自衛官だったけどクローンになったのでジェダイを救ってみた 作:みどり色
みどり色です。
やっと更新です。
『更新遅くて話覚えてないよ!』と言う方も多くいらっしゃると思います。
はい、私も同じです。
仲間ですね?(恍惚)
現在俺たちはオビ=ワン救出に向かったアナキンを追って、ネゴシエーターに乗り込んでいる。
外ではオッド・ボール率いるスクワッド7や第501大隊の連中が敵を押しとどめているが長くは持たないだろう。
時間との勝負だが目の前には皆のアイドル、ポング・クレル大先生がドロイドの部隊を率いて立ちはだかっている。
こちらの戦力はスーパー戦術ドロイドのタティス、第212アタック・バタリオン所属の中尉と一般兵のトルーパーが1人。
4人でどうこう出来る状況ではない。
ここは撤退するしかないだろうな。
「トルーパー、足の速さに自信は?」
「はい? い、イエッサー、まずまずであります」
「中尉は?」
「年は取っていますが、まだまだ新兵には負けません」
場違いな質問に戸惑っているトルーパーだったが、彼の上官である中尉は俺の質問の意図に気が付いている。
俺は背負っているバックパックからスモークグレネードを取り出す。
ゲームだったらボタン一つで装備変更できるが、現実はそうはいかない。
『オイ、ミロヨ! オイラモ、リュック、ホシイ!(おい見ろよ! オイラもリュック欲しい!)』
『バカ! アッテモ、イレルモノガ、ナイダロウ?(バカ! あっても入れる物がないだろう?)』
『ラジャー、ラジャー』
アイツらはどこにいても癒し系だな。
連合国のバトル・ドロイド(コルドヴァの盗品)は、タティスらによって魔改造されているから天然っぽさが抜けている。
やっぱりB-1はおバカさがないとね。
うちのはスーパー・バトル・ドロイド並みにゴツイB-1だからなぁ・・・
見た目も可愛くないのよ、やっぱり見た目って大切よね、うん。
クレル先生はというと、このやり取り中も絶えず語り続けている。
あれはもはや才能だな。
このままシレっとフェードアウトしても気づかれないんじゃないか?
俺はバックパックから取り出したグレネードの安全装置を解除する。
他のメンバーとアイコンタクトを取り、敵陣へと投擲する。
『ウワッ! マエガ、ミエナイ!(うわっ! 前が見えない!)』
『テキトウニ ウテバ アタルダロ(適当に撃てば当たるだろ)』
『ヤッチマエ!(やっちまえ!)』
随分と物騒なフレーズが聞こえてくるが、構わず来た道を全速力ダッシュ。
ドロイド部隊だけならまだしも、クレルがいてはどうひっくり返っても勝ち目はない。
所謂、戦略的撤退というやつだ。
一定距離を走り、またグレネードを落とす。
奴らは進めど進めど煙の中という終わりが見えない煙地獄を味わっている事だろう。
その時、後方から強烈な力を感じる。
するとどうだろう。
グレネードによって発生した煙が俺たちを追ってくるではないか。
恐らく・・・と言うか十中十(100%)クレルがフォースを使ったのだろう。
もうやだ、フォース使う奴!
戦術も戦略も意味を成さないですやん!!
そうこうしているうちに俺たちは周囲を煙で覆われてしまい、方向感覚も失われてしまう。
「うーむ、力の使い方を誤れば自分に跳ね返って来るものじゃぞ、コマンダー・レイ」
「あ、貴方は・・・・・」
煙の中から杖を突きながら現れたのはヨーダだった。
視界が遮られている事など何の障害にもならないようだ。
そういえば、EP4のオビ=ワンも『目が見えている方が惑わされる』的な事をミレニアムファルコンで言っていたな。
ヨーダは懐からライトセーバーを取り出して起動すると、緑色のプラズマが発生する。
「コマンダー、この場は我々が食い止めますのでブリッジへ」
ブラスターを構えながらそう言うのは中尉だ。
確かにこの場に全員残るのは戦略的に悪手だ。
ヨーダ先生もいるし、信じるしかないだろう。
「タティス、回り道をするぞ」
「はい、マスター。 どこまでもお供します」
タティスさん、貴女はいつでもブレないのですね。
「コマンダー・レイ?」
ブリッジへ向かう為、走り出そうというときにヨーダから止められる。
何か問題でもあるのだろうか?
