自衛官だったけどクローンになったのでジェダイを救ってみた 作:みどり色
さて、面倒な事になったな。
敵基地は強力なシールドによって、外部からの侵入を一切排除している。
そのシールドを生み出している大元を叩こうにも、肝心のシールド・ジェネレーターは基地の“内部”にある。
どうしたものかね・・・
「ん? 将軍、輸送車が1台、敵基地に向かっていきます」
レックスが示した方向に、帝国軍の輸送車が何台か確認できる。
しばらく観察していると、この輸送車群は定期的に基地を出入りしているようだ。
・・・となると付け入る隙はゼロではないかもしれないな。
「調べる価値ありだな。ファイヴスとエコーはコマンドー・ドロイド1体を連れて、敵車両の偵察に向かってくれ」
「帝国は僕たちの目的が重力井戸発生装置だという事は分かっているはず・・・十分に気を付けるんだぞ」
『『イエッサー』』
俺とアナキンの指示で、ARCトルーパーである2人はコマンドー・ドロイドを連れて偵察任務に向かって行った。
大人数では目立つからな、偵察は少人数が原則だ。
「レイ、俺はあそこに見える高台でファイヴス達のサポートをする」
狙撃手でもあるアディスがここから離れた高台を示す。
彼がサポートに回れば心強いだろう。
「アナキン、構わないか?」
「勿論だ、君たちの判断を信じる」
因みにだがここには俺の素性を知っている者しかいない為、俺はアナキンに敬語を使っていない。
さすがに公の場では難しいが、この方がアナキンとは話しやすいからな。
アナキンの同意を得たアディスは、背面に装備している特殊作戦用のジェットパックを起動して空中に舞い上がる。
元々このジェットパックはARCS専用に調整された優れ物で、作動音が最小限に抑えられているにも関わらず、出力は従来の物よりも向上している。
以前も何度か紹介していたが、今回は久しぶりの登場なので改めて・・・って俺は誰に説明しているんだ・・・
と、とにかくほとんど音もなく空中を移動できる為、特殊作戦には非常に重宝する。
共和国軍から銀河連合国軍に再編されたのを皮切りに、ARCトルーパーや一部の精鋭には優先的に配備されている。
因みにだが、俺の直属の部隊であった第117コマンド大隊は後続の部隊として遅れてやってくる予定だ。
新装備の新設などの理由だが、彼らがいればこの星での作戦も楽になったはずだが、無いものねだりをしても仕方ない。
『レイ、配置に就いた』
「了解だ。ちゃんと見張っておけよ」
『ああ、任せてくれ』
アディスからの通信だ。
さて、彼らからの報告があるまでは待機だな。
下手に動いて帝国に見つかりでもしたら、作戦そのものが「終了☆」なんて事になり兼ねない。
「そういえばアナキン、ナブーの家族たちはどうだ? 元気にしているのか?」
パドメは議員を引退し、秘密裏にナブーの湖水地方へと身を移した。
そこで元気な双子を出産し、一時期はアナキンもオーダーを去ろうとも考えていたが、今はこうして共に戦ってくれている。
「ああ、銀河外縁部への作戦が決行される前に一度様子を見に帰った。二人とも、レイおじさんに会いたがっていたよ」
子供たち、特にルークの方は俺に非常に懐いてくれている。
おじさんと言われるのは複雑だが、地球の頃から考えれば俺は十分におじさんだ。
だけど、肉体年齢的にはまだまだ若いぞ?
一般的なクローンに比べて成長速度が緩やかに設定されているからな。
と言うか肉体的な成長がピークに達した時点で、普通の人間と同じペースで老化するようになったような気がする。
肉体が一定の水準まで成長した後は、さらに老化を緩やかにする遺伝子が組み込まれているのかもしれない。
今度カミーノアン達に聞いてみるのも良いかもしれないな。
「そうか・・・この戦いを早く終わりにして、おじさんも顔を見せてやらなきゃな」
「みんな喜ぶよ。それに僕もパドメばかりに子供たちを押し付ける訳にはいない。後で色々と小言を言われてしまうからな」
「はっはっはっはっ、選ばれし者を尻に敷いているとは恐れ入った。もしかしたら彼女がこの銀河で最強の存在かもな」
「よしてくれ、冗談に聞こえない」
そんな冗談を2人で言い合っているとアディスから通信が入る。
『レイ、ファイヴス達が戻るぞ。俺はここで引き続き監視を続ける』
「了解だ・・・アナキン、ファイヴス達がこっちに戻ってくるぞ」
「やはり基地への侵入はあの輸送車を利用する他ないようです。どこも警備が厳重、それにゲートでは生体認証を用いたコードの確認を行っているようです」
「許可のない者がセンサーにかかれば、基地中に警報が鳴り響くでしょうね」
俺たちは偵察に出ていたファイヴスらの報告を受けていた。
