本編の筆が全く進まず、気づいたら去年から書いてた短編が書き終わるというね……。本編書かなきゃ
なので先にこの短編を投稿です。ずっと暑いのでリリィたちの水遊びでも見て涼んでくれれば幸いです!
水遊び、始まります。
リゾートを模した大型施設のプール。そこは普段なら溢れんばかりの人で埋め尽くされているが、今日だけは人が全然いない。
定休日なのでは?と思われるが、よく見ると遊具の影に誰かが隠れてるのが見える。不審者?否、彼女たちは不審者ではない。彼女たちはプールに遊びに来た?否。否、否、否、否。彼女たちはただプールに遊びに来たのではない。
プールという戦場の中に美しく咲き誇るも儚い、リリィたちなのだ。
◇◆◇
岩山を模したゾーンの麓。そこには足首より少し上ぐらいの水位の水が貯まっており、岩山から絶えず水が流れているゾーンである。
そこに、二人のリリィが走っている。仲良く並走しているのではなく、一人が走っているのを追いかけているという状態。何をしているのだろうか……?
パシュ!パシュ!
「っ!」
二つの謎の音。その音が響いた瞬間、先頭を走っていたリリィが前方に跳んだ。直後、リリィがいた足元の水面に何かが着弾し、水が弾けた。
前方に跳んだリリィは着地と同時に前転してからまた走り出す。
「(………………近い)」
後ろから来るリリィを気にすること無く走り続けるリリィ。だがそのリリィはなにかを感じているのか、その場所に向けてまだ走る。
なにかを感じている時、そのリリィの鼻が動いていた。
「(…………どこまで行く気なの?反撃できるチャンスはあったのに全然仕掛けてこないし…………。それに嫌な予感が凄いするのも気になる。なにか…………誘われてるような感じ…………早く倒して撤退した方がいいのは変わらないね)」
先を走るリリィを追いかけながら思考を巡らせるリリィ。追いかけながら手にしている得物、水鉄砲型CHARM、銘を《グングニル・サマー》をシューティングモードに変形させて銃口を向け、引き金を引く。
パシュ!
独特の発砲音を響かせながら射出されたのは圧縮された水玉。射出された水玉はまっすぐ進み、前方のリリィに当たるーーー直前に前方のリリィが持つ同じ《グングニル・サマー》をブレードモードで後ろに振り向き様に横に一閃。ブレードモードの刃によって水玉は破壊され、前方のリリィに当たることがなかった。
「なら!」
一発ならそうやって破壊するなら連発するまでと考え、水玉を連射するリリィ。
「せいっ!」
バシャッ!
「えっ!?」
連射された水玉が迫る中、なんと前方のリリィは足元の水を使って即席の水の壁を作って水玉を防いだのだ。身体を捻り、その力を使って足を凪払うように振るって水を打ち上げたのだ。これには流石にリリィは驚きの声を上げる。
「そんな防ぎ方ある!?というかそんな事できるの結梨ちゃん!?」
「できるかなと思ったらできた!」
「えぇっ!?」
即席で作った水の壁をなんかできたと言いはるリリィ、結梨に驚く他ないリリィという構図が出来上がった。
「じゃあ今度はこっちから行くよ!梨璃!!」
「ふぇっ!?」
ブレードモードのまま突撃してきた結梨に驚きながらもシューティングモードの《グングニル・サマー》を一瞬でブレードモードに変形させて迎え撃つ梨璃。
近接戦でやり合う二人。ちなみに刃部分は生身の身体に当たっても大丈夫なようにマギを表面にコーティングされて作られたものとなっており、もし身体に当たると当たったリリィが持つマギが四散し、失格判定となる。
…………CHARMだけど水鉄砲なのだから水のかけあいをしてほしいものである。
「せやぁ!」
「はぁ!」
同じ《グングニル・サマー》を使う者同士、姉妹のような関係の梨璃と結梨。お互い負けられない意地があり、猛攻を繰り広げる。
ーーーその時
ウーーーーーーーー!!!!
