殺戮のダンジョンマスター籠城記 ~ヒッキー美少女、ダンジョンマスターになってしまったので、引きこもり道を極める~   作:カゲムチャ(虎馬チキン)

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66 勇者狩り終了

 オートマタを王都に送った時、そこはもはや街としての原型を留めていなかった。

 瓦礫の山を通り越して、更地一歩手前だよ。

 ゴ◯ラが暴れるよりも酷い。

 恐るべし超生物。

 でも、遮蔽物がないせいで、簡単に魔王を見つけられたのはよかった。

 見つけた魔王の下へと、オートマタを向かわせる。

 

「おお、マモリか! 今回はようやってくれたのう! 褒めてつかわす!」

「ありがとうございます」

 

 そして魔王もこっちに気づいたみたいで、笑顔でサムズアップしながら、そう言ってきた。

 その足下では、巨人族っぽい爺が虫の息になってる。

 血みどろな上に、両腕を失った状態で、魔王に頭を踏みつけられていた。

 ……身長5メートルくらいある巨体が、中学生くらいの魔王に踏みつけられてるとか、絵面的に凄いシュール。

 

 とりあえず、この巨人を鑑定してみた。

 

ーーー

 

 巨人族 Lv92

 名前 ウォーロック

 

 状態異常 瀕死

 

 HP 6/19054

 MP 0/17744

 

 攻撃 12450

 防御 18000

 魔力 11000

 魔耐 17999

 速度 11550

 

 ユニークスキル

 

 『神の加護』『真装』

 

 スキル

 

 『HP自動回復:Lv51』『MP自動回復:Lv44』『盾術:Lv71』

 

ーーー

 

 神の加護

 

 神によって貸し与えられた力。

 全ステータス+10000

 

ーーー

 

 うわ、強い。

 未熟な勇者より余裕で強いじゃん。

 これが十二使徒か。

 恐ろしい。

 そして、こんな化け物をほぼ無傷で制圧してる魔王は、もっと恐ろしい。

 

 ……しかし、ユニークスキル『神の加護』か。

 全ステータス+10000というチート効果に加えて、魔王の話通りなら、こいつを殺しても、このスキルは次の誰かに移るんだよね。

 貸し与えられた力ってからには、こいつを生かしたまま監禁しても、スキルを引っこ抜く事くらいできそうだし。

 うわぁ、やってられない。

 

「邪悪なる魔王よ……貴様に、女神様の天罰が下らん事を……」

 

 本体の私が思いっきり顔をしかめていた時、死にかけの巨人がそんな事を言い出した。

 その言葉を聞いた瞬間、魔王の顔から笑顔が消える。

 心底不快そうな目で、足下の巨人を睨み付けた。

 モニター越しでもわかるくらい殺気がだだ漏れだ。

 怖い。

 

「黙れ。耳障りじゃ。女神に尻尾を振る事しか脳のない駄犬めが」

 

 そして、魔王は足に力を籠め、巨人の頭を踏み潰した。

 魔王の超ステータスによる踏みつけは、なんかもう爆発音がした。

 効果音が、グチャリじゃなくて、ドカンだよ。

 巨人の頭部が跡形もなく消し飛んでる。

 ……魔王の機嫌を損ねたら、私もこうなるのかな。

 怖いわぁ。

 早く抗えるだけの力を付けなくては。

 

「さて、ここでの戦いはこれにて終わりじゃ。よくやったのう、マモリよ」

「はい」

「おい、魔王よ。俺への労いはないのか?」

「喧しいわ、ドラグライト。お主は今回、殆ど役に立っておらんかったじゃろうが。

 罰として、街の外に降ろしてきたリーフを回収して来い」

「ぐぬぬ」

 

 不満そうに唸りながらも、ドラゴンは魔王の指示通りに飛び立った。

 しかも、リーフを迎えに行ってくれるらしい。

 意外と社員への気配りができた職場だな魔王軍。

 最悪、リーフは道案内が終わった時点で、用済みじゃ死ね! ってなっても仕方ないと思ってたんだけど、無事ならそれに越した事はない。

 

「あ、そういえばマモリよ。シンドウとかいう勇者がお主の事を知り合いとか言っとったんじゃが、どういう関係じゃ?」

「クズです」

「ふぁ?」

 

 おっと、反射的に答えてしまった。

 もう少し、ちゃんと説明しておこう。

 私が勇者の仲間と思われたら堪らないし。

 

「私の事を性的な目で見てきた下郎です。死んでくれて精々しています」

「あ、あー……つまりギランのような奴という事かの?」

「その通りです」

 

 あんな奴、ゴブリンと大差ない。

 というか、世の中の男どもは皆ゴブリンと大差ない。

 大っ嫌いだ。

 

「あー、その、それは悪い事をしたのう……」

 

 ん?

 なんか、魔王が心底申し訳なさそうな顔でオートマタを見てきた。

 何故に、今の流れでそんな顔になるのか?

 

「すまぬ。シンドウとやらを含めて、何人か取り逃がしてしもうたんじゃ。

 いや、こやつらが、予想外にしぶとくてのう」

 

 魔王が、首のなくなった巨人の死体を軽く蹴りつけながら、そう言った。

 ……は?

 逃がした?

 神道を?

 

「おおう、マジか……」

 

 私は思わず嘆きの声を上げ、オートマタはフリーズした。

 あんな、成長したら魔王に匹敵するかもしれない化け物が野放しとか、ダメでしょ、それ。

 こうなったら、魔木に語った作戦を大真面目に検討するしかないかも。

 正直、魔王と共倒れになってくれるのがベストなんだけど、それは運任せになるから却下で。

 運に頼らなくても殺せる手段は持っておきたい。

 

 しかし、これで勇者も敵で、魔王も潜在的な敵か。

 憂鬱だ。

 カムバック平穏。

 ……いや、ちょっと待って。

 私、この世界に来てから平穏なんて一度も味わってないような。

 ダンジョンにはひっきりなしに侵入者が来てたし。

 お、恐ろしい事実に気づいてしまった。

 

「マモリ? おーい」

 

 魔王がフリーズしたオートマタの前で手を振ってるけど、戦慄する私は反応できない。

 そして結局、ドラゴンがリーフを連れて来るまで、オートマタはフリーズし続けたのだった。

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