自衛官だったけどクローンになったのでジェダイを救ってみた   作:みどり色

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第66話 取り敢えずクローン相手はやりにくい

「回り込ませるな! 通路で食い止めるんだ!」

 

上陸艇に搭載されていたバトルドロイドの部隊が押し寄せてくる。

辺りにはブラスターから発せられるティバナガスの匂いが充満し、戦闘の激しさを物語っていた。

 

「参謀総長、敵は思っていたほどの規模じゃありません」

 

「ああ、別動隊がいると考えるべきだろうな」

 

フェーズⅢのアーマーを装備している副官のライズも、敵の規模が想定していたよりも小さい事を不審に思ったようだ。

 

「ライズ、ここの指揮を任せる。コマンダー・コルトと協力して敵の進撃を防いでくれ」

 

「了解です。全員聞いたな! これ以上進ませるな!」

 

『うおぉぉ!!』 『ブリキ野郎をスクラップにしてやる!!』

 

いやな予感がした俺はライズに指揮を任せ、別行動を取ることにする。

カミーノ制圧に、少数のバトルドロイドだけを送り込むとは思えない。

どこかのタイミングで、分離主義側のクローンが出てくると考えてしかるべきだろう。

 

「ケベック大尉、分隊を率いて俺に付いて来い。グレガー、ファイヴス、お前らもだ」

 

「「「イエッサー」」」

 

「お前ら聞いたな。シエラ分隊、整列しろ!」

 

第117コマンド大隊には作戦の特殊性を考慮して、クローン・コマンドーだけで構成される小隊が存在する。

この小隊は五つの分隊で構成されており、その中の一つであるシエラ分隊を俺の指揮下に加える。

 

ちなみに第117コマンド大隊所属のクローン・コマンドーのアーマーも、新しい物が配備されている。

 

彼らが装備しているのはマークX(テン)・カターン・アーマーと呼ばれている。

カターン級として10番目のアーマーという訳では無いのだが、カターン級は様々なバリエーションが存在し、もはや統制することが困難なことから、俺が指揮している第10星系軍の名称を由来に名付けられた。

 

従来のカターン級の重量が20キロ前後と非常に重いのに比べて、新型のマークXは重量が10キロ前後と約半分の重さの軽量化に成功している。

しかもただ軽量化されているだけでなく、従来のアーマーよりも防弾性能が向上されているので至れり尽くせりなアーマーだ。

 

その時、中央指令センターで指揮を執っているアディ・ガリアから通信が入る。

 

『レイ、聞こえるかしら? 北東の方角から接近する飛行物体を確認しました』

 

「了解、直ぐに向かいます」

 

恐らく敵の別動隊だろう。

これからが本番だな。

 

 

 

 

 

俺達はガリアの連絡通り、ティポカシティの北東側に来ていた。

そろそろ確認できると思うのだが・・・

 

「参謀総長、二時の方角から接近する熱源を感知しました」

 

シエラ分隊のケベックが、ヘルメットに内蔵されたセンサーで敵を確認したようだ。

 

「ガンシップ! クローン部隊か!」

 

ファイヴスが叫びながら指を指した方向から、共和国軍の低飛行強襲型兵員輸送艇であるLAAT/iガンシップが飛来している。

その機体はダーク・グレーに再塗装されており、もはや共和国軍の所属ではない事を強く物語っていた。

 

まだかなりの高度にあるそのガンシップから、クローンの一団だと思われる部隊が次々に降下してくる。

 

「気を引き締めろ! 敵は高度な訓練を積んだクローンだ!」

 

俺は全員に注意を促す。

彼らはドロイドとは比べ物にならない程、高度な戦術を用いてくるはずだ。

 

そして降下してくるクローン部隊を見て、俺は一瞬言葉を失った。

見慣れたオレンジ色のマーキングが施された指揮官用のアーマー・・・

 

「・・・コマンダー・コーディー?」

 

そう呟くのは、同じく付き合いの長いファイヴスだ。

新兵の頃、リシの前哨基地で出会ってから生死を共にしてきた元上官の姿を見て、彼は隙を晒してしまう。

 

「ファイヴス!!」

 

その隙を見逃すコーディーではない。

各国の軍隊でも精鋭と呼ばれる空挺部隊、その名に恥じぬ高い技術で難なく高高度からの降下を遂行する。

さらに彼は、その状態のままブラスターを正確に発砲するという離れ業をやってのける。

 

俺はファイヴスの前に飛び出し、コーディーから放たれた光弾をその身に受ける。

ベスカー製のアーマーが難なくその光弾を跳ね返すが、問題はそこじゃない。

俺達は長きに渡って共に戦ってきたコーディーと、一戦交えなくてはならなくなった。

 

「大丈夫か、ファイヴス」

 

「も、申し訳ありません参謀総長」

 

「良いから、レイと呼べ」

 

俺はファイヴスに手を貸しながら、その場に立ち上がる。

敵の数はコーディーを入れて12人、こちらはシエラ分隊が4人に俺とグレガー、ファイヴスの7人だ。

単純に倍近い戦力差だな。

 

「・・・久しぶりだなコーディー、コルサントの戦いで戦死したものとばかり思っていたぞ?」

 

俺達が議長救出の任務に就いていた時、惑星アナクシスの戦いで重傷を負ったコーディーは前線から離れ、クルーザーの中で部隊の指揮を執っていたのだ。

そのクルーザーは、独立星系連合の攻撃に合い轟沈した。

 

「俺は部下の数人と脱出ポッドで難を逃れ、分離主義者達に回収された」

 

「それで敵に寝返ったって訳か?」

 

だがおかしい。

コーディーの行動抑制チップは、随分前に摘出しているはずだ。

また埋め込まれたのか?