「「っ!」」
突如、施設内全体に響き渡るサイレンが鳴った。
HUGE出現警報?否。このサイレンはそんなものではない。
『乱入者出現!!どのゾーンに現れたのかはわからないわ!!総員!その乱入者は異次元な強さを持ってる!!気がついたらやられてるかもしれないから気をつけて!!さあ、ここからが本番よ!!何人その乱入者から生き残れるかしら!?無事にこのバトルロワイヤルを生き残ってちょうだい!!』
サイレンが止まると同時にスピーカーから百由の声が響く。百由の声が聞こえる中、梨璃と結梨は一切動かずに内容を聞いている。
◇◆◇
ではここでなぜ彼女たちがリゾートを模した大型施設のプールでこんなことをしているのかの理由を説明しよう。
日々リリィとして切磋琢磨して人類を守っている百合ヶ丘の娘たちに息抜きは必要だとこの大型施設の管理人のご厚意により、貸し切りでの招待がされたのだ。季節は夏。毎日暑い中、暑さにやられてしまった娘もいるのだが、この招待に全員が声を上げて喜んだのだ。
その時の声で百合ヶ丘の周囲の野鳥などが一斉に飛び出すという珍事件が起きたが。
そして遊びに来た百合ヶ丘のリリィたちは、ただ遊ぶのも……という話になり、なら訓練がてら大いに暴れないかと百由が提案したところ、満場一致で賛成となり、このバトルロワイヤルが開催されたのだ。
題して
ー『百合ヶ丘女学院主催!水辺のバトルロワイヤル!!』ー
である。
◇◆◇
「乱入者出現の時間…………もうそんなに経ってたなんて…………。結梨ちゃんとの鬼ごっこを早めに終わらせないと」
「そんな簡単に終わらせないよ、梨璃。疑問に思わなかった?なんで結梨が走り続けていたのか。どうしてここで反撃することにしたのか」
「え…………」
「もうすぐわかるよ」
「…………………………まさか!?」
結梨の言葉に梨璃は思考を巡らせ、一つの答えにたどり着いて声を上げた瞬間ーーー
目の前、梨璃と結梨の間にナニかが上空から迫り、轟音を響かせ、巨大な水柱を発生させた。
◇◆◇
突如として轟音が施設全体に響き渡り、乱入者が出現したことを全員が理解した。
「………………来たのね」
その一人、夢結も気づいていた。周囲には水辺に浮かぶリリィがチラホラと。夢結に勝負を挑み、悉く敗北したリリィたちである。
「あら、夢結じゃない」
「…………日羽梨」
夢結の名前を呼びながら夢結の後ろに着地したのは夢結と同じ百合ヶ丘の二年生、山梨日羽梨である。
「普通なら、ここで会ったら戦闘するんだけど……さっきの音、夢結も聞こえたでしょ?」
「えぇ」
「やっぱりあいつ?」
「あなたの想像通りで間違いないわね」
「やっぱりか~。でさ、さっきの音とは別の音が聞こえるけど、もう誰かと戦ってるの?この水鉄砲型CHARMで殴り合ってる音とは思えないけど」
日羽梨の言う通り、先ほどの轟音とは別のナニかがぶつかり合うような重い音が響いている。
「ソレで殴り合ってるはずよ。あの娘が」
「あ~」
夢結が言った娘に日羽梨は理解した。確かにあの娘ならと。
「ホント親子揃って強すぎない?バケモノかなにか?」
「失礼よ日羽梨」
「あ、ごめんなさいね」
「親子じゃなくて家族全員よ」
「そっち?」
日羽梨のツッコミが妙に響いたのだった。
◇◆◇
「あらあら。ずいぶんと派手な登場をしたのね」
「とりあえず向かいます?姉様」
「そうね。他の娘たちも音がした方向に向かうでしょうし、全員で相手をすればいけるかしら」
「姉様、若菜様、先に行ってもいいですか?」
「いいよ。気をつけてね、樟美」
「はい!」
ッッッツォンッ!
「…………《神速のリリィ》、か。強くなった妹を見て嬉しさとは別に悔しい気持ちがある…………複雑だなぁ」
「ふふ、ソラちゃんも充分強いですよ?」
「シュッツエンゲルとしてもっと強くなります、姉様」
「えぇ。さ、向かいましょうか」
「はい!」
バトルロワイヤル中、生き残っているそれぞれのリリィたちが未だに轟音が響いている場所へと向かっていく。
乱入者を倒すために。
◇◆◇
岩山ゾーンでは重い音がずっと響いており、激しい戦闘が繰り広げられているのがわかる。
その時、今までよりも重い音が響いた瞬間、岩山ゾーンから勢いよくナニかが飛び出した。
ソレは飛びながら、ゾーンの外にある深さが膝下あたりのプールの水面を何度か跳ねながら水飛沫を上げて着水した。
岩山ゾーンの入口から一つの人影がゆっくりと現れ、マギを収束して跳躍し、先ほどのが着水したプールに飛び込む。
「…………」
いない。遅れて飛び込んだ者はそう思った。先ほどのが着水したのは確認しているのだが前方には何もない。どこかに逃げたのかと思った次の瞬間ーーー
ザバッ!!