「帰ったら緑茶を頼むぞ?」
うわぁ・・・懐かしいわ緑茶ネタ。
今言われるまで完全に忘れていたよ。
と言うかジェダイさんも、いつでもブレないのですね・・・・。
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タティスと共にブリッジへと急いでいたが、ある時強い衝撃が艦を襲う。
その衝撃と共に、艦内にけたたましい警告音が響き渡った。
敵クルーザーからの攻撃が直撃したのかもしれない。
「タティス、どの付近への着弾か分かるか?」
「艦内の為、正確な位置は不明ですが恐らく艦橋(ブリッジ)付近だと思われます」
それはまずいな。
恐らくシールドも持たないだろう。
一応フェーズⅢクローン・トルーパー・アーマーは宇宙空間での生存も可能だが、ただ生きているだけで宇宙を永遠に漂う事になる。
そんなのまっぴらごめんだ。
「先を急ごう、アナキンを探すんだ」
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<ネゴシエーター ブリッジ(艦橋)>
タティスによる敵砲の着弾位置の分析は間違っていなかった。
寧ろ、艦内でそれだけの正確な位置を割り出したのは神懸かりだと言えた。
しかし、その分析が間違っていればどんなに良かったことだろうか。
「よし、何とかブリッジに辿り着いたな」
ブリッジに続く扉の前に着いた俺たちは一呼吸置いていた。
いや、正確には一呼吸置いたのは俺だけなんだが、それはまあ良いだろう。
とにかく脱出が大変だ。
艦には敵兵もいるし、ブリッジから格納庫までは時間が掛かる。
時間が無いって言うのに某大先生(クレル)までいるからな、本当アイツ早く帰れよ。
俺はただの悪口を頭に浮かべながら、何も考えずに扉を開けた。
それがマズかった。
扉が開くと俺とタティスは空気と共にブリッジの方へと吸い込まれる。
一瞬何が起きたか分からなかった。
俺はそのまま空気と共に船外へと放り出された。
上下左右の感覚が無くなり、身体が回転しながら一方向へと変わらない速度で進み続ける。
一瞬思考が停止し、恐怖に飲み込まれそうになるがジェットパックを起動して必死に身体の回転を止めようと試みる。
アーマーの外は完全に無音の世界だ。
聞こえてくるのはアーマーからの警告音と、誰かの激しい息遣い。
集中力を削いでくるその息遣いが自分のものだと気が付いたのは、身体の回転が緩やかになって来てからだった。
何とか態勢を整えると、遠くにネゴシエーターを確認する事が出来た。
良かった・・・かなり流されてしまった事に変わりはないが、それでもだだっ広い宇宙で遭難する事はなさそうだ。
それよりも心配なのはアナキン達だ。
ブリッジへ続く扉が開いた時に、空気と共に宇宙空間へ放り出されたという事はブリッジ内部が真空状態だったという事だ。
恐らく先程の強い衝撃は、タティスの予想通りブリッジにダメージを与えたのだろう。
緊急措置でブリッジが閉鎖されなかったのは不運だった。
正直、この状況で普通の人間が生きていられる可能性は絶望的だ。
多くの生き物は、何の装備も無い状態で宇宙空間を生きられない。
こんなところで終わってしまうのか?
この世界に来てから、俺はジェダイの存続を願って動いてきた。
今ではジェダイ全体と言うよりも、俺に近しい者が不幸にならない事を目標に活動している。
それを果たせないまま帝国の、パルパティーンの企み通りの銀河になってしまうのか?
・・・それじゃあ、俺が何のためにこの世界に来たか分からないじゃないか。
こんな所でくたばってたまるか!
俺はまだボガーノで温泉を掘り当てて、優雅な引退生活をするという目標を叶えていないんだ!
え?
