殺戮のダンジョンマスター籠城記 ~ヒッキー美少女、ダンジョンマスターになってしまったので、引きこもり道を極める~   作:カゲムチャ(虎馬チキン)

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37 オートマタ

 オートマタ。

 見た目は人間そのものだけど、内部が金属の骨格とかで出来てる無生物系モンスター。

 要するに、ター◯ネーターである。

 ただし、ターミ◯ーターと違って人工知能とかは搭載してないらしい。

 知能がないなら、これはハイゾンビと同じ理由でボツ……にはならないのだ、これが。

 

 大事な事なので、もう一度言おう。

 オートマタは、無生物系モンスターである。

 つまり、分類的にはリビングアーマー先輩と一緒という事だ。

 そして、リビングアーマー先輩と言えば、一つ忘れていないか?

 そう!

 手動操縦モードだ!

 

 つまり、オートマタを手動操縦で遠隔操作すれば、私はダンジョンにいながらにして諜報活動をできるのではないかと考えた訳だ。

 ちょっと違うけど、最初に考えた調査用ドローンと似たような事ができるかもしれない。

 しかも、ドローンと違って人間の中に紛れ込める上に、モンスターを使った情報収集よりも、私自身が直接(オートマタ越しだけど)見聞きする事で情報の精度も上がる。

 素晴らしい。

 

 という訳で、早速オートマタを造る……前に、とある実験をしておこう。

 それは、ダンジョン領域外での無生物系モンスターの操作だ。

 よくよく考えてみると、ダンジョン外という私の知覚領域の外でモンスターを動かせるのかは不明だ。

 これが無理だった場合、私は意気揚々と木偶人形を造るはめになる。

 それは嫌だ。

 期待が大きい分、絶望も大きそうで。

 そんな事になったら、私はいじけてやる気をなくすかもしれない。

 

 という事で、外の世界にロックゴーレムを一体送り出してみた。

 ゴーレムも無生物系モンスターだから、その気になればリビングアーマー先輩と同じように手動操縦ができるのだ。

 普段はめんどくさいからやらないけど。

 

 そうして、ロックゴーレムがダンジョンの外に消えて行き、私の知覚可能なエリアからいなくなった。

 その瞬間、手動操縦モードが切れる。

 なんか、イメージとしては携帯が圏外になった感じ。

 

「マジかー……」

 

 いきなり計画が頓挫してしまった。

 ちなみに、外に出したロックゴーレムは自力で帰還してきた。

 どうも、手動操縦が切れた瞬間に自動操縦に戻ったらしく、特に命令を下してなかったからダンジョンに帰って来たみたいだ。

 それって逆に言えば、何か命令を下した状態で外に出せば、その分の仕事はしてくれるって事だと思う。

 まあ、それでオートマタに諜報活動をやらせようと思っても、人工知能がないんだから、そこまで複雑な事はできないと思う。

 これは、オートマタもボツかな……。

 

 でも、諦めきれずにダメ元でオートマタの詳細情報を見ていると、なんかオプションで色々なスキルを付けられる事がわかった。

 ああ、だから強さの割にやたらと値段が高かったのか。

 オートマタは、デフォルトの状態だと、平均ステータス200なのに1万DPもする。

 ぼったくりかと思ったら、そういう事か。

 

 で、その中に興味深い、現状を打破できそうなオプションを見つけた。

 

ーーー

 

 取得情報送信

 

 モニターに、視覚情報、音などの、オートマタが取得した情報を送信する。

 

ーーー

 

 擬似ダンジョン領域作成

 

 オートマタの半径10メートル以内を、擬似的なダンジョン領域として扱う事ができる。

 

ーーー

 

「これだ!」

 

 これを見て、なんかもう全てが解決したような気がした。

 特に、擬似ダンジョン領域作成。

 これさえあれば圏外も怖くないし、ダンジョン領域として扱えるって事は、鑑定も使えるし、アイテムも回収できるし、モンスターの転送もできるって事だよ!

 なんという、チート能力!

 まあ、その代わり凄まじい量のDP持っていかれるけど……。

 あ、更に追加料金を払えば、効果範囲を広げる事もできるらしい。

 けど、今は半径10メートルで十分だな。

 これ以上は、DPがもったいない。

 

 という事で、この二つのオプションを付け、オートマタを作成。

 お値段は10万DP。

 ちょっと訳がわからないレベルでお高すぎるけど、仕方ないか。

 このDPに見合う働きを期待してる。

 

 でも、ここでちょっと予想外の事が起こった。

 

「これ、私じゃん」

 

 いつもの魔法陣から現れたオートマタは、私と同じ姿をしていた。

 つまり、超絶美少女。

 しかも、今は裸で色気が凄い。

 これ、どういう事?

 ダンジョンマスターの情報が、モンスターの作成に影響したとか、そんな感じ?

 

 原因はわからないけど、今更デザインを変更する事はできない。

 同じ無生物系モンスターでも、ボディチェンジで強化する事を前提としてたリビングアーマー先輩とは違うのだ。

 デザインを変えたければ、もう一体新しいのを作るしかない。

 でも、それはダメだ。

 これ以上のDP出費は許容できない。

 最悪、これから魔王軍と人間どもを同時に相手取る可能性がある以上、戦闘に関係ないところに過剰なDPは掛けられない。

 DPの貯金額はリビングアーマー先輩の残機であり、私の命綱なんだから。

 

 代わりに、約2万DPをかけて、どうせ使わないだろうMPと魔力以外のステータスを1500にまで上げた。

 ここまでやったんだから、簡単に壊されてほしくないって意味での強化だ。

 これは無駄使いではなく、必要な出費である。

 自分の格好した人形がやられるって、やっぱり気分悪いし。

 

 ちなみに、このステータスは生前の中年ゾンビの約二倍だから、一部の規格外を除いて、そうそうの相手には負けないと思う。

 まあ、ウチのダンジョンに来た連中は規格外ばっかりだったけど……。

 そんなのばっかり来るとか、私の運勢どうなってるんだろう。

 

 で、最後に保管しておいた冒険者風の服を着せて、量産品っぽい皮の鎧を付けて、腰に剣とウエストポーチを装着。

 左手には、侵入者の一人が持ってた小さな盾を装備して、完成。

 ちなみに、服と鎧は不死身ゾンビの連れの女が身に付けてたやつで、剣はリビングアーマー先輩に最初に持たせて、いつからか使われなくなってた鋼の剣。

 ウエストポーチは中年ゾンビが使ってた収納の魔道具。

 盾は、最後の大粛清の時まで地味に生き残ってた、不死身ゾンビが囮に使った剣士の女の物を使った。

 

 これで、見た目はこの世界の冒険者と言われても違和感がないと思う。

 多分。

 あと、この装備の中だと収納の魔道具だけが高級品っぽくて浮くけど、見た目は普通の異世界風ウエストポーチだから大丈夫。

 

 これにて準備完了。

 さあ、行くのだオートマタよ!

 そうして、オートマタはダンジョンの外へと旅立って行った。

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