「取った!!」
背後の水中から飛び出した者、結梨が《グングニル・サマー》ブレードモードを振り下ろした。
だが…………
「っ!?」
簡単に避けられた。背後を完全に取ったはずなのに。レーダーにも引っ掛からないように気配も消したのに。なのにいとも簡単に避けられた。驚く結梨に向かって相手は避けた体勢のまま銃口を向ける。
「あ」
気づいた時にはもう遅い。銃口を向けられたことで結梨は負けたと思った。
だが、勝利の女神は乱入者に微笑むことはなかった。
ガンッ!!
バシュッ!
「うっ!?」
向けられていた銃口が何かに弾かれたと同時に水玉が物凄い勢いで射出された。射出された水玉は結梨の顔の側面ギリギリを通過した。
脱落と思った一撃を逸らしたのはなんなのか。それはーーー
「すみません兄様!!」
ガンッ!!
叫びの直後に蹴りを叩き込み、乱入者を遠ざけるリリィ。
神速で現れた樟美である。
結梨に向けられた銃口を神速の勢いのまま突撃してギリギリで結梨を守ったのだ。そのまま身体を回して威力はそのままの蹴りを叩き込んだのだ。
「助かったよ樟美」
「いえ。間に合ってよかったです。状況は?」
「乱入者……ううん、お父さんが乱入してからこっちでの脱落者は無し。ただ、やっぱり一人じゃ全然倒せないや」
「今までよく一人で保てたなと思いますよ」
乱入者、焔を見ながら近況報告する二人。バトルロワイヤルだから敵同士だが今は味方。共通の敵がいれば手を取り合って倒すのは当然だが、相手はそうでもしないと絶対に倒せないというトンデモ人間である。
「上出来よ、二人とも」
「「え」」
いきなり聞こえた声。その声に結梨と樟美が驚いていると結梨の隣に音もなく夢結が現れた。
「お母さん」
「夢結様」
「結梨があの人と離れてればいいなと思ってたけど、樟美さんのおかげで作戦は無駄にならずにすむわね」
「作戦?」
「いつの間に?」
「さっきね。さあ、焔。貴方はここで私たちが脱落させるわよ」
そう言いながら夢結は左手を上げた。そして、それに応えるように焔がいるプールを、いや、焔を包囲するように生き残っていたリリィたちが一斉に跳び出した。
逃げ場を作らないように全員がマギの収束量を調整して跳んでいる。そのため、リリィで作った檻のようになった。そして、全員が銃口を向けている。
「放て!!」
跳んでいた天葉の指示で一斉に水玉が射出された。水玉はまっすぐに焔に進んでいく。
直後ーーー
「破っ!」
ザパァァァンッ!!
