俺のネギま! 作:ばうえもん
修整しましたので原作開始時点で横嶋16歳、アリサ9歳になっています。
「これはこれは、随分遅いので迎えに来てみればお楽しみの最中でしたか?」
「何処をどう見たらそうなるんですか」
近くで行われた会話で目が覚めた私は身を起こす。今まで枕にしていたのは先程会ったばかりの横島忠夫さんの太股だったようだ。寝ぼけて働かない頭のまま、いつの間にか敷かれていた敷物の上で座り込んでもう一人の声の主を見上げて絶句してしまいました。
「アルビレオ……、イマ?」
「おや? 私の事をご存知でしたか」
「先程会ったネギ君にはスルーされたんですけどねぇ」と溢す彼の態度に私は自分のミスを悟りました。
どういうわけか私達兄妹に対して
そんな状況ですので、ネギの様に只のお客様として接するのが正しい反応だったのでしょう。ですが私は二人とも名前で呼んでしまいました。お二人がメルディアナ魔法学校の現状を知らなければ誤魔化せますが、先ほどの反応からある程度は気付いているようです。
「そういえば「横島忠夫」の事も知ってたな。この現状で情報を集める事が出来るとは、俺が思っている以上に強かなのかな?」
どこか他人事のような声色で話す横島さん。彼は先程助けに来たと言ってくれました。下手に誤魔化して不信感を与えるよりは信用して貰う為にも話してしまうべきでしょうか? ですが嘗ての仲間の娘がわけがわからない存在に取りつかれたなどと思われては。
彼らにしてみればライフメーカーの例が有りますから憑依という現象を理解出来るはずです。その場合は私の存在が原因でアリサ・スプリングフィールドが落ちこぼれになってしまったと考えられる可能性も有るのではないでしょうか……
「既に動き出したんだから悩むのは終わってからだな」
「さて、お姫様。君には二つ…いや三つだな、謝らないといけない事があるんだが聞いてくれるかい?」
「はい」
お道化たように振る舞いつつも真剣な目で此方をみる横島さんに私はそう答えるしかなかった。どの道どん詰まりの私の人生をどうにかするには彼を頼るしかないので「まず最初に誤解を解いておくが俺は横島忠夫じゃあないんだ」「へっ!?」
助けを求めてアルビレオ・イマさんを見れば彼は胡散臭い笑顔で面白そうに此方を見ているだけです。向き直った私に横島忠夫さん
「なんでか知らんが魔法関係者にはよく間違われるのだが、俺って40代に見えるんかね? そもそも大戦の頃って未だ生まれても居ないんだが」
「それは、その、魔族因子…じゃなくて魔法世界なら長命種とか年齢詐称薬とか色々と有りますので」
「ん? まぁいいか。
横島忠夫に見た目が似てるのはどうも遠縁らしいからだ。正真正銘の別人なんだが、今は後継として修行中だから君の希望になれると思う」
私の失言を軽く流して自己紹介を続ける彼の名前は……こう書くんだぜと翡翠色に輝く指先で宙に書かれた文字は『横嶋忠雄』
やっぱり彼はヨコシマタダオさんで、確かに誤解はあったけど、なんとなくだけど、私は彼に嘘を吐かれたわけではないと思った。
疲れ切っていた私に手を差し伸べてくれたこの人は横島忠夫ではないけれども、私のヒーローなのだから
その時、私達の運命の歯車が廻る音がした。
時は遡り中学三年の春、俺のクラスは修学旅行で京都へ行った。
俺自身はD横島から与えられた能力の一つであるゲームの様なメニューシステム*1があるので現地に入ってしまえば調査関係は片手間で出来る。もっとも地脈記憶から情報を習得するというマップ機能の仕様を知っていれば誤魔化す事は可能なのだが、俺が知る限りこの世界では未知の技術なので大丈夫だろう。
D横島が行方不明になった原因だがこれが複雑で、ナギ・スプリングフィールドに与えた特殊な式神が
今度はその穴の向こう側から入り込もうとした連中がいて、なんとかソレを押し返したがD横島本人も次元の狭間っぽい場所に落ちてしまう。その後は帰還する際に直接移動が不可能だった為に複数の世界を渡り歩いて来たそうだ。
その過程で訪れた世界でその世界固有の能力を手に入れるわ現地で神魔族殺すわ数段階位を上げるわで、最終的に普通に宗派で祭られるレベルの神魔族と戦闘をこなす化け物が誕生したわけだ。ぶっちゃけ今ならライフメーカーも瞬殺可能なんだが、むしろ外側から魔法世界を足掛かりに現世に入りこもうとする連中の方が数段ヤバくて手が離せないらしい。一体なにと戦ってるんだ…!?
