アサルトリリィ―蒼焔のリリィ―   作:レリ

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こんばんは、レリです。

前回投稿してまだ十日ぐらいなのに体感一ヶ月ぐらい経っての投稿だと感じちゃってます。

好評価、評価してくださった皆様、本当にありがとうございます!すごく嬉しいです!

アンケートの結果は後書きで。

蒼焔のリリィ、始まります。


第七話

百合ヶ丘のすぐ近くにある海岸の浜辺で焔たち一柳隊が見回りで来ると異臭を放つHUGEの亡骸がたくさんあるのを確認したのだった。

 

 

(多くのHUGEの亡骸……。昨日は戦闘はなかったはずだし、何が起こったというんだ?)

 

 

HUGEはマギによって生まれた怪物であるため、内部のマギの容量が大幅に越えると肉体が崩壊して亡骸とある。そのため、この浜辺には異臭が漂っている。

 

焔が一体のHUGEの亡骸に近づいて体を見てもなにも分かるわけがない。

 

 

「後で調べてみるか。ん?なんだあいつら。一ヶ所に集まって」

 

 

少し遠い場所にある岩の上で梨璃以外が集まっているのに気づいた焔はCHARMを担ぎ直して近寄る。

 

 

「お~い、みんなして集まってどうしたんだぁいっ!?」

 

 

みんなの視線の先を確認する前に夢結に思いっきり殴られて軽く吹っ飛ぶ焔。突然すぎて変な声が出たが誰もがスルーするなか、夢結が静かに呟く。

 

 

「こっちに来ないで、焔」

 

「口で言ってくれる!?いきなり殴ることないだろ!!身長差で頬じゃなくて顎辺りに喰らったから脳震盪起こしてもおかしくねぇぞ!?」

 

「頑丈でしょ?」

 

「そういう問題じゃねぇ!!」

 

「あくしょ!!」

 

「ふえっ!?」

 

「……」

 

 

夢結と言い合っていると岩影の向こうから梨璃の声と今まで聞いたことがない女の子のくしゃみが聞こえ、黙る焔。

 

 

「……これでもかけてやってくれ」

 

 

静かに自分の制服の上着を夢結に渡して海の向こうに存在するHUGEネストを見る焔。夢結も黙って焔の上着を受け取って梨璃の元に行ったのだった。

 

 

「焔、手伝って」

 

「ん?なにをだ?」

 

「この子、眠ってしまったの。百合ヶ丘に運ぶからあなたがおんぶして」

 

「……裸なんだよな?」

 

「あなたの制服を羽織ってるから大丈夫よ。お願いね」

 

「はいはい」

 

 

梨璃が発見したとされる少女を見て、なぜこんなところに一人でという疑問が浮かびながらおんぶして運ぶ焔だった。

 

 

 

 

焔たちは百合ヶ丘に戻るとすぐに治療室に行き、夢結たちがそこにある寝間着を着せてからベッドに寝かせてから治療室にいる人に任せて廊下で梨璃が中の様子が見れるガラスのところから離れようとしないので全員で見ていると夢結が自分たちがいてもなにもできないのだから戻ろうと言うと。

 

 

「私、もうちょっとここにいたいです」

 

「……わかったわ」

 

「あまり無茶はするなよ。梨璃」

 

「ありがとうございます。お姉様、お兄様」

 

「さ、私たちは行きましょうか」

 

 

焔が梨璃にお茶缶を渡してから梨璃だけを残して行ったのだった。

 

 

皆がレギオンルームに向かっている最中共有スペースのラウンジを通ると誰もいないので焔はみんなにここで休まないかと提案する。

 

 

「ここでですか?」

 

「あぁ。誰もいないし、何より医務室から近いしここなら梨璃も俺らのことを見つけやすいだろ」

 

「なるほどね。私はそれでいいわ」

 

「梅も異論はない!」

 

「近い場所の方がなにかあった時に駆けつけやすいですしね」

 

「じゃ、俺は飲み物持ってくるよ。みんな紅茶でいいか?」

 

