アサルトリリィ―蒼焔のリリィ―   作:レリ

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お待たせいたしました。




ラスバレ編第十四話

 

 

「人の嫁をケガさせた罪、軽いと思うなよ……!クリオネ野郎がっ!!」

 

 

 

マジギレした死神(焔)がそう叫んでどれくらいの時間が経っただろう。

 

結梨たちも遅れて合流し、一柳隊はフルメンバーとなったというぐらい時間が経過しているが、実はそんなに経っていない。理由としては夢結たちにとって時間経過など忘れるぐらい呆然と空を見ているからだ。

 

その先には今も轟音が響く。流れ弾、蒼い斬撃が周囲に降り注ぐが、偶然なのか気を遣っているのか夢結たちに降り注ぐことが一切ない。まあ、周辺の建物が崩壊したりして危なかったりするのだが。

 

 

「えっと……これは……」

 

「どうすれば……」

 

「え~……」

 

 

上空で繰り広げられている激闘に参加することなどまず不可能というのを理解しているがために呆然とするしかない夢結たち。一柳隊はもう慣れなのか、はたまた諦めなのか。全員が微妙な顔をしている。

 

 

「お母さん」

 

「……っ。とりあえず、特型は焔に任せましょう。私たちは付近にいるHUGEを片付けるわよ」

 

『は、はい!』

 

「あと、あまり焔に近づかないように。流れ弾、流れ斬撃が飛んできてケガするかもしれないから」

 

「流れ斬撃!?」

 

「この威力ではケガどころですまないような気が……」

 

「ともかく、行動開始!!」

 

 

まだ何か言いたそうなメンバーを無理やり動くようにさせる夢結。全員がHUGEがいるところに移動を確認して、夢結もチラッと上空を見てから移動する。梨璃と結梨もついてくるのを見ながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

新宿上空では凄まじい戦闘が繰り広げられている中、地上ではケイブによって進攻してきているHUGEをなんとか倒していく。たまにHUGEに向かって流れ弾で風穴を空けられたり、流れ斬撃で真っ二つにされたりと、夢結たちにとっては危険極まりないことが起きているが。

 

 

 

 

ガギィン!!

 

 

 

ガギィン!!

 

 

 

 

上空では尚も轟く金属音。周囲のHUGEを粗方倒した夢結たちが再度合流し、激戦地から離れたビルの屋上で見続ける夢結たち。

 

 

「焔君、大丈夫なのかな」

 

「きっと大丈夫よ。怒りでなのかはわからないけれど、マギの翼を完全に使いこなしてるから」

 

「使いこなしてるというか……」

 

「あれはもう飛んでるナ」

 

 

使いこなしてるというか、完全に翼を羽ばたかせて飛行している焔を見て呟く一葉。それを肯定するように言う梅。

 

 

「正確には羽ばたきで体制を整えてから滑空するようにしてるんだけどね」

 

「あれ滑空してるの!?」

 

 

結梨が詳しく説明すると姫歌が驚きの声を上げる。

 

 

「うん。滑空する直前に羽ばたかせて速度を上げて突っ込んでるから飛んでるように見える。そして体制を整えてからまた突っ込む。それを繰り返せば長時間の空中戦ができるかもって前にお父さんが言ってたんだ。実戦は今回が初めてのはずなんだけど……」

 

「ぶっつけ本番ってわけか。相変わらず本番に強いな、焔は」

 

「というよりこれは……」

 

「夢結様の言うとおり、怒り、ですね。夢結様を傷つけようとしたHUGEに対して」

 

「…………焔様を絶対に怒らせないようにしないと」

 

 

姫歌の呟きに何人かが静かに頷いていた。

 

 

その時ーーー

 

 

 

ガンッ!!

 

 

 

『え?』

 

「ていっ」

 

 

 

ガンッ!! ドゴォォォォンッ!!

 

 

 

『えぇっ!?』

 

「……結梨、あなた今何したの?」

 

「飛んできたHUGEを下に叩きつけた」

 

 

状況を整理しましょう。

 

夢結たちがいるのは少し離れたビルの屋上である。そして空の激戦区から思いっきり叩きつけた金属音がして皆が見た瞬間に結梨がCHARMを振り下ろした。その直後、真下から轟音が響いた。

 

うん、どういう状況?

