殺戮のダンジョンマスター籠城記 ~ヒッキー美少女、ダンジョンマスターになってしまったので、引きこもり道を極める~   作:カゲムチャ(虎馬チキン)

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106 圧倒的ではないか我が軍は!

 さて、魔王軍幹部が集結したら次にやる事は一つ。

 国攻めである。

 脳筋どもは気が短いのか、転送されて来て早々に次の国へと向かった訳だけど、元々国境近くの街を転送場所に指定してたおかげで、その日の内に国境を守る砦へと辿り着き、攻略戦が始まった。

 作戦はない。

 作戦はない。

 大事な事だから二回言った。

 

 前の戦いの時は、私の作戦で勇者を追い詰めるって話だったから、魔王から幹部二人への命令権を貰ってたけど、今回は違う。

 勇者や十二使徒といった厄介な連中は魔王の方に集中してるらしく、他の国にはせいぜいその国の精鋭くらいしか残ってないと思われる。

 対して、こっちはほぼ全ての幹部(残りは魔王の護衛と、他の進軍経路の守りに割り当てられてる)が集結した一大戦力。

 足の引っ張り合いでもしない限り負ける事はない。

 それが魔王の判断だった。

 

 故に、今回は作戦がない。

 魔王から与えられた命令は「仲良くするんじゃぞ」という一言だけ。

 それだけ守って、あとは各々が好き勝手暴れるだけだ。

 脳筋にも程がある。

 こんな作戦を立てた魔王も充分に脳筋だと思う。

 あるいは、脳筋どもの手綱を握るのがめんどくさくて投げたのか。

 あり得る。

 

 こんなんで本当に大丈夫なんだろうか。

 そんな私の不安は、攻略戦が始まった瞬間に吹き飛んだ。

 

「ふぉっふぉっふぉ。砦が見えてきおったのう。では、この老いぼれが一番槍を務めさせてもらうとしようかのう」

 

 そう言って、二足歩行の亀が瞬く間に山よりも大きい超ド級のサイズへと変身した。

 人化形態を解除したんだ。

 この亀の種族名は、マウンテンタートル。

 まさに名は体を表す。

 

 亀は、その巨体を武器に一匹で突撃して行った。

 凄いゆっくり歩いてるように見えるけど、歩幅が大き過ぎるから、意外に速い。

 

「迎撃せよ!」

 

 その亀に対して、砦から矢と魔法の雨が降り注ぐ。

 でも、亀は意にも介さず直進を続けた。

 飛んできた攻撃の中には、多分、真装使いが放ったんだろう強力な魔法とかもあるのに、お構い無しだ。

 

 何せ、この亀の防御と魔耐のステータスは5万を超えている。

 

 代わりに、他のステータス(特に速度)が致命的に低いけど、それを覆して余りある硬さだ。

 しかも、これでまだ真装を使っていないという。

 ……この亀が本気出したら、魔王と勇者の攻撃ですら、しばらくは耐えられるんじゃないだろうか。

 ゾンビにしたいな。

 

「ふぉっふぉっふぉ。通るぞい」

 

 私が内心で不穏な事を考えている間に、亀はその巨体で砦を踏み潰した。

 凄い。

 まるで攻城兵器だ。

 この亀の巨体とステータスは、砦みたいな拠点を潰すのに最適すぎる。

 もう、こいつだけでいいんじゃないかな……。

 

「行くぞコラァ! 今の俺はイライラしてんだ! 俺の憂さ晴らしで死んでいけ人間どもぉ!」

「うむ! 暴れるとしよう!」

「ぶひひひひひひ。魅力的な女性がいるといいですねぇ」

「……相変わらず、うるさい奴らだ。我輩のように気品を持って殺せんのか」 

 

 そんな亀だけでもオーバーキルなのに、他の幹部達が砦を捨てて野戦に踏み切ってきた連中を殺すべく、突撃して行った。

 オーガキングがミンチを量産し、フェンリルが惨殺死体の山を築き、オークキングが女を物色し、ヴァンパイアロードが魔法で蹂躙した後、血を啜る。

 他にも、ケルベロス、不死鳥、キマイラ、バジリスク、デュラハン、デーモン、サラマンダー、等々、バリエーション豊かな幹部達が、それぞれの暴れ方で虐殺を繰り広げていた。

 

 幹部達は、どいつもこいつも一騎当千だ。

 雑兵をいとも容易く蹴散らし、厄介な真装使いですら普通に倒してる。

 これが一体か二体くらいなら、真装使いが囲んで倒せたのかもしれないけど、こうも数が多いとそれもできないらしい。

 おまけに、引き連れてきた魔物の群れや、ゴーレム&ガーゴイル軍団も数に任せて特攻してるから余計に手が回らず、各個撃破されていく。

 

 圧倒的ではないか我が軍は。

 

 なるほど、魔王が脳筋な判断を下す訳だよ。

 一方的過ぎて、戦いにすらなってないもの。

 これはもはや、ただの蹂躙だ。

 戦争ならともかく、蹂躙に作戦はいらないのだ。

 もう私も深く考えるのをやめて、オートマタとミスリルゴーレム部隊を使って、漁夫の利を得まくった。

 

 そうこうしている内に、あっさりと、本当にあっさりと敵は全滅した。

 逃げた奴らも、気が立ったオーガキングとかに殺されて、文字通りの全滅。

 生きてるのは、オークキングの餌食になった女兵士くらいである。

 圧勝だった。

 

 

 砦を落とした後は、無人の野を行くかの如く、進軍経路上にあった村や街を滅ぼしながら魔王軍は進み、速攻で国は陥落。

 次の国も同じく速攻で落ち、実にあっさりとエールフリート神聖国への進軍経路は開いた。

 そして、その進軍経路を通って、魔王の支配領域から魔物の大群が押し寄せて来る。

 ざっと見回しただけでも、100万以上の魔物がいるんじゃないかな。

 しかもこれ、まだ増えるらしい。

 魔王曰く、開いた全ての進軍経路を使って魔王軍全軍を呼び寄せてるらしいから、最終的には億を超えるかもしれない。

 恐ろしや。

 

 そんな大軍勢を引き連れながら、私と幹部達はエールフリート神聖国内へ侵攻。

 幹部集結の日から数ヶ月をかけて首都へと辿り着き、遂に魔王と合流を果たした。

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