少しではなくだいぶ日にちが経ってしまいましたね。時が進むのは速い……。
なぜこんなに時間がかかったのか、それは浮かんでいるネタに繋げるためのネタを考えたりガンプラ作ったりしていたからです。はい、ごめんなさい。
蒼焔のリリィ、始まります。
百合ヶ丘女学院の中にある食事スペース。そこに焔はココアを飲みながら本を読んでいた。焔は二人用の席に座っているので一つだけ椅子が余っている。そこに誰かが座るなどほとんどない。あるとしたら……。
「……なんだ?夢結」
夢結ぐらいだ。何気ない顔で焔の向かい側に座る夢結。焔は本を閉じてテーブルに置き、ココアを飲む。
「報告をしようと思って」
「なんの報告だ?」
「梨璃って子がいたでしょ?」
「あぁ、いたな。それで、梨璃がどうした?」
「私にあることを言ってきて、私はそれを了承したの」
「ほう?一体なにを?」
「実は……」
夢結が一拍おくのでココアをまた飲む焔。その直後に夢結からとんでもない言葉が出てくることなど知らずに。
「梨璃とシュッツエンゲルを結んだの」
「っ!?」
夢結のとんでも発言に飲んでいたココアを少し吹いてしまう焔。
「……汚いわよ」
「げほっげほっ!すまん……あまりにも驚いたのでな」
「そう。話はそれだけだから。それじゃあ」
そう言って夢結は席を立ってどこかに行ってしまった。夢結を見送ってココアを飲んでふぅとする焔。
「まさか夢結がシュッツエンゲルを結ぶとはな。梨璃が夢結を変えさせたのかな?まあどちらにせよ、いい変化だ。梨璃なら夢結を変えさせてくれるかな?」
そう静かに呟いた言葉は誰にも聞こえずに静かに消えていった。と、思ったら。
「私もそう思うぞ!」
「どっからわいて出たんだ梅!!」
焔と夢結の同級生、吉村・Thi・梅の唐突な現れ方にツッコム焔だった。
ー数日後ー
「あいたた……」
風呂場で梨璃は体に残る痛みに耐えながら楓に背中を洗ってもらっていた。その痛みの原因が梨璃の体に夢結との訓練でできた痣だ。しかも一ヶ所ではなく数ヶ所だ。
「おいたわしや梨璃さん!こんなに痣だらけで。ほら、ここも~ここも~あ~らここも~!」
「そこは違います~!」
背中を洗っていた楓は梨璃の体にある痣を最初は触っていたが最後に痣がなにもない場所を触ったので梨璃が叫ぶ。その光景を隣で二水がジト目で見ているが……。
洗い終わり、湯船に入る梨璃と二水。楓は湯船の一ヶ所に寝れる場所があり、そこに寝る楓。
「わたくしは解せませんわ。どうしてそこまで夢結様に固執するんですの?」
「楓さんだって最初は」
「こんなところで立ち止まっているわけにはいかないよ。私だけ遅れてるんだから」
「あなたが夢結様の妹(シルト)ね」
「まさか本当にモノにしてしまうなんて」
「おめでとう、梨璃さん」
「あ、アールヴヘイムのみなさん!?」
梨璃と二水を囲むように三人の女子が入ってくる。梨璃の隣に緑色の髪をした女子、田中壱。二水の隣に梨璃と同じピンク色の髪をした女子、遠藤亜羅椰。その亜羅椰の隣に楠美だ。
「ちょうどいいですわ。夢結様のこと、詳しく教えてくれませんか?」
「そうは言っても中等部とは校舎も違うし」
「でも夢結様と言ったら……」
「……甲州撤退戦」
「甲州……」
「二年前、甲州の大部分がHUGEによって陥落した戦いのことですよね。当時中等部だった夢結様も出動していたって。この戦いのことは先輩は口止めされていて詳しくは聞けなかったのですが」
