この作品では初めまして!知ってる方はこんにちは!
さあさあやっと始まりました!予定の一週間遅れてしまった投稿ですが楽しんでいただけたら幸いです!
では、蒼焔のリリィ、始まります!
第一話
―『リリィ』― それは、50年ほど前に突然出現した人類の敵、『HUGE(ヒュージ)』という謎の巨大生命体に対抗するための最後の希望。そして、HUGEと戦うために生み出された対HUGE決戦兵器『CHARM(チャーム)』。そのCHARMにはマギクリスタルと呼ばれるものがあり、それは10代の女性に共鳴しやすく、それを操る彼女たちが『リリィ』である。
だが、なんの因果なのか。前例がない異常なこと、二度とないようなことが起きた。
それは……ただ一人の人間がリリィになった。それだけは別に異常なことではない。だがそのリリィが『男』なのだ。
史上初の男のリリィ……その者の名を―蒼月 焔(そうげつほむら)―といった。
百合ヶ丘女学院。そこはCHARM使用者の育成機関『ガーデン』の施設の一つである。だが、そこには重要機密がある。重要機密とは言うが、隠そうとは一切していない。はたしてそれを重要機密というのだろうか……。その百合ヶ丘女学院に男のリリィがいるのだ。
これは、彼と彼女たちがHUGEと戦いながらも普通の高校生として生活していく物語である。
この日、百合ヶ丘女学院は入学式を迎えていた。だが、その前にちょっとしたリリィ同士のトラブルが起こりそうであった。突然の生態標本にする予定だったHUGEが脱走という知らせが入り、未然で終わった。
「行きます」
「待ちなさい、白井さん。あなたを一人で行かせるわけにはいきません」
「……」
「最低でも二人で行動してください」
「……必要ありません。足手まといなので」
「あなたには足手まといも必要でしょう?そうね、あなた、一緒に行きなさい」
「は、はい!」
「わ、私も行きます!」
「はぁ?あなた、ここは夢結様とわたくしが任されたのですよ?ここはわたくしたち二人で」
「構いません。来なさい」
「はい!」
「白井さん。あなたに一つ報告があります」
「……なんでしょうか」
「『彼』も出撃しています」
「……!」
「彼?」
「そして、彼から伝言です。『落ち合えたら落ち合おう』とのことです。では、気をつけて」
「……はい」
「(夢結様のあの反応……彼って誰の事なんだろう?それに出撃って……?)」
「置いていきますわよ!梨璃さん!」
「あ!すみません!」
―とある場所―
「いませんねぇ……」
「入学式の前にくたびれてしまいましたわ」
「油断は禁物よ。でもこのあたりにはいないのかもしれないわね」
「そう、ですね。もっと奥に行きましょうか?」
「そうね……っ!一柳さん!」
「え?……うわぁ!で、出たぁ!」
崖に大昔に作られたとされる穴が空いており、その中にはお地蔵様があったりしている。その穴から脱走したHUGEが出てきたのだ。HUGEはゆっくりと崖を降りながら一番近くにいる梨璃に狙いを定めた。後ろにはCHARMの銃形態で構えた楓が梨璃に叫ぶ。
「おどきなさい!梨璃さん!」
しかし、梨璃は楓の声は届いていないのか梨璃は自身のCHARMを掴むが何も反応がない。
「動かない!?え、夢結様!?」
梨璃が動けずにいると、HUGEが鋭く尖った足を梨璃に攻撃しようと振り上げるがそれよりも早く夢結が動き、梨璃を抱き抱えながら制服のボタンを引きちぎって地面に叩きつける。すると、叩きつけられたボタンは閃光弾の役割なのか眩い閃光を発生させた。対HUGE用の閃光弾なのか効いて一瞬だけ怯んだのでその隙に夢結は梨璃を抱き抱えたまま後ろにいる楓に一時撤退を指示し、撤退したのだった。
HUGEと遭遇した場所から離れた場所に橋があり、その下に隠れている梨璃たち。状況は梨璃が右腕にかすり傷を負っており、夢結と楓は無傷。だが、梨璃はまだCHARMとの契約が終わっていないということがわかった。
「略式だけど、今ここでやってしまいましょう。あなたは周囲の警戒をお願い」
「……わかりましたわ」
「はい……」
夢結は梨璃の後ろに立ち、優しく抱くような感じで梨璃の右手に自分の右手をかざす。それと同時に梨璃の右腕のけがした部分から血が流れてくる。その血が梨璃がはめている指輪までたどり着くと指輪が反応して文字が浮かんできて梨璃のCHARMのマギが反応し光始める。
「略式とは言ってもこれが本来のやり方なの。指輪を通してあなたのマギがCHARMに注がれているの」
「来ましたわ!」
「っ!」
先ほどいたところから三人の居場所を探ったのか飛んできて落下の勢いをつけて楓に襲いかかる。楓はCHARMで受けとめるが力が強く、地面を抉る。
「せやぁ!」
カキィンッ!!
