「その話を聞いた上で、敢えて聞こう。 ナツキ・スバル、お前はどうして此処に居る? プレアデス監視塔に登っていたのではないのか?」
「まぁ待てよ岡部さん。 まだ話は終わってねぇよ。 次はどうして、俺達がこの塔。プレアデス監視塔に来ることになった訳をよ。」
そういえば、まだ経緯を聞いてないな。
「聖域の問題を解決して、ベア子……大精霊ベアトリスと契約して一年ぐらい経った頃、 王選候補の一人、 アナスタシアさんから使者が来たんだ。」
アナスタシア。話に聞いていた他の王選候補か、確か、ここはスバルに白鯨、魔女教討伐に傭兵団を貸した所だな。 兵団一つ貸し与える程かなり大きい陣営なんだろうか。
「使者の名前はヨシュア・ユークリウス。 アナスタシアさんの騎士、ユリウスの弟だ。 最初は名前を知らなかったから驚いたけどな。」
話を聞くに、スバルはそのユリウスという男をあまり好いていないのだろう。 だが、節々、認めている様な言葉を話しているが……
…成る程。 これがツンデレか。ツンデレ乙!
「ヨシュア……アナスタシアさんの目的は水門都市プリステラでパックと再契約が出来る輝石を見つけたって言う報告を受けたから行くことにしたんだ。 何処で漏れたか、何故、漏れた? って気持ちが多かったなぁ、 あの時、パックが契約を破棄した事を知っているのは俺たちだけなのに。」
それは確かに驚くし、相手を疑う。 俺も、紅莉栖が好きだって事を周りにバレたら…… ……既にバレてね?
「んで、俺達はパトラッシュとオットーが連れていた地竜を連れて、水門都市プリステラに向かったんだ。 ほーんとうに凄かったぜ!? イメージするならイタリアだ。 あれに近い。」
「そ、そうか」
イタリアが知らないなんて、口が裂けても言えない。 ……ダルやまゆり、紅莉栖辺りならどの辺か分かるんだろうが…
「それで、アナスタシアさんが取っていた旅館に泊まったんだ。かなり大きかったぜ、まんま日本の旅館って感じだった。
しかも、お風呂に浴衣付きと来た。 水門都市を作ったのはホーシンっていう人らしいんだけどさ。
俺絶対、日本人だと思うんだよ。 岡部さんはその辺どう思う!?」
「いや、そう言われても。」
行ったことも見たこともないから知らんわ!
「んで、その旅館で色々再開があったんだよ、フェルトやラインハルト。 クルシュさんにフェリスにヴィルヘルムさんにな。 あの時は思ったぜ、なんで、こんな人達が此処に?ってな。」
ライバルであるはずの王選候補の人たちがその旅館に集められていたのか、恩を売る算段なのか、少なくとも、
「んで、各々の目的は次々判るわけだ。 クルシュさん達は暴食。……レムやクルシュさんを襲った大罪司教の情報があるって聞いて、此処に来たんだ。 アナスタシアさん達はそれを餌に出してきたんだ。 クルシュさんに恩を売る為に。……あくまで、俺の見解だぜ? それだけが真実と思うなよ。岡部さん。」
いや、それを聞いて、どう足掻いてもそう言う目的です。 本当にありがとうございました。
「って、暴食ならスバルにも因縁があるではないか。……その詳細は聞かなかったのか?」
「聞いたよ。 ……というか、クルシュさんが共有してくれたんだ。 自分だけの話にしておくわけにはいかない的な。」
記憶を失っても、その気高さは健在というものか、 忘れても、心では覚えてる的なあれか。
「……紅莉栖が、口癖のように言っていたな。 忘れないで、どの世界線に居ても、一人じゃない。 私がいる……だったか。」
あれの言葉で自分がどれほど救われていたのか、
「岡部さん?」
「あ、あぁ、すまない。話の腰を折ってしまったな。 続けてくれ」
「気にするんなよ、岡部さん。……で、何処まで言ったかな…… ……そうだ、暴食についてのことだ。」
「暴食の話が聞き終わった俺達は、温泉に行ったんだ。 すっごく! 良かったぜ! 岡部さんも呼びたいぐらいにな、……まぁ、今はそんなこと言えないんだけどな。」
「何か、訳でもあるのか。」
「それはこれから聞いていればわかる話だよ。 んで、風呂上がりの晩飯に俺たちは、『ダイスキヤキ』ってもん食べたんだ。」
「だいすきやき? 何だそれは」
名前を聞くからに、スキヤキの類だろうが……
「これさ、俺も見た後に驚いんたんだけどよ、 それ、名前に反して、お好み焼きなんだよ!」
「……はぁ!?」
はぁ!? スキヤキなのに!?
「ダイスキヤキなんだ。 可笑しいだろ?」
可笑しいも何も、なぜ、異世界にそんなのものが……