「度胸あるわね、あなた」
「なら知ってるでしょう?そこで夢結様はご自分のシュッツエンゲルを亡くしているって」
「……」
「でも!確かその戦いにはあの人だって出動していたはずです!」
「あの人って?」
「噂でしょ?そんなの。この学院にあの人、蒼焔のリリィ様がいるっていうのは噂。誰も見たことがないのだし」
「その人は実在します!あの戦いの大部分のHUGEをあの人が殲滅させたというのを聞きました!それに会って話をしたこともあります!」
「え!?」
「話をしたって……それ、本当なの?」
「本当です!」
「……私も話したことある。とても優しくて、すごく強い。それが焔兄様」
「楠美まで会ったことあるの!?ってちょっとあなた今!」
「私のほうからそう呼んでもいいかってお願いしたの。焔兄様は今まで聞いてきた数々の噂とはかけ離れているほどすごくいい人。けど、一人でHUGEの大群を全滅させてきたのは本当」
「大群って……どれくらい?」
「そこはわからない。天葉姉様なら知ってると思う」
「あとで天葉様に聞いてみましょうか。楠美、できたらあなたを通じて蒼焔のリリィ様と会ってみたいのだけど大丈夫かしら?」
「どうだろ?兄様は普段気配を消しているみたいだし、見つけたりするのは困難。天葉姉様たち同級生なら気配を消していてもすぐに気づくみたいだから探すのなら天葉姉様たちと探すしかない」
「普段から気配を消しているって……」
「気づいていないだけで私たちのすぐ近くにいたのかもしれないね」
「あれ、そういえば焔様は夢結様と幼馴染みだって言ってたよ?」
「ということは一番わかっているのは」
「夢結様ってことですね」
「あの、そう言いながらなぜ私を見るんですか?」
その場にいる全員が梨璃を見る。理由はわかりきっている。
「あなたは夢結様のシルトなのだから一番接触率が高いのわかる?」
「えっと?」
「幼馴染み同士で話したりすることはたくさんあるはず。だから、いずれ向こうのほうから夢結様に会いにくる可能性もある。その時、できれば私たちがお会いしたいということを伝えてほしいの」
「わかりました!会えるかわかりませんけど……」
そこからは焔についての数々の噂を聞いて梨璃たちのわかる範囲で噂を否定したりして入浴したのだった。
ー数日後ー
百合ヶ丘女学院にHUGE襲来の知らせが入り、当番である夢結と梨璃は出動の前に訓練をしていたので梨璃の乱れた服を直すのに夢結は丁寧にやっていたが最後のリボンの部分が慣れていないために少し戸惑っていると扉がノックされた。来客者は焔のようなので夢結は一度梨璃を見ると梨璃は笑顔で頷いて、夢結が許可を出すと焔が入ってくる。
「やっぱ手こずってたか」
「なんで知ってるの?」
「いやな、二人が服装を直しに行ったってのを聞いたからな。夢結はちゃんとできてるかなと思って来てみたってわけだ。案の定、だったけど」
「……私も慣れなくて」
「やったことないもんな。人の服装を正すなんて」
「……」
「どれ、俺がやるよ。梨璃、顔が近くなるがちょっと我慢してくれよ」
「い、いえ!我慢なんてそんな!えっと、じゃあお願いします」
「おう」
梨璃の前に立って手早くリボンを直す焔。あまり男性と関わってこなかった梨璃にとっては目の前に整えられた顔に美しく輝く真っ赤な瞳に光に照らされて反射している白い髪を持った異性がいるので緊張で顔が赤い。その様子を見ている夢結はじっと焔のリボンの直している手の動きを見て覚えながら……。
