アンケートで募集したネタがあるメモリアを見てびっくりするぐらい浮かんでやっと完成したので投稿です。
これは誰が何と言おうと新婚旅行です。
新婚旅行、始まります。
今日、百合ヶ丘女学院は休日であり、生徒たちは各々自由に行動していた。
そんな中、敷地内にある学生寮の一室に三人の姿があった。
「あの……なんで俺縛られてんの?」
一室にて焔の疑問の声が響く。
焔は今、椅子に座らされてロープで縛られて身動きできないようにされていた。その前には楓が仁王立ちしている。隣には結梨がしゃがんでいる。
「焔様。本日は夢結様とお出かけするそうですわね?」
「そうだけど……」
「奥様である夢結様とお二人でお出かけ。普通ならデートと言うでしょうが、あなた方お二人は結婚されている身。ならばもうこれは新婚旅行ですわ!」
「え~っと……?」
楓の力説に首を傾げる焔。
確かに焔はこれから夢結と二人でお出かけする約束をしている。
「楓さ~ん、言われた物を持ってきました~!」
「二水ちゃんと二人でお兄様に合いそうな服は手当たり次第持ってきました!」
扉を開けて梨璃、二水が大量の服を持って入ってきた。
「ありがとうございます。梨璃さん、チビッ子一号」
「おい、そんな大量の服どうするんだ」
「ここまで見せておいて理解しませんの?決まっていますわ。これから焔様をコーディネートするんですわ!」
「いや、そんな事しなくていいが」
「お黙りください!せっかくお二人でお出かけなんですのよ!?気合いを入れた服を着ていくのは当然!なのに焔様と夢結様は二人して普通の私服で行こうとしている……こればっかりは口を出させていただきますわ!これには神琳さんも激しく同意しておりましたわ!今夢結様の所には神琳さんを筆頭に雨嘉さん、梅様、鶴紗さん、チビッ子二号が行っています!神琳さんなら夢結様を完璧にコーディネートしてくれます。ならばわたくしも完璧に焔様をコーディネートしてみせますわ!!」
「……お、おう」
楓の力の入れようにたじたじになる焔。
こうなった経緯としては、焔が準備をしていたら何の前触れもなく突然結梨が扉を開けて入ってきて、驚いて動けない焔を瞬く間に椅子に縛りつけて身動きできないようにしてから楓が入ってきた。ということだ。
そして、楓は後ろにいる梨璃たちに向き、持ってきた服をまじまじと見てから何着かを取り出し、焔に振り向く。
「さあ、焔様。コーディネートを、始めますわ!!」
楓の気合いの入った声が響き渡り、焔はされるがまま、楓にコーディネートされたのだった。
数十分後、待ち合わせ場所である鶴岡八幡宮に向かっている焔は楓の渾身のコーディネートされた服に身を包んでいた。
季節も夏に近いため、涼しい素材と風通しが良い素材で作られた服だ。コーディネートが終わった時、楓はやりきった顔をしながら『これなら神琳さんにも勝てる……!』と静かに呟いていたのを焔は忘れない。
そして、八幡宮の境内にある池の近くまで来るとそこに掛かる橋の中央に白いワンピースを着て、左手に手提げカバンを持ち、麦わら帽子を被っている人物が焔の目に入る。
その人物はこちらに背を向けており、誰だかわからない。だが、黒く、長い髪が彼女が誰なのかを示している。示し合わせたかのように風が吹き、白いワンピースの裾と髪を揺らし、飛ばされないように手提げカバンを持っていない右手で麦わら帽子を抑える。
ーーー後ろ姿なのに、どうしてこうも画になるのだろうか。
そう思いながら見惚れていた焔だが、すぐに我に返って歩を進める。
ジャリ……
砂利道に片足が入り、砂利を踏んだ音に白ワンピースの人物が気づき、こちらに振り返り、焔と目が合った瞬間微笑んだ。
「お待たせ、夢結」
「そんなに待ってないから大丈夫よ」
白いワンピースに身を包んだ焔の妻、夢結である。
デートでの決まり台詞を二人は言うが、改めて言おう。これはデートではない。新婚旅行である。
「予定だとこのまま八幡宮の中を歩くんだったわよね?」
「それなんだが、変更したい」
「変更?」
「あぁ。せっかくの休日だし、楓たちから新婚旅行楽しんでと言われてるから遠出しようと思ってな」
「私は構わないけれど、どこに行くの?」
