からの言葉に反応することなく、黒装束の指揮官級は両腕に備えられているバイブロ・ソードを起動する。

それに対抗するために、俺も両腕に装備しているベスカー製の高周波ダガーを起動する。

 

俺は集中することで、自分が認識する世界の時間が非常にゆっくりと流れるようになった。

これにより、奴の息遣いやアナキン達のライトセーバーが発する独特な音、外の宇宙空間で行われている激しい戦闘までもが認識できているように感じる。

 

それは一瞬だった。

奴の加速装置から発せられる音を認識した瞬間、俺はジェットパックを起動するのと同時に自らの脚でも後方にジャンプした。

上空に逃れた俺は、ヴァンブレイス(腕甲)に内蔵されたウィップ・コードを撃ち出して奴の身体を拘束することに成功する。

 

しかし、奴はすぐさま自らの身体に高負荷の電流を流すことでウィップ・コードを焼き切ってしまった。

 

その電流を纏った身体のまま奴は急加速して、バイブロ・ソードを振り下ろす。

電流と高周波が流れているバイブロ・ソードの攻撃をまともに食らってしまい、俺は後方の壁まで吹き飛ばされてしまった。

 

ベスカー製のアーマーによって傷は負わなくても、衝撃まで0に出来る訳じゃない。

肺に溜まっていた酸素が衝撃によって体外に吐き出され、俺は一瞬身動きが取れなくなってしまう。

 

その隙を指揮官級が見逃すはずはなく、倒れている俺に向かって急加速し、その勢いのまま連続で斬撃を加えてくる。

 

だが俺もただやられている訳じゃない。

攻撃されている間に呼吸を整えて、ヘルメットに内蔵されているロックオンシステムを使って奴に狙いを定めると、スポウダー・ミサイルを発射する。

 

まさか俺が至近距離でミサイルを発射するとは思わなかったのか、指揮官級は俺の攻撃をまともに食らう。

その隙に俺はジェットパックを起動して奴の後ろに回り込み、背面から高周波ダガーによる斬撃を繰り出す。

 

堪らず指揮官級は俺から距離を取り、態勢を立て直そうとする。

 

「逃がすか!」

 

俺は再びスポウダー・ミサイルを起動して、奴に向かって発射する。

指揮官級はミサイルをそこまでの脅威だとは思っていないようで、ミサイルを避ける事よりも俺から距離を取ることを優先する。

 

「それは悪手だぞ?」

 

指揮官級の身体を覆っているレイ・シールドにミサイルが直撃すると、ミサイルに内包されたEMP(電磁パルス)が炸裂する。

最初のスポウダー・ミサイル(通常弾頭)と高周波ダガーによる攻撃を防ぎ切った奴のレイ・シールドだったが、続くスポウダー・ミサイル(EMP弾頭)による攻撃で、許容負荷を越えたようだ。

 

元々、奴のレイ・シールドは個人単位の装備の為、耐えられる攻撃の許容は船や戦車の比ではない。

ある意味賭けだったが、EMPによる攻撃が功を奏したな。

 

電子パルスによる効果で、指揮官級のレイ・シールドはシステムがダウンした。

これでシステムを再充電するまでは、レイ・シールドは使えないはずだ。

 

「・・・」

 

「どうした? 随分と焦った顔が見えるぞ?」

 

まあ、奴は仮面をしているから焦った顔なんて見えないんだけどな。

雰囲気的にね?

焦ってそうじゃん?

 

だが、このアーマーが無かったら俺はとっくに殺されていただろう。

装備に救われたと言うのは、何となく癪だがそれは奴も同じ事だからな。

どっちもどっちですよ。

 

 

『ぐわぁぁぁ!』

 

叫び声が聞こえたので目を向けると、ちょうどアナキンがモールの義足を両断した所だった。

さらにその切断した脚をアナキンがフォースで浮かせて、ウィンドゥと戦っているシディアスに向かって投げつける。

 

別に何でもない攻撃だったが、達人の戦いではその一瞬が命取りになる。

隙を見せてしまったシディアスに向かって、ウィンドゥがヴァーパットから成る強力な斬撃を繰り出す。

 

その光景を見た指揮官級が加速装置を起動して、一瞬のうちにシディアスとウィンドゥの間に滑り込む。

指揮官級はシディアスを突き飛ばすと、ウィンドゥの斬撃をまともに受ける。

 

 

俺にはその光景が、惑星マンダロアでのヒュメルの一件と重なった。

 

「・・・ヒュ・・・メル?」

 




はい、お疲れ様でした。

シディアスってどこまでが計算なのか、わからない所が怖いですよね。
指揮官級が助けに飛び込んでくることも、計算の内だったのでしょうか?

それではまた近いうちに・・・
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