デート・ア・ライブ 黒姫ofクレイジー   作:ゴア・マガラ好き

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こんばんは。
よろしくお願いします


始まり

────何も見えない。

 

それは生まれてからだったが。

 

────何も聞こえない。

 

さっきまでは戦っていた人間の声がしていたはずなのに。

 

────身体が動かない。

 

そこで気づいた。

 

────ああ、敗けたのだ、あのたった一人の人間に。

 

その人間は「私」の攻撃に怖気付かず、立ち向かってきた。

何度か合間見えた人間だったが、あんな短時間でかなりの成長を遂げていた。

 

最初に戦ったのは船の上。

その時は他の船の乱入があり、存分に戦えなかったが、あの時は弱いと確信していた。

 

次に戦ったのは謎の密林だった。

そこであの人間は、仲間を逃がそうと「私」を足止めした。

その時点で警戒していた。

 

そして最後────今回の戦いだ。

遺跡が残っている平原で、「私」は本気で戦った。

しかし、あの人間は「私」に勝った。

本気を出しても勝てない、そんな人間がいるとは思わなかった。

 

────出来なかった。

あの地に帰り、君臨することは。

 

諦められない、が────もうどうしようもない。

「私」は敗け、死ぬのだ。

 

────ああ、もし次があるのなら······。

 

次こそは、あの地に帰りたい。

 

最期に何かが入ってくるような感覚がして意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ────

 

······なんだ、この音は。

······何故音が聞こえている?「私」は死に、全ての感覚を失ったはずだ。

······いや、動かせる、身体が動かせる。が、何故か違和感を感じる。

動かせるということは、鱗粉を撒くこともできるはずだ。

「私」はそう思い、「腕を振る」。

······?何故腕を振っているのだ?翼脚を動かせば鱗粉は撒けるだろう?

そう考えていると、あらゆることが鱗粉から伝わってくる。

地形と周りの状況、それに、自身の姿────。

 

「は?」

 

思わず声を漏らす。

······いや、おかしい。

何故「私」は人間の声を発しているのだ?それに、何故「私」は人間になっている?「私」は竜だ。決して人間ではない。

そう考えていると、様々な情報が頭の中に入ってくる。

 

「っ······なんだ······?」

 

「私」の中に入ってきた情報はこの「世界」の情報、「精霊」という存在の情報、そして────「私」の状態に関する情報だった。

 

どうやら、「ゴア・マガラ」と呼ばれていたらしい私は、「精霊」とかいう存在になったらしい。

天使と霊装というものは、私が扱える武器と装備らしい。

天使は〈黒蝕竜(ゴア)〉と呼べば顕現するらしい。

顕現させれば·········なるほど、面白い。

そして霊装とは今身に着けているものらしい。

何故か、フルフェイスの装備を着用していることや黒いドレスで紫色の模様が入っており翼脚が破れたマントのようになっているといういらない情報まで入ってきた。

そして名前は〈神威霊装・厄災(ブラック・ディザスター)〉。

······完全に理解した。ここは私のいた世界とは全く別の世界なのだと。

 

「精霊を発見!」

 

······誰だ?私の邪魔をするのは。

いつの間にか私の周りに一〇体ほど人間がいたようだ。

 

「見たことの無い精霊です、どうしますか?隊長」

 

「······一度様子見を──」

 

「関係ない」

 

隊長と呼ばれていた女の声を無視し、女が私に向かって攻撃を始めた。

······別に受けてもどうもしないだろうが、一応防いでおくか。

私は前から迫ってくる物を翼脚で防いだ。

······やはり、大したものでは無いようだ。

 

「折紙!あんた何やって──」

 

そんな声が聞こえているが、折紙と呼ばれている女が前にも空にもいない。

となると────。

私は扱えるようになった武器の一つである双剣「クロウofキャリアー」の片方の剣で横からの攻撃を防ぐ。

そしてもう片方の剣で、攻撃が来た方を斬りつける。

······掠りはしたか。しかし······弱い。

 

「ふ、こんなものか。私が知っている人間に比べて、随分軽い攻撃に遅い判断だ」

 

私がそう言うと、少し離れたところに気配がする折紙の顔が少し歪んた。

見える訳では無いが、鱗粉がそれを伝えてくれる。

······少しくらい、私の情報を渡しても構わないだろう。

 

