デート・ア・ライブ 黒姫ofクレイジー 作:ゴア・マガラ好き
発つ竜、翼を伸ばせず
私は空を飛んでいる。
ただ、自分では飛んでいない。
ただ、快適な空間で、目的の地まで身を委ねている。
つまり、何が言いたいのかと言うと─────。
「鳶一折紙、貴様、謀ったな!」
「そんなことはない」
「落ち着けって二人とも······」
「······ふむ。自分で飛ぶのではなく、ただ揺られるだけというのも良いものだ」
─────修学旅行、ということだ。
「みなさーん、集まってくださーい!」
教師がそう言うと、皆がそこに集まる。
が、シドウと十香だけは、どこかへ行ってしまった。
一応、いつでも追えるように、鱗粉は忍ばせているが、追う必要もないだろう。
にしても、だ。
「風が、強いな」
風といえば、思い出すことがある。
嵐を操る「龍」の話を。
私が目指す姿とは異なるが、そいつも「龍」だ。
今の私では太刀打ちできぬが、私が「龍」となった時、あの人間との再戦後にでも挑んでみたいものだ。
「士道よ、我を選ぶが良い」
「誘惑、私を選ぶべきです。士道」
帰ってきたシドウは、背中に十香を背負い、両腕に女を二人つけて帰ってきた。
にしてもこの女······精霊か?
全く同じ気配がするが······。
とりあえず戦ってみたいが、シドウが私を睨んでいる。
後で誘い出して戦うのはやめておくか。
にしても、何故皆は騒いでいるのだ。
シドウが女に囲まれているなど、前からのことなのだろう?
慣れればよいのだ。
どうせこれからも増えるだろうし、その度に騒いでいてはキリがない。
「······シン、ついてきたまえ」
その声に、私は驚いた。
何故だ?気配が一切しなかった。
教師として学校にいるが、シドウがいる組織の仲間なのだろう。
しかし、だ。
何故こいつは────。
そこまで考え、私はその先を考えるのをやめた。
私の邪魔さえしなければ、後はどうでもいい。
その声の主に、シドウたちはついていった。
盗聴しておくか。
盗聴の結果、あの二人の女は精霊ということが確定した。
そして、元は一人の精霊だったことも。
私としては、弱い二人を相手にするより強い一人と戦いたいのだが、シドウはどちらか片方を選ぶことはしないだろう。
実に残念だ。
あの風の強さなら、一つの存在になればかの「鋼龍」の、一つ手前並の風の力を手に入れただろうに。
もしそうなっていれば、私は〈天使〉を使ってでも戦い尽くしたのだが。
「ねー黒姫ちゃん。一緒にお風呂行かない?」
「む?そうだな······」
風呂か。
裸になるのは少々不味い。
私の体は男女のどちらの特徴も持ち合わせていない。
見られてしまえば、私の交友関係は壊れる恐れがある。
いつかは壊すが、今はまだそのときではない。
「······いや、私は後で入るよ」
「そう?なら私たちは入って来るからねー」
亜衣はそう言うと、麻衣と美衣を連れて風呂に向かった。
さて、私は何をしよう。
そうだ、武器の手入れをしよう。
確か使った武器は、双剣、ハンマー、狩猟笛、ガンランス、操虫棍だったはずだ。ハンマーは金庫を壊す為に、狩猟笛は逃げる為に演奏した程度だから問題ないだろう。
となれば双剣とガンランスと操虫棍だ。
双剣はこの中で一番使用しているし、ガンランスは少々無茶な使い方をした。
操虫棍も硬いもの相手に、無理やり切りつけた。
そのため、どの武器もボロボロになっている。
さて、まずは双剣から直すか。
確か、砥石を使えばよいのだよな。
何度か使えば······ふむ、最初に見た時のような見た目に戻ったな。
ガンランスは砥石も使い、弾を装填しておくか。
一度ガンランスを折り、空になった薬莢を取り出す。
そして、新しい弾を五発装填する。
元に戻し、砥石を使う。
最後に操虫棍だ。
まずは猟虫の餌をやる。
猟虫がそれを食べている間に、棍の手入れを始める。
これは双剣と同様に、砥石を使えばいいだろう。
全て、三〇分程度で終わった。
休憩していると、廊下から足音が聞こえてきた。
なんだ?皆は風呂に入っているはずだが。
私はそう思い、廊下に出てみる。
そこにいたのは、腰にタオルを巻き、自身を抱くようにし、ガタガタと震えているシドウだった。
それを見た私は、つい笑ってしまう。
「なっ、何が、おかしいんだ······」
「いや、そのように震えている人間は初めて見るのでな。面白く思ったまでだ」
私がそう言うと、シドウはくしゃみをする。
「······俺は行くところがあるんだ。どいてくれないか?」
「ついていってやろうか?」
「いや、そんな必要はない」
シドウの言葉を聞き、私は道をあける。
ま、大抵あの女教師のところだろうな。
明らかに生徒と教師という関係だけではない。
まあいい、あれも直接は私の邪魔をしないだろう。
邪魔さえしなければ、それでいい。
夜、私は一人で湯船に浸かっていた。
風呂というのはいいものだと、入っていると実感させられる。
竜の姿で入ったことはないし、そもそも近くにそんなものはなかった。
「月、か」
私は一人でそうつぶやく。
私は、ある話を思い出したのだ。
────ある場所に、月の竜と太陽の竜がいる。
そのようなものだったが、私はそれに興味を惹かれていた。
一時はずっと探していた。
が、見つけられることはなく、諦めることにした。
探していた理由は、勿論戦うためだ。
二体の竜は、強力な力を秘めているらしく、「龍」には劣るが、それでも強者として人間の間では名を残しているらしい。
「······さて、そろそろあがるか」
私はそう呟き、脱衣所に向かう。
身体を拭き、浴衣を身につける。
部屋に戻る途中、甲高い叫び声がしたが、私は無視して部屋に戻った。
部屋では枕投げが行われており、私も参戦した。
勿論、私は勝利した。
さて、今回から八舞テンペストに突入します。
ちなみに、黒姫は士道にかなり警戒されています。
アンケートについてですが、期間を10月23日の0時とさせていただきます。
かなり票が来ていて、かなり驚いていますw
p.s:UA3000、お気に入り70突破、ありがとうございます!
少しぼーっとしてたらこんななっていましたw
これからもよろしくお願いします!
バッドエンドとハッピーエンド、どちらを先にみたいですか?
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