「場所はーーー」
ーーー御台場だ
列車に数時間揺られ、鎌倉から御台場へと到着した焔たち。そのまま向かった先は……。
「お台場、海浜公園……」
「そう。ここに来たかった」
「どうして?」
「すぐにわかる。もう少し歩こうか」
お台場海浜公園。そこに到着した焔と夢結。夢結はなぜここなのかわからないまま、焔の後を着いていき、ちらほらといる民間人がいる大きな廃デパートの前にたどり着いた。そこで焔が立ち止まる。
「焔?ここは……」
「ここは昔、ある立像が立っていた場所だ」
「立像?」
「そう。その立像は人々に希望を持って欲しいという願いが込められて立てられたんだ。ある人は、それを『可能性の獣』と呼んでいたらしい」
「可能性の獣……どんな獣だったのかしら」
「なんでも『白き一角獣』って呼ばれていたらしい」
「それって……」
「夢結の想像通りかもな。それは、伝説の生物を模した立像。そして昔流行っていたモノ……今でも一部の人は好きらしい。人間の中にある可能性という名の神を信じ、人類に新たな道を示すようにソレは立てられた」
「……詳しいのね」
「こういうのが好きでな。初めて知った時、昔の人たちは凄いんだなって思ってさ。この立像に関連する歴史をいろいろ調べまくった時があったんだ」
「昔、か。それはHUGEがいなかった時代でしょ?」
「あぁ。日本は平和だったらしいぞ?ここもものすごい数の人たちがその立像を見に来てたらしい」
「そうなのね。ねぇ、焔。関連の歴史って言ったわよね?他にもあるんでしょ?」
「ご名答。次の立像があった場所は横浜だ」
そう言って歩き出そうと足を進めた瞬間ーーー
「ちょっと灯莉!待ちなさい!」
「ん?」
凄く聞きなれた声が後ろから聞こえ、立ち止まって思わず振り返る二人。
「定盛早く~!」
「あんたが早すぎるのよ!というかなんでここに来たのよ!」
「ここがユニコーンと深い関わりがある場所なんだって!ここだったらもしかしたらユニコーンに会えるかもしれないから早く行こっ!」
「わかったから待ちなさい!」
二人からだいぶ離れたところにグラン・エプレの姫歌、そして灯莉が走っていた。離れていたこともあり、焔と夢結に気づかないでどこかに行ってしまった。
「あの二人も来てたんだな」
「そうみたいね。気づかないで行っちゃったけど」
「追いかけることもないか。行くか、夢結」
「えぇ」
今度こそ、駅に向かうために歩き出す二人。焔の左手を強く握りしめながら隣を歩く夢結という構図は他人から見たらデートにしか見えないだろう。
「マジか……」
「電車ないわね」
駅に着いて横浜行きの電車の時間を見たら二時間後のしかないことに落胆する焔。
「どうするか……」
「私に良い考えがあるわ」
「どんな?」
「人に見られない場所に行きましょう」
「……なぜ?」
夢結の言葉に疑問を抱きながら先を歩く夢結に着いていく焔。一体どんな考えなのだろうか。
そして人が全く来ないような場所に来た二人。
「さ、焔。翼を出して」
「………………は?」
「翼を出して」
「いや聞こえてるわ。翼を展開してどうするんだよ」
「わからない?飛んで横浜に行けばいいじゃない」
「簡単に言うなおい。人に見られたらどうすんだよ」
「だから人気がない場所に来たんでしょう。空の旅を兼ねて行きましょう」
「…………わかった。しっかり掴まれよ?人に気づかれそうになったら速度を上げて逃げるように向かうからな」
「えぇ。それでいいわ」
「よし。じゃあ、行くか!」
夢結をお姫様抱っこしてから翼を顕現させて羽ばたき、一気に上空へと舞う。風が凄いので目を瞑ってもおかしくないのだが、夢結は平然としており、片腕を焔の首の後ろに回し、もう片方は麦わら帽子を抑えている。
下の方で『それは反則ですぅ~!』って聞き慣れた声が聞こえた気がしたがスルーした二人だった。
横浜のはるか上空を飛翔し、誰もいない場所を義眼で探す焔。夢結は高すぎてどこに人がいるのか見えないので焔に任せている。
「焔」
「なんだ?」
暇だからだろう。探索中の焔に声をかける夢結だが少し申し訳なさを思いながら焔に問いかけた。
「気づいてたでしょ」
「そりゃな」
