大晦日の短編です。
この一年、私の作品を読んでくださった読者の皆さんに最大の感謝を。そして来年もよろしくお願いいたします!
大晦日短編、始まります。
「はっ、はっ、はっ……」
百合ヶ丘の敷地内の芝生がある場所……ではない所を夢結は走っていた。
「一体、どこに行ったのかしら……。必ず私が見つけるから」
そう言って夢結はまた走っていった。
別の場所では夢結と同じように梨璃が走っていた。
「ここにもいない。どこに行ったのかな」
そのまた別の場所では。
「クンクン、クンクン……。いない。別の場所!」
匂いで探りながら走っていく結梨がいた。
「…………どうやらここにはいないようね。叶星、別の場所に行きましょう」
「えぇ。あと隠れられるような場所は……」
別の場所では叶星と高嶺が周りを見ながら歩いていた。
「絶対に私が見つけて大晦日を二人で過ごしてみせる!」
「気合い充分ね、叶星」
「手伝ってくれてありがとう、高嶺ちゃん。さ、次の場所に行こ!ここの地形は私たちがよく知ってるんだから」
「逆に言うとよく知らない場所でここまで見つかっていないのはすごいと思うけど」
「さすが焔君よね。けど、すぐに見つけてみせるわ」
「そうね。夢結さんたちより先に見つけないとね」
「うん!」
叶星と高嶺の会話でだいたいわかるだろう。現在ここでなにをしているのか。それはーーー。
『大晦日特別企画!焔を捕獲せよ!』
これである。開催地は神庭女子藝術高等学校で、参加者は夢結、梨璃、結梨、叶星、そして叶星のサポート役としている高嶺である。
ルールとしては一定時間までに逃げ隠れしている焔を捕まえるというシンプルなもの。見事焔を捕まえた人は焔と二人っきりで大晦日を過ごせるという叶星にとっては絶対に勝たなくてはならないものだ。焔が夢結と結婚していようが叶星はそんな事関係ないとなっている。
「焔く~ん!どこに隠れているの~!」
「それで返事してくれたらいいんだけど」
「してくれないのはわかってるわ。けどこうやればなにか反応はするんじゃないかなって思って」
「僅かな反応を見逃さないようにしないといけないわね」
「大変だけど頑張りましょう」
「えぇ」
「焔く~ん!」
叶星は変わらずに声を上げて焔に動きがないかを周りを見ていた。
そんな叶星の声が聞こえる中、焔は隠れていた。
(誰が反応するか)
隠れながらそんな事を考えていた焔だった。
(見つけられる可能性が高いのはやっぱり結梨か……)
焔の匂いを感じとることができる結梨は、やはり隠れる側にとっては脅威そのもの。その場に居続けるのは結梨に見つかる可能性が大いに上がる。なので……。
「……そろそろ移動するか」
「そうね。留まり続けるのは悪手だし」
「結梨に見つかるからな」
「そうよね。なら……」
「っ!?」
焔は驚きながらもすぐに前方に跳んだ。そのすぐ後ろを何かが通った。焔は跳んだ勢いを前転して無くし、着地してから後ろを見た。
そこにはいつからいたのか不明の夢結がいた。そして焔がいた地面に広がった網が落ちていた。
「夢結!?いつの間に!?それになんだよその網は!!」
「あなたを捕らえるための捕獲用ネットよ。それとあなたらしくないわね。後ろにいたのに気づかないなんて」
「いやお前俺の義眼のレーダーを掻い潜って近づくってどんな技術持ってんだよ!」
「それはあなたの妻だからよ」
「一瞬納得しかけた!」
「お話はこれまでにして。さぁ、焔。早く私に捕まりなさい。そして大晦日を二人で過ごすわよ」
「過ごしたいのは山々だが、俺が簡単に捕まったら企画倒れだから逃げさせてもらう」
「そう言うと思ったわ。だからね」
パァン!
