殺戮のダンジョンマスター籠城記 ~ヒッキー美少女、ダンジョンマスターになってしまったので、引きこもり道を極める~ 作:カゲムチャ(虎馬チキン)
「リーフ、降りて」
「は、はいぃ……」
街の外でオートマタとリーフを馬車から降ろし、馬車と馬車馬をダンジョンに送還。
歩きで来ましたという体(てい)で街を目指す。
でも、リーフは完全に目を回してたから、仕方なくオートマタにおんぶさせて先を急いだ。
そうしてバロムの街の門に辿り着き、門番に冒険者カードを見せて街の中へと入る。
ちなみに、門番は猫耳の生えたおっさんだった。
つまり、獣人族だ。
この国は人族国家だったウルフェウス王国とは違うらしい。
「ちなみに、そっちのお嬢ちゃんも冒険者かい?」
猫耳門番が、いつの間にかオートマタの背中で気絶してしまったリーフを指差しながら聞いてきた。
さて、どう答えるべきか。
リーフは女じゃないというのはどうでもいいとして、同行者と答えるか、素直に奴隷と答えるか。
冒険者だと肯定する選択肢はない。
だって、リーフは冒険者カードを持ってないから。
まあ、ここは当たり障りなく答えておこうか。
「いえ、ただの連れです」
「そうか。なら、通行料銀貨五枚だ」
言われた通りに銀貨五枚を支払う。
ボルドーの街より通行料が高いな。
ちなみに、最近になって知ったんだけど、銀貨一枚は大体千円札と同じくらいの価値らしい。
同じように、銅貨一枚が百円玉、金貨一枚が一万円札って感じだ。
わかりやすくていい。
あと、これ奴隷って言ってたら通行料いくらになってたんだろう?
ちょっと気になる。
そんなこんなのやり取りを経て、いざ街の中へ。
そこで目にした住人の姿は、結構衝撃的だった。
獣耳の生えてる連中。
耳の長い連中。
小柄で横に太い連中。
見上げる程にデカイ連中。
様々な人種が闊歩していた。
この中になら、魔王をぶち込んでも違和感ないかもしれない。
まさに異世界。
「う、うーん……」
さて、この街、というかこの国の説明を聞く為にも、背中で呻いてるリーフを起こさないと。
という事で宿屋に直行。
代金を払って部屋を借り、リーフをベッドに寝かせる。
そして体を揺すって叩き起こした。
「起きて」
「うー……」
しかし起きない。
それどころか、思いっきり魘されてる。
よっほど馬車の旅がキツかったのかな?
奴隷紋で無理矢理起こすのは簡単だけど、この状態じゃまともな話を聞けそうにないかも。
仕方ない。
寝かせておいてやるか。
どうせ、急ぎの用事でもないし。
なんとなく、オートマタにリーフの頭を撫でさせながら、空いた時間を有効活用する。
まず先生ゾンビを転送して、《テレポート》の地点にこの部屋を登録。
あとは、訓練場で魔法の練習に励んだ。
更に、ボス部屋でリビングアーマー先輩を着込んでの戦闘訓練。
サンドバッグである不死身ゾンビをボコボコにした。
ちなみに、自分のダンジョン産の毒はダンジョンマスターには効かないみたいで、ボス部屋の毒を除去する必要はない。
不思議な仕様だ。
それが終わったら真装の特訓。
瞑想し、自分の中の真なる力と向き合い、引き出す。
手応えはある。
もう少しで引き出せそうな感じが。
でも、さすがに今日はまだ無理だった。
「ご主人様……」
瞑想を終えた時、オートマタのモニターから、そんな声が聞こえてきた。
起きたのかと思えば、リーフはまだ寝ている。
どうやら寝言だったらしい。
でも、オートマタに頭を撫でさせ続けたせいか、大分寝顔が穏やかになってる。
その状態の寝言で私を呼ぶとは、これって懐かれたのかな?
まあ、それに不都合はない。
好感度ばっかりは、無理矢理奴隷にしただけじゃ得られないし。
自発的に味方をしてくれる奴隷は得難い。
そこが、調教ゾンビで操った連中とリーフの違いだよね。
そういう意味では、リーフは替えのきかない貴重な手駒だ。
せいぜい可愛がってやるとしよう。
そんな事を思いながら、オートマタでリーフの頭を撫で続けた。
「えへへ……」
微笑みながら手に頭を擦り付けてきたペットは、意外と可愛かった。