「(……今度わざと服装を乱して焔に直してもらおうかしら)」
こんなことを思っていたのだった。
「よし、できた」
「ありがとうございます!」
「慣れた手つきね。やったことあるの?」
「まあ、叩き込まれたからな」
「誰に?」
「さて、誰にかな~」
「……教えないつもり?」
「……時がきたら教えるよ。さ!出動なんだろ?早く持ち場に着かないとな」
「は、はい!」
「ほら、夢結」
「……えぇ」
梨璃と夢結は前線へと移動し、襲来するHUGEに備え自分たちの持ち場に立っていた。
「上陸までにはまだ時間がありますわね」
「あれ、楓さんも出動なの?」
楓の言うとおり、HUGEは海上を飛んで向かってきている。HUGEとの距離はまだまだあるのでHUGEが上陸するにはまだ時間がかかる。その間にできることは実戦経験があるリリィが前衛を勤めるために前に移動し待ち構えるだけだ。レギオンがいるのならノインヴェルト戦術を行うための準備ができるが。
「今日はレギオンを組んでいないリリィが当番のようですわね」
「二水ちゃんは?」
「あの方は後ろで待機ですわ。実戦経験がありませんし。初陣なのは梨璃さんだけですわね」
「そっか。頑張らないと」
「あなたもここまでよ。足手まといになるから」
「は、はい……」
「来いと言ったり待てと言ったり……」
夢結はその場から海岸に近いところに移動し待ち構える。後ろには楓がいる。HUGEの形がよりはっきりとわかる距離まで近づいてきた。
「いつにもまして歪な形ですわね」
今回襲来したHUGEは説明しがたい形になっており、大きさはとても大きい。形は大きい球体に四本の腕のようなものがある。そして、球体の上には結構な数の棘が確認できる。海岸にHUGEが近づくと飛び、上陸しようとしてくる。それに気づいた夢結は即座に着陸しようとするHUGEの真下の滑り込み、斬撃をして墜落させる。滑りながら斬撃を放ったのでそのまま滑りながらHUGEの真下から離脱してすぐにHUGEの真上まで跳躍する。その時に夢結はこのHUGEがなんなのか理解する。レストアだと。
HUGEのレストア。それは、損傷を受けながらも生き残ったHUGEがネストに戻って修復された個体。それをレストアード、通称レストアと呼ばれている。
そのレストアのHUGEは先行して攻撃し続けている夢結に攻撃するためにミサイルを放つ。それを避けて上にある一本の棘に攻撃するが金属音を鳴らして夢結のCHARMが弾かれる。夢結は驚きながらもすぐに体制を立て直して跳び、ヒビを入れた棘の隙間から光るものを見つけそこを見ていると前からきたミサイルに気づくのに遅れ、CHARMで防ぐが爆風で吹き飛ばされ、地面を転がる。
「そろそろ退け、夢結!あっ!待て!」
梅の言葉を無視してすぐにレストアに攻撃を仕掛けるべく跳躍する。レストアも体を回して腕で攻撃するが夢結はCHARMを使って受け止め回転してレストアの上に乗る。今度はミサイルを放ってくるがそのうち一つをCHARMで受け止めてレストアに叩きつける。ミサイルの爆発で上にあった棘の皮が吹き飛び、棘の中身が出る。それを遠くから見ていた梨璃といつの間にかいた百由とミリアムが、否、その場にいる全員が呆然としてしまう。理由は簡単だ。棘の内部はCHARMだったのだから。
「マジか……」
「ど、どういうことですか!」
「CHARMはリリィにとって体の一部、それを手放すとしたら……」
ドオンッ!