「あっぶね!?」
「全力で捕まえるから」
話してる最中に突如夢結が銃を取り出して網を射出した。が、すんでのところで焔は回避した。
「まだまだあるわよ!」
そう言いながらどんどん銃を出して網を射出してくる夢結。一体どこにそれだけの銃を持っているのかと問いただしたくなる量だが今の焔にそんな事を考えてる暇はなく、迫りくる網を避けることに集中するしかなかった。
「容赦無さすぎるぞ夢結!」
「黙りなさい!二人で大晦日を過ごすためには情け容赦はいらないのよ!早く捕まりなさい!」
夢結の気迫に若干の恐怖を抱きながら焔は逃げていた。だが、この直後に別の恐怖を味わうことになる。
「見ぃ~つけた」
「え…………」
突然、焔の目の前に高嶺が姿を現した。物陰から出てきたとかでは無く、一瞬にして焔の目の前に出てきたのだ。
「た、高嶺!?くっ!」
驚いていてもちゃんと高嶺を避けた焔は流石といえよう。
「逃がさないわよ、焔!」
高嶺も焔を尋常じゃないスピードで追いかける。そしてすぐに焔の背後に着き、夢結が使ってきた銃を焔に構える。それを見た焔はマギを収束して上空に跳んだ。突然の動きにもかかわらず高嶺は焔に着いていき、どんどん追いかける。
「このスピード!まさか『ゼノンパラドキサ』か!!」
「正解!叶星のために捕まってもらうわよ!」
「くそ!厄介なレアスキルを!」
神庭女子の上空で高速で動く二つの人影。事情を知らない者が見ればなんなのかと考えてしまう状況に夢結は少し焦っていた。
「高嶺さんのレアスキルは『ゼノンパラドキサ』……スピードを駆使して焔を捕まえようってところね。でも、焔は『縮地』を使った梅からも逃げるから高嶺さんでも捕まえるのは不可能のはず……。なら先回りね」
夢結は上空にいる焔を気にしながら歩きだした。
「このスピードでも追いつけないなんて……!」
「なめるな!梅で慣れてるんだよ!そろそろ逃げさせてもらう!!」
焔は翼を顕現させた。高嶺はそれを見て逃がすものかと焔に手を伸ばすが、触れることはできなかった。なぜなら一瞬で焔が消えたからだ。高嶺はがっかりすること無く地面に着地して端末を取り出した。
「もしもし、叶星?」
端末を操作して叶星に連絡をするのだった。
◯◎◯
神庭女子の敷地内の緑が多い場所、そこに突然姿を現した翼を顕現した焔。着地して翼のマギを体に閉まって翼を消す。
「ふぅ、なんとか逃げ切れたな」
義眼のレーダーで周囲に反応が無いのを確認してから警戒を解いて座りこむ焔。
「はぁ、さすがに疲れたな。まさかあそこまで高嶺が執着してくるとは……予想外だ。このままここで休息も兼ねて少し隠れるか。あの速度で移動したから結梨も匂いを辿るのは難しいだろうし」
高嶺との鬼ごっこでだいぶ消耗したので回復に専念することにした焔。周りには誰もいないとわかりながら。
ここで失態をした焔。つい先ほどあったことだというのにそれを完全に忘れている焔。だからわからなかった。その者がすぐ近くにいることに。
ーーー見ぃ~つけた♪
ソレが響いた瞬間、焔は身動きが一切できなくなり、視界が暗転したのだった。
『終了~!焔を捕まえたのはグラン・エプレの今叶星さん!!おめでとう~!!』
神庭女子の放送室を借りている百由が終了と宣言したのだった。
ちなみにその後は焔とめっちゃ嬉しそうな叶星が二人っきりで大晦日、年越しを過ごしたのだった。
お読みいただきありがとうございました。
今年も残るところあと僅か。この一年、いろいろありました。主にいろんなライブの現地に行ったとかですがね。明日も正月の短編を投稿予定です。まだ書いてませんがね。頑張って投稿します。
ラスバレでは新たなガチャが来てますね。夢結の衣装見た瞬間叫びました。黒いウサミミとか最高じゃないですか!しかも巫女服のような衣装!!似合いすぎてるしめっちゃ可愛いし!!夢結推しは絶対叫んでると思う。
それでは以上、レリでした!!良いお年を!!来年もよろしくお願いいたします!!