 

「裏切り者はお前たちだレイ! 最高議長に反旗を翻し、ジェダイと結託して共和国を乗っ取ったんだからな!」

 

「違う! それは議長の陰謀だ! いや違うな、奴は既に議長ですらない・・・お前たちは騙されているんだ!」

 

「参謀総長、何を言っても無駄です。発砲の許可を」

 

そう話すのは、シエラ分隊のケベックだ。

時間も惜しいし、これ以上話しても無駄だと思ったんだろう。

 

「・・・参謀総長? クローンがグランドアーミーのトップか? お前が裏切ったのはその地位の為か? ジェダイにその地位を与えられる代わりに議長を裏切り、真新しいアーマーを着込んだ部下を従えて権力者気どりか・・・見損なったぞレイ!!」

 

「・・・もう何を言っても無駄なようだな、コーディー」

 

「それはこちらのセリフだ・・・レイ、武器を渡して投降しろ。命だけは助けられる」

 

今のコーディーに何を言っても無駄なようだ。

出来れば生かして捕らえたいが・・・

 

「俺たちは共和国の為に戦う。ようやく国が良い方向に変わってきているんだ」

 

「それが反逆だと言うんだ!!」

 

コーディーの叫びを皮切りに、クローン同士の戦いが始まった。

それぞれが近場の遮蔽物に身を隠し、かつての仲間に向かってブラスターを発砲する。

 

やはりドロイドとは違う。

正確な射撃で、こちらが嫌なタイミングでブラスターを放ってくる。

 

「グレガー、ファイヴス、援護しろ。俺が前に出て注意を引く。ケベック、部下を連れて橋の下から回り込むんだ、出来るな?」

 

「お安い御用です。シエラ分隊!」

 

「「「イエッサー!」」」

 

俺は12丁のブラスターから発射される、光弾の雨の中に身体を晒す。

いくらベスカー製のアーマーに全身を守られているとはいえ、光弾が生み出す運動エネルギーを0にはできない。

無数の光弾をその身に受け、俺は少し歩みを進めた先で堪らず膝を着いてしまう。

そこに数発の光弾が頭部を襲い、その衝撃から俺は仰向けに倒れこむ。

 

『油断するな、グレネードだ!』

 

コーディーがそう叫ぶと、部下の一人が俺に目掛けてサーマル・デトネーターを投擲する。

このままだと、グレガー達を巻き込んでしまう。

そう考えた俺は、自らの身体でグレネードに覆いかぶさった。

内包された火薬が大きな爆発を起こし、その衝撃で俺は上空に吹き飛ばされてしまう。

 

「レイ!」

 

ファイヴスの叫びで、全員の目がグレネードの衝撃で吹き飛んだ俺に集中する。

・・・シエラ分隊を除いて。

 

敵の注意が逸れたタイミングで、橋の下からシエラ分隊がジェットパックを使って現れる。

コーディーらの後ろに回り込んだ形となったシエラ分隊は、洗練された射撃技術で瞬く間に8人のクローンを制圧する。

 

残された4人との距離が近い為、必然的に格闘戦になる。

シエラ分隊はアーマーに装備された高周波ダガーを起動して、敵のクローン部隊に切りかかる。

従来は小型のナイフを装備していたが、マークX・カターン・アーマーに更新されたタイミングで、リーチの長いダガーが装備されている。

 

敵クローンの三人は直ぐに制圧されたが、ケベックの相手は格闘戦に優れたコーディーだ。

ダガーを用いてくる相手に、コーディーは戦いを優位に進めている。

 

コーディーは上段蹴りを繰り出し、ケベックはその蹴りをまともに食らってしまう。

その隙にコーディーは自らのハンドブラスターを取り出し、ケベックに対して発砲する。

放たれた弾丸はケベックに命中したが、マークX・カターン・アーマーの優れた対弾性能によって弾かれる。

さらに発砲しようとするが、近くにいた三人のクローン・コマンドーにブラスターを向けられたことで、その動きを止める。

 

「コマンダー、投降してください」

 

「貴方を撃ちたくはありません」

 

良く見れば、コーディーの部下であるクローン・トルーパーも誰一人死んではいなかった。

重傷には変わりないが、命にかかわるような傷を負っている者はいなかった。

 

「・・・今ならまだ間に合う。投降しろ、コーディー」

 

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