自衛官だったけどクローンになったのでジェダイを救ってみた 作:みどり色
<ネゴシエーター 艦内>
ジェダイ評議会のグランド・マスターであるヨーダは、雄叫びを上げながらクレルの周囲を縦横無尽に動き回っている。
ジェダイに伝わる7つのフォームの内、最もアクロバティックなフォームⅣアタルは、開けている場所よりもある程度限定された空間の方が真価を発揮する。
ジェダイ・オーダーの中でもトップクラスの強さを誇るフォースの助けを借りて、フォース感応者でも予測が困難な程の動きを見せるヨーダは物理現象の法則を超越していると言っても過言ではなかった。
それに対して元ジェダイ・マスターのポング・クレルは二振りの回転式ダブル=ブレード・ライトセーバーを用いて、ヨーダの接近を阻むために回転機能もあわせて激しくセーバーを振り回している。
器用に四本の腕を使い、手にしているライトセーバーを空いている手に持ち替えながら振るう事で、より予測が困難な手法を用いていた。
その大柄な体躯からは想像できない器用さをみせるクレルに、グランド・マスターを務める程のヨーダですら決定打を与えられないでいた。
「腕を上げたようじゃの、暗黒面の力を感じるわ」
「マスター・ヨーダ、アンタの時代は終わっているのだよ! その衰えた身体でいくら飛び跳ねようが、今の私には傷一つ付けることは出来ないのだ! シディアス卿はドゥークー伯爵に代わり、私にお前たちの確実な抹殺をお命じになられた。 成果を上げれば、シディアス卿直々に私を鍛えて下さるだろう!」
クレルの周囲を休まずに動き回っているヨーダは、このベサリスクのダーク・ジェダイの“癖”を見極めようとしていた。
彼の言う事もあながち間違いではなく、衰えた身体をフォースの助けによって動かしているがその行為にはスタミナを大量に消費する。
長期戦になれば、体力で有利なクレルに流れが傾くことを理解しているのだ。
シス復活が認知される事となったクワイ=ガン・ジンとダース・モールの戦いでは、加齢によるスタミナ低下とアタロによる激しい体力の減少が敗因の一つだった。
アクロバティックな動きを行う特性上、スタミナ消費が激しい。
“老い”と“フォームⅣアタロ”は特に相性が悪いと言えた。
赤色の4本のプラズマと、緑色の短い1本のプラズマが激しくぶつかり合う。
その低い起動音と、激しく光るプラズマはまるでその場を支配しているかのような錯覚を覚えさせる。
ヨーダは地面と壁を蹴り、休まずに動き続けている。
その速度は開戦時よりもさらにスピードが上がっていた。
回転し、飛び上がり、剣を振っては離脱する。
単純に見れば、隙だらけのようにも思える戦い方。
しかしクレルは、自らが攻めるどころか防戦一方になっている状況に内心焦っていた。
小さな年寄りの何処にこんな強大な力があると言うのだろうか?
あり得ない・・・
暗黒面の力を得た私は、どのジェダイよりも強いのだ!
クレルは身体から力強いフォースを発生させ、周囲の物を吹き飛ばす。
ヨーダは動きを止め、両腕を突き出して向かってくる衝撃波を受け止めた。
「まだまだ学ぶべきことは多い」
「なにを——————」
ヨーダはそう言うと、受け止めた衝撃波を増幅するとクレルに向かって解き放つ。
その強力なエネルギーを身体に受けたクレルは、壁に強く叩きつけられる。
「その強い自己顕示欲が身を亡ぼすのじゃ、パダワンからやり直すがよい」
「こ、この老いぼれがぁぁぁ!!」
クレルはその場に立ち上がり、フォースを纏ってヨーダに突進する。
ライトセーバーを振るうがその攻撃は空を斬り、ヨーダはクレルの後方にジャンプしていた。
そのまま片方の回転式ダブル=ブレード・ライトセーバーを破壊し、再び距離を取る。
「マスター・ヨーダ、コマンダー・レイから連絡が」
そう話すのは、バトル・ドロイドを引き付けていた中尉だった。
ヨーダがクレルの相手をしている間に、新兵と共に大方のバトル・ドロイドをスクラップにしていた。
「ほう、あれだけのドロイドをお主らだけで?」
「は? い、いえ・・・それよりもケノービ将軍、スカイウォーカー将軍の救出に成功。 ドッグに向かっているとの報告がありました」
実は殆どのバトル・ドロイドは、クレルが発生させた衝撃波によってスクラップになっていたのだ。
ヨーダが言うように、彼の自己顕示欲による結果だと言えた。
「それは良い知らせじゃ、我らも向かうとするかの」
「イエッサー」
「逃がすか老いぼれぇぇぇ!!」
ドッグに走り出そうとする姿を見て、クレルはヨーダらに向かってライトセーバーを投げつける。
フォースに乗って回転しながら向かってくる光剣は、自らの回転機能も併せてとてつもない回転数を発生させている。