ここを突破できなければ、帝国への道は開けない。
逆に言うと、それだけ力を入れて守っているという事だ。
そう簡単にはいかないだろう。
「あまり悠長にもしていられない。オビ=ワン達から各部隊に少なくない被害が出始めているとの情報があった。僕たちが時間を掛ければ掛けるほど、こちらの被害が大きくなる」
アナキンの言うとおりだ。
俺たちが重力井戸発生装置を破壊しなければ、この戦いは終わらない。
「将軍、発言宜しいでしょうカ?」
声を上げたのは、ファイヴス達と共に偵察に出ていたコマンドー・ドロイドだ。
何か気が付いたことがあるのかもしれない。
「スキャンを行った結果、輸送車にはストーム・トルーパーと帝国のドロイドが混在した部隊が任務にあたっている事を確認しましタ」
彼が言うには、輸送車のバトル・ドロイドと入れ替わることで内部に潜入し、基地のシールドをオフにするというものだった。
「だが敵に悟られることなく入れ替わる事なんて可能なのか?」
レックスの疑問はもっともだ。
輸送車にはストーム・トルーパーが乗り込んでいる。
それをバレずにとなると・・・そういう事か。
「僕の出番って訳だな」
彼がアナキンに意見具申したのはもちろん階級が一番高いという事もあるが、彼のジェダイとしての能力を使いたかったからだ。
“マインドトリック”
フォースの力を借りることで相手の意識に干渉し、対象の行動などをある程度コントロールするまさに魔法のような技だ。
コマンドー・ドロイドはアナキンのジェダイとしての能力を織り込んだ作戦を立案したという訳だ。
「レイレイよりも頭良いかもね、あのドロイドおぉぉぉぉぐはぁぁぁ!?」
誰かが何かを言った気がするが、気のせいだよな?
たまたま腕を振り回したい衝動に駆られて、その結果何かに当たったような・・・
まあ気のせいだな、うん。
気のせい、気のせい。
ある程度作戦を打ち合わせ、すぐさま行動に移す。
俺たちは基地から少し離れた所まで移動していた。
輸送車が通るこの道は谷になっており、左右を強大な岩に囲まれている。
待ち伏せるにはいい場所だ。
道は輸送車が通れる道幅に加えて多少のゆとりがある程度、囲めば逃げ場はないだろう。
「アディス、周囲に敵は?」
『敵影なし。今ならいけるぞ』
この輸送車が谷を通過する際は、他の車両が来るまでに5分間の猶予がある。
時間が多いとは言わないが、こちらも最高のチームが揃っている。
さあ、作戦開始だ。
ますはこちらのコマンドー・ドロイド2体が道の真ん中に立つ。
間もなく輸送車は彼らを目視で確認するだろう。
予想通り、道幅が狭いこの谷では停車する他ない。
車両はどんどん減速していき、ついにドロイドの手前で停止した。
「ちっ、ドロイドめ・・・こんな所で何をやっている? お前たちは銀河帝国軍の規約に・・・うわぁぁ!?」
輸送車の運転席から顔を出した2人のトルーパー目掛けてコマンドー・ドロイドはその俊敏な動きで近づき、首元を掴むと一気に車外へ引きずり出した。
車両が停止した事を不審に思ったのか、後部のハッチが開いて中からコマンドー・ドロイドの部隊が降りてくる。
しかし外には俺たちが控えている。
スタンモードにしたブラスターで瞬く間に敵ドロイドは機能を停止した。
「いっちょ上がりだな♪ 張り合いのない奴らだぜ!!」
ヘルメットを外しながらオーリーがそう言う。
赤く腫れている頬を擦りながら言ってもカッコつかないぞ?
ダレニヤラレタノ? カワイソウダネ。
アナキンは2人のストーム・トルーパーにフォースを使い、エコーとコマンドー・ドロイド4体は、機能を停止した敵コマンドー・ドロイドのメモリーに細工している。
『将軍、別の輸送車を確認。残り2分です』
「ありがとうアディス・・・エコー、そっちはどうだ?」
「お待ちを・・・完了です将軍」
「よし! 移動するぞ!」
アナキンはフォースで敵コマンドー・ドロイド4体を持ち上げ、そのまま谷を形成している巨大岩の上まで一気に跳躍する。
それに習い、俺たちもジェットパックを使ってアナキンの下まで移動する。
あとは“彼ら”が上手くやってくれる事を願うばかりだ。
はい、お疲れさまでした。
アナキン一家には幸せになってほしいものです。
コマンドー・ドロイドと言えば、レックスの「ブリキ野郎もタフになったもんだぜ」というセリフがお気に入りのみどり色です。
初見の時はB1とは違い、複雑で洗練された動きをする彼らに驚いたものです。
EP3でもその雄姿を拝見したかった・・・
コマンドー・ドロイドはコストがバカ高いなどのデメリットもあるようですが、クローン・コマンドーやARCトルーパーなどと一緒で特殊部隊みたいなのは憧れますよね!
それではまた近いうちに・・・