アサルトリリィ―蒼焔のリリィ―   作:レリ

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皆さんこんばんは。レリです。


少し前にTwitter…………おっと、Xに投稿されてたある画像を見てネタが浮かんだのでチマチマ書いてた短編が完成したので投稿です。さあ、リリィ同士の派閥戦争は一体どれだけ激しいのか。そしてどんな派閥なのか。

今回は久々登場のレギオンとキャラ、そして一名だけ超強化されてます。


それでは派閥戦争、開始です。


派閥戦争

 

その日、百合ヶ丘女学院ではリリィ同士の大規模な戦闘、いや、戦争が繰り広げられていた。

 

お互い本気と書いてマジの戦争なので、至るところから爆発が起こったり、やられたのか悲鳴があがったりなど、百合ヶ丘がとんでもなく渾沌としたことになっている。

 

 

「で、コレの発端は?」

 

「天野君と番匠谷君じゃな」

 

「毎度毎度あのバカ共は…………」

 

 

戦争の真っ只中、校舎だけは絶対に攻撃しないという謎のリリィ同士の暗黙の了解で傷一つついていない校舎の理事長室、そこに理事長代行の咬月と焔の二人がいた。

 

この戦争の発端となった人物を聞いて焔は頭を抱えて呆れている。

 

 

「原因は?」

 

「お菓子のーーー派とーーー派でどちらが上か白黒つける、だそうだ。最初は天野君と江川君がーーー派で話していたそうじゃが、ーーー派の番匠谷君が反応し、そこからこうなった」

 

「きっかけがくだらねぇ…………」

 

「じゃが皆、真剣じゃ」

 

「わかってる」

 

 

そう言いながら聞きたいことが終わったのか踵を返して理事長室を出ていこうとする焔を咬月が振り返りながら待ったをかけた。

 

 

「どうする気じゃ」

 

 

そう問いかけられた焔は歩みを止め、ゆっくりと振り返った。義眼と義手から蒼い焔を出しながら。

 

 

「無論、この戦争に参加するためだ。この話を聞いておいそれとはいそうですかとは言えないから。俺はーーー派だから」

 

 

言い終わった瞬間、焔は一瞬で姿を消した。それを見届けた咬月はため息を吐きながら視線を前に戻した。

 

 

「わしもお主と同じーーー派じゃよ」

 

 

咬月一人となった理事長室にその一言は妙に響いたのだった。

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

戦争中の敷地内を校舎の屋上からフード付きのマントを羽織り、フードを目深に被った人物が一人、静かに見ていた。するとその人物が突然後ろを向くと、突如、人影が現れた。

 

 

「最初からここにいたんだな」

 

 

理事長室から一瞬で移動した焔である。焔はそこにいたマントの人物を見て誰なのかすぐにわかり、ゆっくり歩きながら隣に立つ。

 

 

「…………」

 

「この戦争の内容は聞いた。俺も参加することにしたよ」

 

「…………」

 

「ん、俺もか?わかった」

 

 

マントの人物は焔に自分と同じマントを差し出してきたのを見て焔は受け取り、羽織ってフードを被り、見下ろす。フードの中から蒼い焔を出し、マントの人物もフードの中から赤い光と蒼い光を出しながら……。

 

 

「行くか」

 

 

同時に飛び降りたのだった。

 

 

◇◆◇

 

 

「依奈ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「ソラァァァァァァァァ!!!!」

 

 

敷地内の校庭で天葉と依奈がガチでやりあっており、お互い本気でCHARMを振り下ろし、物凄い金属音を響かせてつばぜり合いになるが、同時に後ろに下がって距離を取った途端、間髪入れずに依奈が《アステリオン》を突きの構えで天葉に向かって突撃してくる。

 

 

「っ!『ヘリオスフィア』!!」

 

 

対して天葉は自身のレアスキルを発動し、防御フィールドを生成して依奈の攻撃を防いだ。

 

 

「敵に回すと『ヘリオスフィア』は厄介ね!!でも!!」

 

「隙ありです!天葉様!!」

 

 

防がれたことに依奈は悔しがるが、今度は別方向から壱が天葉に攻撃を仕掛けてきたことに天葉は動けず、壱のCHARMが当たると思ったその時ーーー

 

 

ガギィィン!!