『キィィィィ!!』
HUGEが声らしからぬ音を出しながら二本の足から鞭のようにグネグネとしているが先が足を小さくしたような鋭い小太刀のようなものを展開し楓に襲いかかるが楓はまるで踊っているかのように避けながらCHARMの剣モードで弾き、隙ができたら突きを放ったりしてHUGEに攻撃するがHUGEは後方に飛びながらガスを放出する。
「ガス!?」
「落ち着いて。ただの目眩ましよ」
HUGEが放出したガスは瞬く間に周囲を深い霧の中のようにして数メートル先が見えなくなる。
「これじゃあ、夢結様にわたくしのカッコいいところが見せられないんですわ!」
楓はHUGEを倒そうと走っていき、すぐに見えなくなる。
「急ぎましょうか。CHARMが起動するまで絶対に手を離さないで」
「は、はい。夢結様、いつまで」
「その時が来ればわかるわ『キィィィィ!!』っ!」
夢結の後ろに突然HUGEが現れ、夢結はCHARMを取り出そうと手を伸ばすと梨璃が伸ばしていた手を握ってくる。
「待ってください!!」
「なっ!?」
襲いかかってくると思ったHUGEは急に上へと移動し、後ろをついてきていた楓がCHARMを突き出しながら突っ込んできた。HUGEが前にいたために夢結と梨璃が見えていなかった楓は突然方向転換したHUGEに対応できずに夢結と梨璃の真横を通りすぎる。上に方向転換したHUGEは三本の足を水平にし、そこから何本もの鞭を展開し、落下してくる。それを夢結は梨璃の制服のリボンを取って鋭くさせ、HUGEに向かって投げつけようと上を見た瞬間……。
ガギィィィィンッ!!
とてつもない音が響き、落下してきていたHUGEが真横に飛んでいき、見えなくなる。二人は何が起きたのかわからずにいると、上から一つの人影が落ちてきて着地する。着地した人物は高身長でありながらそれ以上の長さがあるのではないかと思うくらいの大きい鎌を担いでいる。
「ふぅ。よ、夢結」
「……焔」
鎌を担いでいる人物が振り返り、片手を上げながら軽く挨拶をしてくる。
「最初の間はなんだ最初の間は。まあいいや。落ち合えただけでもよしとするか」
「え、え?お、男の人?鎌?え、CHARM?夢結様を呼び捨て?」
「……一柳さん、落ち着いて」
「そんなテンパってどうしたんだよ」
「あなたのせいよ」
「え、俺?というか夢結が一人じゃない……だと?」
「……その反応はどうかと思うのだけど」
「いや、だってなぁ……」
「あ、あの、夢結様。こちらの方って……」
「……知らないの?」
「えっと……すみません」
「まあ、重要機密だから知らないのは当然じゃないか?」
「あなたの噂は聞いたことがあるんじゃないかと思って」
「え、俺に噂なんかあんのか?どんなのだ?夢結」
「……知らない」
「知らないわけないだろう……がっ!」
ガギンッ!ドゴォォォォンッ!!