そんなD横島のおこぼれで霊能以外の異能を得たんだが、ゲームみたいなこのシステムって出来る事が多くて呆れる程にチート*2なんだよな。
話を戻すがこちらの日程を学園長を通じて手に入れていたのか自由行動のタイミングで近衛詠春が接触して来た。幾ら関西呪術協会の御膝元だからって組織のトップがホイホイ顔出すのはどうかと思います。
なんでも桜咲刹那の件で一言言いたかったそうだ。俺がほんの少し前まで一般人だった為に、切り掛かられて過剰に反撃してしまったのも理解出来るし、通達を受けたにも拘らず一方的に敵視して仕掛けた側なので苦情で済ませるが、娘の護衛を駄目にしたのだから目に届く範囲でいいから気を付けてくれと言われた。
その苦情って恐らく桜咲刹那の行動を察知していても俺の力を見る為に放置していた学園長に言うべきじゃないですかねぇ?
「それを踏まえて娘の周囲に気を配って欲しくてお願いしているんですよ」
ああなるほどね、裏の事情に巻き込んで欲しくないから俺に対する釘刺しも兼ねてってわけね。
「多分それ無駄に終わるんじゃないでしょうか」
「どういう事でしょうか、何か掴んでいるのですか?」
「いえ全然、ただ予知は無理でも予想は出来ます。何時何が起きるかわからなくても、何れ騒動が起きると予想は出来ます」
「いったい何を言いたいのですか?」
「彼女のクラスって異常に多いんですよ。あれだけ集めれば騒動の一つや二つ起きても不思議じゃないでしょう?」
主語を省いたが言いたいことは伝わっただろう。クラスメイトの情報を何処まで把握しているか知らんが娘の同居人が誰かは知らんはずがあるまい。俺がアルビレオ・イマに師事している事と横島忠夫の関係者で有るとの情報も有るだろうから俺が魔法関係者だけではなく巫女についても言っているのも理解しているだろう。
その時はその程度のやり取りで終了した。
麻帆良に戻ってからは学祭期間に入る。
その時期の世界樹の高まった魔力を消費して地下遺跡の最下層の更に下に設置された元始風水盤(これは麻帆良側も把握していなかった。ご都合主義乙)を使用して一時的に麻帆良の結界内の法則に手を加えた。内容はとある因子を持つ俺以外には何の意味も無い物だ。
この短期間で本来はあり得ない程の強化を実現したのだが、それは飽くまでも肉体面であり、霊能力者としての格は上がっていない。もっともこの数か月は霊能力者としての成長が早過ぎて肉体面の成長が間に合ってなかったのでこれでトントンといったところである。
果たして何処から何処までがD横島の仕込みなのだろうか?
その他にD横島が残したアイテムや資産を回収した結果一生遊んで暮らせそうな財産を引き継ぐ事になったのだが、そもそも表の資産じゃ無いので裏の取引以外では迂闊に使う事も出来ん。多少は表での活動資金が欲しかったのだが中学生の身では現金化に手間取り必然的に学園長に頼らざるを得なかった。
そこまで準備して、まとまった活動時間を取れる夏季休暇中に俺達はイギリスへ不法入国をした。真っ当に移動したら時間が掛かるし足跡も残るから止むを得ないのだ。
件のネギ少年の日常を観察できて満足そうなアルビレオ・イマと対照的に俺は混乱していた
なぜならば原作(未読なので二次知識だが)には存在しないハズの妹が居たからである。
そうですか、警戒していた第三のYOKOSHIMAではなくまさかのオリ主登場ですか。俺は風雲拳の使い手ではないがブーメランが唸るぜ!!
彼女を観察していて思い出したが高畑先生から彼女の名前が出た事がなかった。疑問に思ってアルビレオ・イマに話を振って見れば珍しくばつが悪そうな顔をしている。ついついナギ・スプリングフィールドに似ているネギ・スプリングフィールドに肩入れしがちになるらしい。
因みに妹ちゃんは二股眉ではないものの母親似のようだ。普通の眉毛で良かったな、眉毛一つでも結構印象が違うからな
それにしても違和感があったので数日に亘って観察を続けたのだが……
魔法使いの子供が言う「立派な魔法使いに成りたい」って嘘だろ。虐めやってて何処が立派な魔法使いだよ
「率直に言ってどう思います?
