自衛官だったけどクローンになったのでジェダイを救ってみた 作:みどり色
<インペリアル級スターデストロイヤー(偽装)>
「大変だったな。一先ずゆっくり休んでくれ」
『『『サー・イエッサー!』』』
無事に救出された新兵を解散させ、俺はフォックスを捕えている監房ブロックまで移動する。
「マスター、お疲れ様です!」
警備についているB1バトルドロイドが敬礼してくる。
随分と流暢に話すなぁ。
ちょっとゴツくなっているから、対弾性能なんかも上がっているんだろうな。
「ありがとう、捕虜の取り調べに来た」
「イエッサー! こちらです」
B1に導かれるまま進んでいくと、フォックスが捕らえられている監房までたどり着く。
内部構造などはヴェネター級と同じだから、バトルドロイドが巡回していると変な気分になる。
例えるなら・・・
うーん
学校に来たら、何故か男女の制服が入れ替わっている感じ?
アカン、例えが下手過ぎて落ち込んできた。
そして男子のスカート姿を想像したら気分が悪くなってきた。
「マスター、この監房です。捕虜は拘束していますが、念のためお気を付け下さい」
俺がそんな事を想像しているとはつゆ知らず、B1によって監房の扉が開かれる。
そこには拘束具を付けられ、アーマーをはぎ取られたフォックスの姿があった。
「調子はどうだ、フォックス」
「・・・」
だんまりか
まあ、そう来るだろうとは思ったけどな。
「どうして直ぐに俺を殺さなかった? 何故捕虜にしようと?」
「・・・・・・・」
うーん
埒が明かない。
少し試してみるか。
「ふん、さすがは離反者だ。忠誠を誓ったはずの共和国を裏切り、あまつさえ守ると誓ったはずの国と民に銃を向けている」
フォックスは口を開きはしないが、怒りに満ちた瞳で俺を睨めつけている。
もう少しか?
「お前の忠誠心はその程度だったって事だ。コマンダーの階級が聞いて呆れる・・・そんなお前が仕えている帝国や皇帝などは、たかが知れているな?」
怒りを抑えられなくなったフォックスは俺に殴りかかろうと立ち上がるが、拘束具のせいで地面に激しく倒れこむ。
騒ぎを聞きつけて、外で見張りをしていたコマンドー・ドロイドが二体、監房に入ってくる。
俺は、『何でもない』と言うように手でサインを送り、それを確認したドロイドは下がっていった。
「大丈夫か?」
俺はフォックスに手を貸そうとするが、身体を使って振り払われる。
「貴方こそ裏切り者だ! ARCSトルーパーとして全兵士の憧れだった貴方たちは、陛下を裏切り、ジェダイ、分離主義派と手を組んで共和国転覆を図った!」
「今や共和国は銀河連合に生まれ変わった。貴官らの帝国こそまやかしだ」
「連合こそまやかし! 貴方たちはジェダイに操られているんだ!」
「・・・それはどういう意味だ?」
「・・・」
「皇帝がそう言ったのか?」
なるほどな。
何となくわかって来たぞ。
パルパティーンは全てをジェダイのせいにするつもりだ。
クローンも国民も、ジェダイに騙されている。
フォースを使って、自分達の都合の良いように事実を捻じ曲げているのだと・・・。
「陛下は、クローンや国民に恩赦を与えるとおっしゃった。貴方も騙されているんです」
フォックスは本気で信じている。
全てはジェダイが悪い、諸悪の根源だと・・・
これも行動強制チップの影響なのだろうな。
だがここまで真実を捻じ曲げ、行動を強制するチップが脳に入っているというのは、どんな悪影響があるかわかったものではない。
何かしらの問題が出てきてもおかしくないはずだ。
「安心しろ、フォックス。俺が元に戻してやる」
俺はそう言い残し、フォックスに背を向けて監房ブロックを後にする。
取り敢えずフォックス達に埋め込まれているチップを取り出さなきゃな。
「B1、この艦の基本的な処置室はそのままか?」
「はいマスター、人間の処置が行えるように医療ドロイドが配置されています」
ドロイドばかりの艦だからな。
医務室が無くなっていたらと心配したが、杞憂だったようだな。
「それでは捕虜の帝国軍兵士を医務室に連れていけ。詳細はタティスに伝えておく」
