アサルトリリィ―蒼焔のリリィ―   作:レリ

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ライブ短編の前に出すか迷ったのですが後に出します。

連続だぁぁ!!

蒼焔のリリィ、始まります。


第十話

梨璃が一週間の謹慎である部屋に入れられて一日が経っていた。

 

 

「どうして梨璃が罰を受けなくてはいけないんですか!?」

 

 

そう言ったのはアールヴヘイムのメンバーであり、梨璃のクラスメイトの壱だ。壱がいるのは共有スペースのラウンジでアールヴヘイムで集まっていた。

 

 

「結梨が人だって認められたのなら梨璃がしたことだってお咎め無しなんじゃないんですか?」

 

 

壱に続いていったのは同じく梨璃のクラスメイトの亜羅椰。壱と亜羅椰も梨璃とは親しいため、梨璃のことに不満があるようだ。

 

 

「命令は命令。一度発令されれば取り消すまではそれを行わなくちゃならない」

 

「一人のリリィの判断で窮地になる可能性だってあるから……」

 

 

アールヴヘイムの二年生である天葉と依奈が説明する。が、納得のいくものではない。

 

 

「そんな事わかってます!けど、リリィにはどんな状況下でもその場の判断に委ねるって!」

 

「そうね。けどそれは百合ヶ丘での話」

 

「周りがよしとしないのが多いから形式上でも罰をしなくちゃならないの」

 

「ばかばかしい……」

 

「それじゃあまるで、見せしめですよ。結梨を失った悲しみがあるのに罰だなんて……」

 

「そうね……。でも、辛いのは梨璃だけじゃない」

 

「……夢結様……」

 

「……夢結様は、大丈夫なのでしょうか」

 

「……わからないわ。一度ならず二度までも大切な人を失ったのだから」

 

「けど!焔様が、死んだなんて……信じられないですよ」

 

「私たちだって信じたくはないわ」

 

 

先日に現れたあのHUGE、結梨と焔がその場で撃破したが至近距離でのHUGEの爆発に巻き込まれたことで生存は絶望的だと判断された。二人の墓も建てる予定なのだが、信じたくないリリィたちがそれを拒んでいる。そのため、墓はまだ建っていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日、梨璃と面会してきた夢結はあることをするために向かおうとすると楓に止められ、そのまま一柳隊のレギオンルームに行ったのだった。

 

 

「髪飾り、ですか?」

 

「あの四つ葉のクローバーの?」

 

「そういえば、無くなっていたかも」

 

 

夢結はしようとしていたことを一柳隊のメンバーに言ったのだった。言った通り、夢結は梨璃が着けていた四つ葉のクローバーの髪飾りを探しに行こうとしていたのだ。

 

 

「まさか失くした髪飾りの捜索とは、思いもしませんでしたわ~」

 

「頼れって言ったのは楓さんでしょう……」

 

「夢結様、それを探すつもりか?」

 

「そのつもりよ。欲を言うと、あの人の物だとわかるものも見つかれば……と思ってるわ」

 

「焔様の……ですね?」

 

「……えぇ。彼のCHARMの欠片だけでもって思ってるわ」

 

 

結梨が使っていた〈グングニル〉は発見されたが、焔が使っていたCHARMが欠片すら見つかっておらずにいる。

 

 

「ああもう!わかりましたわ!やればいいんでしょ!?やれば!」

 

「奇跡を待つより自分たちで奇跡を起こすことにしましょう。普通の人なら無理かもしれませんが、私たちにはレアスキルがあります」

 

「探し物に適したレアスキルなんてあったか?」

 

「知覚系のレアスキルを増幅させるレアスキルで合わせればできなくはないです。わたくしの『テスタメント』は増幅系のレアスキルなので」

 

「そっか!なら私の『鷹の目』で!」

 

「あら、わたくしの『レジスタ』だって知覚系でしてよ?」

 

「ならばわしは『フェイズトランセンデンス』で強化しよう。えっと、雨嘉と鶴紗のレアスキルはなんじゃったっけ?」

 

「私のは『天の秤目』。ナノレベルで遠くの物を視ることができるの」

 

「『ファンタズム』。未来予知みたいなもん」

 

