アサルトリリィ―蒼焔のリリィ―   作:レリ

38 / 78

こんばんは、レリです。

まさかここまで時間がかかってしまうなんて…………。

それでは本編をどぞ。


蒼焔のリリィ、始まります。


ラスバレ編第二十三話

今も尚、破壊の音が響き合う新宿区内。その中の銃撃音が響いて爆煙を上げたと思ったら今まで聞いたことのない音が響いた瞬間、今までのが比じゃない程の爆発音と爆煙が上がる。

 

その爆煙は一ヶ所で起こっているのではなく、何かを追いかけているのか進みながら爆煙が上っていく。

 

その銃撃をしている人物はーーー

 

 

「二度も逃がすと思うなよ!!」

 

 

義手を銃形態に変形させてロングバレルを装備し、左手には銃形態の《クレセント・ローズ・リオ》を持ち、翼を羽ばたかせる焔。

 

追いかけるは背中に穴を開けた特型HUGE。特型は、まるで焔の攻撃パターンがわかっているかのように高速で、ジグザグに進んで焔の攻撃を避けていく。

 

 

「ちょこまかと!!」

 

 

避け続ける特型に今度こそ当てようとロングバレルにマギを収束させーーー放つ。

 

 

マギが限界まで収束された弾丸は独特の発砲音を周囲に響かせて特型に迫る。が、またも特型が避け、弾丸が地面に着弾、収束されたマギが全解放されて爆発を起こす。

 

 

「くそ!!」

 

 

悪態をつきながらロングバレルにマギを収束させ、チャージ中に《クレセント・ローズ・リオ》で特型に銃撃する。だがそれもスイスイと避ける特型。

 

 

「チッ!」

 

 

盛大に舌打ちする焔。怒りがどんどん蓄積されていく。

 

 

『単独行動はしないで』という夢結との約束を忘れて。

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

その後方にて特型と焔を全員がマギを収束してビルの屋上などを跳躍して各々が出せる最高速度で追いかけている夢結たち。だが、その集団でも前を取っているのが一柳隊のメンバーである。その後ろにヘルヴォルとグラン・エプレのメンバーは一柳隊の跳躍のスピードに驚いていた。

 

焔と特訓している為、自覚はないが一柳隊全員は結構強くなっている。それこそアールヴヘイムのメンバーと同等かそれ以上の強さだ。

 

 

「あれだけ単独行動はしないでって言ってたのに!」

 

 

先頭の夢結が愚痴る。過去に何度も単独行動をしてケガをして帰ってくるのが焔だったから夢結からしたら気が気じゃないので焔にそう約束したのだ。

 

 

「…………(この状況、この前と同じ)」

 

 

移動してる集団の中ただ一人、結梨が冷静に状況を分析していた。

 

現在の状況、それはこの前の天使型の特型HUGEとの戦闘の状況とほとんど同じなのである。焔が先行し、それを追いかける自分たち。そして焔は暴走する危険がある。なるべく早く追いつかなければならない。

 

 

「(追いついても結梨たちができることは……お母さんと叶星が追いつけばお父さんの援護ができる。けど、結梨が先に追いついても……。できるかわからないけどあの時のような攻撃をすれば……でもこの子が耐えてくれるか)」

 

 

そう考えながら握っている自身のCHARM《グングニル・改》を見る結梨。思い出すはマギを直接攻撃に使ってきた特異のHUGE。そいつを撃破した時に放った青白い巨大な刃のことである。その時は結梨の膨大なマギにCHARMのマギクリスタルが耐えられずに砕けてしまったのである。

 

あの時のようにあの刃が出せるかわからない。そもそも出せても《グングニル・改》が耐えてくれるかどうか。この二つが結梨の中での最大の心配だった。

 

 

キュイインーーー

 

 

「え?」

 

 

突如、結梨が持つ《グングニル・改》のマギクリスタルが輝きだし、結梨のルーンが浮かび上がった。《グングニル・改》にマギを送った覚えが無い為、クリスタルが輝くことなど無いので驚いた結梨は《グングニル・改》を見る。

 

マギクリスタルは輝きをどんどん増していき、周囲にいる梨璃たちもその輝きに気づき始める。そして、CHARMから、いや、《グングニル・改》のマギクリスタルからマギが溢れだし、結梨を包んでいく。

 

 

「っ!」

 

 

包まれた瞬間、結梨の頭の中に謎の情報が流れてきて謎のビジョンが映し出された。

 

 

「(これは…………お父、さん?)」

 

 

ビジョンの中には焔が映っていた。ビジョンの中の焔は自分を見つめながら何かの作業をしており、終わったのか、額の汗を拭ってから義手である右手が置かれ、何かを呟いた。その言葉が聞こえた結梨は…………。

 

 

「…………ふふ、本当にお父さんは心配性だなぁ。この子にそんな事を言ってたなんて」

 

