まるまる一ヶ月。時が経つのは早いものですね。すみませんでした。
そしてレギオンリーグお疲れ様でした。
蒼焔のリリィ、始まります。
偵察をするために先行した焔を追いかけていた夢結たちは木の影に隠れて様子を伺っている焔を見つけ、焔の後ろにつくように全員が立ち止まり、しゃがんだりして身を隠す。
焔はチラッと夢結たちを見た後すぐに視線を戻し、人差し指で前方を指さす。全員が覗くとそこには一つのケイブと大量のHUGEがいた。その中に一体だけ今まで見たことがない形状をしたHUGEがいる。
そのHUGEは縦に細くはないが長い体で体の後ろには二枚の羽のような物に体の上に輪っかが浮いている。その姿はまるで……。
「……天使」
雨嘉が静かに呟いた。そう。そのHUGEは天使のような形状をしていたのだ。
「HUGEのくせして天使か。はたして破壊の天使か絶望の天使か」
焔が雨嘉の呟きに続くように言う。
「皆さん、今のうちに作戦内容の変更確認を」
「そうだな。まずは周囲にいるHUGEの殲滅からだな。あんなに密集されてたら……」
「ノインヴェルト戦術もできませんね。パスをするにもすぐにHUGEに囲まれてしまうでしょう」
「そうなるとどこから攻めるのかしら?」
「そこが問題…っ!伏せろっ!!」
「伏せてっ!!」
「伏せてください!!」
「伏せて!!」
事前に話していた作戦で変更せざるを得ない部分を話し合っていた中、突然焔と夢結と梨璃と結梨がなにかを察知して気づけなかったみんなを押し倒すように覆い被さる。
直後、先ほどまで頭があった空間に青い光、HUGEのマギのレーザーが通過した。
「あいつ!!他のと違いすぎる!!いくら密集していたとはいえ、こんなに早く気づかれるなんて!!」
焔がすぐに起き上がり、愚痴りながら〈パイルバンカー〉をパージする。あのHUGEの大群では威力は高いが隙が大きい〈パイルバンカー〉は向いていないため、邪魔になる前に失くすことにしたのだ。
「悪いが作戦を行うほど余裕がないみたいだな!夢結!!」
「わかってるわ!!一葉さん!!」
「は、はい!皆さん!周囲のHUGEから倒していき、特型HUGEを倒しましょう!散開してください!!」
『了解!!』
一葉の指示で散開し、各個撃破して行く。だが、圧倒的なHUGEの数で押されるのも時間の問題である。けど、そんなものは焔たち一柳隊には関係ない。
「どけぇぇぇぇぇぇ!!」
〈クレセント・ローズ・リオ〉を左手に構え、〈ソウルハーベスト〉の義手を鎌形態で目の前のHUGEを一掃していく。隣に夢結がいて、焔との特訓でさらにレベルアップしているので尋常ではない動きをして焔と同じようにHUGEを一掃していく。
一葉たちは百合ヶ丘の最強夫婦の実力を見て呆気にとられている。けど戦闘に気を緩めてはいない。着々とHUGEを倒していく。
「面倒だ。俺の『フェイズトランセンデンス』で吹き飛ばすか」
「バカ言わないの。そんなの放ったらあの特型HUGEを誰が相手するの」
「あれ、俺が相手するの?」
「えぇ。あなた一人でね」
「冗談だろ!?」
「冗談よ」
「真剣な顔でんなこと言うなよ!」
…………なんとも気の抜ける会話を焔と夢結はしているがHUGEを倒してる数は多く、密集していたHUGEは焔と夢結が進行している場所だけどんどん減っており、特型HUGEに近づいていっている。
