自衛官だったけどクローンになったのでジェダイを救ってみた   作:みどり色

72 / 117
第71話 取り敢えず救出

バイブロ・ソードを振り下ろし、俺は子供の拘束具を破壊する。

そのまま彼を担ぎ上げ、医務室に向かう。

かなりの高熱だ。

放っておいたら死んでしまうだろう。

 

・・・この子供が死のうが、俺には何の関係も無い。

シディアス卿も死んでも構わないと仰っていた。

だが何故か見殺しにする気にはならなかった。

 

 

 

 

 

医務室で医療ドロイドに診断をさせている間、俺は再び思考の海に沈んでいく。

ジェダイマスターのシャアク・ティにジェダイナイトのアソーカ・タノ・・・

俺の記憶が無いだけで、以前は面識があったのだろうか?

特にアソーカ・タノの方は、先ほど見た時から懐かしいような不思議な感覚に陥った。

 

シャアク・ティも言っていたが、俺はどこかの部隊に所属していたのか?

記録には、一般のクローンとは異なり、クローン・アサシンの指揮官となるべく議長の命令で秘密裏に製造された個体だと記されていた。

 

最初の記憶である爆発の渦中に居たのは、訓練の最終段階の事故だと報告書に記載されていた。

秘密裏に製造、訓練された個体がジェダイと面識があると言うのはあり得るのだろうか?

 

さらに深く、思考の海に沈みこもうとすると激しい頭痛が襲ってきた。

思考を止め、痛みを排除する方に意識を傾けると痛みは徐々に薄れていき、先ほどまでの痛みが嘘かのようにクリアな視界になった。

 

「コマンダー・ネイラー、子供の診察が終了しました。薬物投与や拷問、疲労による衰弱が激しい事に引き起こされた熱発と断定」

 

医療ドロイドが子供の診察を終え、発熱の原因を簡潔にまとめる。

薬物投与や拷問?

何の為に?

 

そして突然、艦の警報がけたたましく鳴り響く。

何やら問題が起きたようだな。

俺は速やかにブリッジへと向かった。

 

 

 

 

 

<ヴェネター級スターデストロイヤー“レゾリュート”>

 

「スカイウォーカー将軍、タノ将軍から連絡があった座標まで間もなくです」

 

「ありがとう提督。アソーカ、無事でいろよ」

 

レゾリュートの艦長であるウルフ・ユラーレンから報告を受けたアナキンは、愛弟子の無事を祈るようにそう呟く。

議長誘拐事件(笑)の騒動で行方不明になっていたアソーカを、アナキンはずっと心配していたのだ。

 

「アナキン、報告ではシャアク・ティ将軍と行方不明のパダワンも居たはずだ。アソーカだけの心配か?」

 

「まさか・・・僕は全員の無事を祈っています。そうだろレイ?」

 

オビ=ワンからのたしなめる様なセリフを躱すように、話題を俺に振ってくるアナキン。

・・・やめてくれない?

 

「もちろんです将軍、それにアソーカの事です。必ず無事でいます」

 

『間もなくハイパースペースを抜けます』

 

艦のオペレーターがそう報告すると、直ぐに報告のあった宙域に到達する。

その正面には共和国所属を示す塗装から、灰色一色に塗りなおされたヴェネター級スターデストロイヤーが航行していた。

 

こちらのファイターは既に出撃準備を終えており、ハイパースペースから出た段階で次々に出撃して行く。

 

「単独航行とは運が良い・・・直ぐに救出チームを送る。アナキン、行けるな?」

 

「はいマスター、時間稼ぎをお願いします」

 

俺はアナキンとアイコンタクトを取り、ブリッジからハンガーへと歩みを進める。

ヴェネター級対ヴェネター級、まさか自軍同士の戦いになるとは少し前までは考えもしなかったな・・・。

 

 

 

既にオッド・ボールが部下を取り纏め、出撃準備を終えていた。

 

「スカイウォーカー将軍、いつでも出撃可能です」

 

「ありがとうオッド・ボール、君達には救出チームの護衛を頼みたい。囚われているアソーカ達を助け出すためにも、敵艦に乗り込む必要がある」

 

「厳しい戦いになりそうですね」

 

そう話すのは、もう随分と長い付き合いになるレックスだ。

彼も救出チームに加わる。

俺はレックスの言葉を引き継いで、話を進める。

 

「レックスの言う通り、こちらは敵艦を沈めることはできない。だが、敵さんは別だ。俺達を殺すために全力で向かってくるはず・・・時間との勝負だ。俺達救出チームがモタモタしていれば、帰る場所(レゾリュート)を失うことになる」

 

俺たちは速やかにそれぞれのファイターに乗り込む。

トルーパー組はARC-170に、アナキンは議長誘拐事件(笑)の時に自らのファイターを失ったが、新しいイータ2アクティス級軽インターセプターを用意していたので、早速それに乗り込む。

 

「楽しくなってきたぞ」

 

全然楽しくない。

宇宙は嫌いです。

 

 

 

 

 

<ヴェネター級スターデストロイヤー“イーター”船内>

 

その後、俺たちは味方の援護もあって無事に敵船に侵入することに成功する。

まあ、ド派手な歓迎を受けたけどね。

 

辺りには硝煙の匂いが漂っている。

ドロイドと違って、人を撃つのは気持ちの良いものではない。

それが同じクローンならなおさらだ。

 

「参謀総長、内部構造は同じです」

 