「な、なに!?」
梨璃たちの近くでいきなり爆音が響き、梨璃は辺りを見るがなにもない。いや、梨璃たちがいる廃ビルの下にとてつもない大きさの亀裂が地面に入っていた。だが、百由の目には一瞬だけ蒼い尾を引くものが見えた。
「今の……まさか!!」
百由が立ち上がるのとレストアの上で蒼い焔が爆発したのはほぼ同時だった。
「一体何が!?」
「蒼い焔……ってまさか!」
「焔……!」
蒼い焔の中に一つの人影が見え、その手には二つの鎌を握りながら白い髪を揺らしていた。
「梅、夢結を連れて下がれ。ここは俺がやる」
「わかった。夢結、下がるぞ。……っ!」
焔は夢結の前に立ち、二本の鎌を構える。梅は苦しがっている夢結の肩に手を置きながら夢結に言うと夢結は赤く光る目で梅を睨むように振り向き、黒色だった髪が焔の髪のように真っ白になる。
「許せ梅!」
夢結の変化で呆然としていた梅を焔が片手で梅の襟首を掴んで放り投げる。
「あわわ!よっと!」
突然のことで驚きながらもきれいに着地する梅を見て焔は夢結に向き直る。
「夢結自身が封印したレアスキル、ルナティックトランサーの発動……原因はこのCHARMたちと考えた方がいいか?」
焔は冷静に状況を分析し、夢結を見る。
「はぁ、はぁ……」
「夢結、苦しいだろうが少し我慢してくれ。すぐに助けるからな」
苦しんでいる夢結を見て焔は鎌を強く握り締めながら言うと、上空からレストアが放ったミサイルが飛来するが〈ソウルハーベスト〉から蒼い焔を出して一閃させ、ミサイルを全て破壊する。
「邪魔するなよ!」
「あああああああ!!!!」
「おっと!」
ルナティックトランサーを発動させた夢結は敵味方構わず攻撃してくるのでミサイルを全て破壊してすぐに夢結が攻撃してきたのを焔は〈ソウルハーベスト〉で防いでもう一本の鎌〈クレセント・ローズ・リオ〉で夢結を離れさせるために横に一閃する。夢結はそれを回避して後ろに飛ぶ。レストアもまたもやミサイルを放ってくる。
「しつこいんだよ!!」
二本とも銃形態に変形させて連射してミサイルを破壊する。
「あああああああ!!!!」
「連携でもしてるのかと疑いたくなるほど執拗に俺に攻撃してくるな、夢結!!」
「……殺して……」
「っ!それは聞けない願いだな!」
一瞬だけ夢結が呟いた言葉を否定して夢結から距離を取り、〈クレセント・ローズ・リオ〉を逆手に持ち変えて攻撃しようとした瞬間、夢結の後方から誰かが接近してくるのに気づいた焔と同時に声が響いた。
「夢結様ー!!」
「梨璃!?」
跳躍してきた梨璃に焔は驚き、レストアが梨璃に向かって放たれたミサイルに反応できず、固まってしまった。
「まずい!梨璃、逃げろ!!」
「わわ!」
梨璃は器用に体を回したりしてミサイルを避ける。だが、後ろから来た梨璃に夢結が攻撃しようとしていた。
「よせ!夢結!!」
ガギィィィィィン!!
キィィィィン……
「す、すみません……」
「……見ないで……」
「っ!わぁっ!」
夢結が突き出したCHARMが偶然梨璃のCHARMと激突し、跳んで来ていた梨璃はそのまま飛んで行ってしまった。だが、焔は先ほど梨璃と夢結のCHARMが激突した瞬間に発生した光と一瞬だけ夢結が言葉を放ったのを見てある考えが浮かび、一度退くことを決めた。
「ちょっと作戦会議だ。少し待っててくれよ、夢結!!」
一瞬の隙をついてマギを集中させて梨璃が飛んで行った方へ跳躍した。そこには楓や梅もいてどうやら梨璃は落下地点に偶然楓がいたらしく、怪我をしなかったようだ。
「バカかお前は!」
「……私、今夢結様を感じました」
「なにをおっしゃいますの?」
「マギだわ」
「え?」
「CHARMを通じて梨璃さんのマギと夢結のマギが触れ合って……」
「その通り!」
「焔!」
「焔様!」
「共鳴とまではいかないがさっきのあの光はマギが触れ合ったことで起きた現象だ」
「ですがCHARMのそんな使い方聞いたことありませんわ」
「じゃがあり得るの」
「私、前に夢結様に助けてもらったことがあるんです。今度は私が夢結様を助けなくちゃ!」
「前に……?まあ、それは置いといて。梨璃、さっきのを見ると夢結を助けることができるのは梨璃だけだ。本来は俺がやらなくちゃいけないが……梨璃、やれるか?」
「焔様……やります!」
「ありがとう、梨璃。援護する、まっすぐ夢結の元へ行け」
「はい!!」
「あとでお背中流させていただきますわよ!」
「しょうがないなぁ!」
焔と梨璃は同時に跳躍し、その後ろを楓たちが続いて注意を引く。焔は梨璃が夢結の元へ行きながら飛来してくるミサイルを全て破壊していく。
「行け!!梨璃!!」
「はい!!」
(夢結のことを頼んだぞ、梨璃!)