「イエッサー、お任せください!」
B1は張り切った様子で、指示の伝達に向かった。
バトルドロイドって可愛いよね。
<インペリアル級スターデストロイヤー(偽装) ブリッジ>
俺はB1に指示を出したその足で、艦のブリッジまで来ていた。
さっきも言ったが、艦の内部構造はヴェネター級と何ら変わりない。
この世界に来た頃は、その広さに面食らったものだが今では我が家同然だ。
『マスター、入られます』
あるB1が俺の入室に気が付き、他の乗員に知らせる。
別に言わなくても良いのだが、軍隊とはそういうものだ。
どんな時でも、厳格な規律の遵守が求められる。
「なんだライズ、お前も来ていたのか?」
「・・・コマンダー、この艦は一体どういうことですか?」
「どういう事と言われてもな・・・見たままだが?」
「貴方は本当に・・・」
まあ、彼の言いたいことは分かるが俺にはどうしようもない事だ。
だって俺が始めたことじゃないし、全部コルドヴァ爺さんが悪いんだもん。
俺は悪くない、決して。
「この事は後でゆっくりとな」
そう言って俺はスーパー・戦術・ドロイドの後ろ姿に声を掛ける。
「タティス、捕虜について話があるんだが—————」
「光栄ですが、私はタティス様ではございません。基地や艦の清掃に関して一任されているカラーニと申します。現在タティス様が席を外されているので、代理で艦の指揮を執っております」
「—————お、お疲れ様です」
「光栄ですマスター」
えぇー・・・
カラーニって独立星系連合の将軍をしていたスーパー・戦術・ドロイドだよな?
あー、そういえばかなり前にタティスがコイツを捕縛して、清掃係りに任命したとか何とか言っていた気がするな・・・
(参照:第36話 取り敢えず彼女が暴走してます(王の奪還)https://syosetu.org/novel/238784/37.html)
「貴様程度の分際で、この方をマスターと呼ぶことが許されると思っているのか?」
そう言うのは、今度こそ本当のタティスさんだ。
「!?!? め、滅相もありません!! 自分はただ事実を—————」
「私に口答えするというのか?」
えぇ・・・(2回目)
急にどうした・・・
同型ドロイドの間には、明らかな主従関係が出来上がっていた。
っていうかタティスさん、どうしてカラーニにはそんなに当たりが強いんだ?
その他大勢に分類されるB1ですら俺の事をマスターと呼んでいるのに、スーパー・戦術・ドロイドであり、本来であれば軍における将官クラスに該当する彼にはそれが許されないなんて・・・
「・・・コマンダー、これは一体どういう事ですか?(2回目)」
「いや知らん」
ああだ、こうだと揉めている(一方的な暴力)二人を放って置いても埒が明かない。
俺は意を決して、2体の間に入ることにする。
「タティス、いい加減にしろ。激落ちくんもだ」
「はいマスター」「げ、激落ちくん・・・?」
「君にはやってもらいたい事がある」
俺は帝国兵であるフォックス達の事をタティスに伝えた。
彼女は高度な知能で俺の意図をしっかりと理解してくれたようだ。
「はいマスター、仰せのままに」
タティスは『キッ』とカラーニの事をひと睨み(?)し、速足でブリッジから出て行った。
え?
どうして疑問形なのかって?
だってドロイドが睨んでいるかなんて、雰囲気でしかわからないやん。
まあ、彼女に睨まれたカラーニは『ヒィッ』と怯えていたから十中八九間違いない。
「・・・さて、激落ちくんは引き続き部隊の指揮を頼んだ。ライズは俺と来い、色々と報告する必要があるしな」
はい、お疲れさまでした。
正直、カラーニの存在は完璧に忘れていました。
書き進めていく中で、本当にたまたま思い出したので登場して頂きました。
今後は激落ちくんとしてお世話になりますので、皆さま宜しくお願い致します。
物語の進むペースが明らかに遅いので、そろそろ本格的に完結へと進めて行ければと考えています。
最期までお付き合い頂ければ幸いです。
それではまた近いうちに・・・