『キィィィィ!?』
鎌を担いでいる男が夢結たちと話してると先ほど吹っ飛んだHUGEが奇襲をかけるが男が鎌を振り回したら鎌の先端の刃がHUGEに引っ掛かったのを確認すると勢いよく周りながら地面にHUGEを叩きつける。予想だにしない攻撃だったのかHUGEの声らしい音が驚いたような声に聞こえる。
「もうちっと大人しくできねぇのかてめぇは!こちとら話ししてる途中なんだぞ、あぁっ!?」
『キ、キィィィィ?』
「あの、夢結様、HUGEが困ってるように見えるのは私だけですか?」
「はぁ……。気にしないで、一柳さん。それよりも……」
「夢結様!」
「楓さん!」
「申し訳ありません、夢結様」
「あのHUGE、私たちの相討ちを狙った可能性があるわ」
「そんな!HUGEがそんな知恵を!?」
「一柳さんに感謝ね。あの時私を止めていなかった今頃あなたは真っ二つよ」
「……あなた、目はいいのね」
「あはは……。田舎者なので視力には自信あります。ところでどうしますか?」
「はっ!そうです、夢結様!HUGEは!?」
「……あそこで踏まれながら銃口を向けられて説教喰らってるわ」
「……え?」
夢結が後ろに指差しながら言うと楓は夢結の後ろを見ると、いつの間にか鎌を銃形態へと変形させてHUGEに突きつけ、片足で踏みながらHUGEに説教している男が目に入る。
「な、なぜ、こんなところに殿方が?」
「……焔、いい加減に『キィィィィ!!』「うるさいよ!!」はぁ……」
ガギィン!ドンッ!ドンッ!
『キィィィィ!?』
夢結が話かけるとHUGEが暴れだすと同時に男が一瞬で鎌形態に変形させHUGEを放り投げてから銃形態でHUGEを撃ち、吹っ飛ばせた。
「ったく、急にデカイ音出すんじゃねぇっての。あ、すまん、夢結。なんか言ったか?」
「……えぇ、言ったわ。いい加減この子たちに自己紹介でもしたらどうなの」
「おっと、忘れてた。俺は蒼月焔だ。よろしくな」
そう言って男……焔は背中側の首より少し下まで伸ばした綺麗な白い髪を揺らし、鎌を地面に突き立てながら自己紹介をする。
「は、はい!蒼月様!私は一柳梨璃です!」
「よろしくお願いしますわ、蒼月様。わたくしは楓・J・ヌーベルと申します」
「様はいらねぇし、焔でいいよ。一柳、ヌーベル」
「あ、梨璃でいいです!」
「わたくしも楓で構いません。ところで、夢結様とはどういったお関係で?」
「夢結と?夢結とは幼馴染みだな。それがどうかしたか?」
「え!?えっと、じゃあ……」
「?」
「……今日が入学式なのは知ってるでしょ?」
「もちろん」
「彼女たち、今日が入学式なの」
「ん?ってことは新入生か?」
「は、はい」
「なるほど。ってことは後輩だな。ん?ちょっと待て、新入生でHUGEとの戦闘に……?夢結」
焔の目つきが鋭くなり、焔の赤い瞳が妖しく光っていると思いそうなほどの鋭さでそれだけなら人間ならすぐに怯えてしまいそうな感じで夢結を見るが、見られた当の本人は気にしていないように話しだす。