「私は目が全く見えない。だが別の方法でお前たちを見ている。それだけは言っておこう」

 

具体的に何で見ているかは言わず、存在だけを感じさせる。

それだけでいい。

そうすれば勝手に鱗粉に気づくだろうし、それの性質を知れば二度と私に近づくこともないだろう。

あの人間とは違うのだから。

 

「私は精霊という存在らしい。が、人を襲う気は今はない。人間の身体というのは、慣れれば実に楽なものだ。小さいし、咄嗟に動くこともできる」

 

これは本心だ。

前の姿であれば攻撃を避けることは難しいだろうが、この姿であれば避けられる。

しかし、今話したことも自分のことを教えることになっているかもしれない。

 

「······どういう意味かわからない」

 

正面に立っている折紙が言う。

 

「意味がわからない?簡単なことだ。私が人を襲う気がないということを言っただけ」

 

「······信じられるとでも?空間震を起こす精霊の言葉を」

 

「信じてもらえないか。まあわかっていたけど」

 

私はそう言い、小さく息を吐く。

実際、私は空間震を起こす気はない。

起こせないことはないが、やる意味がない。

 

「さて、それでは私はお暇させていただくよ。お前らとは違う人間が近くにいるようだしね」

 

私はそう言い、その気配がする方を見る。

見られたことに気づいたのか、そこにいた人間は少し後ずさる。

 

「······させるとでも?」

 

「無理矢理逃げだすよ」

 

私はそう言い、翼脚を広げる。

そしてそれで地面を殴りつけ、穴を開ける。

下に下水道というものがあるのは鱗粉で察知済みだ。

 

「さらばだ、弱い人間」

 

最後に私はそう言い、穴に落ちる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『完全にバレてたわね······何なのかしら、顔も隠しているし、目が見えないとか言ってたし······』

 

少年、五河士道の耳につけている小型機器からそのような声が聴こえる。

 

「さぁ······だけど、俺たちに敵意はない······と思う」

 

誰もいなくなったので、士道は彼女が落ちていった穴を間近で見る。

 

「なんだか、あの子が言ってた言葉に少しだけ違和感があったような······」

 

『違和感?何かしら』

 

「いや、なんて言うか······」

 

士道は言葉につまる。

確かに違和感があったのだが、それが何なのかがわかっていないのだ。

実に簡単なことなのに、だ。

 

「······ごめん、説明は難しそうだ」

 

『まったく、使えないわねぇ。自分の語彙力くらいどうにかしなさいよね』

 

「うぐ······」

 

妹にして〈ラタトスク機関〉に所属する空中艦〈フラクシナス〉の司令、五河琴里からの突然の罵倒に、士道は小さく唸ることしか出来なかった。

 

『でもまぁ、確かに私も違和感はあったわ。未知な相手だから難しく考えすぎてるのかもしれないわね。もっと簡単なところにあるような······』

 

「どうなんだろう······ん?あれは······」

 

士道は穴の近くにあった黒い粉のようなものを見つけた。

 

『ちょっと、どうしたのよ士道』

 

「いや、なんか変なものが······」

 

士道はそう言い、黒い粉に触れる。

触れるとその黒い粉は小さくなって消えていった。

 

「なんだったんだ?あれ······」

 

『······どうやら、僅かだが霊力反応があるようだ。彼女が使っているのかもしれない』

 

そう言うのは〈フラクシナス〉の解析官、村雨令音である。

 

「使っている?どうやって······」

 

『······目が見えない彼女が、周りを見るために使っているのかもしれないね』

 

「さすがにそれは······」

 

士道は玲音の言葉を否定する。

確かにあの粉で周りを見ているなんて、簡単に信じられることではない。

 

『······まあ、私の一意見だ』

 

『とにかく撤収よ。今乗せるわ』

 

琴里がそう言うと、士道は浮遊感を覚える。

そして先程まで士道がいた場所には、何も無くなっていた。




時系列は原作の士道と琴里がデートする前くらいです。
体調悪いですが指揮執ってます(ゴリ押し)
折紙が結構荒れてる(?)時期なので今回のような行動もあるかなと······。
これからよろしくお願いします!
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