 

 

その一瞬、天葉の目の前を天葉が持ってるCHARMとは別のCHARMが壱のCHARMを弾き返した。弾き返されたことで壱はバランスが崩れるが即座に後方に跳んで距離を取り、天葉を守った人物を見ると。

 

 

「…………樟美」

 

 

白く長い髪をポニーテールにした樟美が立っていた。

 

 

「天葉姉様に手出しさせないよ、いっちゃん」

 

「樟美、援護ありがと」

 

「天葉姉様はもっと周りを見てください。私が間に合ったからよかったけど、間に合わなかったらどうしてたんですか」

 

「うっ、ごめん…………」

 

 

樟美の流れるようなお説教に天葉は縮こまってしまう。それを見た樟美はもう一度壱を見てからCHARMを構える。

 

 

「天葉姉様、いっちゃんは私が相手をします」

 

「え、大丈夫?」

 

「大丈夫です」

 

「わかった。なら私はそのまま依奈の相手をするわ」

 

「姉様、頑張って」

 

「樟美もね」

 

 

短い言葉を交わし、それぞれの相手に向けてCHARMを構え直す二人。それを見ている依奈と壱もCHARMを構える。

 

 

「壱、樟美があなたを狙ってるから相手して。私はソラの相手をするから」

 

「……わかりました」

 

「ん、壱?どうしたの?」

 

 

僅かな間を置いての返事に依奈が違和感を持って壱に問いかけるが、対して壱は樟美にCHARMこそ向けているものの、冷や汗を流し、若干手が震えている。

 

 

「壱?」

 

「すみません、さっきの攻撃を防がれてから樟美に対する嫌な予感、というか警報みたいなのを感じてて…………。なんか、いつもの樟美じゃないみたいな」

 

 

壱の言葉を聞きながら依奈は樟美を見るが、確かに嫌な予感が自分もするのを感じる。

 

 

「(確かに感じる……。でもこの感じ、どこかで…………)」

 

 

この違和感、それは前にどこかで感じたことがあるような気がしなくもない依奈。思い出そうとするも、相手はその考える時間すら与えてくれない。

 

 

ビュッ!!

 

 

「うぇっ!?」

 

 

樟美のいきなりの突撃。しかもその速度が異常に速く、一瞬で壱の目の前に現れたように見えた壱は驚きの声をあげながらもリリィとしての直感でCHARMで防御するようにした途端に物凄い重い一撃を喰らった。あまりの衝撃に壱は後方に飛ばされてしまい、足を踏ん張り、CHARMを地面に突き刺してなんとか止まることに成功した。

 

だが壱に迫る警報は鳴り止まない。すぐにCHARMを地面から引き抜いて構えて前を見て驚愕した。

 

なぜなら、樟美が信じられない速度でジグザグに移動しながらこちらに迫って来ているのだから。

 

 

「速っ!?」

 

 

その速度は『縮地』を使った梅と並ぶのではないかと思うほどの速度であり、壱は思わず叫びながら自身が出せる最高速度で樟美から逃げるように走り出す。が、壱の最高速度であろうと今の樟美にとっては遅すぎる。もはや神速とでも言えるのではないかと言うほどの速度で壱を追いかけ、あっという間に壱を追い抜き、急旋回して壱に攻撃する樟美。

 

それを見ていた依奈は壱の援護に向かおうとしたが天葉からの攻撃によって、足止めをされている。

 

 

「ちょっと樟美!!いくらなんでも速すぎるでしょうが!!」

 

 

樟美の攻撃を防御し、そのままつばぜり合いになった時に壱が樟美に向かって叫ぶが……。

 

 

「えへへ」

 

「褒めてない!!」

 