「えぇ、お願いね」

 

「了解っと」

 

「焔様、私も手伝います」

 

「助かる。雨嘉」

 

 

ラウンジでの広いスペースを夢結たちが座り、焔と雨嘉が紅茶と菓子を持ってきてお茶会が開かれたのだった。

 

 

しばらくするとラウンジに人が一人入ってきたので焔がそこを見ると梨璃だった。教本などを持っていてキョロキョロと辺りを見ながら歩いている。

 

 

「お~い、梨璃!」

 

「あ!お姉様!お兄様!」

 

「どうしたの?梨璃。もしかしてあの子が起きたの?」

 

「いえ、まだ眠ってます。ぐっすりと」

 

「そっか。それで、どうしたんだ?」

 

「実は、お姉様とお兄様に近接戦術についてお聞きしたいことが」

 

 

カーン、カーン……

 

 

梨璃が話してる最中に鐘が鳴り始める。百合ヶ丘の鐘は講義の時間などで鳴るが、HUGEの襲来の時にも鳴る。その時は鐘の音が違うのでそこで区別をしている。そして、この鐘はHUGEの襲来時ではない。ということは……。

 

 

「あぁ~!間に合わなかった~!ごめんなさい、お姉様!お兄様!これから講義なんです!ごきげんよう!」

 

 

梨璃がテーブルに置いた教本をすぐに持って走っていった。梨璃に着いていくようにこれから講義があるメンバーが走っていく。

 

 

「夢結と焔は授業ないんだっけ?」

 

「取れる単位は一年生の時に全て取ってしまったから」

 

「俺も梨璃たちが入学してすぐに単位が取り終わったから授業はない」

 

「あっそ。じゃあまたな」

 

「ごきげんよう」

 

「がんばれー」

 

 

梅が焔と夢結に聞いたらこれから退屈な授業がないという返答を返され、聞くんじゃなかったなと思いながら行ったのだった。

 

これで、ラウンジにいるのは焔と夢結の二人だけだ。夢結はテーブルに置いてある梨璃が忘れていったのであろう梨璃の名前のシールが貼ってある教本を見てクスリと笑う。

 

 

「どした?夢結」

 

「梨璃の教本。あの子忘れていったのね」

 

「ホントだ。どうする?届けるか?」

 

「もう講義も始まってるでしょうし、ここに来た時に渡せばいいわ。それより焔、こっちにいらっしゃい」

 

「ん?あぁ、なるほど。わかった」

 

 

夢結が手招きしながら片手に持っている物を見て納得して焔は夢結の隣に座り、夢結が焔の頭を掴んで自身の膝に持っていく。膝枕だ。

 

 

「最近、掃除やったの?」

 

「やってない」

 

「やらないとダメじゃない」

 

「夢結にやってほしくてな」

 

「もう……///」

 

 

焔を膝枕して夢結がやっていること、それは耳掃除だ。片手に持っていたのは耳掻きだ。

 

 

「にしても久しぶりだな。夢結に耳掃除してもらうの」

 

「最近は一柳隊のみんなといたし、あとは梨璃がいたからね。二人っきりの時じゃないと」

 

「なんで二人っきりじゃないとダメなんだ?」

 

「私が恥ずかしいから」

 

「恥ずかしがることないんじゃないか?梨璃なら自分にもやってほしいって言ってくるだろ」

 

「確かに言ってくるわね」

 

(そしてサイドテールを犬の尾のように振りながら来る、だな)

 

「焔?痛かった?」

 

「んにゃ、大丈夫だ」

 

 

夢結はこうしてたまに焔の耳掃除をしている。前は美鈴にもやっていた。美鈴にもやるようになったのは焔に耳掃除をしているのを美鈴に目撃され、焔に嫉妬したというわけだ。

 

 

「はい、綺麗になった」

 

「サンキュ」

 

「ずいぶんと放っておいたのね。ごっそり取れたわ」

 

「全然やってなかったし。耳掃除ありがとな。俺はちょっと調べものがあるから部屋に行くわ」

 

