殺戮のダンジョンマスター籠城記 ~ヒッキー美少女、ダンジョンマスターになってしまったので、引きこもり道を極める~   作:カゲムチャ(虎馬チキン)

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96 議会を蹂躙せよ

 オートマタが馬車に揺られ始めて数日後。

 遂に、指揮官率いる部隊はアワルディア共和国の首都に到着した。

 普通はもっとかかる道のりだったんだけど、早くしないと魔王軍幹部二人が暴走しそうで心配だったから、馬を潰すくらいの気持ちで強行軍を行なった。

 おかげで、普通よりは遥かに早く着いたよ。

 ちなみに、潰れた馬は美味しくいただきました(DP的な意味で)。

 

 そして、首都に到着した直後、指揮官に国の上層部への謁見を申請させる。

 これは元々、早馬で送った手紙というか、報告書にも書いてたみたいなので、すんなり通った。

 ただし、向こうにも予定があるという事で、謁見は明日という事に。

 多分、こっちが思ったよりも早く着いたのも大いに関係してると思う。

 まあ、それは仕方ない。

 この国は議員なんて連中が動かしてるらしいし、明確なトップがいない分だけ動きが遅いのは読めてた事だ。

 それでも、いつ暴れ出すかわからない暴走列車を二台も抱えてる以上、できるだけ急いでほしいって気持ちはあるけど。

 

 そんな感じでソワソワしながら一夜を過ごし、翌日。

 オートマタの泊まってた場所(騎士団の施設らしい)に城からの遣いが来て、謁見の為に指揮官を連れて行った。

 当然、オートマタと護衛のゾンビ何体かも付いて行く。

 名目上は、重要な証言をする目撃者という事になっているのだ。

 

 そうして案内役に連れられ、城に入り、この国の謁見の間へと辿り着く。

 案内役がノックをしてから扉を開け、中に入れば、そこには色んな見た目をした種族が、それぞれの護衛っぽい奴を連れて席に座っていた。

 部屋の雰囲気は、本当に議会っぽい。

 なんというか、国会議事堂と裁判所を足して二で割ったような感じ。

 裁判官っぽく上から見下ろすような椅子がいくつもあって、指揮官は被告人がいそうな場所で足を止めた。

 どうやら、ここから報告を行うらしい。

 

「第三騎士団長、シー・サブマリーン、参上いたしました!」

 

 指揮官が膝をついて頭を下げながら、大声で宣言した。

 それに倣って、一応オートマタとゾンビ達にも膝をつかせておく。

 あんまり意味ないと思うけど。

 どうせ、すぐに仕掛けるんだし。

 

「面を上げよ」

 

 指揮官の真っ正面、裁判長っぽい椅子に座った奴が口を開く。

 多分、あれが議長とかそういう奴だと思う。

 犬みたいな顔をした老人(いや老犬?)だ。

 その姿は、どことなく人化状態のフェンリルに似てる。

 獣人にも色々あるみたいで、猫耳みたいに耳だけ付いてるのもいれば、こんな感じで全身が獣っぽい奴もいる。

 まあ、どうでもいいけど。

 

「して、今回の議題だが、此度の魔王軍との戦いにおいて重大な発見をしたとの事だったな。

 早速、申してみよ」

「ハッ!」

 

 その言葉に従って、指揮官が話し始める……なんて事はもちろんない。

 だって、魔王軍に関する重大な発見なんて真っ赤な嘘だもの。

 目的は、指揮官の権力を使って、この場所、国の中枢にまで入り込む事。

 まさか、ここまですんなりと行くとは思わなかったけど。

 

 だから、ここで動くべきなのは指揮官じゃない。

 私なのだ。

 

 私はオートマタを立ち上がらせ、その口を開いた。

 

「それに関しては私からご説明いたします。魔王軍に関する重大な発見……それはこちらです」

 

 そう言うと同時に、連れてきたゾンビの一体である先生ゾンビに命令を下す。

 その内容は当然、

 

「《フロアテレポート》」

 

 いつものテレポート拉致。

 この部屋に集まった議員どもを、護衛ごとダンジョンの中ボス部屋へと叩き込む。

 

「な、なんだ!?」

「何が起こった!?」

 

 突然、ダンジョンの暗闇に視界が閉ざされた事で、多くの議員どもが慌てふためく。

 でも、護衛どもは存外やり手だったみたいで、即座に光源を確保した上で臨戦態勢を取った。

 

「照らせ━━『サンライト』!」

「咲き狂え━━『ラフレシア』!」

「捻れ━━『スピニング』!」

 

 そして、それぞれの真装を展開する。

 ダンジョン内に入れて鑑定した結果わかったけど、驚くべき事に、護衛の大部分が真装使いだった。

 数は20人以上。

 これだけの戦力を最前線に送らず、自分の手元に置いておくなんて、議員どもは相当の臆病者だったらしい。

 でも、その臆病っぷりが、今回は吉と出た。

 

 だが、その抵抗も無駄である。 

 

「雄叫ベ━━『ドラゴンオーラ』」

 

 生前の騒がしさがまるで感じられない無機質な声で、新たに登録したこの部屋のボスモンスターが、真装を展開する。

 そのボスモンスター、人化形態のドラゴンゾンビの体を、真装のオーラが包み込む。

 

 ドラゴンゾンビは、ゾンビにした事によって、生前より僅かに弱くなった。

 でも、今はそれを覆して余りある力を得ている。

 それはボス部屋の効果。

 登録した部屋の中にいる限り、ボスモンスターのステータスを3倍にする反則効果。

 今のドラゴンゾンビは、その力を得ているのだ。

 

 加えて、真装によるステータス倍加、『竜王の風格(ドラゴンオーラ)』による、更なるステータス増強。

 これによって、今のドラゴンゾンビは素の状態の魔王に匹敵するレベルまで強くなった。

 

 それだけじゃない。

 この部屋にいるのはドラゴンゾンビだけではない。

 今まで殺してきた強者のゾンビ達。

 数の暴力を体現するゴーレム&ガーゴイル軍団。

 致死率の高いトラップの数々。

 いくら真装使いの群れとは言え、この布陣を前にして勝ち目などある筈もなし。

 

 それでも、護衛どもは己の力を信じて戦った。

 その結果、━━中ボス部屋は惨劇に彩られたのだった。

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