「知覚系が多いのは幸いね。えっと、夢結様は……あっ!」

 

 

神琳が夢結を見ると暗いオーラを出しながら俯いていた。それを見た瞬間やってしまったと思う神琳である。

 

 

「私の『ルナティックトランサー』なんてただバカみたいに暴れるだけだわ…………」

 

「あぁ、気にすんな!梅の『縮地』だってここじゃ役にたたないから!」

 

 

落ち込む夢結を全員でフォローするのだった。

 

 

 

 

 

 

その後、浜辺で試行錯誤しながら梨璃の髪飾りを探していたのだが結局見つからず、とうとう明日が梨璃の謹慎が解かれるまでになってしまっていた。

 

一柳隊の一年生たちは浴場で連日のレアスキルの使用などで疲れきった体を癒していた。

 

 

「これ、いつまで続くんじゃ……」

 

「見つかるか諦めるか」

 

「楓じゃないけど、本当に見つかるのかな」

 

「努力は続けるものだわ。でも、ここまで見つからないなんて」

 

「四つ葉のクローバーだけに」

 

「あ~どうしよう。明日には梨璃さんの謹慎が解けちゃいます」

 

「梨璃の謹慎が解けたらなにかまずいの?」

 

 

会話に入ってきたのはアールヴヘイムの壱である。それに続くようにアールヴヘイムの一年生が寄ってくる。

 

 

「ねぇ、あなたたち最近浜辺でなにやってるの?」

 

「えっと、それは……」

 

「実は……」

 

 

集まっていた娘たちに説明する一柳隊一年生たち。一柳隊一年生とは言っているが楓はそこにおらず、探してみると楓が汐里の背中を洗っていた。あの楓が梨璃以外の背中を洗うなど驚くほかない。それに気づいていないメンバーである。

 

 

「なるほどね。じゃあ私たちも手伝うわ」

 

「え、いいの?」

 

「大人数でやった方がすぐ見つかるかもしれないでしょ?」

 

「天葉姉様にも言ってみる」

 

「それに……あの人の遺品も見つけたいじゃない……」

 

「……」

 

「……それが見つかれば納得するの?」

 

「まさか。ただ夢結様のためになりたいだけよ」

 

「……兄様……」

 

「……焔様は、本当に死んでしまったのでしょうか」

 

「……あの爆発だもの。正直、絶望としか言えないわ」

 

「……そう、ですよね」

 

「……とにかく!明日は絶対に見つけるわよ!」

 

『お~!』

 

 

暗い話を無理やり終わりにして士気を高めるのだった。この会話を離れたところで耳を澄まして聞いていた者が何人かいたが。

 

 

 

ー翌日ー

 

 

浜辺には百合ヶ丘の全生徒が集まったと言えるぐらいの人数が集まったのだった。それに呆気にとられる夢結である。

 

 

「夢結。今日は絶対に見つけるわよ」

 

「言ってくれれば最初から手伝ってあげたのに。最後になって相談なんてね。私たちはあなたたちの友人であり、仲間なんだからもっと頼ってよ」

 

「ありがとう。恩にきるわ」

 

「恩にきるって、いつの人よ」

 

「ごめんなさい。こういう時、なんて言えばいいかわからなくて」

 

 

赤くしながら夢結が言った瞬間、そよ風が吹く。

 

 

『普通にありがとうでいいんだよ、夢結』

 

 

そよ風が吹いた瞬間に夢結の耳に聞こえた声。間違えることはない大切な人の声。夢結はすぐに振り向いて水平線を見るが誰もいない。その行動を不思議がる天葉たち。

 

 

「夢結?どうした『また、会える。きっとな』っ!?」

 

 

先ほどのそよ風とは違うちょっと強い風が吹き、また声が聞こえた。これは天葉たちも聞こえたらしく、驚いている。

 

 

「夢結!今の声って!?」

 

「焔……」

 

 

あの人の声だとわかる者が多いらしく、気づいている者は涙を流している。

 

 

「…………そうね、きっと会えるわね。あなたが嘘をつくなんてなかったのだから嘘だったら許さないから」

 

「夢結……」

 

 