「ぇ………………」

 

「やめて!?その凄く悲しい顔をするのは!?戦闘に集中できない!!」

 

「むぅ」

 

「コロコロ表情変わるわね!?」

 

「兄様は優しくしてくれたのに…………」

 

 

最後に呟いた樟美の言葉。それを聞いた壱は一瞬ポカンと樟美の目を見て、すぐに脳がフル回転して最悪の予感が頭に浮かんだ。

 

 

「ま、まさか樟美…………焔様と…………」

 

 

絞り出た壱の問いかけを聞いた樟美は、ニッコリと微笑んだ。それを見た壱は驚愕と先ほどから樟美に対する嫌な予感の正体が判明し、顔を青くした。

 

 

「察しがいいね、いっちゃん。そうだよ、私ね。兄様に特訓してもらってたの」

 

「嘘…………」

 

 

壱にとってとっても最悪な返答に言葉を失ってしまった。

 

 

「兄様と特訓しててね、私はマギの使い方のコツを教わったの。そして兄様の戦闘スタイルを思い出しながら特訓してこの速さを生み出したの。これには私もびっくりして制御が大変だったけど、兄様のおかげでモノにできたの。この速度はとっておきでみんなにはまだ内緒にするつもりだったんだけど、ここで御披露目しようかなって。それから私は兄様から二つ名をもらったの」

 

「ふ、二つ名?」

 

「『神速のリリィ』っていう二つ名を、ね!」

 

「ぐぅ!?」

 

 

新たに授かった二つ名を名乗り終わると、樟美はつばぜり合いから一歩離れてから一瞬で壱に二連撃を叩き込み、たまらず壱は後ろに下げられてしまい、距離が空いてしまった。

 

 

「っ!?まず……!」

 

 

距離が離れれば離れるほど、樟美にとっては速度を活かした攻撃を放つことができる。その事をわかってる壱はすぐに距離を縮めようとするが、樟美は一瞬で後方に移動して壱からもっと離れる。そしてCHARMを構え、マギを収束させていく。

 

 

「これで、決めるよ」

 

 

たった一言。そう言った瞬間、樟美は突撃する。最大速度なのだろうか、壱からは樟美の姿が視認できずに目の前に現れた樟美に防御できるほどの反射神経を壱は残念ながら持っておらず、樟美の攻撃を喰らう。

 

 

 

 

ーーーそう思った時だった。

 

 

 

 

ドゴォォォォォォォォォン!!!!

 

 

 

 

樟美と壱がいる場所からすぐ近くで突然の大爆発。樟美は驚いて急停止して壱への攻撃をやめて爆発した方向を向き、壱も爆発した方向を向く。だが、直後の爆風と土煙で吹き飛ばされないように踏ん張ることしかできなくなった。その時、二人の目に宙を浮いている二人の人物が映った。

 

 

「天葉姉様!!!!」

 

「依奈様!!!!」

 

 

それぞれの先輩の名を叫びながら跳躍して受け止めてから着地する二人。天葉と依奈に外傷は無さそうだが、至近距離での爆発を喰らって意識が朦朧としている。

 

 

「天葉姉様!天葉姉様!!」

 

「依奈様、大丈夫ですか!?」

 

「樟……美……逃げ……て……あいつ……は……」

 

「壱…………今すぐ…………逃げて…………」

 

 

意識が朦朧としながら二人は受け止めてくれた後輩に逃げるように言ったその時……。

 

 

 

ガシャン

 

 

 

「「っ!」」

 

 

突然の物音に壱と樟美は驚きながら音のした方向へ顔を向けると、地面に巨大なクレーターができており、その中心部に白い杭が地面に突き刺さっており、そのすぐ隣に黒い歪な物体が落ちている。そして、そこにフードを目深に被った正体不明の人物が立っていた。

 

 

「あの装備は…………まさか…………」

 

 

落ちている黒い物体を見て壱はその人物の正体に冷や汗を流す。

 

 

「兄……様…………?」

 

 