 

 

「……説明、願えるかしら?」

 

「わかった。えっと……」

 

 

結梨曰く、焔が特型HUGEをぶん殴ろうとするのが見えたが、位置、方向で特型がこっちに飛んでくるとわかったのでタイミングを合わせた、とのこと。

 

 

「……つまり、焔が殴ったことで私たちに被害が及ぶのを防いだってことでいいのかしら?」

 

「うん。その結果で特型を叩き落とした」

 

「……あとでお説教ね」

 

「お姉様。それ、私もご一緒していいですか?」

 

「いいわよ」

 

「ほ、ほどほどに……」

 

 

二人の怒り具合にそうとしか言えない叶星だった。

 

 

「あ」

 

「結梨ちゃん?」

 

「やばっ」

 

「なにが?…………えっ!?皆さん急いで逃げて!!」

 

「梨璃っ!?」

 

「早くっ!!」

 

 

梨璃の鬼気迫る表情になんなのか聞く前に全員が急いで跳躍する。

 

 

 

直後ーーー

 

 

 

ドゴォォォォンッ!!

 

 

 

『えぇぇぇぇぇ!!!???』

 

 

梨璃たちがいたビルの下。特型がいるであろう場所に極太のレーザー……いや、あれはもはやビームだ。そのビームが着弾した。その事に全員が驚きの声をあげてしまう。ビームはまだ発射されているために土煙の凄い量が舞う。

 

 

「まだですっ!!」

 

 

全員が呆気に取られる中、梨璃の声が響く。その声にハッと我に帰って良く見ると梨璃たちがいた場所付近に特型が浮遊しているおり、ビームが逃がさんとばかりに地面に着弾していたのに上に向かって凪払うように移動していく。

 

さすがの特型もマズイと思ったのか高速で移動する。その動きに着いてこれずにビームはビルを貫通し、下から上に縦状の穴を作り、ビルを真っ二つにした。そして、限界だったのか、ビルを真っ二つにした直後にビームがだんだんと細くなっていき、消滅した。ビルもビームの高威力で支えられなくなり、轟音を響かせながら崩壊した。

 

その様子を見ていた梨璃たちはそこに自分たちがいたのを考えてしまい今日で何度目かもわからないゾッとする感覚をしたのだった。

 

 

「逃がす……かぁっ!!」

 

 

怒号が響き渡り、見るとケイブを発生させて逃げようとする特型、いつの間に地上に降りたのか〈クレセント・ローズ・リオ〉を杖にしてヨロヨロと立ち上がろうとしている焔がいた。

 

 

「はっ、結梨ちゃん!!」

 

「うん!!行く!!」

 

 

即座に動けたのは梨璃と結梨だった。二人が〈グングニル〉を構え、特型に向かってマギを収束して走り出す。

 

 

「やぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

〈グングニル〉の切っ先が特型に届く。そう思った瞬間、特型はケイブと共に一瞬で姿を消した。

 

 

 

二人の刃は届かず、空を斬った。

 

 

 

また届かなかった……。また、逃げられた……。悔しさ、絶望、なにもできなかった自分に対する怒り。様々な感情が出てきて浸る。否、そんなのに浸っている暇はない。二人はすぐに着地しながらスライディングして体制を直してからすぐにある人のところに走る。

 

 

 

〈クレセント・ローズ・リオ〉を手放し、夢結と梅に支えられている焔の元に。

 

 




お読みいただきありがとうございました。

まず最初に、大変お待たせいたしました。長い時間経ってしまいすみませんでした。そして短くてすみません。

特型との戦闘でしたね。まずあり得ないリリィの空中戦でした。書くの大変で皆さんに伝わってるかマジで不安です。
ちなみに極太ビームのシーンなんですが、自分の中でボツ案があります。そのボツ案がバルファルク並みの上空からの突撃です。銃口にマギを収束して突撃してからゼロ距離でのビーム発射。これだとさすがの特型も死ぬなと思ってボツにしたということです。ここで特型が死ぬとエヴォルヴ戦が難しくなるなと思いましてね。ネタ考えるのにま~た時間かかるという個人的な理由。

さて、サンブレイクやろっと(おい)

それでは以上、レリでした!

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