「じゃまーーー!!」
離れたところから藍の声が聞こえ、そこを焔が見ると一葉たちを置いて藍一人が先行しているのが見えた。藍のレアスキル『ルナティックトランサー』を発動しているのか動きがいい。
「藍!一人で前に出過ぎだ!!」
焔は叫ぶがこのHUGEの大群でかき消されてしまうため、藍の耳には届かない。
「くっ!夢結!!」
「わかってるわ!世話のかかる新しい娘の元に行きなさい!私は梨璃と結梨のところに行くわ!」
夢結の言葉に頷き、焔は藍がいるところ、梨璃と結梨がいるところを見るがそこまでの道はHUGEで埋め尽くされている。
…………さらっと夢結が藍を新しい娘にしているがそこは気にしない。
焔は〈クレセント・ローズ・リオ〉と義手(鎌形態)を構え、刃に蒼い焔を発現させる。
「わかった。なら、道は俺が、斬り開ぁぁぁぁぁくっ!!」
刃を地面に叩きつけ、『蒼き焔(リオ・グレイズ)』が地面を割りながら前方に進み、HUGEを跡形もなく消し飛ばしながら藍がいるところ、梨璃と結梨がいるところまでの道を作り出した。
道を確認すると焔と夢結は同時に走りだし、焔は藍の元へ。夢結は梨璃と結梨の元へ向かった。
「藍!二人で行くぞ!」
「わかった~!」
藍と合流した焔は藍と同じく『ルナティックトランサー』を発動させる。その際に義眼から蒼い焔が出現する。焔は高速でHUGEを倒していくが藍の後ろから来ていた一葉は焔の行動に驚いていた。
「さっきのあれが焔様だけのオリジナルレアスキル……威力が凄まじいですね」
「一葉!さっきの青いやつってなんだったの!?」
「恋花様!あれは焔様のオリジナルレアスキルですよ」
「オリジナル?そういえば確かそんな事聞いたことがあったような……」
「世界でたった一人の男性のリリィの詳細はちゃんと把握しておきましょうよ……」
「報告書とか読むの苦手だから仕方ないって」
「自分で言わないでくださ、いっ!!」
恋花と話ながらHUGEの攻撃を避けてからCHARMで一閃して倒す一葉。流石、トップレギオンのリーダーである。
「一葉ちゃん!焔さんと藍ちゃんが!!」
「特型HUGEにたどり着いたよ!」
千香瑠と瑶の言葉を聞いてすぐにそちらを見ると焔と藍が特型HUGEに攻撃しようとする瞬間だった。
「藍!同時に叩くぞ!!」
「うん!」
焔と藍が特型HUGEにたどり着き、同時攻撃を行い、二人のCHARMの刃は特型HUGEの胴体を完全に捉えた。だがーーー。
ガギンッ!!
「ぐっ!?」
「わっ!?」
特型HUGEの胴体を貫いたと思った瞬間、二人のCHARMの刃は重い金属音を出しながら弾き返されたのだ。予想だにしていない結果に二人は体制を崩してしまう。その隙を見逃さない特型HUGEは羽からマギのレーザーを放った。
咄嗟に焔は藍を抱きしめてHUGEのマギのレーザーから自分を盾にして藍を守った。衝撃で吹っ飛ばされた二人、いや、焔だけが木に激突する。藍は離れたところの地面に横たわっていた。吹っ飛ばされながら焔は藍を離してできるだけ怪我をしないようにしたのだ。
『焔(様)/お兄様!!』
焔がやられたことに一柳隊全員が呼ぶが木に激突した焔はピクリとも動かない。
「よくも…………よくも焔をぉぉぉぉぉ!!」