『はぁっ!?』
焔が《クレセント・ローズ・リオ・サマー》を高速で回転させながら持ったと思った瞬間、自身の目の前に叩きつけた。その直後、焔を守るように水柱が発生。迫り来る水玉を全て防いだ。
これには流石に全員が驚きの声をあげる。
「あれ、さっき結梨ちゃんがやった水の壁の防ぎ方!?」
夢結の隣に遅れて来た梨璃が水柱を見て先ほど結梨がやったのと同じと驚愕していた。
結梨がやったのとは全くもって桁違いなことをしてる時点でマジでなにやってんのとツッコミたいものである。
「あんな……防ぎ方…………っ!?」
樟美も驚愕していた一人であり、トンデモなやり方に呆然としてると彼女のレアスキル『ファンタズム』により視えた未来に戦慄した。なぜなら、物凄い数の水玉が超高速で迫る未来だったのだから。
「皆さん避けて!!!!」
すぐに叫びながら自分も横に跳ぶ。
その直後
某六角水晶体が放つような光が水柱の中から発生。瞬間、焔を倒す為の包囲網となっていたリリィたちのほとんどがマギが四散され、脱落が決定した。
かろうじて避けれたのは天葉、依奈、樟美、梨璃、結梨等の極少数。夢結に関しては超高速で飛来した水玉を一刀両断という神業をしている。
「反撃は来ると思ってたけど、威力が凄まじいわね。ロングバレルに限界まで水を圧縮、そしてマギをチャージして一気に解放したってところかしら」
「その反撃をめっちゃ簡単に一刀両断してるお母さんはなんなの」
「貴女もこれぐらいできるような反射神経とマギの圧縮を覚えなさい」
「え、先ほどのお姉様の神業とも言えるような業をできるようになれと?冗談ですよね?お姉様?」
「冗談よ。半分は」
「「半分は!?」」
「お遊びはここまでにして。生き残ったのは…………少ないわね」
梨璃と結梨のジト目を華麗にスルーしながら周りを見る夢結。マギが四散して倒れてるリリィが大半だが、CHARMを杖にしながら立っているリリィが数人。包囲網に参加していないリリィもいるがそれを合わせても生き残っているリリィは少ない。
「さて、どうするか…………」
「私が行くわよ!」
夢結が考えだした瞬間、一人のリリィが現れ、焔に向かって突撃した。そのリリィはーーー
「日羽梨の全力見てなさい!!」
日羽梨である。日羽梨は手に持っている水鉄砲型CHARM《ティルフィング・サマー》をシューティングモードに変形させて、水玉を連射する。
「甘いぞ日羽梨!!」
その攻撃に対して《クレセント・ローズ・リオ・サマー》鎌形態を高速で回転させて防ぐ焔。そしてすぐに突撃。
「っ!」
迫り来る焔に対して日羽梨は《ティルフィング・サマー》をブレードモードに変形させて迎え撃つ。
焔VS日羽梨の戦いは激闘へとなっていく。CHARMがぶつかり合う衝撃波がプールの水面を揺らしていく。
「…………」
衝撃波での風で髪を揺らしながら夢結は考える。日羽梨が身を挺して時間を稼いでいる今のうちに焔を倒す作戦を。いや、日羽梨自身は焔と戦いたくて激闘を繰り広げているだけかもしれないが。
「っ!梨璃、結梨、手伝って」
「わかりました、お姉様」
「うん、お母さん」
「夢結!私たちも何か手伝うわよ!」
思いついた作戦を二人に説明しようとする時に天葉と依奈、樟美が合流。そして……
「あらあら。日羽梨さんだけずるいですね。私も焔君と戦いますよ!」
若菜も現れ、激闘の中へと突撃していく。
「ん?げぇっ!?若菜先輩!?」
「あらあら、私のことは『若菜姉』って呼ぶようにと言ったはずですよ!」
「いやいやいやいや無理です!日羽梨だけならともかく若菜先輩はちょっとしんどいって!」
突如現れた若菜にめっちゃ嫌そうな顔をしながら日羽梨の攻撃をイナシてから距離を取る焔。対して若菜は追いかける。そして焔は逃げる。
なんとも言えないカオスな場面へと変わった。
「…………ねぇ、夢結。もう姉様に任した方がいいんじゃ?」
「…………流石に若菜様でもちょっと難しいと思うのよね。仕方ない。先回りするわよ」
『りょ、了解(です)……』
◇◆◇
「待ちなさい焔!」
「じっくりと私が姉としてのお話をしますよ!」
「日羽梨を相手したら若菜先輩に捕まるから嫌だ!!」
さっきまでの威勢はどこに行ったのか。今あるのは苦手な若菜から全力で逃げるというものだけである。こんな反応をするなら最初から若菜が相手をすれば良かったのではと思うがそうなると逃げながら他のリリィを脱落させていくという別の地獄が始まり、手に負えなくなる。
「逃げ続けるのなら後ろから撃つだけよ!」
水玉を焔に向けて連射する日羽梨だが、直前に焔が急加速して一気に距離を取って攻撃を避ける焔。
「急加速するんじゃないわよ!?」
「あらあら」
文句を言う日羽梨だがそれに応えるよりも逃げに徹する焔。
そして、最初にいた岩山ゾーンへと高速で突入した焔。
「待ってたわよ、焔!」
「……夢結か!」
先回りしていた夢結いた。ブレーキをかける焔だが、夢結がCHARMを構え、振り下ろす。が、振り下ろされたCHARMを紙一重で躱し、夢結の横を通り過ぎながら一回転して夢結に向く焔。
「避けると思ったわ。でも、ここで終わらせるわよ!」
CHARMの切っ先を焔に向けるように構えた同時に焔の後ろに梨璃と結梨が現れて夢結と同じ構えをする。
そして、CHARMにマギを流し、ブレード部にマギ集まり、水を纏う。
「「この一撃で!!」」
梨璃と結梨が同時に突撃。そしてCHARMを突き出す。それを焔は跳んで避ける。が、その瞬間、二つの場所から水玉が飛来する。
「考えたが、甘い!」
マギを収束、足場にしてまた跳ぶことによって避ける焔。だが……
「その行動は、視えてましたよ。兄様!!」
「なっ!?」
樟美が焔の上に神速で現れたことに流石に驚く焔。そうなったことで一瞬だけ動きを止めた焔に樟美はおもいっきり《レーヴァテイン・サマー》を振り下ろした。
ガギィンッ!!
