自衛官だったけどクローンになったのでジェダイを救ってみた 作:みどり色
みどり色です。
土日は恐らく更新できないので、本日2話目の更新です。
彼の視界に映る世界は、全てが灰色と化していた。
赤く光る剣と、銀色に輝く装甲服を除いて・・・。
彼は共和国軍の士官になる事を運命づけられ、戦う為だけに生み出された。
しかし、それ自体にはなんら疑問を抱かなかった。
共和国の為、立ちはだかる敵を排除する。
それが自分の全てであり、人生だった。
生まれた時から軍事的な訓練・教育を受け、周囲の期待以上の結果を常に残してきた。
それ以外にやるべき事も無いし、それが当たり前だと思っていた。
そもそも戦い以外の事は、誰も教えてくれなかった。
この世に生を受けてから約10年、分離主義派との戦争が勃発し、不思議な力を使い、独自の感性、理念を持ったジェダイという一団の指揮下に入った。
始めは『これも命令だから』と、特に疑問も無く付き従ってきたが、それだけでは済まされない程、彼らとは共に様々な経験をしてきた。
次第に友人も出来た。
同じホスト(ジャンゴ・フェット)から生み出され、遺伝的には全く同じ個体だったが、クローン・トルーパーの多くはそれぞれが自分だけの資質、感性を持っていた。
第501大隊のキャプテン・レックスを始め、ドミノ分隊のメンバーや惑星クリストフシスの戦いにおいて出会ったARCSの四人組、彼らは兄弟であり、戦友であり、親友でもある。
中にはクローンを毛嫌いしているジェダイも一定数存在したが、殆どの者とは部下と上官と言う垣根を越えた関係を築き、互いに信頼し合っていた。
そして共和国の為、銀河の平和の為に、激しい戦場に身を置いたのだ。
それが何故、俺は敵である分離主義派側として、共和国に武器を向けている?
いや違う・・・
ジェダイと一部のクローンが議長を裏切り、共和国転覆を図ったんだ。
俺は正しい側にいるはずだ・・・
『議長の正体はシスの暗黒卿、ダース・シディアス―――――』
『クローンの頭の中には、行動抑制チップが埋め込まれている―――――』
『このままではクローンは、ジェダイ抹殺の片棒を担ぐことになる―――――』
『俺は自分が守りたい者(物)の為に戦う、お前たちはどうだ?―――――』
「はっはっはっはっ!! デカい口を叩いた割には大した事はないなクローン!! そのアーマーのお陰で耐えてはいるが、いつまで持つかな?」
彼の目の前では赤く光る剣を持った男が、雨に濡れながら銀色に輝く装甲服を着ている人物に向かって、数えきれない程の攻撃を加えていた。
その人物は次から次へと繰り出される攻撃のせいで地面に倒れ込む事も許されず、光る剣による嵐のような攻撃をその身に受け続けていた。
そして次の瞬間、装甲服の人物のヘルメットが吹き飛ばされ、自分の下へと転がってきた。
『エコーは生きている―――――』
『随分と派手な出来前だろ? これじゃあ、敵に狙い撃ちしてくれと言っているようなものだ―――――』
『〇〇〇!! 内臓をやられている・・・早く設備の整った所へ―――――』
俺は誰だ?
何故ここに座っている?
ここはどこだ?
寒い、冷たい。
これは・・・雨?
彼は自分の身体を打ち付ける雨を見るために、顔を上げ、空を見上げる。
その時、視界の隅に赤く光る剣を構える者と、自分と同じ顔をした男が目に入る。
彼にはその光景が酷くゆっくりに感じる。
その永遠にも感じられる光景が、少しずつ、ゆっくりとだが確実に進んでいく。
その赤い光剣が、装甲服の男の顔に迫る。
『それで敵に寝返ったって訳か―――――』
『違う! それは議長の陰謀だ―――――』
『もう何を言っても無駄なようだな、〇〇〇―――――』
『俺たちは共和国の為に戦う―――――』
『おい〇〇〇、こっちに来て座れよ! お茶会もたまには良いだろ―――――』
「(!) “レイ”!!」
彼の目に映る物は全て本来の色を取り戻し、同時に自らの意識も本来あるべき場所に戻ってきた。
彼は背面に装備されたジェットパックを起動して、激しい雨が降り注ぐ空へと舞い上がる。
上空に吹き飛ばされた友人を抱き止め、そのまま衝撃が加わらないようにゆっくりと地面に着地する。
「レイ! レイ!! 大丈夫か!?」
言葉ではそう言うが、どう見ても無事では無かった。
身体を覆うアーマーの隙間からは、雨に流されて全身から血が流れているのがわかる。
さらに先ほどライトセーバーで切りつけられた顔は、左の額から顎にかけて大きな傷になっていた。
「・・・ああ、“コーディー”・・・悪いが緑茶は切らしているんだ・・・」
「そうか・・・なら一緒に採りに行けば良いさ。そうだろう、“レイ”?」
この状況で冗談が言える事に驚きつつも、同時にレイらしいとも思い不思議と笑みが浮かぶ。