樟美も正体に気づいて呟いた刹那、近くで蒼く輝く光が照らされた瞬間、爆発が起こった。

 

 

「な、なにっ!?」

 

「この……攻撃は……まさか……」

 

「…………クソ、あっちには夢結がいるのか」

 

「…………二人がいないと思っていたけど、ここで乱入してくるなんて」

 

 

回復した天葉と依奈が近くで起こってる惨劇の正体に気づく。二人してまずいという顔をしており、視線を自分たちを吹き飛ばした者に戻す。

 

 

「あっちに行きたいところだけど、こっちはあいつの足止めをしなくちゃならないか……」

 

「壱、あなたは向こうに行って。あいつは私たちでなんとか足止めするから」

 

「二人でって……そんな無茶ですよ!!あの人と戦うのにいくら依奈様たちでも……!!」

 

「倒すことはできないだろうけど、足止めぐらいならできるだろうから。樟美も行って」

 

「………………嫌です」

 

「ちょ、樟美。今のあいつは…………」

 

「……私だって、兄様と特訓してきたんです。兄様の攻撃パターンはわかってるつもりです。それに、『神速のリリィ』としての力、兄様に見せたいです」

 

「樟美…………わかった。焔に見せつけよう。樟美の強さをさ」

 

「はい」

 

 

四人全員がフードを被った人物、焔にCHARMを向けて構える。対して焔は動かない。離れた位置ではまだ夢結が大暴れしているので轟音と悲鳴が響いているが、この場では両者共に一歩も動いていないため、逆に不気味な静寂が流れている。

 

 

「動かない…………」

 

「…………タイミングを見計らってる?」

 

「…………だとすると一体なんのタイミングを?」

 

「………………違う」

 

「え?」

 

 

全く動いてこない焔に対して天葉、依奈、壱は疑問が浮かぶが唯一、樟美だけが三人の考えを否定した。否定してきたことに天葉は樟美を見ると、樟美は冷や汗を流しながら、チラチラと周囲を見ている。

 

 

「樟美?」

 

「………………マギが」

 

「え?」

 

「………………マギが、兄様に集まっていってます」

 

「「「なっ!?」」」

 

 

そう。樟美は、焔との特訓で少しではあるが、戦闘時に周囲に四散してるマギを感じ取ることができるようになっていたのだ。で、先ほど周囲を見ていたのは周囲のマギが着々と焔に集まっていっていることに冷や汗を流していたのだ。そして、周囲のマギが焔に集まっているということはすなわちーーー

 

 

「まさか『アレ』を使うつもり!?」

 

「ここで使われたらまずいわよ!?」

 

「私が兄様を止めますっ!」

 

「あ、樟美!!」

 

 

報告で聞いていた焔の新たな技。その威力を知っているがゆえにここで放たれたら自分たちを含めて大勢の犠牲者が出てしまう。そんな焦っているといち早く動いたのが樟美だった。

 

ご自慢の神速でジグザグに走りながら焔に接近する樟美。壱にもやった戦法である。だが、樟美が急速で接近しているというのに焔は全く動かない。動かずの焔に樟美はなぜ、などと思うが、これに関しては特訓の時にも焔は全く動かずに樟美を相手にしていたのだ。だから、樟美にとってはこれは特訓の時と同じ。そう考え、焔が次に取る行動を予測しながらCHARMを構え、焔に突撃。そこでようやく動いた焔が義手を出し、前方に向けた瞬間ーーー

 

 

樟美が消えた。

 

 

「消えた…………いや、違う!」

 

 

樟美が消えたことに壱が声をあげるが、自分の目に映った光景に即座に否定した。

 

 

焔の後ろに樟美が移動しており、CHARMを振り下ろそうとしている光景だった。

 

 

樟美は、焔の目の前で急速旋回して焔の真後ろに一瞬で移動したのだ。一瞬だったために消えたように見えたのだ。

 

樟美はそのまま反応できずにいる焔に向かってCHARMを振り下ろした。

 