「心配しないで。ヌーベルさんは三年生の人から言われて一柳さんは自分から志願したの。…………CHARMとの契約を今やってるけど」
「ふぅん。ん?ちょっと待て夢結。CHARMとの契約を今やってる?え、梨璃の、だよな?」
「えぇ、そうよ」
「梨璃……契約してなかったんだな」
「すみません……」
「それなのに夢結についてきたのか。無鉄砲というか……いや、それほど夢結の力になりたかったのか」
「そうなんです……どうしても夢結様の力になりたくて……」
「そっか。ありがとな、そこまで夢結のことを思ってくれて」
そう言って焔は梨璃の頭を撫でる。梨璃は顔を赤くしながら気持ち良さそうな顔だ。それをジト目で見る夢結と楓。すると、夢結が咳払いをする。
「状況を整理しましょう。一柳さん、CHARMはまだかかりそう?」
「あ、はい。たぶんですが……」
「そう。焔、さっきのHUGEは……」
「わりと遠くに吹っ飛ばしたし麻痺弾を撃ち込んだからまだ動けないだろうな。さっさと倒してくる」
「気をつけて。何かあったら……」
「弾三発を撃ち上げる。だよな?」
「えぇ」
「それが俺たち幼馴染みが決めた約束だしな。心配しなくてもちゃんと帰ってくるさ。今までだってそうだろ?だから、な?」
そう言って焔は先ほど梨璃と同じように夢結の頭を撫でる。夢結は顔を赤くしながらそっぽを向いている。
「……とりあえず、私たちはもう少し遠い場所に移動しましょう。一柳さんのCHARMが起動するまでお願い、焔」
「おう、任せろ。お前らも気をつけろよ。もしかしたら隙をつかれて逃げられてお前らのほうにHUGEが行くかもしれないからな」
「……その時は速めに発砲して」
「わかってる。じゃ、行ってくる」
鎌を担いでHUGEを飛ばした方向に飛んで行く焔。HUGEが出したガスの霧は未だ健在だったのですぐに見えなくなる。見えなくなり、遠くで金属音がぶつかり合う音や発砲する音が聞こえ始め、それを合図に夢結が二人に指示をして移動したのだった。
「夢結様。焔様、大丈夫でしょうか」
「……焔は強いわ。HUGEの大群を一人で殲滅してくるし」
「え!?」
「全部焔様が!?」
「……そうよ。けど、それのせいで焔は……」
「あの、焔様の噂って……なんですか?」
「…………焔はね、独断専行して大量のHUGEが相手でもたった一人で殲滅してくるから焔は他のリリィからは恐れられているの。でも、全員が恐れているわけではないわ。彼にはちゃんとした友人もいるし。そして、焔についた二つ名が『蒼焔のリリィ』」
「蒼焔の……リリィ……」
「二つ名というか焔様の名前から取っただけですわね」
「……まあ、そう考えるわよね。でもこの二つ名は彼にふさわしい名なの。言葉で説明するより実際に見たほうがいいわね」
ドォンッ!ドォンッ!ドォンッ!
「っ!」
「夢結様!銃弾三発が上がりました!」
「まさか、蒼月様を突破したというのですか!?」
ボフッ!ボフッ!ボフッ!