焔は二本の鎌から蒼い焔を出して梨璃と夢結に向かってくるミサイルを破壊していくと後ろから先ほどと同じ光が発生したので振り向くと梨璃と夢結のCHARMの刃が合わさっており、その中心に丸く輝いているのを見つける。
「マギスフィア……」
「それでも!夢結様は私のお姉様です!!」
「っ!」
「夢結様!!」
梨璃がCHARMを離して夢結に抱きつくとルナティックトランサーで白くなっていた夢結の髪が元の黒髪に戻り、夢結の目には涙があった。その二人にレストアが腕を叩きつけようとしていたのを焔が蒼い焔を出して受け止め、夢結がCHARMを掴んで凪払って腕を破壊させた。
「行け、二人とも!!」
「えぇ!」
「はい!!」
マギスフィアが出現したからなのかはわからないが辺りにはマギが溢れており、そのマギに梨璃と夢結がまるで踊るように乗って上空へ行き、そして……。
『やあああああああああ!!』
二人のマギを圧縮させて放った一撃を放ち、レストアを一刀両断させた。
「よくやった……二人とも。お疲れ」
こうして多くのリリィを葬ったとされるレストアのHUGEを倒したのだった。
ー数時間後ー
時間は夕方で、オレンジ色の空の下、夢結は梨璃を連れて満開のソメイヨシノがあるリリィのお墓へ来ており、一つの墓の前に立っている。
「ソメイヨシノが花を咲かせるには冬の寒さが必要なの。昔は春の訪れと共に咲いて季節の変わり目を告げたというけれど冬と春の境が曖昧になった今は、いつ咲いたらいいか戸惑っているようね」
「あ……」
満開のソメイヨシノの花びらが舞う中、夢結はペンダントを握りながら言っているとそれを見た梨璃に夢結はペンダントを開けて一つの写真を見せる。
「この方が、夢結様のシュッツエンゲル……」
「そう。私の、私たちのお姉様」
「川添、美鈴様……。ってあれ?私たちの?」
「俺の姉でもあるよ」
「焔様」
「美鈴姉も今の夢結を見て喜んでいるだろうな」
焔が花束を持って現れ、美鈴の墓に花束を置き手を合わせる。
「焔様のお姉様って……」
「本当の姉ではないよ。夢結が僕の妹で君が夢結の幼馴染みなら僕の弟同然だからこれからはちゃんと姉様って呼んでって言われてな。最初はなにを言ってるんだと思って相手にしてなかったけどずっと甘えさせようとしてきたりしてな。本当に弟のように可愛がってくれたんだ。それに気づいた俺はあの人のことを美鈴姉って呼ぶことにしたんだ」
「お姉様に初めて美鈴姉って言った時、お姉様は涙を流しながら焔に抱きついたわね」
「あれは恥ずかしかったな~。ま、それからいろいろ服装の直し方とか叩きこまれたんだ」
「やっぱりお姉様に教わっていたのね」
「まあな。だけど二年前、俺は……」
「……そういえば焔様も甲州に出動していたと聞きました」
「あぁ。だけど、俺は美鈴姉と夢結とは別の場所でHUGEと戦っていてな。さっさと終わらせて二人のところに行かなくちゃって思いが強くてな。あらかた倒したからその場を他のリリィに任せて二人のところに行ったらもう……」
「そんな……」
「あの時の俺は狂ってたな。あの現状を理解したくなくて手当たり次第にHUGEを倒しまくった」
「そのせいであなたも相当な怪我をしてきたけどね」
「そんな事しても美鈴姉からはかえって怒られるな。だけど、あの時は敵討ちっていう考えしかなかった。けどな、最後に思い出したんだよ。美鈴姉と交わした最後の約束を」
『もし僕がいなくなったら焔、夢結のこと頼んだよ』
「いつの間にそんな約束を……」