が、CHARMが当たったのは、焔が羽織っていたフード付きマントだけだった。

 

 

「っ!?」

 

 

確実に当たったと思っていたのにまさかの空振りに樟美は驚くが、直後に自分に迫る鎌の刃が視えた瞬間、体を出来る限りひねり、CHARMで防御した途端に重い一撃を喰らい、吹っ飛ばされる樟美。樟美のレアスキル『ファンタズム』で視えた未来と同じだった為、防御したことで体へのダメージはない。

 

 

「樟美!!」

 

 

遠くで天葉の叫びが聞こえるが、それに反応してる暇はない。そう思いながら樟美は空中で回転してから着地し、CHARMを地面に突き刺してブレーキをかける。止まったと思ったら即座にCHARMを引き抜いて横に残像を残す勢いで走り出す。

 

離れた瞬間、樟美がいた場所に銃弾が着弾し、砂煙が舞う。天葉たちが驚いている中、樟美は焔を見ながら周囲を走り続ける。対して焔は《ソウルハーベスト》を銃形態に変形させており、銃口を樟美に向け、連続で発砲する。

 

一方、樟美は特訓の時と同じで。そして視た未来と同じ行動をしてきたことで止まらないで神速で走り続ける。

 

そして、樟美はそのまま土煙の中に突入した。

 

 

「…………」

 

 

土煙によって樟美の姿が消えたことで焔は発砲をやめた。刹那、土煙の中から先ほどまで進行していた方向とは逆方向から樟美が出てきて突撃する。焔はそれに《ソウルハーベスト》を銃から鎌に高速変形させて防ぐ。

 

上手い攻撃方法だったが防がれたことで焔にダメージを与えることはできずに樟美はCHARMを滑らせるように動かして焔の横を通りすぎてすぐにターンして焔の方に体を向けてCHARMを構えて追撃に備える。が…………。

 

 

「っ!」

 

 

何かを察知したのか、突然樟美が後方に跳んで焔から距離を取った。

 

 

「?…………!」

 

 

最初は焔も不思議そうにしたが、すぐに樟美と同じように何かを察知したらしく、すぐにその方向に顔を向けた先にあったのはーーー

 

 

 

ーーーーーー目前に迫る無数の銃弾だった。

 

 

 

そのまま銃弾は焔に襲いかかり、土煙が舞ったことで焔の姿が隠れてしまい、焔の状態がわからなくなってしまう。が、その隙に樟美は神速で天葉たちの元へ向かう。

 

 

 

「今の攻撃は…………」

 

「姉様!」

 

「樟美!今の攻撃は!?」

 

「誰の攻撃かはわかりません。『ファンタズム』で視えたのは先ほどの攻撃だけだったので」

 

「……もちろん私たちではないし。一体誰が……」

 

「私たちです」

 

『っ!?』

 

 

天葉の言葉に続くように呟かれた言葉。それに驚く天葉たちの近くに五人のリリィが降り立った。その五人は……。

 

 

「し、史房様!?」

 

「眞悠理!?」

 

「ローエングリンの三人まで」

 

「紗癒に広夢、雪陽!?」

 

 

百合ヶ丘女学院生徒会長出江史房。同じく二年の内田眞悠理。そしてレギオン『ローエングリン』の主将、立原紗癒。そして紗癒と同じレギオンのメンバー、妹島広夢。同じく倉又雪陽。この五人が集結した。

 

 

「どうして、史房様たちが」

 

 

天葉が史房に問いかけ、史房は土煙がまだ晴れずにいる前方を向いたまま答えた。

 

 

「これの発端は私たちです。が、あの二人も参加し、誰彼構わずに攻撃しているのが現状。そんな状態ではすぐに私たちが壊滅してしまいます。なら、協力してあの二人を倒す。それだけです。あちらの方には祀さんが行っているので、こちらは全員で彼の相手を…………え」

 

 

史房が説明している中、土煙がやっと晴れたと思ったら、そこにいるはずの焔の姿が無かった。その事に史房は驚きの声をあげる。

 