 

微笑み、流れる涙。そして自分の父親の優しさに嬉しさ半分、どれだけ過保護なのかという呆れ。そんな感情のまま結梨は囁いた。

 

そして覚悟を決める。

 

 

「お母さん!!」

 

 

結梨自身が考えた作戦を母である夢結に叫んだのだった。

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

高速で逃げ続けていた特型に一瞬の隙を突いて懐に入り、《クレセント・ローズ・リオ》を鎌形態に変形させて接近戦に持ち込んだ焔。だがその攻撃もヒョイヒョイと避ける特型。そんな特型に焔はある一手を叩き込んだ。それはーーー

 

ロングバレルを装着してる銃形態の義手のゼロ距離発射である。しかも特型が《クレセント・ローズ・リオ》の攻撃を避けた直後に発砲である。

 

流石の特型もその攻撃は喰らい、吹っ飛んでいく。そして焔は再度ロングバレルをチャージし、突撃しようと前屈みになる。

 

 

その瞬間ーーー

 

 

ドォン!ドォン!ドォン!ドォン!

 

 

銃声四発。それが響き渡った。その銃撃は内二発が特型の左右に着弾し、残り二発が特型に着弾して爆発が起こる。

 

 

どこからの攻撃なのかと思った焔は義眼のレーダーで調べると二つの反応がすぐ近くにあった。

 

 

「お父さん!!」

 

「焔!!」

 

 

娘の結梨と梅が瓦礫を踏み台にしたのか凄いスピードで跳躍して現れ、焔の横に着地し、二人して突撃する。

 

即座に焔は《クレセント・ローズ・リオ》を銃形態にして特型に向けて発砲、着弾させて特型を動けなくさせる。そして結梨と梅がブレードモードのCHARMを下から斬り上げるようにクロス字に斬撃を叩き込んだ。そしてすぐに二人は後退した。直後、特型にロングバレルから放った弾丸が特型に着弾し、衝撃で特型は後方に吹っ飛び、瓦礫の山に轟音と煙を上げて叩きつけられた。

 

 

「どうして二人だけ…………『縮地』か」

 

「正解。けどその前に……」

 

「結梨……?」

 

「お父さんのバカ!!どうして一人で行っちゃうの!?お母さんと約束したのに!!どうして!!」

 

「え…………あ…………」

 

 

突然の結梨の勢いに焔は驚いて何も言えずたじろいでしまう。だが、結梨の勢いは止まらない。

 

 

「そんなに結梨たちは頼りない!?結梨たちだって強いんだよ!?みんなで協力すればいいのに、なんでいっつも一人で行っちゃうの!!」

 

「っ…………頼りないなんてない!!むしろお前たちを頼ってるさ!!それに強いのも知ってる!!」

 

「じゃあどうして一人で行ったの!?結梨たちを待てばいいのに!!」

 

「その間に特型に逃げられたらまずいだろ!?」

 

「お父さんの義眼と二水の『鷹の目』があるでしょ!?お父さんが独断専行して追いかけることないじゃん!!」

 

「レーダーでも感知できない場所にまで逃げられたらどうする!!」

 

「みんなで手分けして探せばいい!!」

 

「そんな時間があるのか!?俺はないと思ってこうしたんだ!!」

 

「違う!!お父さんは尤もらしい理由ではぐらかしてるけど、この前逃がしたことを根に持ってる!!だからお父さん一人ででも逃がさないっていう執念でやってた!!結梨たちのことを忘れて!!」

 

「なっ……それは…………」

 

「だから言ったの!!結梨たちを頼ってって!!結梨たちも強いんだって!!それこそお母さんや叶星が合流すればさっきの別の特型のようなコンビネーションができる!!特型を逃がさずに倒すことができるかもしれない!!それに結梨と梅が合流してさっきのようなコンビネーションもできた!!だからお父さん一人でやることなんてない!!」

 

「…………」

 

「…………もう一度、聞くね。結梨たちは頼りない?」

 

「…………そんな事、ない」

 

「……だったら、少しは結梨たちを頼ってね」

 

「…………ごめん」

 

 

言い合いは結梨の勝利で終わり、焔は俯いたまま黙ってしまう。そんな中、梅が静かに焔の前に立った。その事で焔は顔を上げて梅の顔を見ると驚愕した。

 

 

「…………」

 

「……梅」

 

 

あの梅が、目尻に少しだけではあるが涙を溜めていたのだ。それに驚いたのだ。焔は。

 

 

「結梨が言いたいこと全部言ってくれたから梅から話すことはない。けどな焔。屈め」

 

「……あぁ」

 

 

拒否権などあるはずがないので言われた通り焔は屈むと……

 

 

「いつ……」

 

 

