ダンジョンに遺志と石を求めるのは至極当たり前の事だろう 作:古狩人
一体ここはどこの(聖杯)ダンジョンだ・・・・
もしや未知のダンジョンか!?どんな石が出るのか楽しみだ
一体ここはどこなのか・・・・・いつもダンジョンにはいればそばにある灯はどこにもなく潜った様子もどこか普段のダンジョンや他に潜るダンジョンとも様子が違う。
まるで壁面も天井も洞穴のように壁面が露出しているこんなダンジョンは初めてだ・・・・
似たような場所といえばあの「狂った女医師」の住処に続く毒沼と地下の洞窟だが幸いここには毒もなさそうだが。
まぁ途方に暮れている暇もない。突然訳の分からない場所に移動するなんてヤーナムではよくあることだ。
袋に詰め込まれて牢獄に閉じ込められたり、その時は見えなかったが上位者に握りつぶされて瞬間移動するなんてヤーナムではよくあることだ。
きっと今回もどこぞのクソ上位者が自分をこの場所に移動させたのだろう。
寧ろ自分をここにいざなった存在がいるとしたら楽しみでしょうがない。どんな理由か知らないが自分をはめたのだ。
『ならばその代償は血であがなってもらう絶対に』
そういえばかつて言われたな「貴公、よい狩人だな。狩りに優れ、無慈悲で、血に酔っている」そう評されたが自分は酔っているというよりはあんな場所酔わずにやっていられるかという場所だ。
他人を救おうとすれば返ってくるのは罵声、悪ければ投石のおまけつき。しかも善良な者を救おうとすれば結局自分はそんな善良なる達を救えなかった・・・・
こんな悪夢酔っていなければ誰がやっていけるものか・・・・
自嘲のため息もそこそこにとりあえず現状打破のためには行動あるのみ行くならば石と遺志を求めて下層に向けて足を向ける。
が、そんな意気込みに水を差すような轟音と悲鳴が遠くから響く。
トラブルや厄介ごとに突っ込むのは狩人なら当たり前の事だ。
殺し合う狩人同士の間に割って入り合力したこともある『鴉羽の彼女』には「お節介め・・・・まぁ助かったよ・・・」などと言われたがこればかりは性分だ。
もっともお節介や甘いというなら会ったばかりの見ず知らずの自分に助言を与えるような彼女も同じだろう。
さぁ、悲鳴が聞こえるということは強力な敵がいることだろう。
獣か?蟲か?それとも血に酔った己の同胞か?そのどれでも構わない・・・・・さぁ自分に・・・私に・・・・俺に狩られろ!!
地を蹴りつけて疾走すること数刻襲われている一団と襲い掛かる醜悪な蟲。
蟲・・・・蟲は潰さないとな・・・・・狩りの誓約をしているが連盟に籍を置いていたこともあったならば蟲は狩らねばな!
疾駆し戦場に参戦する。大型の両刃剣を振り回し豪快に戦う半裸の恰好の少女にすれ違いざま声をかける。「協力する」
一瞬呆ける少女だが「え!?ありがとう!!」と素早い反応を返す。
やはりな・・・・一目見た瞬間からわかっていた彼女は一流の狩人(変態)だと。
別の方を見れば彼女によく似た(一部全く似ていない)女性も危なげなく立ち回っている彼女の姉妹だろうか?
その戦い方を見ればやはり彼女も同様に一流の狩人(変態)なのだろう。
協力してくれた狩人にも血に酔い敵対した狩人にも装備を全くつけず下着のみで敵をなぎ倒すものがいた。
アルデオだけを被った全裸の狂人の車輪にひき潰されたのは苦々しい思い出だし、カインの兜だけを被った全裸の千景の使い手が一撃の被弾もなく上位者を狩っているのも
とても恐ろしくも素晴らしい光景だった。
自分もあのような技量を身に着けたいと努力を重ねたものだ。
もっともその格好にだけはまったく憧れもしなかったし真似をしようなどということはなかったが・・・・
そういった彼ら彼女らはその見た目とは裏腹に狩に優れとてつもない技量を誇っていた。
おそらく彼女たち二人もそのたぐいだろう。
まだ年若い乙女と言っても過言ではないがいろんな意味で将来が楽しみだ。
「うぇ!?あたしのウルガがあぁぁ!?」
悲痛な叫びにそちらの方向を向けば両刃剣を振り回していた彼女の武器が溶解している。
「気を付けろ!!そいつらの体液は溶解液になっている!下手に攻撃すれば自分にも武器にもダメージを負うことになる!」
金髪の子供が警告の叫びをあげる・・・・・・・ん?子供!?なぜこんな危険地帯に子供がいるのだ!?
