殺戮のダンジョンマスター籠城記 ~ヒッキー美少女、ダンジョンマスターになってしまったので、引きこもり道を極める~ 作:カゲムチャ(虎馬チキン)
今回、私自らが出陣を決意した理由は簡単だ。
リビングアーマー先輩IN私の性能を実戦で試す為。
一応、不死身ゾンビとかを相手に訓練はかかさなかったけど、実戦でちゃんと動けるかはわからない。
この形態はダンジョンの最終兵器であり、対魔王戦の要だ。
でも、ぶっつけ本番で魔王に挑むのは怖すぎる。
だからこそ、今の内に実戦経験を積んで、実戦に慣れないといけない。
全ては、いざという時の為の備えなのだ。
まあ、勇者が来てるような現状でやる事でもないような気もするけど。
そこは突っ込んじゃいけない。
いや、むしろ対勇者をも想定した実戦稽古だと思っておこう。
「《サンダーソード》!」
「ッ!? 《タイダルウェイブ》!」
私の放った雷の魔法を、指揮官が水の魔法で津波を起こして防ごうとする。
しかし、それはできなかった。
私の魔法が、電熱で津波を蒸発させながら指揮官に迫る。
「何っ!?」
指揮官が驚愕の声を上げた。
それもわからないでもない。
何せ、この魔法は他の連中と連携したとは言え、あのドラゴンのブレスを防いだ魔法だ。
それが、こうもあっさりと押し返されれば動揺もするだろう。
けど、私にとっては想定内。
何せ、今の私の魔力は、Lvアップと訓練によって6万を超えてる。
対して、指揮官のステータスはこう。
ーーー
人族 Lv87
名前 シー・サブマリーン
状態 真装発動中
HP 8880/10460(5230)
MP 5001/11336(5668)
攻撃 9242(4621)
防御 9160(4580)
魔力 10000(5000)
魔耐 9622(4811)
速度 8800(4400)
ユニークスキル
『真装』
スキル
『HP自動回復:Lv30』『MP自動回復:Lv38』『槍術:Lv41』『水魔法:Lv50』『統率:Lv40』
ーーー
真装『ポセイドン』 耐久値25000
全ステータス×2
専用効果『
真装のスキルによって顕現した力。
本来の持ち主以外が使う事はできない。
ーーー
大海の覇者
真装に水属性攻撃を付与。
水属性攻撃の威力を大幅に上昇。
ーーー
確かに強い。
真装込みで、ステータス1万弱。
属性こそ違うけど、殆ど熱血ゾンビの上位互換だ。
それでも、私には届かない、及ばない。
こいつと私の間には、大きな大きな力の差がある。
ーーー
ダンジョンマスター Lv87
名前 ホンジョウ・マモリ
HP 1200/1200
MP 110450/110500
攻撃 509
防御 505
魔力 65500
魔耐 780
速度 577
ユニークスキル
『大魔導』『真装』
スキル
『MP自動回復:Lv80』『剣術:Lv10』『盾術:Lv10』『雷魔法:Lv65』『回復魔法:Lv65』『並列思考:Lv50』『演算能力:Lv50』『統率:Lv30』
称号
『勇者』『異世界人』『誤転移』
ーーー
リビングアーマー Lvーー
HP 120000/120000
MP 0/0
攻撃 45000
防御 90000
魔力 0
魔耐 90000
速度 30000
スキル
なし
ーーー
これが私の力だ!
完全にチート化したMPと魔力!
そこから放たれる強烈な雷魔法!
リビングアーマー先輩を着込み、そのステータスを自分の物として使えるようになった事で、弱点である物理系ステータスの低さすら克服している!
しかも、リビングアーマー先輩の強化はこれで終わりではない。
現在、創造ゾンビと錬金ゾンビをフル稼働させて、あらゆる最上位金属を合成した超合金『ゴッドメタル』を造ってる最中。
それを使ってリビングアーマー先輩を強化してる訳だけど、生産量があまりに少ないせいで、まだ頭部と胴体しかゴッドメタル製になっていないのだ。
残りは、まだオリハルコン製。
それはつまり、まだまだ伸び代があるという事。
素晴らしい!
このままリビングアーマー先輩を完成させ、真装を使い、超強化したトラップや強者のゾンビ軍団と連携すれば、本気で魔王を倒せるかもしれない。
これは、そういうレベルの力なんだ。
いくらステータスが万を超えているとはいえ、一介の人間ごときが太刀打ちできる相手ではないのだよ!
