殺戮のダンジョンマスター籠城記 ~ヒッキー美少女、ダンジョンマスターになってしまったので、引きこもり道を極める~ 作:カゲムチャ(虎馬チキン)
「村長さんを出してください」
私は、オートマタを操作して無機質にそう告げた。
すると、村人達がおずおずとある人物の方を見る。
そして、その人物は堂々とした足取りでオートマタの前に進み出た。
「あなたが、この村の村長さんですか?」
「そうだ」
そいつは、筋骨隆々の初老の男だった。
鑑定してみたら、攻撃が250もある。
そこそこ強いな。
でも、ボコボコにされた跡があるのを見るに、ゴーレム達に寄ってたかって袋叩きにされたと見た。
「ご家族はいますか?」
「……それを聞いて何になる」
「質問は受け付けません。そして答えなければ、後ろの村人達を全員殺します」
そう告げると、村人達は大いに怯えて、一部の奴らが村長の家族と思われる三人を突き出した。
醜い。
さすが人間。
醜い。
「お前ら……!」
「す、すまねぇ村長! 許してくれ!」
村長が怒りの視線で睨み付けると、三人を突き出した村人達は震え上がった。
これ、私が殺さなくても村長に殺されそう。
まあ、そんな事はどうでもいいか。
突き出された三人は、若い男女が二人と、10歳以下に見える男の子が一人。
息子夫婦と孫ってところかな?
私は、オートマタを三人の方に近づかせた。
「お孫さんですか?」
「…………」
「答えてください」
「……そうだ」
血を吐くように村長は答えた。
よし。
これは効きそうだ。
私は早速、オートマタに村長の孫を掴み上げさせた。
「ひっ!?」
「おい!」
「黙ってください」
「くっ……!」
そして、孫を抱えたまま村長の前に戻り、やる事をやる。
「これから、いくつかの質問をします。正直に答えてください。嘘を吐いたり、反抗的な態度を取ったりしたら、この子を痛めつけます」
「貴様ぁ!」
「反抗的的な態度ですね。では、まずは……」
私はオートマタの手で、村長の孫の右手の小指をへし折った。
「あぁあああああああ!」
「ロイ!」
「あなたのせいですよ村長さん。この子の為を思うなら、おとなしく質問に答えてください」
村長は、砕けそうな程に歯を食いしばり、血が出る程に強く拳を握りしめたものの、激情を堪えるかのように黙った。
それでいい。
「では、最初の質問です。
この村では最近、魔物による被害が多発していますよね。
その対策に何をしたのか、どこに助けを求めたのか、教えてください」
「……最初は冒険者ギルドに依頼を出した」
「それで?」
「依頼を受けた冒険者が戻らず、それを追いかけて来たという冒険者も戻らない。
その事を冒険者ギルドに報告して、もっと強い冒険者を派遣してくれるように、なけなしの金で依頼を出した」
ふむ。
最初に依頼を受けた冒険者っていうのは、多分、最初に来た三人組の事だと思う。
それを追いかけて来た冒険者っていうのは、生前の中年ゾンビかな?
あいつ、あの三人を追って来てたのか。
「その後は?」
「ボルドーの街で最強と呼ばれる冒険者が来てくれたが、その冒険者も戻らず、冒険者ギルドには匙を投げられた」
街で最強の冒険者……不死身ゾンビかな?
確かに真装使いだったし、田舎の街とかなら最強を名乗れるかもしれない。
しかし、冒険者ギルドが匙を投げた?
その後も侵入者は来たぞ。
オートマタに、村長の孫の右手薬指を折らせた。
「いたいぃいいいいいいいいい!」
「な!? 俺は正直に話したぞ!」
「嘘ですね。冒険者ギルドが匙を投げたというのは。
あるいは、他の所に助けを求めたでしょう?」
これは鎌かけみたいなものだ。
不死身ゾンビの後に来たのは、くっ殺王女と俊足野郎の二人。
でも、ウチのダンジョン入って来たのは、村からの依頼を受けた訳じゃなく、ただのお姫様の道楽だったのだとしても不思議ではない。
その場合、村長は他の所には助けを求めていない、あるいは、助けを求めたけど見捨てられたって事になるけど。
そこんとこ、どうなの?
「答えてください。他の所に助けを求めましたね」
「……助けを求めてはいない。本当だ。
ただ、おかしな冒険者に村の現状を話したら、自分達に任せろと言って飛び出して行った事はあった。
それくらいだ」
おかしな冒険者……。
「それは、若い少女と男の二人組でしたか?」
「ああ、そうだ」
確定。
それ、くっ殺王女と俊足野郎だ。
「では、次の質問です。
その冒険者の後に、国の兵士達が来たでしょう?
彼らが帰って来ないという話を、誰かに話しましたか?」
「は? 国の兵士? 何の話だ?」
とぼけるか。
孫の右腕をねじり折る。
「ギャアアアアアアアアアアア!」
「待て! 本当に知らないんだ! 女神様に誓う! そんな奴らは、この村に来ていない!」
女神様なんて知らない。
でも、これは嘘を吐いてる感じじゃないな。
もしかして、討伐隊はこの村を経由せずに、近くにあるらしい街から直接来たとか?
くっ殺王女救出の為に急いでただろうし、歩いて半日の距離なら、できなくはないかも。
そうなると、村長は討伐隊の存在自体知らないのか。
連中の直前の動向が知れれば、少しは国の出方もわかるかなと思ったけど、知らないんじゃ意味ない。
なら、もういいや。
この村で、私がダンジョンマスターになってからの一連の事件が、どんな扱いされてたのか知れただけでもよしとしよう。
「では、最後の質問です。あなたはダンジョンをどう思いますか?」
「ダンジョン? ……危険な場所だと思ってる」
「そうですか」
それを聞いた直後、村長の孫の首を握り潰した。
ゴキンと嫌な音が鳴って、村長の孫は動かなくなる。
「ぁ……」
「質問は以上です。もう死んでいいですよ」
「貴様ぁあああああ!」
怒りに身を任せて突進して来る村長を、剣を抜くまでもないと拳で迎撃する。
オートマタの拳が村長の頭を打ち抜き、トマトみたいに破裂させた。
弱い。
さて、残りも殺すか。
私は夜が明けない内に全てを片づけるべく、ゴーレム達に指示を出した。