最愛の夫がやられたことの衝撃で夢結は『ルナティックトランサー』を発動、特型HUGEに突撃していく。
「お姉様!!一葉さん!すみませんがお兄様と藍ちゃんをお願いします!!」
「はい!!」
突撃していった夢結を追うように梨璃と結梨が特型HUGEに向かって走り出す。二人に続いて一柳隊全員が攻撃していく。その間に一葉は焔の元へ向かい、走り出す。
「千香瑠様と瑶様は藍を!恋花様は私と焔様のところへ!」
「了解!」
「………………は、はい!」
「わかった!」
藍を千香瑠と瑶に任せた一葉は恋花と共にいまだ動かない焔の元へ急ぐ。
「焔様!」
「………………大丈夫、だ」
一葉が焔を起こそうとするよりも早く、焔がゆっくりと起き上がる。それを見て二人はほっ、と胸を撫で下ろすが、焔の状態に気づく。
「ちょ、焔!頭から血が出てる!」
恋花が言った通り、焔の顔に血が流れているのだ。一葉が自分のハンカチを使って血が出ている場所を押さえようとするがそれを手で制止する焔。
「俺のことはいい。それより、藍は?」
「焔様のおかげで怪我はありません」
一葉は藍がいる方に視線を向けると千香瑠が起こしていて瑶が一葉に小さく頷いたので藍を状態を理解し、それを焔に教える。
「よかった」
「あんたがよくないよ!急いで止血して休まなくちゃ!」
「休むことなんかできるか」
「焔様は怪我しているんですよ!?戦闘はしないで休んでてください!」
「できないと言っただろ。それより、あいつは他のと違って防御力が高すぎる。あいつを倒すには……わかってるだろ?一葉」
「…………防御力を圧倒する攻撃力」
「そうだ。少し、俺の作戦を聞いてくれるか?」
一葉は恋花と顔を合わせ、焔に頷く。それを見た焔は微笑み、作戦を伝えた。作戦を聞いた二人は反論しようとしたが焔は聞かないだろうと思い、千香瑠と瑶に伝えてから特型HUGEに向かって走り出した。
一柳隊が特型HUGEを倒そうとしていると特型HUGEの羽から太い腕が出現し、攻撃パターンが変わり苦戦していた。夢結も『ルナティックトランサー』でなんとか攻撃しているが致命傷を与えることができていない。
ドオンッ!ドオンッ!
そこに一葉と恋花が銃撃しながら戦列に参加した。
「一葉さん!お兄様と藍ちゃんは!」
「藍は無事です!ですが焔様は怪我をしてしまって……」
「そんな……」
「ですが、焔様が時間を稼いでくれという言伝があります!」
「お兄様が!?」
「なら、時間を稼ぐわよ!!」
「はい!」
いつの間にか『ルナティックトランサー』が解除されていた夢結が倒すことではなく、消耗させるという戦法で攻撃をする。
対する特型HUGEは出現した腕を使い、叩き潰すように攻撃してくる。一撃は重いが動きが遅いため、夢結たちは避けながら攻撃していく。
「夢結!!」
咄嗟に自分を呼ぶ声が聞こえた瞬間、夢結は特型HUGEを重い一撃を叩き込み、特型HUGEの動きが一瞬止まったのを確認するよりも早く跳躍して後退する。
「捕まえた」
夢結と入れ替わるように来たのは焔だった。一瞬で特型HUGEの目の前に移動し、義手の爪を食い込ませて特型HUGEが逃げられないようにする。その義手には先ほどパージした〈パイルバンカー〉が接続されていた。
「喰らえぇぇぇぇぇぇぇ!!」
ギギギ……ドシュッ!!