 

「消えた!?あいつ一体どこに!?」

 

 

眞悠理も驚いて周囲を見るが、全然見つからない。天葉たちも探すが結果は同じ。だが唯一、マギを感じ取ることができるリリィ、樟美がマギの流れを読み、集まっている方向に目を向けると、いつの間に移動したのか先ほどまでいた場所からだいぶ離れた位置に焔がおり、《クレセント・ローズ・リオ》を掲げていた。

 

 

「っ!?」

 

 

樟美は即座に神速で突撃する。突然の樟美の神速で天葉たちが驚きながらも樟美が向かった方向を見て顔を青ざめ、すぐに史房の指示で全員が銃弾を放つ。

 

 

 

だが、遅かった。

 

 

 

《クレセント・ローズ・リオ》が大鎌へと変化し、そのまま振り下ろされようとする中、樟美は、その全てがスローモーションのように動いているように見えていた。

 

 

「(ダメ…………間に合わない…………このまま、姉様たちが、みんなが…………そんなのダメ、絶対ダメ!もっと速く!兄様に届くように!もっと速く!速く!!)」

 

 

意思を強く持ち、神速で走り続ける樟美。そして足を強く踏み込み、力を込めて、勢いよく、飛び出した。

 

 

 

ッッッツォン!!!!

 

 

 

遂に樟美は、音を置き去りにした速度、音速を叩き出した。衝撃波は凄まじく、踏み込んだ地面は小規模なクレーターを作り、樟美は焔に急速接近する。

 

大鎌が振り下ろされ、地面に接触する直前、焔の目の前に樟美と、どこから来たのか結梨も現れ、その二人が到達し、二人同時にCHARMを思いっきり下から上へと振り上げた。

 

 

さすがの焔も、二人同時の力強く振り上げられたCHARMには敵わず、大鎌は地面へと接触すること無くかち上げられ、『死神の鎌』のエネルギーが百合ヶ丘上空へと撃ち出され、上空にあった雲を全て吹き飛ばしながら遥か空へと消えたのだった。

 

 

 

 

 

 

そのエネルギーが四散され、百合ヶ丘に膨大なマギが充満したことでそれが合図となったのか定かではないが、リリィ同士の派閥戦争は幕を閉じたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日、お菓子のたけのこの里ときのこの山の両方をお互いに食べさせ合いをしてる焔と夢結の二人を見た天葉と依奈が、「「(ホントにどっち派なの!?)」」と思ったのだった。

 

 

 

 

 

 




お読みいただきありがとうございました。


短編なのに七千文字を突破。そして樟美の超強化。いや~、やってしまいましたね~。だが反省も後悔もない。実際ラスバレのメインストーリーではアールヴヘイムは全然出てこないから出てない間は特訓してるってことにするかってなってこうなりました。ちなみに樟美が音速を叩き出したのはアレが最初で最後です。その後は頑張って出そうとしたけど出なくて断念って感じですね。

そして、今回の派閥戦争の派閥は、ズバリ、お菓子のたけのこの里かきのこの山の派閥です。この派閥はちょっとしたことでヤバいことになりますからね。リリィ同士がやったらこうなるでしょって書きました。

ちなみに焔は基本はどっちも好きだけど強いて言うならたけのこの里派だそうです。夢結も同じです。私?私はたけのこの里派です。

そして焔と夢結の最強夫婦は焔はもちろん、夢結でさえもとうとう一対一で勝つのが困難になりましたね。理由?覚醒したから。百合ヶ丘の中では焔と同等の危険レベルになってます。

…………………………怒らせると怖いとか。


夢結「へぇ……」

へぁっ!?夢結様!?ちょっ、待っ!!《ブリューナク》おろして!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!

夢結「遺言はあるかしら?」

死にたくないです!!

夢結「そう。さようなら」

慈悲も無し!?ギャアアアアアア!?

夢結「それではまた、次の話で会いましょう。さようなら」

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