「な、なに!?」
「まさか……!」
「もう移動を!?」
遠くで銃弾が三発上がったのを確認したと同時に周囲にガスが拡散され、再び霧に包まれる。そしてHUGEが現れ、夢結に襲いかかる。だが、夢結は自身のCHARMを取り出しHUGEを返り討ちにする。それでもHUGEは止まらず、夢結に攻撃する。夢結は避けながら攻撃しようとするがHUGEの攻撃が多すぎて捌くのに手一杯で跳躍するがHUGEが攻撃しようとした瞬間、霧の中から巨大な物体が飛んできてHUGEに激突し、HUGEが飛んでいく。
「えっ!?」
「一体なにが!?」
跳躍していた夢結は着地して飛んできた物体を見ると、それは先ほどまでよく見ていた物だった。
「これって……」
「すまん!遅れた!」
「……焔」
「焔様!」
霧の中から焔が現れ、自身のCHARM、地面に突き刺さっている鎌を引き抜き、彼女たちとHUGEの間に立つ。
「よう、さっきはよくもやってくれたな。まさかあんな隙の作り方をするとはな。夢結、こいつは」
「私もやる」
「夢結?」
「わたくしもいきます!」
「楓も……」
「私もいきます!」
「梨璃……だけどお前は……」
「わかっています……でも!」
「……わかった。行くぞ」
「……えぇ」
「はい!」
『キィィィィ!!』
「俺が突っ込む!!」
焔がHUGEに突っ込んでいく。
「ちょ、焔様!?」
「……相変わらずの独断専行。帰ったらお話ね」
「おい、夢結!!帰ったら説教なんてそりゃねぇだろ!!」
「……こんなに音がうるさいのによく聞こえるわね」
主に焔がHUGEに攻撃をしていて交代するように夢結と楓が攻撃し、HUGEに攻撃のチャンスを与えない。
その光景を見ている梨璃。梨璃は自分のCHARMを強く握りしめる。
「私も……戦えることができれば……お願い、早く……」
ガギィンッ!!
「まだだ!!」
「っ!焔様……」
ガギンッ!!
「くっ!」
「夢結!!」
「夢結様!!」
HUGEが夢結の攻撃を防いで弾き返し、夢結が体勢を崩してしまう。そこへHUGEが攻撃しようとしてくる。
「夢結!飛べ!!」
焔の声に従って夢結は跳躍してHUGEの攻撃を避けるが、HUGEは鞭を展開し跳躍した夢結に向かって鞭を一つに纏めて伸ばしていき、夢結を包み込む。
「くそ!まずった!!今すぐ……梨璃?それに楓も」
鞭を展開したHUGEに向かって梨璃と楓が走ってくるのが見えた焔。そして二人を見て口角が上がる焔。
「なるほど、梨璃のCHARMが起動したんだな」
そう。梨璃のCHARMが起動し、剣モードで楓と突撃してきていたのだ。
「「やぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」
二人はHUGEが展開した鞭に狙いを定め跳躍し、突撃して切断する。切断された鞭は夢結を包み込んでいた部分が消え、夢結は着地してCHARMを構えてHUGEに走っていく。HUGEは走ってくる夢結に負けじと今まで展開してきた鞭を越える太さの木の根っこのようなものを展開する。夢結を臆せずに走っていく。すると、夢結はHUGEの後ろから同じように走ってくる焔が目に入るが走り続ける。
「夢結!!」
「……あわせて」
「おうよ!!」
シャキィィィィンッ!!
『ギィィィィ!!』
夢結と焔の二人でHUGEに止めをさす。止めをさされたHUGEは、断末魔の叫びのような音を出しながら真っ二つにされ、青い液体を撒き散らしながら倒れる。倒れた先が崖で、HUGEがぶつかった衝撃で崩れ始める。すぐに動いたのは梨璃で、穴の近くにいた楓を突き飛ばす。間一髪で、崩れて穴が塞がれる。
「梨璃!」
すると今度は夢結が梨璃を庇う。上からHUGEの液体が落ちてきて二人は被ってしまう。だか……。
「焔!」
「焔様!」
「無茶するよな、お前らは」
二人を覆うように焔が立ち、HUGEの液体をできるだけ二人にかからないようにする。
「無茶はあなたもでしょ」
「ははは、まぁな。まだ垂れるか……面倒だな。二人とも、ちょっと手荒いことをするから」
「……なにする気?」
「吹っ飛ばす」
「え、なにをですか!?」
「……私たちに被害がこないようにしてよ?」
「わかってる」
「え、え!?」
「はあっ!!」
ドォンッ!!
焔が自身の鎌を使って垂れてくるHUGEの青い液体を崖の瓦礫ごと吹っ飛ばす。
「……まさか、瓦礫ごと吹き飛ばすなんて」
「その方が安全でいいだろ?さて、梨璃、楓はこの奥だよな?」
「あ、はい、そうです」
「了解。まずは瓦礫の撤去だな。楓!聞こえるか?なるべく離れろ!今瓦礫をどかすからな!!」
「で、でも、どかすって一体どうやって」
「こうするんだ……よ!!」
ドガァァァァン!!