何も言わずに焔にデコピンをした。デコピンされた場所を抑えながら体勢を直した焔は梅に何も文句は言わない。というより言えない。

 

 

「これで勘弁してやる。次からは独断専行なんか絶対にするなよ?」

 

「…………」

 

「状況によっても許さないからな?」

 

「うぐ…………」

 

 

やむを得ない状況なら仕方ないだろうと考えていた焔は間髪入れずに梅に考えていたことを言われてしまう。

 

 

「あのな、梅だからこれで勘弁してやってるんだゾ?お前の大切な人、それこそ夢結からなにされるかわからないんだゾ?ちゃんと覚悟決めとけよ」

 

 

直後、特型がいる瓦礫に蒼い焔の斬撃が三本降り注ぎ、爆発を起こした。

 

梅の言葉の後だから嫌な想像しかできなくなってしまい、顔を若干青くさせる焔。だが自業自得である。

 

 

そして、焔たちの前に上空から落ちてきた夢結がキレイに着地した後、すぐに振り向いて焔に駆け寄ってくる。俯いたまま来るため、表情が見えない夢結に焔は覚悟を決めて目を閉じると、殴られた衝撃とは全然違う衝撃がきた。

 

 

 

「…………夢結」

 

「……心配、させないでよ…………ばか」

 

 

目を開けると、自分に抱きつき、胸に顔を埋めている夢結がいた。未だ少し震えているのを見て、最愛の妻をここまで不安にさせたことを知り、焔は何も言わずに《クレセント・ローズ・リオ》を置いて夢結を抱きしめる。

 

 

「…………本当に、ごめん」

 

「…………約束、違えたわね。後でお説教だから」

 

「……わかった」

 

 

抱きしめ合いながら話してると他のメンバーも叶星の風を使って到着し、ようやく全員が集合した。

 

そして、これから総出で特型を倒そうと一葉が提案しようとした時ーーー

 

 

「っ!二水!!『鷹の目』を使え!!奴がいない!!探すんだ!!」

 

『っ!?』

 

「ふぇっ!?は、はい!!『鷹の目』!!」

 

 

突然、夢結を抱きしめていた焔が急に顔を上げて二水に命令したのだ。

 

内容に全員が驚愕してる中、二水もすぐに『鷹の目』を発動して探し始める。焔もレーダーを使って探し始める。途中、結梨が不安そうな顔をしながら見つめていることに気づいた焔は結梨の頭に左手を置いて安心させる。

 

 

瓦礫に埋もれ、追い打ちをかけた夢結の攻撃を喰らっても尚逃げ出した特型。焔のレーダーと二水の『鷹の目』で捜索するが、焦らずに、でも速く見つける為に二人は全力を出す。

 

 

そしてーーー

 

 

「「見つけた/見つけました!!」」

 

 

二人同時に発見し、全員が場所を聞くとまたもや二人同時に答えた。

 

 

「「新宿都庁だ/です!!」」

 

「それなら!叶星さん!!さっきと同じように風でみんなを!!」

 

「任せて!!」

 

「夢結!!行くぞ!!」

 

「え、ちょっ!?」

 

 

場所を聞いた夢結がすぐに叶星にお願いし、叶星もすぐに瞳を黄緑色に変化させて風を出した瞬間、焔が夢結の手を引き、そのまま抱えて翼を顕現して飛び立ってしまった。急だったことで夢結は驚いていたが、叶星たちは呆然とすることなく、叶星も風を使って全員を浮かせてから風を操作して焔を追いかけ始める。

 

 

 

 

新宿上空を翼を顕現させた一人のリリィと、風に乗って浮遊して後を追いかける19人のリリィという異様な光景に目撃した他ガーデンのリリィたちは驚愕していることだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてーーー決戦は近い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お読みいただきありがとうございました。


焔と結梨の言い合いからの話でわりと文字数行ったので、ここで一端区切ります。あのまま進めていたらとんでもない文字数になってたと思うので…………。


《グングニル・改》が光り出して結梨を包み込んだ現象、それはCHARMは人を覚えるというのを見て、CHARMにも意思があると思って書きました。


持ち主である結梨を守る事が出来ず、壊れてしまったことを悔やんでいた《グングニル》が焔の手によって改修された時、焔に言われた言葉と改修されたことで強度も格段と上がったのを感じた《グングニル・改》が今度はちゃんと守れるぞ。主の力に答える力を持っているぞと結梨に伝えようとしたことで起きた現象


という考えです。

CHARMはリリィにとって体の一部ですけど、それだけじゃなく、共に戦っていく相棒だと私は思っています。そう考えるとCHARMって最高ですよね。


さてさて、次回でようやく都庁に到着ですね。エヴォルヴ戦が遂に始まる……。長かった。ラスバレの方のメインストーリーはめっちゃ進んでてヤヴァイけど。


それでは今回はここまで。レリでした!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。