水平線の彼方に向かって呟く夢結を天葉たちが見つめる。夢結は涙を拭って振り返る。

 

 

「あらみなさ、くしゅっ!」

 

「ひゃっ!?楓!?いないと思ったら先に来てたんだ」

 

「大丈夫ですか?」

 

「いえ、お構い無く……」

 

 

このなんともいえない空気の中に楓が登場してくしゃみをするということで何人かが笑う。それを見て夢結も微笑む。

 

 

「さぁ、始めましょう」

 

「うん、そうだね。レアスキルの複合は非接触より接触してた方がいいわ。けどここまでの人数でやったことはないからどこまでなるかわからないけど」

 

 

全員が浜辺で一列に並び、手を繋ぐ。そして知覚系のレアスキルを持っている者がレアスキルを発動して手を繋いでいる者がマギを流し込み、強化していく。大人数でマギを使っているのでマギの青い光が溢れだし、リリィたちの足元が青く輝く。

 

 

「今よ!」

 

「「『フェイズトランセンデンス』!!」」

 

 

『フェイズトランセンデンス』持ちのミリアムと安羅椰がCHARMを砂浜の輝いている部分に叩きつけ、強化させた。強化されたことで視界が広がり、全員で探していく。そして、海に輝く物を見つけた。それが探していた梨璃の髪飾りの四つ葉のクローバーで間違いない。

 

 

『あったぁ!!』

 

 

見つけた喜びで全員がハモり、浜辺に声が響く。

 

 

「あそこですわ梅様!」

 

「なんだ!?」

 

 

見つけたと思ったら楓が梅に乗っかり、梅は驚きながらも楓を支え、肩車状態になる。

 

 

「レアスキル『縮地』ですわ!ハイヨー!!」

 

「お、おう!」

 

 

楓に言われるがままに梅が『縮地』を使って走りだし、あの時結梨がやったように海の上を走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、なんとか梨璃の髪飾りを見つけ出して回収する事ができたので梨璃がいる謹慎室の前に探すために集まってくれた生徒たちも梨璃が出てくるのを待っていた。

 

そして梨璃が出てきて集まっていた夢結たちを見て驚いてはいるのだろうが表情は変わっていない。

 

 

「ごきげんよう、梨璃」

 

「お姉様……皆さんも」

 

「梨璃さん、これを」

 

 

楓が海で見つけた梨璃の髪飾りを梨璃に渡す。梨璃はそれをじっと見つめている。

 

 

「これ……」

 

「ささ!いつまでも見つめてないでお付けになってください!」

 

 

楓が笑顔で梨璃に言うが梨璃は見つめたまま動かない。そして梨璃から驚きの言葉が。

 

 

「これ、どこに売ってたんですか?」

 

「え!?」

 

「私のとそっくり」

 

「そっくり!?」

 

「同じのじゃないの!?」

 

「私のは四つ葉の一枚にヒビが入ってたの。でもこれにはないし」

 

「ほ、ほほほ~……それはリサーチ不足」

 

「どういうことかしら?楓さん」

 

「い、いやですわ~夢結様。そんな怖い顔をして」

 

 

楓の言うとおり、夢結の目元に影がありジト目で楓を見つめている。ここに集まっている生徒の目もあり、楓は夢結にある物を手渡す。そして夢結が楓から渡された物を見ると、焦げてボロボロになってはいるがギリギリ形状を保っている四つ葉のクローバーの髪飾りだった。

 

 

「これは……」

 

「これ、私のです!」

 

「梨璃さんの髪飾りが二つ!?」

 

「新しいのは楓さんが作った物ですよ」

 

「汐里さん!?」

 

「どういうことですか?楓さん」

 

「……実は、本物は二日目か三日目あたりで見つけていたんですの。でも、ここまでになってしまった物を梨璃さんに渡したところで喜ばないと思いまして」

 

「それで工作室で一人で作っていた、と?」

 

「……はい。悪いのは私だけですわ。えぇ、えぇ、そうですわ!皆さんを騙したのは私だけですわ!」

 

「思いっきり汐里を巻き込んでるじゃない!」

 

「いえ、私は工作室をお貸ししただけでなにをしていたのかは知りませんでした」

 