「CHARMを使ってぇぇぇ!?」
梨璃の言うとおり、焔は鎌を瓦礫に向かって縦に一閃させて瓦礫を吹き飛ばした。
「こんな風に使えばこんなのは簡単に吹き飛ばせるってわけだ」
「簡単にできませんよ!?」
ポン……
「夢結様?」
梨璃の肩に夢結の手が置かれ、梨璃は夢結を見ると夢結の顔はどこか諦めたような顔をしている。
「あの、夢結様?」
「諦めて、梨璃さん。焔はこういう人間だから」
「えー…………」
「うし、楓も無事だし、さっさと帰るぞ!」
焔たちは学院へと帰投したのだった。途中、瓦礫で道が塞がれていたが焔が鎌を凪はらって瓦礫を吹き飛ばしたりした。
「学院に着いたらまずは飯だな。腹減ったし」
「……その前に検疫でしょ」
「別にやらなくていいじゃないか」
「……私たちはともかくあなたはたっぷり浴びてるんだから絶対にやって」
「面倒なんだよな~」
「……ご飯抜きにするよ」
「さすがにそれは酷くねぇか!?」
と、言うわけで学院に到着し、焔と夢結と梨璃の三人は検疫をするため、室内に通され検疫を開始する。ちなみに夢結と梨璃は同じ部屋で焔は別の部屋で行っている。しかもその二つの部屋は隣どうしなので特殊な壁で外の景色は見えるし隣の部屋が見えたりできる。だが、一つの部屋はだいたいは焔が使っているので焔の意向で焔がいる部屋から隣の部屋は見えないようにしていて逆に夢結たちがいる部屋からは焔がいる部屋は見えている。
『そういえば梨璃、傷を負ったって聞いたが』
「……痕が残ってしまうわね」
『……そうか。遅れてすまなかった。梨璃』
「いえ、大丈夫です。これは今日の勲章だと思ってますので」
『……そうか。強いな、梨璃は』
「そんなこと!私はただ、足を引っ張っただけで……」
『それこそそんなことないけどな』
言い忘れていたがこの二つの部屋にはマイクが設置されており、利用者の希望でマイクを使って隣の部屋にいる者と話すことが可能だ。
『……そろそろか』
「え?」
「……なにが?」
『すぐにわかるよ』
「……だから、なにが」
夢結がそう言った瞬間、焔がいる部屋と外の景色が普通の壁に戻り、部屋の入口の上にある電光板の『検疫中』が消え、扉が開かれる。
「やあやあ!二人とも~ごめんね~!」
中に入ってきたのは焔ではなく、眼鏡をかけた女生徒だ。そのまま女生徒は梨璃の隣に座って自己紹介を始める。
「初めまして。私は真島百由!標本にするはずだったHUGEをうっかり逃がしちゃって、まさか厚さ五十cmのコンクリートを破るとは思わなかったわ~」
「迂闊なものね」
「予測は常に裏切られるものよ~?私たちは楽な相手と戦っているんじゃない。そのためのリリィでしょう?もちろん、夢結と焔とこの子には感謝してるよ!」
「……この子ではないわ。梨璃よ」
「夢結様……」
「わかっているわ。だからこうして来たんでしょ?あぁ!この言い方がいけないのよね!」
そう言って女生徒、百由は立って二人に向かって頭を下げる。
「反省してます、ごめんなさい!あたっ!?」
「反省の色が見えんぞこら」
頭を上げた百由に後ろからチョップが落とされる。百由は頭を擦りながら後ろを向く。
「痛いじゃない、焔!」
「反省してないお前が悪いだろ」
「……焔も終わったのね」
「ついさっきな。で、百由。HUGEを逃がした罪、軽いと思うなよ?」
「え~!?その罪は君のCHARMをいじらせてくれるっていう罪でいいんだよ?」
「誰がいじらせるか!!そうだな、一週間CHARMの接触を禁ずる」