「わかった。私はまだここにいるから」

 

「了解。じゃ、またあとでな」

 

 

夢結のおかげで両耳スッキリした状態で自室に戻ってPCを起動して浜辺で発見されたあの子と大量のHUGEの亡骸……気になっていたので今浮かんでいる自分の推測が正しいのか調べるためにキーボードを叩く。

 

 

「こりゃあ、ずいぶん時間がかかるかもしれないな」

 

 

キーボードを叩くスピードをさらに上げて作業をしていく。次の日も。その次の日も。

 

そして、浜辺で発見された子が目を覚ましたということ、その子がリリィだということ、その子は梨璃が面倒を見ることになったというのを夢結から聞いたのだった。梨璃がそうしたいと一柳隊のみんなに言った時があったらしく、その時は焔は調査に没頭しててその場にいなかった。

 

焔は夢結からの報告を聞きながら椅子に座っていた。

 

 

「それで、今度はお前があの子に嫉妬してどうすればいいかと考えた末に報告がてらここに来たと。そういうことでいいか?」

 

「……えぇ」

 

 

夢結は今、焔に膝枕してもらって寝ている。しかも焔に抱きつくように腕を焔の背中に回して。

 

 

「部屋に来て突然人の膝を枕にするわ、抱きついて動かせないようにするわ、何があったのかと思ったら……」

 

「私にとっては大問題よ」

 

「俺にとってはめんどくさいだけだ」

 

「あなたもあなたでずっと一緒にいなかったのだからこれぐらいは我慢しなさい」

 

「別にいいけどさ」

 

 

ここんとこ調査ばっかりだったので一柳隊のみんなといる時間が少なかったのでこうやって夢結が甘えて(?)くるのを受け入れている。たまにスーハー、スーハーと夢結がやっているがそこは気にしないでおく。

 

 

「それじゃあ、私は戻るわ。なにを調べているのかわからないけれど羽休めは重要よ?」

 

「わかってる。まあ、後でそっちに行くさ」

 

「そう。じゃあね」

 

 

満足したのか妙に笑顔で帰っていった夢結を見送って夢結が持ってきたお茶を飲み、ふぅと一息する焔。

 

 

「『G.E.H.E.N.A.』とグランギニョル社の共同研究……か」

 

 

静かに呟いた焔の言葉は誰の耳にも届くことはなかった。

 

 

それから何日か経ち、調査を終えて共有スペースのラウンジで夢結と一緒にいた。夢結は紅茶を飲んでおり、焔は羊羮を食べながら本を読んでいたのだった。夢結の後ろに残りのメンバーがいることにも気づいている焔である。ちなみに夢結が座っている向かい側の一人用の椅子に焔が座っている。

 

 

「ごきげんよう、お姉様、お兄様」

 

「梨璃」

 

「よう」

 

「お姉様、隣、いいですか?」

 

「えぇ。どうぞ」

 

「うぅ……ご無沙汰してましたお姉様~!」

 

 

涙を流しそうな顔になりながら夢結に抱きつく梨璃を見て焔は似た者姉妹と思っていた。

 

 

「あぁ!それ、私の教本!お姉様が持っていてくれたんですか?」

 

「さあ、たまたまよ」

 

「大切にずっと持っていたようだぞ」

 

「余計なことは言わないの」

 

「はいはい。ん?」

 

 

ここで焔はさりげなく夢結の隣にちょこんと座っている女の子に気づく。

 

 

(いつからそこにいた?)