バシャァァァンッ!!
樟美の攻撃により、真下のプールに叩き落とされる焔。落下の勢いが凄かった為、巨大な水柱が上がる。
夢結の両サイドに梨璃、結梨が集結し、樟美は夢結たちの近くに着地した。
直後ーーー辺り一帯が凄まじい殺気に包まれた。
凄まじい殺気によって梨璃たちは体が強ばってしまった瞬間、唯一夢結だけが動き、一瞬でCHARMをブレードモードのまま展開、そして下から上に斬り上げる要領で振り上げた。
ズパァァンッ!!
瞬間、水の斬撃がかち上げられた。おおよそ水の音とは思えない音だが、夢結は振り上げたCHARMをすぐにおろして迎撃体制に入る。
視線は鋭く、前方の水柱が収まった場所。焔を叩き落とした場所だ。
「ハハハハハハ!!流石だ夢結!!今のを防ぐとはな!!さっきのもいいコンビネーション……俄然燃えてきたぞ!!こっからは全力で行かせてもらう!!」
「みんな!!とりあえず離れて!!出来るだけ早く逃げなさい!!」
ドシュッ!!ガギンッ!!
刹那、焔と夢結の姿が見えなくなり、直後に重い金属音が響く。そして衝撃波がプールの水を飛ばした。
「な、何が!?」
「樟美さん!!今は状況確認よりも早く逃げましょう!!」
「天葉たちも!!早く!!」
「梨璃さん!?わ、わかりました!天葉姉様!!依奈様!!」
尚も続くぶつかり合う金属音と衝撃波。樟美は梨璃に言われて撤退をするのに自身の姉と先輩を呼び、梨璃たちは撤退をしたのだった。
◇◆◇
リゾート施設の上空で蒼い光と白い光が縦横無尽に飛び、何度もぶつかり合う光景が繰り広げられていた。
端から見れば謎の光としか思えないが、これが人、リリィだと言われたら誰が信じるだろうか。
そんな光景を梨璃たちは見守ることしかできない。梨璃と結梨と樟美は覚醒者でこの戦闘を目で追えてはいるが、そこまでしかできないとわかっている。介入したところで夢結の足枷になるし、瞬時に焔によって脱落される。それがわかっているからだ。
「これが、超覚醒者同士の戦い……」
「付け入る隙が全く無いし、光があっちこっちに飛んでるだけにしか見えないって相当な速度よね」
「私たちも強くなったと思うけど、こうも実力の差を見せつけられると…………」
「超覚醒と覚醒の違いだね。こんなに違うとは思わなかった」
「私も超覚醒に至ればあの速度が出せるのでしょうか」
「うわぁ、凄いわねこれは」
「あら、日羽梨。来たの?」
天葉が呆気に取られ、依奈は樟美の神速を見慣れているのだが二人の速度が段違い過ぎて全然見えないことに呆れ、梨璃は覚醒者として強くなったけど兄と姉の実力の差に落ち込み、結梨は予想外のために驚いている。
そこに日羽梨が合流。上空の光景を見て呆れていた。
「えぇ、轟音と衝撃波が凄かったから。来たところでどうしようもないけどね」
「まあ、そうよね」
「ところで日羽梨。若菜姉様は?」
「あぁ、若菜様なら…………あれ?いない?さっきまで一緒だったんだけど」
「え、じゃあどこにーーー」
ドバシャァァァァァァァン!!!!