俺は気持ち悪いって思うし、横島忠夫が見たら人間嫌いが加速しそうなんすけど」
横島忠夫は母親の方とは元々折り合いが悪い上に自分が別れてからの出来事を知ってからは完全に嫌っていたようだけど
母親に付いては自業自得って思ってるようだけど、娘には罪は無いからこの場合はどういう反応をするだろうか?
「助けたいのですか?」
「貴方はナギ・スプリングフィールドが解放された時に合わせる顔が有りますか?」
「そうですね、私達こそ率先して動くべきでした。しかしどうしましょうか?母親の時のように拐って逃げるわけにもいけませんし」
「あー、少し考えてみます。
手っ取り早いのは貴方のネームバリューに頼る事ですが、まだ弱いかな?」
「私が隠れているのには理由が有りますので手掛かりになるような事は避けたいのですが」
となるとあの人に頼るしかない? 結局俺が表立って動くわけかよ。
しゃーねーか、今日のところは接触は諦めて一端日本に帰りますか。
「すみませんが結局は貴方に頼る事になりそうです。根回しに関しては出来るだけ手伝わせて戴きますので」
「しかし横島忠夫は貴方を後ろ盾にと言ったけど、表立って動けない後ろ盾ってあんまり意味ないっすね」
「面目無い、この際詠春に鞍替えしますか?」
「現実問題この件はそうしなきゃならんでしょうよ。
ポン刀ってOSR値高くてオリ主っぽいから師匠替えも有りか?」
「そこは嘘でも否定して欲しかったですね」
それからは根回しに帆走した結果、俺は近衛詠春の名代としてアルビレオ・イマと二人でメルディアナ魔法学校の校長をノーアポで訪ねた。正式な方法だと俺からアルビレオ・イマの足取りを追われる可能性があるからだ。
俺が文珠まで使用して職員や出入りする人間の裏を取って、メガロメセンブリアの息の掛かった人間に気取られないタイミングで極秘に接触した。
英雄二人の名前の効果は絶大で、アリサ・スプリングフィールドの現状に思うところがあった校長も協力してくれる事になった。ただ普通に彼女をメルディアナ魔法学校から出すとメガロメセンブリアも相応の対応をしてくるので何らかの工作が必要となる。
そこで彼女には詠春さんの養女となってもらう方向で交渉をした。
かの英雄の戦友であるサムライマスターが残された英雄の忘れ形見を引き取ると言えば周囲も反対し難い。これがネギ・スプリングフィールドだったら次代の英雄候補を魔法使い以外に託すのに抵抗があっただろうが、魔力が並の彼女ならばそこまでの抵抗はない。更には彼女の状況をかなり正確に把握していたのかメガロメセンブリア元老院議員のクルト・ゲーデル氏から後押しもあり何とか話しも纏まった。その流れで俺も何度か非公式にだがメッセンジャーとしてゲーデル氏を訪ねている。
なおゲーデル氏はガトウという有名諜報員が派手に動いている(顔が売れている時点で間諜としては致命的だったので逆に囮として動いていた)裏で横島忠夫が動いていた事を把握していたようで、こちらを侮るような事はなかった。
そんな準備期間中も俺は彼女の周りに密かに式神を配置して常に監視をしていた。正直胸糞悪い光景を何度も見て、さっさと拐ってしまおうかと何度考えたことか。
それでは根本的な解決にはならないのでここ迄手間を掛けたのだが。
そして全ての準備が整い、後は彼女と接触するだけという段階に入ったのだが、ここまでやって当人の意思を確認していない事に遅まきながら気が付いたのだった。だが見た感じ限界近いのでもはや彼女の意思がどうあっても環境を変える必要は有るからこのまま実行する事にする。
幸いと言っていいのか最近の彼女は人気が無い場所で一人で居る事が増えていて、周囲の人間もネギ・スプリングフィールドの卒業に伴う雑事で彼女から目を離す事が増えていたのだ。
接触するにはいいタイミングで、彼女の準備が出来次第日本へ連れて行くつもりだ。
ファーストコンタクトの後、疲れていたのか彼女は俺の膝枕で睡眠中だ。起きたらこのまま校長へ挨拶をして関西へ向かうつもりでいる。夜逃げ地味た真似だが関係者には話しは通っているので問題あるまい。
ネギとネカネ? 妹守らない姉と兄なぞ知らんわ
そして俺は彼女に悪いと思いつつも、メニューの鑑定機能で読み取れた彼女のステータス情報で疑惑から確信に変わった事実を(確/認)すべく彼女の額に手を置いた