デート・ア・ライブ 黒姫ofクレイジー 作:ゴア・マガラ好き
黒姫が学校を休み始めてから、一週間経った。
「みなさーん。席についてくださーい!」
士道はいつも通り、黒姫からの伝言があると思っていた。
「ええと······出席をとりまーす!」
「え?」
士道は思わず声を出す。
どういうことだ?と思っていると、隣の十香が言う。
「黒姫の伝言はどうしたのだ?タマちゃん先生よ」
「えっと······それが、その······連絡がなかったんですよ!」
それを聞き、士道はおかしいと思う。
黒姫は、続けていたことを突然止めるような性格とは思えない。
きっと何かあったに違いない。
そう思考をめぐらせた時だった。
「すみません、遅れました!」
「え────」
士道は声がした方を見る。
誰の声かはわかっている。
だが、ありえないのだ。
彼女がそんな話し方をするような人じゃなかった。
「······?皆さん、どうかしましたか?」
「く、黒姫さん?」
「ええ、そうですよ?どうかしました?」
「い、いいえ!席についてください!」
確かにそこにいたのだ。
黒禍黒姫が。
いつものような何か含んだような笑みではなく、純粋な、美しい笑顔を見せ、立っていた。
「なあ貴様、本当に黒姫なのか?」
「どうしたの?十香ちゃん」
「な────十香ちゃん、だと!?」
黒姫の言ったことに、十香は驚く。
いつも「十香」と呼ばれていたのに、「十香ちゃん」と呼ばれたことに驚いたのだ。
「ちょ、どうしたの黒姫ちゃん!」
「そうだよ!そんな話し方じゃなかったよね!?」
「だよね!?」
「えっと······どうしたの?亜衣ちゃん、麻衣ちゃん、美衣ちゃん」
『な────』
亜衣麻衣美衣もその変化に驚く。
いつものようなイタイ話し方はどうしたの?と言いたげな顔をしている。
「な、なあ、黒姫······」
「何?士道くん」
「······えっと、ちょっと付き合ってくれないか?」
「?いいよ?」
屋上で、士道と黒姫は向かい合っていた。
「黒姫······今から言うことに答えてくれ」
「質問によるけど······いいよ」
「······どうしちまったんだよ······この二日の間に、一体何があったんだ?教えてくれ!」
「え?」
「お前は「黒禍黒姫」を調べると言った。それと今のお前に何か関係が────」
「ちょっと待って!」
士道の言葉の途中で黒姫が言う。
「さっきから士道くんが何を言ってるのかわからないよ?私を調べるって何?」
「な────」
おかしい。
黒姫は自身の目的のためなら誰であろうと殺すと言った。
そんな黒姫が、自身の目的を忘れるのか?
「お前は、誰だ······?」
「え?私は黒姫だよ?」
士道はそう言う少女の顔を見て、ただ困惑することしかできなかった。
昼休み。
士道は誰も使っていないトイレにいた。
そして、妹の琴里に電話していた。
『なんなのだー?おにーちゃん!』
「······大事な話がある」
士道が言うと、シュルシュルと布が擦れるような音がする。
『何?いつになく辛気臭いわね』
「黒姫に異変が起きた」
『黒姫?ああ、〈アンノウン〉ね。それがどうかしたの?』
「今日学校に来た。そしたら、何もかも違ってた。口調も、雰囲気も、表情も」
『······確かに異変といえば異変ね。で、どうして私に?』
琴里が言った時、士道は考える。
頼んでもいいのだろうか?と。
あの時約束した。
他言無用だと言われ、それを承諾した。
これを頼む以上、その約束は守れない。
だけど────。
「頼む、「黒禍黒姫」という人間を、調べてくれ」
────俺は何があったのか、知りたい。
『······それはどうして?そう言うのなら、何か訳があるんでしょう?』
「ああ、全部話す。二日前────」
「黒姫。放課後ちょっといいか?」
「士道くん······いいよ。気が済むまで付き合ってあげる」
昼休みが終わり、士道は教室に戻ってすぐ、黒姫に言う。
黒姫は一瞬困ったような顔をしたが、次の瞬間には笑顔になっていた。
「ならまた屋上で」
「うん」
この結果により、士道がやるべきことが決まる。
そして時は流れ、放課後。
二人はまた屋上で向かい合っていた。
「黒姫、まずは一つ謝らさせてくれ」
「何か、謝られるようなことがあったの?」
「······すまない。お前との約束、破っちまった。本当に、すまない」
士道は言い、頭を下げる。
「え?何か約束してたの?」
「······やっぱり、そうなんだな。黒禍黒姫······」
「え?」
「黒姫······覚えてるか?お前が話してくれたこと」
「私が、話した······?さ、さっきから何を言ってるの?士道くん······?」
「黒姫の家庭の事情だ」
「え─────」
その瞬間、黒姫の顔から表情が消えた。
「俺はそのことでお前に何か思ったわけじゃないんだ。ただお前と話を────」
「やめて!」
士道の言葉の途中で黒姫が叫ぶ。
「どうせ士道くんも、私を拒絶するんでしょう······?なら、私のことなんて放っておいて!」
「黒姫······俺は拒絶なんてしない。ただ話を────」
士道は言いながら手を伸ばす。
が、その手は黒姫に拒まれた。
「もう······なんなのよ······私は、あなた達のことなんて知らないのに······どうして私は知っているの······?どうしてあなた達は私を知っているの······?」
それは、黒禍黒姫という少女の本音だった。
今日彼女は、久しぶりに学校に来たからか、みんなが黒姫の周りに集まった。
少女は誰も知らないのに、何故か知っている。
誰とも知らぬ
そこに思い出なんてない。
名前と年齢、口調に性格。
そのような事務的な情報のみだった。
だが、それでも少女は笑顔だった。
思い出がないなら作ればいい、と。
そう思って来た学校で、まさかの初日で家庭の事情が知られた。
しかも、自分から話したかのように。
「ねぇ、教えてよ······ねぇ、士道くん······!」
少女は涙を流して言う。
こんな少女に、全てを伝えていいのか?と士道は思う。
何もわからず涙を流している少女に、教えてしまってもいいのか?
けど、伝えないといけない。
士道は決心し、話し始める。
「黒姫。お前は、竜に身体を使われていたんだ。そしてその竜が話してくれた」
「竜······?」
「そうだ。そして二日前に、お前のことを調べるって─────」
「ふざけないで!」
少女の叫びに士道は話を止める。
その叫びは、悲しむようなものではなく、怒りを感じる。
顔も、士道を睨んでいる。
「私の周りには竜竜竜竜─────うるさいんですよ!鬱陶しいんですよ!何が竜ですか。そんなもの、いるなら今すぐ持ってきてくださいよ!」
士道は唖然とする。
やはり少女は苦しんでいる。
この状況で、それだけは理解していた。
「あの変な人だって、竜の力をあげるとか────」
そう言った瞬間、少女は頭を押えて膝をつく。
「だ、大丈夫か!?」
士道が問いかけるが、苦しそうな声を出すだけで答えない。
「え────」
士道は少女が口に出した言葉で、言葉を失う。
確かに少女は言った。
掠れた声で。
弱々しい声で。
「私は死んだ」と。
一体どうなってしまったんですかね······
ちゃんと終わらせるつもりなので、大丈夫、だと思います······
バッドエンドとハッピーエンド、どちらを先にみたいですか?
-
バッドエンド
-
ハッピーエンド