さっきと言っている事が変わっている?
・・・それも含めてです。
と、とにかく今は艦に戻る事が先決だ。
ジェットパックを吹かして、方向を調整しながら進んでいるとヘルメットを通して無線が入る。
応答すると相手はタティスだった。
『マスター、マスター! ご無事ですか!?』
「ああ聞こえている。 そっちの状況はどうだ?」
『マスター!? ああ、良かった・・・本当に心配しました。 貴方がいなければ私は—————』
「そう言うのは後でいくらでも聞いてやるから状況を報告してくれ!」
こういう“モード”になったタティスは、いつもの高性能さがどこに行ったんだ?と言いたくなるような低知能っぷりを発揮する。
今は少しの時間も惜しい。
『—————はいマスター、既にスカイウォーカー将軍とケノービ将軍を保護しております。 ただ意識は無く危険な状況です』
無事だったのか!?
こんな状況で助かったというのは、俺なんかでも信じてしまうな。
フォースの意思って奴を。
そしてさらに艦に近づいて行くと、艦橋窓が吹き飛んでいるのを確認できた。
やはり艦の安全装置が働かずに、ブリッジの空気が船外へ流れ出てしまったようだ。
しかし現在はシャッターが降りている。
恐らくタティスが手動で起動したのだろう。
俺は船外活動用のハッチから艦内部へと入る事に成功し、ヘルメットを脱ぐ。
全身が汗だくだ。
大変な時ほど自分を保つために冗談を言っているが、身体は正直だ。
相当のストレスがかかっていた事が身体の状態や、疲労度からも伺える。
タティスに通信を繋げると、現在はブリッジにいるという。
シャッターが閉まったことで、空気も正常に循環しているようだ。
「タティス、アナキン達は!?」
ブリッジに入るとアナキンらの姿は無く、クローン・トルーパーが2人横たわっていた。
その隣にはアーマーを所々身に着けていないトルーパーが数人横たわっている。
この所々、アーマーを身に着けていないトルーパーは明らかに事切れていた。
彼らを運んでいたと思われるタティスはしゃがみ込み、俺の顔を見上げていた。
その無機質な機械の顔には、明らかに悲しみの表情が浮かんでいた。
「・・・両将軍は生きておられます」
恐らくアーマーを全身に着込んだ2人がアナキンと、オビ=ワンなのだろう。
空気が船外に排出された無重力の中で、2人の将軍の為にクローン達は自分が装備していたアーマーを着せたのだろう。
それは自分の命を自ら終わりにする行為だ。
宇宙空間は-270℃という極寒の世界だが、身体がすぐに凍り付くことは無い。
これは真空状態、つまり熱を伝えるための空気が存在しないからだ。
しかし、宇宙空間が恐ろしい理由は他にもある。
身体を襲う宇宙線だ。
この宇宙線はガンマ線などを含んだ放射線の事で、生身で浴びれば人体に深刻なダメージを与える。
アナキンとオビ=ワンにアーマーを着させていたトルーパーの苦しみは想像を絶するものだっただろう。
徐々に凍り付く身体、宇宙線によって現れる様々な障害、そして最後は酸素不足によって息絶えるのだ。
彼らの自己犠牲の精神に涙が溢れてくる。
俺は霞む視界の中、最大限の敬意を示す。
「・・・・・タティス、彼を頼む」
俺はアナキンを背負いながら立ち上がり、オビ=ワンをタティスに託す。
弔ってやりたいが今は時間が無いし、連れ帰ってやることもできない。
そうやって“置いてきた”戦友の数は一体どれくらいに上るのだろうか?
俺達はブリッジを後にし、ハンガーへと向かうのだった。
はい、お疲れ様でした。
今後の構成を考えながら書いているので、引き続き更新が遅くなってしまうかもしれません。
・・・え?
『今までも構成考えて書いていたでしょ?』だって?
・・・・・う、うん!
勿論考えていましたよ?
で、でもほら分かるでしょ?
クライマックスに近づいてきたから・・・もっと余計にさ?
・・・ね?
それはまた近いうちに・・・・・