デート・ア・ライブ 黒姫ofクレイジー 作:ゴア・マガラ好き
─────
世界が崩れる。
目の前の人間から始まり、地面、建物、空と、次々と崩れて消える。
───そして再構築される。
「────は」
私は周りを見る。
そこは先程までいた場所ではなく、機械的な、壁と天井。
「────」
私は悟った。
私の行動が制限され、ここまで戻されたことを理解し、何も出来ないのだと、悟った。
ペタリ、と床に私の手と膝がつく。
何故────。
何故、何故、何故。
私はこんなに弱くなり、行動を制限されているのだ。
そう考えた時。
『────』
「────ちっ······」
聴こえるはずのない声が聴こえた。
私はその声で冷静さを取り戻し、嫌々その声に意識を向ける。
そして、あの人間が表に出ていた時にやっていたように、話しかけるように思考する。
お前の仕業か、黒禍黒姫。
そして、私の中で眠った意識の名前を告げる。
『そうだよ。········ま、正確には少し違うよ。頼んでやってもらったの』
誰に────いや、わかった。眠ったはずのお前の意識に語りかけるなんて異常をやってのけるなど、あの女しかいない。そうだろう?
どうやったかは別として、だ。
『······女かどうかわからないけど、多分そう』
やはりか。で、どうしてこんなことをした?
『あなたに忠告するためよ、竜』
忠告?竜が大っ嫌いなお前らしくない。
そう煽るが、無視されてしまった。
『······あなたが気づいていないからよ。いつまでたっても、ね』
······何に、気がついていないと?
『あなたの身体は私が霊力を込めて飛ばした鱗粉が成長したもの』
·······まさか
『そう、あなたの力が奪われることがあれば、奪われた分だけ弱くなる。そして、力が逆流したとして、あなたに力が返ってくることはない』
······奪われた分だけ弱くなる、それはわかった。しかし、何故私の元に力が帰ってこないのだ。
『あなたが本体ではなく鱗粉による分裂体だから。分裂体である以上、奪われることがあっても霊力のパスは繋がらない』
パスが繋がっていなければこの船の連中が気づきそうなものだが。
『分裂体というもの自体がイレギュラーだから、機械が誤作動を起こす。だから誰も繋がっていないことに気づかない』
ふむ······
おおよそ理解できた。
しかし、最後に訊かねばならない。
何故そんなことを私に教える?教えるためだけにこんな世界を創ったのか?
『······教えるのはあなたが消えると私も同時に消えるから。この空間は────』
黒姫は何かを躊躇うように黙る。
早く言え。
『······あなたが彼らと敵対せずに、普通に暮らしているところが見たかったから』
────驚いた。そうか、ならばその願いに答える必要があるだろう。
『······え?』
では、私は奴らと「普通の生活」とやらをしてやろう。一日だけだ。それが終わり次第、この夢から覚めさせてくれ。
『······わかった』
その言葉を聴き、私は意識を周りに向ける。
まだ自分が床に手をつけたままだと気づき起き上がる。
さて、待っていればコトリが来るはずだ。
「黒姫じゃない。おはよう。朝早いわね」
「ん、おはようコトリ。お前も人の事は言えぬな」
私は最初と違い、できるだけ友好的な態度で返す。
あの人間の最後の願いだ。
叶えてやるのも悪くない。
「これから学校か?」
「ええ、そうね」
「なら放課後、皆で遊びにでも行かないか?」
コトリにそう言うと、目を大きくして驚く。
「珍しいわね。いつも遊びに誘っても断ってるのに」
「何。私のこの貧弱さをどうにかする方法が見つかったのでな」
どうにかする方法。
それは現実でもやった黒姫の死体を食べること。
それをすれば霊力が追加されるはずだ。
最初のコトリの話から、私はその時には既にシドウに落とされていたようだ。
でなければ本気で戦っていたはずだ。
······いや待て、こんなに弱くなった私はどうやってコトリと戦ったのだ?