「ふんっ、意識が半分飛びながらも反射的に後ろへ飛ぶとは大したものだ・・・クローンにしてはな。それよりもコマンダー、“それ”は一体どういう事だ?」
「・・・自分が正しいと思ったことをしたまでです」
しかし、コーディーだけでどうにかなるものでも無い。
クローンと元ジェダイ・マスターとの一騎打ち、勝負にすらならないだろう。
その時、惑星カミーノの軌道上にハイパースペースからジャンプしてきた複数の艦影が現れる。
プロヴィデンス級キャリアー/デストロイヤーとミュニファスント級スター・フリゲートが数隻現れたようだ。
「敵の増援か・・・」
「ふんっ、今の戦力でも十分だが絶望を与えるのも一興か」
それを見たコーディーは絶望した。
ただでさえ共和国側が不利なのは、先ほどまで分離主義勢力として戦っていたコーディーが一番よくわかっている。
ここまでか・・・
そう考えたコーディーだが、何やら様子がおかしい事に気が付く。
ハイパースペースからジャンプしてきたプロヴィデンス級と数隻のミュニファスント級スター・フリゲートは、味方のはずの独立星系連合に艦隊に向けて、砲火を集中している。
突然味方だと思っていた相手からの集中砲火に、独立星系連合の艦隊はかなりの損害を受けていた。
遠目からでは詳しくはわからないが、ジャンプしてきた艦隊は従来の物よりもかなり高性能のようだ。
それとも指揮官が優秀なのか?
その艦からファイター等が次々に発艦したようで、ティポカシティに向かって大軍が押し寄せる。
その光景は異様なものだった。
グレーに塗装されたバトルドロイド達は、独立星系連合のドロイド軍を次々にスクラップに変えていく。
一般的なB1バトルドロイドでさえ、従来の物から逸脱した性能を誇っているのがわかる。
『B1-268、北東側の通路にいるマスターを保護するのが最優先です』
「イエッサー。全軍マスターの保護を優先し、事後、分離主義派のドロイドを一掃しろ」
上空からはHMPドロイド・ガンシップが三機、クレルに向かって接近し、その火力を遺憾なく発揮している。
ガンシップからの攻撃により、レイ達から距離を取らざるを得なくなったクレルは強力なフォースを身に纏い、大きく跳躍することで上空を飛んでいたLAAT/iガンシップに飛び移った。
「コマンダー・コーディー、ご無事ですか?」
流暢にそう話すB1バトルドロイドに面食らったコーディーだったが、彼らが味方だとわかると的確に指示を出し、分離主義派のドロイド軍を一掃する作戦に打って出たのだった。
アディス率いる第903大隊が援軍に駆け付けた時には、カミーノ防衛戦は一段落ついていた。
急にバトルドロイドの大軍が味方に付き、分離主義勢力と戦いを始めたことに驚きを隠せない兵士が大勢いたが、アディスが速やかに箝口令を敷き、独自に進められている特殊作戦の一環と言う事で事態を収めた。
クローン兵士の数が足りていない事もあって、咄嗟についた嘘としては悪くない印象だった。
ファイヴスとグレガー、海に放り出されたケベック大尉は幸いな事に大きな怪我も無く済んだ。
ケベックが冷たい海に長時間浸かっていた事で、軽い低体温症になった位だな。
コーディーの部下は重傷を負っており、今はICU(集中治療室)に入っている。
鎮静剤も打っているから突然暴れ出すことも無いだろう。
「それではマスター・アディス、部隊を集結後、速やかに撤退します」
「ご苦労だった。レイの事は俺に任せろ」
そう言うスーパー戦術ドロイドのタティスは、傷の処置を受けてベッドで眠りについているレイを心配そう(?)に見つめてから、名残惜しそうに去って行った。
「ふう・・・俺たちが間に合わなそうだからと言って、随分と危ない橋を渡ったようだな、レイ?」
「まさかドロイドが味方に付くとは・・・」
そう話すのは、正気を取り戻したコーディーだ。
「話すと長くなるんだが・・・まあ、色々あったんだよ」
「・・・お前たちのする事で、いちいち驚くのはやめたよ、アディス」
あきれ顔のコーディーだが、突然激しい頭痛に襲われ立っていられなくなる。
その場に崩れ落ちた彼は、そのまま苦しみだして意識を手放した。
「コーディー!!」
はい、お疲れさまでした。
冒頭ではコーディーを通して、命令を強制させられたクローンの苦悩を描きました。
大切な人達を強制的に殺させるなんて本当に許せないですね。
本当はもっと色々描きたかったんですが、くどくなりそうなのと、長くなりそうなので意図的に短くしました。
次回は、『何故コーディー達が分離主義勢力に付いたのか』について触れていく予定です。
B1-268バトルドロイドはマニアックでしたかね?w
反乱者達に出てくるバトルドロイドで、中々可愛いんですよ!
それではまた近いうちに・・・