殺戮のダンジョンマスター籠城記 ~ヒッキー美少女、ダンジョンマスターになってしまったので、引きこもり道を極める~   作:カゲムチャ(虎馬チキン)

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91 出発前

 翌日。

 私は居住スペースのベッドの上で悶えていた。

 奴が、奴が襲来してしまったのだ……!

 リビングアーマー先輩を着込む事の代償。

 筋肉痛という名の悪魔が襲来した!

 

「うぅ……《シャインヒール》」

 

 痛みを堪えながら、自分に回復魔法をかける。

 私の凄まじい魔力によって筋肉痛を強引に癒した。

 やっぱり覚えといてよかった回復魔法。

 本当は昨日使わなきゃいけなかったんだけど、疲労で忘れてた。

 やっぱり、自分自身で戦うのは想像以上に気力を使うって事だと思う。

 

 そんなこんなで筋肉痛という名の悪魔を撃退し、昨日入れなかったお風呂に入ってから、朝ご飯を用意。

 マモリちゃん人形を起動させてリーフにも用意し、一緒のタイミングで食べた。

 ……ちなみに、この時絶妙なタイミングに当たったみたいで、モニターを開いたら、渡しておいたお風呂用具一式で体を洗ってるリーフの姿が映ってしまった。

 とんだ不幸だ。

 男の裸なんて目が腐る。

 まあ、リーフの体はまるで華奢な女の子みたいだったから、そこまで不快でもないけどさ。

 あれでも、この間の盗賊狩りでちょっとLvが上がったから、物理系ステータスもそこそこある筈なのに、筋肉が欠片もない。

 実に不思議だ。

 まあ、リーフの体の事なんて興味もないけど。

 

 で、食事をしながら、マモリちゃん人形を使って、リーフに今後の行動を指示しておいた。

 といっても、今回リーフの出番はないんだけどね。

 

「え? ボクはダンジョン(ここ)で待機ですか?」

「そう。私はこれから完全な敵地に潜入して来る。だから、あなたは足手まとい。

 ここで大人しく待ってる事。

 わかった?」

「はい……」

 

 リーフがしょんぼりとした顔になった。

 役に立たないと始末されるとでも思ってるのかな?

 でも、今回はリーフを連れ歩くメリットがないし。

 それに死なれても困るし。

 そんな顔しても、お留守番は決定事項だ。

 

「心配しなくても、今回役に立たなかったからって捨てはしないから、安心しなさい」

 

 そう言うと、今度はキョトンとした顔になった。

 あれ?

 

「違うの?」

「それも心配ですけど、一番心配なのはご主人様ですよ。

 敵地に潜入なんて危ないじゃないですか。

 もし帰って来なかったらと思うと……」

 

 ああ。

 私の身を案じてたのか。

 そういえば、最近のリーフはこんな感じの精神状態だったっけ。

 正直、自分のやってる事が普通は受け入れられないような事だって自覚はあるから、誰かに心配されるっていうのは慣れない。

 

「それも心配しなくていい。だって、あの体もこの人形と同じだから。

 あの体が壊されても、私が死ぬ事はない」

「え?」

 

 あ。

 ……口が滑った。

 こんな事をリーフに言っちゃうなんて。

 もし万が一、リーフが奴隷から脱却したら、この情報が人間側に漏れかねないっていうのに。

 気が緩んでた。

 とりあえず、ちょっと半殺しにして、リーフにも調教のスキルをかけるべきかな?

 

「そうなんですか……それなら良かったです!」

 

 そう思った瞬間、リーフはパッと笑顔になった。

 ……そんな顔されると、半殺しにしようって気が削がれる。

 ああ、もう。

 それは後でいいや。

 

「とにかく。私は次の仕事をするから、あなたは待機。これは決定事項。わかった?」

「はい!」

 

 さっきと同じ事を言えば、リーフはさっきと違って元気な声で返事をする。

 調子狂うな……。

 

 そうして朝食を終え、私は先生ゾンビに命令し、オートマタを砦の中の一室に送らせる。

 こんな事もあろうかと、開戦を待つ間、あてがわれた部屋に先生ゾンビを送って、転送可能なポイントにしておいたのだ。

 

「じゃあ、私は行くから」

「はい! 行ってらっしゃい!」

 

 マモリちゃん人形を通してそう伝えれば、リーフの行ってらっしゃいコールが返ってくる。

 こいつ、私がこれから何するのか本当にわかってるんだろうか?

 本当に調子が狂う。

 

「……でも」

 

 なんだろう。

 なんとなく、それを嬉しく思ってる私がいるような気がする。

 実に不思議だ。

 

 そんな釈然としない思いを抱きつつ、私はオートマタを砦へと転送したのだった。

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