短い会話。夢結が指しているのは飛び立った時に聞こえた気がした声のことだ。果たして誰の声なのか。それとも本当に気がしただけなのか。
「帰ったらお話かしらね」
「だな」
……………………二人は気づいてるらしい。
「見つけた」
「案外時間掛かったわね」
「結構人がいるからな。降りるぞ、しっかり掴まってろ」
「わかったわ」
人に気づかれないようになるべく速いスピードで降下する焔。そして誰もいない路地裏に着地して夢結を下ろす。焔から離れた夢結はずっと抱っこされていた体を伸ばす。
「さ、エスコートをお願い。焔」
「あぁ」
翼のマギを四散させて無くした焔の左腕に手を組む夢結。二人は自然に路地裏から出て歩き出す。向かうは、横浜にあったとされる立像の場所だ。
「港に設置されていたのね」
到着した二人。そして夢結の率直な感想。お台場と違ってすぐ近くが港で海風がもろに来る場所である。
「ここの立像は御台場のと違って動くことができたらしいぞ」
「立像を動かすって、どんな立像だったの?」
「それは俺にもわからない」
「調べたのに?」
「あぁ」
「一番重要な部分が知りたいのに」
「確かにな~」
「軽いわね、もう……」
「そう拗ねるなって」
「拗ねてない」
「はいはい」
近くのベンチに座って海風を堪能している二人の会話。仲睦まじいのがよくわかる。だが、焔は夢結に一つ嘘をついた。それがどんな嘘なのか。
「そろそろ帰るか」
「えぇ。じゃあ、帰りも空の旅のエスコートをお願い」
「………………え?」
「翼で帰るんじゃないの?」
「どこでどう解釈した?普通に電車で」
「電車なら無いわよ?」
「は?」
「確か時刻表だと鎌倉行きの電車は無かったはずよ」
「嘘だろ……」
「えぇ。だからお願いね」
「………………わかった」
項垂れる焔を立たせてから押して路地裏に向かう夢結。途中で焔も観念したのか自分で歩き、さっさと翼を顕現させて夢結をお姫様抱っこして百合ヶ丘に帰投するべく、飛翔したのだった。
「(ごめんなさいね焔。電車が無いなんて嘘よ。でも、これでおあいこよ?あなたも嘘をついたんだから)」
「(気づかれてるよな~これ。俺が嘘ついたこと)」
帰投中、同じことを思っていた二人。焔がついた嘘。それは、立像についてである。
なぜその立像が立てられたのか。なぜ動くことができる立像を作ったのか。それは、その立像の名前が有名なモノだからだ。
その名はーーー
「(ーーーーーーガンダム)」
調べてたどり着いたその名前。ソレは、なぜか他人にはあまり言いたくない名前だと焔が思ったから、夢結には伝えなかった。ただ、それだけの理由である。
これにて、焔と夢結の短い新婚旅行は幕を閉じたのだった。
余談だが、百合ヶ丘に帰還した焔と夢結は内緒で勝手に着いてきていた梨璃と結梨に罰としてデコピンをお見舞い(二人してデコピンされたおでこの部分を抑えながら悶絶した)し、次の休日は四人でお出かけする約束をしたのだった。
めっちゃ匂わせてから最後の最後でぶちこんでいくスタイル。
お読みいただき、ありがとうございました。
短かったですか?それは勘弁してください。私では、これが限界なんです……。そしてもう一度。これはデートではない。誰が何と言おうと新婚旅行です。新婚旅行です。
はい、大事なことなので二度言いました。
いや~、やっと新婚旅行が完成したからアンケートしたやつは消化完了したので次は本編やっていこうと思っています。リクエストがあればどうぞ。短編みたいな感じでできるだけ応えていきたいと思っています。
今回の夢結の衣装は今年の誕生日メモリアの白ワンピースです。気づいた方はいるんじゃないですか?もうね、そのメモリアが尊すぎて待ち受け画面にするほどなんですよ。もちろん千香瑠の誕生月メモリアも当ててから待ち受け画面にしましたよ。夢結と千香瑠と叶星推しなので。
夢結のメモリア見てたらニュータイプのように頭にネタがキュピーンッ!って浮かんできてこれだっ!!ってなってこの新婚旅行が完成しました。まあ、最初はガンダムの名前は伏せたまんまにしようかな~って思ってたんですが最後にぶちこむことにしました。それだけです。
それでは以上、レリでした!