『っ!?』
最初若菜と日羽梨の二人で焔を追いかけていたのに合流したのは日羽梨だけだったので天葉が聞くと日羽梨が後ろを向いたが誰もおらず、どこに行ったのか探そうとした瞬間、プールに落ちた音とは思えない音が響き、全員が驚きながら見ると巨大な水柱が上がっていた。
水柱が収まると、そこにいたのは水面に仰向けで浮かぶ焔とそんな焔に股がるように立ち、CHARMの切っ先を向けている人物がいた。その人物は…………
「え、若菜姉様!?」
そう、探そうとした若菜だったのだ。若菜は自身のCHARM《グラム・サマー》の切っ先を向けながら微笑んでいる。対して焔は驚愕の顔&めっちゃ青くなった顔をしながら震えている。
「まさか、若菜様が、お兄様を叩き落とした……?」
「だとしてもあり得ないよ。あんな高速で動いてたお父さんとお母さんに向かってピンポイントでお父さんを狙うのはそれこそ超覚醒者じゃないと」
「いいえ、梨璃の考えで合ってるわ」
梨璃たちがいる後方に夢結が蒼い焔の翼を羽ばたかせながらゆっくりと降下してきており、着地した。
「どういうこと?夢結」
「私と焔の間にいきなり若菜様が現れたと思ったら焔を掴んで下にあったプールに向かって凄い勢いで降下したのよ。いや、あれはもはや落下に等しいわね。しかも焔を下にした状態のまま突っ込んでいったわ」
「ごめん、なんて?」
「若菜様が焔を掴んでそのまま下にしながら落下した」
「簡潔な説明どうもありがとう。それなのに全然理解できないのは私だけ?」
「安心しなさい、ソラ。私もできてないから」
「超覚醒者であるお兄様を一瞬で捕まえる若菜様とは……」
「まあ、あれじゃないかしら。姉たる者、弟に負けるわけがないっていうね」
「いや、若菜様は兄様の姉では……」
「樟美、それは若菜姉様には言ってはダメだよ」
「あ、はい」
パシュンッ!
「あ、トドメ刺した」
そうこうしてる間に若菜が焔に水玉をゼロ距離で当て、焔のマギは四散。翼も消滅したのを確認した若菜は焔の腕を掴んで引きずりながらどこかへ行ってしまった。連れ去られていく最中、焔の顔は凄く青くなっていたのであった。
「どうする?この後」
「終わらせる為に残った私たちだけでやりましょうか」
「お母さん、さっきみたいな本気出さないでね?」
「本気のお姉様はお兄様でしか相手できないですから」
「わかってるわよ」
「なんなら全員で夢結を相手にする?」
「それいいわね。日羽梨も夢結と戦いたかったし」
「梨璃さんたちはどう?」
「ん~、全員でかかればお母さんに届くかな?」
「……『ファンタズム』じゃないですけど、正直それでも勝つビジョンが見えないんですよね」
「なら私が『ファンタズム』で夢結様の動きを視ながら皆さんに教えて攻めるのはどうですか?」
「それならいけるかな?」
「どんどん話が進んでいってるけど、私に拒否権はないのかしら」
「ないよ」
「厳しいわね、結梨…………。まあ、いいわ。かかってらっしゃい、みんな」
『では早速!!』
結果として、天葉と依奈は二人のコンビネーションで善戦したが脱落。日羽梨も素の実力でいい勝負だったのだがあえなく脱落。残った梨璃、結梨、樟美の三人は覚醒者の力をフル活用したが、動きが視られる前に樟美を脱落。そして妹と娘を同時に脱落させたことで夢結の優勝が決まった。
これにて、『水辺のバトルロワイヤル』は終了したのだった。
お読みいただきありがとうございました!
めちゃくちゃ長いけど短編は短編なので。え、水遊びじゃない?いいえ、ちゃんとした水(を使った)遊び(バトルロワイヤル)です!
もうね、焔と夢結の実力が異次元になっちゃって今後どないしよって思っちゃった。まあ、なんとかするんですけどね!
ラスバレの水着は日羽梨が出て閑をチケットで交換しました。閑をゲットしたから次は優珂だなと思ってます。
それでは以上、レリでした!