殺戮のダンジョンマスター籠城記 ~ヒッキー美少女、ダンジョンマスターになってしまったので、引きこもり道を極める~ 作:カゲムチャ(虎馬チキン)
「え? え?」
リーフは、いきなりの転送に驚いたのか、ダンジョンの暗闇に驚いたのか、挙動不審になった。
とりあえず無視して抱き抱える。
「ふぇ!?」
オートマタとリーフを転送したのは、第二階層の入り口である下り坂の下だ。
微量ながら毒が漂ってる場所なので、交渉の場には向かない。
リーフを抱えたまま、オートマタに坂を上らせて第一階層に出る。
そして、その天井に、居住スペースで使ってるのと同じ電気というか、光の魔石を設置した。
これは後で回収しておこう。
その時に、私が生きていれば。
「眩しい!?」
オートマタの腕の中で悲鳴を上げるリーフを床に下ろし、今度はテーブルを一つと、椅子を二つを設置する。
これも後で回収しておこう。
その時に、私が生きていれば。
これで、とりあえず場所の準備は完了。
次は、道具に状況説明だ。
「これから、ここに人が来る。絶対にその人の機嫌を損ねないように」
「えっと……」
「命令」
「はい」
こういう時、奴隷って便利。
命令一つで何でもするとか、まさに道具。
「そして、あなたは私の後ろに控えて、私がわからない事があったら説明する事。
これも命令。やらないと潰す」
「やります! やりますから、その脅しやめてください!」
やめない。
これは、やる気を出させる為の気付けみたいなもんだ。
お仕置きが怖ければ、必死にやるだろう。
あ。
今気づいたけど、リーフの格好は買った時のまま、いかにも奴隷が着るようなボロ着のままじゃん。
魔王の前に出すには、見苦しいな。
「とりあえず脱いで」
「何ですか、いきなり!?」
「いいから脱げ。命令」
「は、はい……」
リーフは恥ずかしそうに服を脱いだ。
……わかってたけど、本当に男なんだな。
胸がなくて
あんまり見たくない物見た。
「これ着て」
続いて、DPで適当な服を出して着るように命じる。
こんな事なら、侵入者とか村人の服を、もう少し取っておけばよかった。
まあ、この程度は些細な出費だから仕方ない。
ついでに、ボロ着は還元しておいた。
「え……今どこから服が出て……? それに服が消えて……?」
「早く着て。潰されたいの?」
「ごめんなさい!」
まったく。
驚きで一々動きを止めるなんて、使えない奴隷だな。
後で教育しよう。
その時に、私が生きていれば。
さて、これで準備は完了だ。
そして、魔王もすぐ近くまで来ている。
「命令。必要な時以外は静かにしててね」
「わかりました!」
よろしい。
これで、ビックリ仰天して奇声を上げ、魔王の機嫌を損ねるなんて事もないだろう。
多分、奇声を上げる前に奴隷紋が発動する。
そうして遂に……
「ようこそ、おいでくださいました。魔王様」
オートマタの目で目視できる距離に、照明の光で照らされる位置に、魔王が現れた。
オートマタに静かに頭を下げさせる。
リーフは、魔王という言葉を聞いて、その内容を理解した瞬間、悲鳴を上げそうになったけど、奴隷紋の効果で黙った。
よし。
「ほう。まさか、わざわざ出迎えに来るとは。お主は中々に賢き者のようじゃな」
魔王は、何故か嬉しそうにウンウンと頷いていた。
もてなされるのが嬉しいのだろうか?
「リーフ、椅子をお引きして」
「は、はい!」
「どうぞ、お座りください」
「うむ。良きに計らえ」
そうして、魔王が椅子についたのを確認してから、オートマタも、もう一つの椅子に座る。
リーフは命令通り、立ったままオートマタの後ろに控えた。
さあ、命懸けの交渉の始まりだ。