戦えるはずが────
「本当?じゃあ今からする?時間ならまだあるし」
私の考えはコトリの言葉に中断された。
······まあ、後で考えるか。
「いや、大丈夫だ。行くのに時間はかかるだろうが、戻ってくるは早くなるからな」
「そう?じゃあ私は士道を起こしに行ってくるわ」
あの人間は妹に起こされているのか。
「行ってこい。私もそろそろ出る。じゃあな」
「ええ、また放課後」
コトリは言うと、そのまま歩いて行った。
さて、登山の準備······いや、支えの棒を持っていこう。
私は山にある黒姫の家の前にいる。
「はぁ······はぁ······ふぅ······やはり、疲れるもの、だな」
息を切らしながら言う。
まあ、この疲れからもこれからさよならだ。
私は家の中に入る。
少し探すと、現実と全く同じ場所に死体はあった。
······さて、不愉快極まりないが、この身体をどうにかするためだ。
食うしかない。
私は覚悟を決め、その死体に口を近づけ────
────いつの間にか食べ終えていた。
前のような感覚はなく、しかし食べたと実感出来る。
疲れが消え、普通に歩くことが出来る。
「試してみるか。『
霊装を纏い、翼脚を確認する。
······よし、大丈夫だ。
これなら飛べる。
となれば早く帰らねば。
家から出て、翼脚を広げる。
そして出来るだけ速度を上げ、フラクシナスに向かう。
私がフラクシナスに戻った時には全員が揃っていた。
十香に四糸乃、耶倶矢に夕弦、美九にコトリ、そしてシドウ。
まずは全員でカラオケに行った。
歌など歌ったこともなかったが、初めてにしてはなかなかだと思っている。
しかし、皆が口を揃えて「二度と歌わないでくれ」と言う。
何故だ。
カラオケが終わると次はゲームセンターに向かった。
どうやら私の「眼」については説明されているらしく、シューティングゲームを指示を受けながらすることになった。
ゾンビを銃で撃つやつだ。
なかなか難しかったが、なかなか楽しかった。
他にはクレーンゲームもやった。
全員お揃いのストラップを入手することができた。
そして夜。
全員でシドウの家に集まって鍋を食べた。
皆それぞれが好きな素材を持ち寄ったため、なかなかに混沌とした鍋が出来上がった。
皆がそれぞれ何を持ち寄ったのか、それは言わなくてもわかるだろう。
ちなみに私は適当に肉を持って行った。
まともな材料ということで、シドウが泣いて喜んでいた。
ちなみに味は見た目に反して美味かった。
そして食べ終え、解散する。
私はフラクシナスに用意されていた自分の部屋のベッドで横になっていた。
そして私はあいつに話しかけるように思考する。
どうだったか?今日一日の出来事は。
『······あれが私の憧れたもの······』
そうだ。
あれが人間の日常、その一端だ。
『······じゃあ、約束通り元に戻すわ』
待て、最後に一つ答えろ。
『何?』
何故、私に日常を体験させようとした?
お前自身がこの世界にいれば良かったのではないか?
『······こんな夢にいても、私はきっと普通に暮らせない。暮らし方が、わからないから』
────そうか。
『······それじゃあ、さようなら。今度こそ、二度と合わないはず』
ああ、さらばだ。
────私の意識が身体から離れる。
下を見れば目を瞑った私がいる。
これから私は夢から覚める。
床が崩れる。
壁が崩れる。
家具が崩れる。
人が崩れる。
そして、世界が崩れる────。
────夢から覚めたと、私は自覚する。
ベッドから降り、服を着替え、身支度を整える。
何かを呟くことも無く、ただ黙々と。
だが、鏡を見て、私は思わず口を開く。
「────おはよう。私」
そう言い口を歪め、笑顔を作る。
返事は帰ってこないが、私は巣の出口に向かう。
そして、今日も私なりの日常を過ごす。
明るい内は学生として。
時々精霊として。
さて、今日は何をしようか。
ASTにでも喧嘩を売るか。
折紙を私の理想に育てあげるために、な。
お久しぶりです。
最後に投稿したのはいつでしたっけ。
それすら忘れましたよ······。
さて、これで番外編は終わりです。
一応時系列的には黒姫が復活した日の夜の夢、というところです。
つまりまだ先のことですね()
番外編はリハビリで書くので、これから長い期間が空いた時、「あっ次は番外編だな」と思っていただければ······。
それでは次は本編です。
誰が出てくるかは······デート・ア・ライブを知ってる方なら、わかりますね?
バッドエンドとハッピーエンド、どちらを先にみたいですか?
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バッドエンド
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ハッピーエンド