「くっ!?」
「指揮官!」
「危ない!」
『ぐぁああああああああ!?』
「お前達!?」
雷の魔法から、手下が身を呈して指揮官を守る。
でも、高々数人程度が肉壁になったところで、私の魔法は防げない。
壁となった奴らは、電熱によって黒焦げの炭となり、それを貫通して指揮官にもかなりの痛手を負わせた。
たった一撃でだ。
「おのれ! 《ウォーターカッター》!」
痛みを堪えながら、指揮官が水の魔法を発動する。
槍の穂先から高水圧の水が噴き出し、その状態で薙ぎ払うような攻撃。
私はそれを、オリハルコンの盾で冷静に受けた。
「今だ! かかれ!」
『ハッ!』
ガードして動きが止まった瞬間を狙い、残りの動ける連中全員が、私に総攻撃を仕掛けてくる。
剣が、槍が、魔法が、私を目掛けて全方位から飛んでくる。
でも、甘い。
今の私は自らが戦場に立ってるとはいえ、モニターの機能は健在。
オートマタを操ってる時と同じように、自分の視界を持ちながら、同時に俯瞰視点のモニターで全体を見ている。
全方位から飛びかかって来ようが、私に死角はない!
回避のステップを踏みつつ、剣を盾で受け、槍を剣で受け流す。
魔法をトラップで防ぎ、逆に反撃のトラップで仕留める。
強化されたトラップ達。
落とし穴が動きを止め、矢が敵の腹に風穴を空ける。
ギロチンが首をはね、地雷や剣山が下半身を潰す。
何度も繰り返してきた必殺のフォーメーション。
レーザービームとかの強力なトラップを使うまでもなく、連中はたった数秒で壊滅した。
「そんな……バカな……!?」
最後に残った指揮官が、信じられないと言わんばかりに驚愕する。
そいつに向かって、私は静かに、一歩ずつ近づく。
一対一の真っ向勝負を申し込む。
敵に敬意を表した訳じゃなく、ただ純粋に戦闘経験を積む為に。
「う、うぉおおおおおおおおお!」
最後の意地とばかりに、指揮官が真装を握り締めて突撃してきた。
「《ソニックランス》!」
助走をつけた速い突き。
盾で受け止め、受け流す。
そして、反撃に剣を一振り。
でも、その動きは読まれてたのか、指揮官は加速した槍を地面に突き刺し、棒高跳びの要領で私の上を取った。
「《ファランクス》!」
続いて、頭上から雨のような連続突き。
雨には傘だ。
盾を傘のように使って、これも受け止める。
私の反射神経じゃ間に合わなかったかもしれないけど、リビングアーマー先輩の稼働速度なら余裕で間に合う。
私の体に合わせてリビングアーマー先輩を動かすのではなく、私自身はひたすら脱力して、リビングアーマー先輩の中の人に徹しているからこそできる動きだ。
そして、空中で身動きの取れない指揮官を狙って、壁から矢を放つ。
「ッ!?」
指揮官は咄嗟に体を捻って避けたけど、DPによる強化で凄まじい速度と威力を誇るようになった矢を避けきれず、片足に被弾。
膝の部分が消し飛んで、千切れた足が宙を舞った。
「《スラッシュ》」
「ぐぁ!?」
そこへ私の剣による追撃。
指揮官は槍の柄で防いで直撃は避けた。
だけど、膂力の差によって吹き飛ばされ、壁に叩きつけられる。
更に、剣の時みたいに、ゼロ距離から矢を射撃。
脇腹に風穴を空けてやった。
「ぐ……ぉお……!」
だが、それでも指揮官は立ち上がる。
立ち上がって、真装を構えた。
最後の一撃とばかりに、指揮官の真装である三叉の槍が、凄まじい密度と物量の水を纏う。
私は、それを真っ向から迎え撃つ事にした。
剣に雷の魔法を纏わせる。
材料費をケチったミスリル製の剣が、今の私に放てる最強の魔法を放つ為の触媒となる。
真っ向からの魔法の撃ち合いなんて選んだ理由は簡単。
一度、この魔法を敵に向けて放ってみたかっただけだ。
「うぉおおお! 《アトランティスブレイク》!」
そして、指揮官の最後の一撃が放たれた。
うねりを上げる水の奔流が、私を押し潰そうと迫ってくる。
それに向かって、私は雷を纏った剣を振るった。
「《ゼウス・ザ・ライトニング》」
剣から解き放たれた魔法が、極大の雷となって水の奔流を蒸発させながら突き破る。
最後の大技をあっさりと粉砕された指揮官は、悔しそうに顔を歪めながら雷の中へと呑み込まれた。
魔法が消えた後には、黒焦げになった指揮官の体が一つ。
そうして、決着はついた。