 

「あなた、こないだの」

 

「浜辺で発見した子か。元気になったのか」

 

 

二人の言葉で後ろにいたメンバーがこちらに来て夢結の隣にいる女の子を見る。みんな心配していた証拠だ。

 

 

「その制服!」

 

 

二水が保護した子の服装に気がつく。保護した子は百合ヶ丘の制服を着ている。

 

 

「うん。正式に百合ヶ丘の生徒にしてもらえたって!」

 

「編入されたってこと?」

 

「まあ、かわいい」

 

「ほら、ご挨拶して。こちらは夢結様でこちらが焔様だよ」

 

「夢結?焔?」

 

「もう!ちゃんと練習したでしょ?自己紹介しようよ!」

 

「なんでぇ?」

 

「ふぇぇ……」

 

「なんじゃ梨璃とこの娘」

 

「姉と妹って感じです」

 

「これなに?」

 

 

保護した子がテーブルに置いてある物に気がつき、夢結に聞く。

 

 

「スコーンよ。食べたいの?食いしん坊さんね。誰かさんのようだわ」

 

「私ですか!?」

 

「確かに」

 

「お兄様まで!?」

 

「あはは。夢結にもう一人シルトができたみたいだ!」

 

「食べていい?」

 

「ちゃんと手を拭くのよ」

 

「妹というか……」

 

「母と娘じゃな」

 

「夢結、お母さん?」

 

「産んでないわよ」

 

「じゃ、お父さん?」

 

「違いますし少なくともお父さんと呼べるような人はそこにいるわ」

 

「ぶふっ、は!?」

 

 

夢結のぶっ飛んだ発言で飲んでいたお茶を吹き掛ける焔である。

 

 

「焔、お父さん?」

 

「いや違うぞ。仮に俺が父親なら母親は誰になるんだ?」

 

「それは……」

 

「やっぱり……」

 

 

全員が夢結を見てからうんうんと頷く。満場一致で母親は夢結に決定したのだった。

 

 

「焔と夢結の愛の結晶みたいだな!」

 

「私と焔の……………………いいわね」

 

「それで、この子の名前はわかりましたの?」

 

「それが、まだ記憶が戻らなくて」

 

「それじゃあ、今までなんて呼んでたんだ?」

 

「へ!?」

 

「一週間近くありましたよね?」

 

「それは……」

 

「言ってごらんなさい、梨璃」

 

「結梨!」

 

「っ!」

 

「は?」

 

「はっ!?」

 

 

保護した子から出た名前が以前リリィ新聞に載っていた名前で夢結は紅茶を飲もうとしていた手を止め、焔は何て言った?というリアクションをし、楓は驚愕の声をあげる。

 

 

「あぁ!それは!」

 

「私結梨!梨璃が言ってた!」

 

「そ、それは本名がわかるまでの仮の名で……!」

 

「あら~いいんじゃないかしら」

 

「似合ってる、と思う」

 

「それじゃあ、このままレギオンに登録しちゃいますね!」

 

「二水ちゃん!?」

 

「名字はとりあえず一柳さんにします!」

 

「ふぇぇ!?」

 

 

二水があっという間にタブレット型端末で保護した子、もとい、結梨の名を一柳隊の新メンバーとして登録したのだった。

 

元々十人という異例のレギオンの一柳隊に十一人目が追加されたのだった。名前は、一柳結梨。

 

その後は夢結が怒るかと思いきやなんと許したことに梨璃が呆然として焔もまさか許すとは思っていなかったらしく驚愕したがすぐに別の問題が生じたのだった。

 

その問題とは結梨が焔のことを名前で呼ばずにずっと『お父さん』と呼び、焔はなんとかやめさせようとするが意味がないことを悟り、諦めたのだった。

 

隠れて必死に『お母さん』と呼ばせようとしていた夢結だったがこちらはずっと『夢結』のままで夢結は絶対に諦めないと誓ったのはまた別の話である。

 

 

 




お読みいただきありがとうございました!

夢結の膝枕からの耳掃除……やってほしい。

前回ラスバレでレギオンを作ってメンバー募集って言ったのですが僅か二日で満員になりました。入ってくださった方々、誠にありがとうございます!リーダーとして全然ダメダメですがよろしくお願いします!

では、アンケートのラスバレストーリーをどうするかのやつなんですが、結果は圧倒的に書くの方が多くて書くことに決定いたしました!アンケートのご協力ありがとうございました!

今回結梨には焔のことをお父さんと呼ばせました。アニメで夢結にお母さんと聞いてからのお父さんというのを見てお父さんは焔だなって思いました。

それだは以上、レリでした!
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