「でも、今日のあれは?」

 

「あんな大がかりで探されては本物の居場所がバレてしまうので朝早くに仕込んでおきましたの。それで私が先に取って新しい物とすり替えたのです」

 

「わしらまで謀っておったとは……」

 

「楓がそんな手の込んだことを……」

 

 

 

ーーーーーードォォォォォン

 

 

 

突然、遠くでなにかが爆発したような音が聞こえ、全員が驚く。

 

 

「な、なに!?今の!?」

 

「室内にいるのにこんなはっきりと聞こえるなんて……」

 

 

確かに室内にいるのに爆発音がはっきりと聞こえるほどの爆発が外で起きたとするならただ事ではない。急いで外に行くのに全員が走っていく。

 

外に出ると先ほどまで夢結たちがいた砂浜で土煙が上がっていた。夢結を先頭に梨璃が続き、土煙が上がっているところまで行くと先頭の夢結が立ち止まる。

 

 

「そん……な……」

 

「お姉様?」

 

 

梨璃が夢結の視線の先を見ると、土煙の向こうに人影らしきものが二つ。その二つは倒れているのがわかる。そして、土煙がはれ、人影の正体がわかると。

 

 

「え……嘘……」

 

 

夢結同様に梨璃も驚きの声が出る。夢結と梨璃の後ろにいる生徒たちも倒れている人物が誰なのかわかったようで驚いている表情だ。

 

夢結と梨璃が同時に走りだし、倒れている人物の元にたどり着いて倒れている人物を起き上がらせる。もう一人も梨璃が起き上がらせる。

 

 

「こんな……ことって……」

 

「なん……で……」

 

 

二人は涙を流しながら眠っている人物の顔を見る。

 

 

「ほむ……ら……」

 

「ゆり……ちゃん……」

 

 

夢結が支えている人物は怪我が酷いが間違いなく、夢結の幼馴染みの蒼月焔だ。そして梨璃が支えているのが傷が全くない結梨である。

 

焔の状態が右目に傷があり、右腕がない。そんな焔が傷がない左目をゆっくりと開けた。

 

 

「っ!焔!!」

 

 

左目の瞳が夢結を写すと焔が左腕をゆっくりと上げて夢結の頬を優しく撫でる。

 

 

「……た……だ……いま……ゆ……ゆ……」

 

 

掠れている声で、そしてはっきりと夢結の名を呼び、触れている手は暖かく、これは夢ではなく現実で、ちゃんと焔は生きているのだと理解した瞬間、夢結の目から涙が溢れる。そして夢結は。

 

 

「おかえりなさい、焔!!」

 

 

我慢できずに焔に抱きついて泣く夢結。それを焔は左手で夢結の背中を優しくゆっくりと撫でる。

 

隣では結梨も目覚めたらしく梨璃が夢結と同じように泣きながら抱きついている。二人はずぶ濡れの状態で抱きつくと制服が濡れてしまうがそんなもの夢結と梨璃には関係ない。

 

 

「ただいま……梨璃……」

 

「おかえり!結梨ちゃん!!」

 

 

理事長代行の咬月に生徒会の三人も来ており、祀は焔とは長い付き合いなので涙を流して喜んでおり、他の二人も涙を流している。一柳隊のメンバーは全員涙を流して喜びの声をあげる。他の生徒も涙を流している。咬月は甥っ子の生還に喜んでおり、あまり見せることがない笑顔である。

 

 

 

 

 

 

 

今日ここに、死亡と思われていた二人が奇跡の生還を果たしたのだった。

 

 




結梨を死なせてなるものかぁぁぁぁぁぁぁ!!


お読みいただきありがとうございました。

はい、ということでこの作品で結梨は生存の道を行きました。その代償が焔の右目と右腕の消失です。

最初は迷ってたんですけど焔だったら結梨と一緒に生きて帰ってこれると思ってやりました。アニメでは帰らぬ人になってしまった時はショックがすごかったです。それに結梨の死を書きたくなかった。

これからも結梨は一柳隊のみんなとずっと一緒にいます。書くのがちょっと大変だけど頑張ります。だから温かく見守ってくださると嬉しいです。

それでは以上、レリでした。
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