〈パイルバンカー〉に装填されていた杭が射出され、ゼロ距離で〈パイルバンカー〉を喰らった特型HUGEは後方に吹っ飛び、木に激突して止まった。激突した木は威力が凄かったため、折れて土煙を上げながら倒れた。
特型HUGEは胴体に穴を空けて活動を停止した。
「はぁ、はぁ、はぁ…………」
荒い息をしながら焔はゆっくりと倒れた。
「焔!」
なんとか夢結が受け止めることができた。他のみんなも走って二人を囲むように立ち、一葉がまだ血が流れている部分にハンカチを当てて止血する。
「………………すまん、心配かけた」
「本当よ。あなたはどれだけ私たちを心配させれば気がすむのよ」
「…………夢結、離れてくれ。〈パイルバンカー〉をパージするから」
「離れないわ。梨璃」
「はい」
梨璃が〈パイルバンカー〉を持ち、焔を見る。焔は何も言わずにパージすると梨璃が静かに地面に置く。
「よく〈パイルバンカー〉を接続できたわね。百由がいないのに」
「無理やりだったから一発撃てるかわからなかったけど撃ててよかったよ。瑶と千香瑠も手伝ってくれてありがとな」
「全然大丈夫です」
「千香瑠と同じ。でも、無理だけはしないで」
「らんをまもってくれてありがとー焔」
「ありがとう。藍が怪我一つなくてよかったよ」
夢結に支えられながら藍の頭を撫でる焔。藍は気持ちよさそうに撫でられている。
これで終わりと思われた瞬間、信じられないことを焔の義眼が捉えた。
「嘘……だろ……?」
「焔?」
焔の異変に夢結が気づいて声をかけるが焔は驚きの表情のままだ。
「あいつ……生きているのか……?」
「あいつって……まさか……!」
夢結が焔の目線の先、〈パイルバンカー〉によって胴体に穴が空いている特型HUGEを見ると青い光が段々と輝きだしていた。
「HUGE反応増大!まさか!」
二水が気づいてレーダーを調べるとHUGE反応が増大していることに声をあげる。それを聞いた全員が特型HUGEに目を向ける。
すると特型HUGEはより強い光を出し、光が収まった時全員が驚愕の表情をしていた。
「……形状、変化」
誰が呟いたのかわからないほど呆気にとられていた。
活動を停止した特型HUGEが活動を再始動したのだ。二枚だった羽が四枚になって。
「あんなの、形状変化じゃなくて進化だろ!」
「っ!ケイブの反応を検知!!」
「なんだと!?」
進化した特型HUGEの近くにケイブが出現し、そこから大量のHUGEが出てくる。
焔は動こうとするが夢結が全力で動けないように抱きしめる。変わりに梨璃たちが新しく出現したHUGEを倒していく。
「あいつ、逃げるつもりだ!!」
特型HUGEがケイブに近寄っていくのを確認した焔は全員に知らせる。それを聞いた梨璃と一葉が特型HUGEに接近する。
「逃がしはしません!!」
「ここで倒します!!一葉さん!!」
「はい!!一緒に!!」
「「届けぇぇぇぇぇぇぇ!!」」
梨璃と一葉がCHARMを突き出し、一直線に突撃する。そして二人のCHARMは特型HUGEにーーー。
「…………そんな」
届かなかった。あと少しというところで特型HUGEはケイブを使って姿を消した。
特型HUGEは脅威の力を見せつけ、その戦闘区域に姿を現すことはなかった。
一柳隊とヘルヴォルは仕留めることができなかったため、悔しい気持ちと新たな敵の力を思い知り、解散してそれぞれのガーデンに帰投したのだった。
お読みいただきありがとうございました。
いくら最強のリリィでも怪我はします。他人を守るためなら傷を負ってでも守りきる……それが焔です。
『ルナティックトランサー』を制御できるようになっていた夢結ですが、前みたいに復讐で暴れまくるというのはなく、制御はできるけど発動が自分ではできないということにしました。解除も勝手にされます。
ラスバレ、ついに水着イベですよ~!!夢結の水着を当てるまでガチャを回す!と思っていたらまさかの配布というね。すんなりゲットできたから良しとするか!梨璃を狙うか!となりガチャを引くと金も昇華も来ず……全然ダメです。ガチャ引くのをやめて石を貯めて瑶が来るのを待つことにしました。皆さんはガチャどうでした?
さ、次はやっとグラン・エプレが出ます。みんなの話し方わからん……。
アンケートのご協力ありがとうございました。結果は新婚旅行に決定しました。書き始めてはいるので早めに投稿できるように頑張ります。新婚旅行と一緒に新たなお話が出るかもしれない……!?お楽しみに。
それでは以上、レリでした!