「そんな罪、私に死ねって言ってるの!?そんなの認めないよ!!」
「お前のせいで梨璃はけがしてんだぞ!甘んじて受け入れろ!」
「そ、そんなぁ~…………」
「夢結様、焔様ってこういう方なんですね」
「……騒がしいだけよ」
「そう言っても夢結様はまんざらじゃない顔をしてますよ?」
「……してないわ///」
「ふふふ」
「お慈悲を~…………」
「はぁ。梨璃、どうする?」
「え、決定権って私にあるんですか?」
「梨璃にある。さあ、どうする?」
「梨璃ちゃ~ん……」
「え~っと……私は大丈夫ですよ?」
「梨璃が大丈夫なら俺はとやかく言わないよ。百由、だってよ」
「ありがとう!!梨璃ちゃ~ん!!」
「ひゃあああああ!?」
焔が百由に梨璃からの許しを言うと百由は梨璃に抱きつき、梨璃は驚きで声をあげてしまう。
「相変わらず騒がしいな」
「……これもあなたが原因よ」
「うぇ?まあ、いいや。さっさと出るか」
「……えぇ」
焔たちは検疫室を出ると、廊下で楓が座っていた。
「あ、楓さん。さっきは突き飛ばしてごめんなさい」
ガバッ!
「うぇ!?あの、私、梨璃だけど?」
「自分でも驚きですわ。信じていただきたいのですけれどわたくし、そんなに軽い人間ではありませんのよ。すみません、夢結様。わたくし、運命のお相手を見つけてしまいました」
「いいえ、お構い無く」
「お~い、さっさと入学式に行くぞ」
「え、あ、待ってください!」
「にしても残念だったな、夢結。慕ってくれる後輩が一人減ってしまってな」
「……あなた、面白がってるわね」
「まあ、面白いわな」
「……別になんとも思わないわ。私は一人でいいもの」
「少なくともお前は一人じゃねぇよ。俺がいるんだしな」
「……そうね」
焔たちは入学式と書かれた看板が立っている講堂の入口まで到着したが、なかなか梨璃が扉を開かない。
「どうした?梨璃」
「いえ、入学式、終わっちゃったんだろうなって」
「開けてみればわかるだろ?さ、行ってこい」
「誰もいないかと……」
梨璃が扉を開けると、中にはたくさんの生徒が座って待っていた。
「いたぁぁぁぁぁ!!」
「入学式はこれからですよ!」
「二水ちゃん!」
「今日一番の功労者のためにって理事長代行が時間をずらしてくれたんです!」
「おぉ、有名人!初陣でCHARMと契約してHUGEを倒すとはやらかしおる!」
「私は足を引っ張っただけですよ」
「そんなことありませんわ!」
梨璃が入ったことで大半の生徒が梨璃に集まる。外から見ていた焔はその光景を微笑んで見ている。夢結は梨璃が大丈夫だとわかると静かにその場から離れる。焔もそれに続いてその場を後にする。
「入学おめでとう、後輩たちよ」
焔は白い髪を揺らしながらそう言って歩いていった。
お読みいただきありがとうございました!
いかがでしたでしょうか。三ヶ月も待ったアニメを見てやっぱ神アニメだったと思いながらさらに火がついてこの作品を書いた次第です。
本来なら先週の木曜日に投稿予定でしたがなかなか書き終わらず、今日になってしまいました。あ、ちなみに私はアニメしか見ていません。なので、アニメ順に進めて行こうと思っています。
さ、今日はアニメ三話だな。明日仕事から帰ってきて寝る前に見よっと。
それでは、レリでした!
ラスバレストーリーはどうするか
-
書く
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書かない(アニメ編で終了)