「こっそりとな。縁起でもないこと言うなって怒ったんだけどな。美鈴姉がいなくなって夢結にはもう俺しかいないんだって思ってずっと一緒にいようと思っていたが変わっていく夢結を見て、俺は毎日美鈴姉との約束を守れているのかって不安で仕方なかった。そして気づいたら夢結と一緒にいる時間が少なく一人でいるのが多くなっていたんだ」
「正直に言うと私より焔の方がヤバいって思ったわ。CHARMを握るたびに目に復讐の色が見えていたし、一人にさせたらいつHUGEとの戦闘に勝手に出動して怪我して帰ってきていたんだもの。このままだと焔まで私の前から消えてしまうって思ったから話しかけたり一緒にいたりしたの。でも一番の理由は……私が焔に甘えたかったってところかしら……」
「実際は俺がいたんじゃなくて夢結が俺のためにいてくれていたんだってわかった時はたった一つの約束も守れないのかと自分が情けなくてな。今度こそ美鈴姉との約束を守るために一緒にいようって決めてだいたいは一人だったけど用事がなくても夢結に会いに行っていたな」
「ほぼ毎日来ていたわね」
「あれ、そうだっけ?」
「そうよ」
「ふふっ、仲がいいですね」
「幼馴染みだからな。とまあ、簡単にだがこれが夢結と俺と……俺たちの姉ちゃんの過去の話だ。もっと詳しく聞きたいのなら場所を変えてからだな」
「ではそうしましょう!行きましょう、お姉様、お兄様!!」
「えぇ」
「場所変えるんだな。って待て梨璃、今お兄様って言ったよな!?」
「美鈴様が夢結様と焔様のお姉様なら夢結様の妹である私は焔様の妹でもあるんです!当然、これからはお兄様と呼びます!」
「えぇ……」
「焔にも妹ができるなんてお姉様はすごく喜ぶでしょうね」
「喜んでるといいな。じゃ、行くか!」
墓場の後方で梅と楓と二水の三人が待っており、墓場から帰ろうとする焔たちに少し強い風が吹き、ソメイヨシノの花びらが先ほどよりも舞う中、焔は何かを感じ後ろを向くと美鈴の墓の隣によく知っている人物が立っていた。
「……」
立っている人物を見て焔は呆然としているが立っている人物は笑顔のまま口を開いて焔に何かを言い、言い終わったのか口を閉じた瞬間またもや風吹き、花びらがたくさん舞って焔はもう一度見るとそこには誰もいない。
「……ありがとう。そして、これからも見守っていてくれ。美鈴姉」
立っていた人物、美鈴に何かを言われた焔は静かに呟き、夕陽を見つめていた。その頬に一筋の光るものが流れながら。
「お兄様!早く!!」
「あぁ!今行く!!」
梨璃に声をかけられて走って行く焔。墓場には花びらが舞っている。
ーー『見守ってるよ。ずっと』ーー
花びらが舞う中誰かの声が響いたのだった。
お読みいただきありがとうございました!
強敵、レストアとの戦闘でしたがなかなか表現が難しくこんなにも文字数が多くなりました。
焔がココアを飲んでる時、だいたいはコーヒーだろって思うんですが焔は苦いのが苦手ですからね。だから甘いココアにしました。梨璃たちのお風呂シーンは最初は書かない予定だったんですが急遽書くことにしようと思って書きました。こうすることであとが助かるので。そして今回、CHARM〈クレセント・ローズ・リオ〉の初登場でしたね。次回に焔のレアスキルが判明します。詳しい方はCHARMを二本扱っているというだけでどんなレアスキルなのかおわかりでしょう。
さあ、次回は梨璃がレギオンを組みます!そのためのメンバー集め、雨嘉の活躍回ですね!書くのが楽しみだ!
それでは以上、レリでした!!