俺の副官のライズが、アソーカが囚われていると思われる場所をホログラムで映し出す。

ちなみに今回の作戦に参加しているのはアナキン率いる第501大隊と、俺が率いる第177コマンド大隊の混成部隊だ。

 

「アナキン、ここからだと監房ブロックまではかなりある」

 

俺はオビ=ワンがいない為、砕けた口調で話しかける。

最初、ライズは驚いた様子だったが『まあ、貴方のことですからね・・・』と、あきれられたのは未だに納得がいってない。

解せぬ・・・

 

「ああ、先を急ごう」

 

 

 

 

 

レイ達が監房ブロックに向かっているのと同時刻、一人のジェダイマスターがハンガーに降り立っていた。

彼はある目的の為に、単身で敵艦に乗り込んできたのだ。

 

『ジェダイだ! 撃ち殺せ!』

 

その姿を確認した数人のクローン・トルーパーが、ラサットのジェダイマスターにブラスターを発砲する。

しかし、このジェダイマスターは銀色に輝くヒルト(筒)から二本の光剣を出現させて、いとも簡単に弾き返す。

 

放った光弾が自らに弾き返されても、クローン・トルーパーは引き金を引くことを躊躇わない。

瞬く間にクローン・トルーパーは全滅し、辺りにはライトセーバーから発せられる独特な起動音だけが静寂を破っている。

 

「パダワン、今行くぞ」

 

彼はパダワンを失い、自らが指揮する部隊(第13大隊)も失った。

ジェダイらしく個に執着せず、フォースとの繋がりをより強固なものにする為に彼は今まで以上に瞑想に耽った。

 

そこで“視えた”のは、失ったはずのパダワンだった。

まさかとは思ったが、彼はフォースを信じていた。

 

そしてここに来た。

パダワンもここにいる。

彼は確信していた。

 

フォースに導かれるまま、彼は歩みを進める。

決して走らず、一歩一歩踏み占めるように進む。

目の前に障害(クローン・トルーパー)が現れれば、迷わず光剣を振りかざし、強力なフォースでねじ伏せる。

 

そして彼は辿り着いた。

この扉の向こうに・・・

 

一度扉の前で立ち止まったが、次の瞬間には迷わず一歩を踏み出す。

 

「カル!」

 

そこには、まだ幼い少年がベッドに横たわっていた。

フォースを感じる。

カル・ケスティスは生きていた。

 

「カル・・・我がパダワンよ、遅れてすまなかった」

 

彼は自らのパダワンを大切に、傷など付かせないように慎重に抱き上げる。

意識は無く、熱発しているが治療を受けたためか、命に別状はないように見えた。

彼は急ぎ、ファイターまで戻るため歩みを進める。

 

片手にパダワンを抱き、もう片方の手には片刃のみ起動したライトセーバーを持ち、倒すよりも逃げることを優先した立ち回りで障害を躱していく。

 

もう少しでハンガーに辿り着くというところで、別動隊に合流した。

マスター・スカイウォーカー率いる、救出部隊だった。

無事にマスター・ティとアソーカ・タノを救出したようだ。

 

「マスター・タパル、その腕にいるのは・・・行方不明だったパダワンですか?」

 

「ああ、カル! 良かった、無事だったのね。てっきり“奴”に殺されたかと・・・」

 

アソーカ・タノが、安心したような表情でこちらに駆け寄ってくる。

 

「タノ将軍、パダワンが世話になった。礼を言わせてもらう」

 

俺はアソーカの言葉に、何か嫌な予感がした。

この胸騒ぎはなんだ?

 

「アソーカ、その“奴”というのは・・・」

 

その時、ハンガーの至る所から完全武装したクローン・トルーパーが現れ、部隊が速やかに展開を始める。

軽量化されたアーマーを装備し、両腕には折り畳み式のバイブロ・ソードを装備したトルーパー、クローン・アサシンだった。

 

・・・ということは

 

「・・・やはり生きていたか、指揮官級」

 

周りのクローン・アサシンとは比べ物にならない程、洗練された動きで現れたのは、何度も俺たちの前に姿を現した指揮官級だった。

奴は俺からの言葉に答える代わりに、両腕に装備されたバイブロ・ソードを起動する。

 

「レイ、さっき私が言ったのは奴のことよ。パイロットとしての腕も一流で、最後に見た時はカルにブレードを振り下ろすところだった。だからてっきりカルは奴に殺されたかと・・・」

 

「・・・どうやら違ったようだな。奴のことは奴自身に聞くことにしよう」

 

詳しい話を聞かなければわからないが、状況から察するに指揮官級はカルを助けたらしい。

・・・俺には奴がヒュメルの姿と重なってならない。

 

「・・・マスター・・・?」

 

その時、気を失っていたはずのカルが目を覚ます。

 

「安心しろパダワンよ、助けに来たのだ」

 

「助けに・・・? 嘘だ。貴方は僕を見捨てたんだ」

 

「何を言っているパダワン?」

 

「・・・許せない」

 

その時、カルは師匠のライトセーバーをフォースで引き寄せ、そのままジャロ・タパルに突き刺した。

 

こちらに動揺が広がった瞬間、クローン・アサシンが一気に距離を詰め、攻撃を開始した。

 

最悪な状況だ。

 




はい、お疲れさまでした。
暖かくなったり寒くなったりと、コロナ関係なく体調を崩しやすいと思うので、皆さん健康管理には十分お気を付けください。

カル君まさかの反抗期・・・
次回更新をお楽しみに!


それではまた近いうちに・・・
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。