投げられたライトセーバーが発する音は、耳を塞ぎたくなるような凶悪な音を響かせていた。
その攻撃を避ける事で通過させたヨーダらは、セーバーが戻ってくる勢いに自らのフォースを乗せる。
投げられた時よりもさらに加速してクレルへと戻っていく赤色の光剣は、持ち主の腕を切り落とす。
ベサリスクの叫び声が通路に響き渡った。
彼はその場に蹲(うずくま)り、黄色に染まった瞳でヨーダを睨みつけている。
「ゆ、許さん! 許さんぞ老いぼれぇぇ!!」
憎悪に染まった彼の叫び声を背に受けながら、グランド・マスターと2人のトルーパーは脱出のため艦のドッグへと急ぐのだった。
________________________________________
【後刻】
その後、レイやヨーダ達は無事にネゴシエーターを脱出し、コルサントへと帰還を果たしていた。
帝国軍の追撃を躱せたのは、後方で待機を命じられていた若いジェダイ達の増援があったからだった。
ジェダイ・ナイトのアソーカ・タノが中心となり、多くの若いジェダイ将軍が仲間の窮地を救った。
この行為は明らかな命令違反であったが、今のジェダイ・オーダーに彼らを裁く余裕はなかった。
先の戦闘でジェダイ評議会のメンバーを始め、より経験の積んだジェダイの多くが戦死してしまったからだ。
<惑星コルサント>
あれから少し経ったが、連合国は未だに混乱の中にいた。
多くの主要なジェダイが死に、軍の再編成もままならない状況だった。
アナキンとオビ=ワンは危険な状態だったが何とか一命を取り止め、軍の施設で治療を受けていた。
そんな中、俺はアナキンの意識が戻ったという知らせを受けて、全ての仕事を副官のライズに押し付けて速足で彼の下へと向かった。
優秀な副官を持つと楽が出来るというのは本当だな。
「アナキン、随分寝坊助さんだな?」
「お陰様で一生分の睡眠を取ったような気がするよ」
ベッドに横たわるアナキンは思いのほか元気そうだ。
状況が状況だったため、最悪の事態も考えたが杞憂だったようだ。
「お前たちジェダイは休まなさ過ぎだからな、今回の事も丁度良かったんじゃないか?」
「そうかもしれない、だがこれからは“休む時間が長くなりそうだ”」
「? それはどう言う—————」
アナキンの含みのある言葉が気になったが、トグルータのジェダイ・ナイトが入室してきた為に会話は中断された。
「マスター、目が覚めたと連絡があって・・・本当に良かった」
アソーカは落ち着いた雰囲気の中にも、深い愛情を感じさせる様子でかつての師へと言葉を掛ける。
成長した彼女はかつてのお転婆娘の影を全く感じさせないが、実際の所はめちゃくちゃ心配していた事を知っている。
この2人の絆は強い。
オビ=ワンとの絆と同じくらいに。
「心配をかけたなアソーカ、それよりもマスターは?」
「ええ、マスター・ケノービは—————」
アソーカの説明では、オビ=ワンは左腕を切断する事になってしまったらしい。
極低温の宇宙空間に晒された結果、運悪く組織が壊死してしまったというのだ。
「それでも命が助かって良かったじゃないか?」
俺はアナキンにそう言葉を掛ける。
先の戦闘で多くのジェダイやクローンが戦死した。
状況も最悪だった。
そんな中で、五体満足では無いにしろ生還できたことを喜ぶべきだ。
「そうだな、レイ」
そう言いながらアナキンは上体を起こす。
長い休息により強張った身体が悲鳴を上げているのだろう、アナキンは痛みに顔をゆがませている。
「生きている証拠だ」
彼が無事な事が何よりも嬉しい。
親友と会えなくなるなんて耐えられないからな。
「すまないが手を貸してくれるか?」
「おいおい目が覚めたばかりだろう? 無理するな」
だが俺の警告など聞くはずもなく、彼はその場に立ち上がる。
フラフラと揺れる様子を見て、俺は反射的に彼を支える。
アナキンは周囲の物に身体を接触させながら、何とか身体を動かしている。
「やはり難しいな・・・これは苦労しそうだ」
俺は彼の様子に違和感を覚える。
いや、違和感があったのは今に始まったことではない。
そんな事を考えながら歩いていると、彼は低い段差に躓いてしまった。
咄嗟に支える力を強める。
「すまない、レイ」
「アナキン、お前—————」
こちらを向きながら申し訳なさそうに笑みを浮かべるアナキンだったが、その瞳は俺の目を捉えていなかった。
その瞳には光が宿っていなかった。
「—————見えていないのか?」
はい、お疲れさまでした。
とにかくアナキンとオビ=ワンが生還出来て安心しました。
アソーカさんナイスです。
割と完結まで「もう少しかな?」というイメージです。
綺麗に終われると良いのですが自信ないなぁ()
それではまた近いうちに・・・