バカな!?ダンジョンに子供がなぜいる!?ここには狂った狩人やおぞましい怪物・獣が大量にいるのだぞ!?
自傷ダメージ?知ったことか!子供を危険にさらすなど絶対にさせん!
かつて己の無知と浅慮で守れなかった「あの子」のようなことには絶対にさせん。
しかしかといって武器の消耗と損壊は避けるべきと狩人としての自分は冷静に告げる。
ならば解決策は単純だ。『仕掛け武器を使わずに仕留めればいい』我々狩人にはそれができる。
幸いにも敵の動きはそれほど素早くもない愚鈍な地を這う蟲ケラよ疾く失せろ!!
全力で地を蹴り体勢を低くかがんで敵の死角、背後に移動する腰を落とし体に力を溜めて全力を敵に開放する!
拳がめり込み衝撃で蟲が体勢を大きく崩す。ここだ!
自分がこれまで高めてきた技量と敵対者の弱点を見る目は既にこの獲物の急所を見切っている。
不気味に脈動する蟲の身体の中心部。さらに感じるおぞましいナニかそれに向けて全力の貫手をたたき込む。
蟲の皮膚を突き破り体液が噴出する。柔らかく不快な体内を突き進み醜悪な内臓を破壊しながら勢いよく急所に向かって突き進み堅いナニかに触れた瞬間。
それをつかみとり腕を抜き取り蟲を吹き飛ばす、集団に向かって吹き飛ばし侵攻を妨害するのも忘れない。
堅い石だろうか?極彩色で不気味な見た目だがこれは・・・・・?もしや私も知らない血晶石か?!
私は歓喜に打ち震えた。人助けもできる上に未知なる血晶石も手に入るかもしれないだと!?
こいつらはおぞましい蟲で潰すのだがそう考えるとまるでテーブルに乗った豪華絢爛な食事に見えてきた。
さぁ狩ろう。もっと狩ろう。私に・・・俺に血と遺志をよこせ!
「えぇぇ!?素手でいった!?めっちゃ溶解液浴びてないあの人!?」
「一撃で仕留めてるみたいだけど無茶苦茶な戦い方ね彼。」
「たしかに無茶苦茶かもしれないけど、あれだけ素早く敵を掃討してくれるのはありがたいね。どういう意図があって、なんでこの場所にいるのか謎ばかりだけどね」
アマゾネス二人の言葉に返すのはロキ・ファミリア団長『勇者』フィン・ディムナ。
言葉に出したように、この危機に共闘を申し込んできた謎の男を勿論歓迎したわけではないが団員の命には代えられない。
もちろん怪しいことこの上ないし、近くで見ていてもその身を顧みない戦い方はどう考えても常軌を逸しているようにしか思えない。
そして何よりおかしいと、危険だと感じているのは。
『自分と目が合った瞬間に彼の纏う雰囲気が一気に剣呑さを増した』
戦いに投じているならば剣呑な空気をその身に纏うこと自体は全く持っておかしくはない。
しかし自分が声をかけた瞬間に。自分を、『ロキファミリアの団長』の『勇者』『フィン・ディムナ』を認識した瞬間に変わったあの空気。
そして彼がそばにいるだけで止まらない過去最大級の親指の疼き・・・・・
「これは厄介ごとだなぁ・・・・」
周囲には溶解液とモンスターが消失した灰・・・・・そしてこちらに近寄ってくる全身を血と溶解液を浴びてボロボロになった怪しい男。
共闘にはもちろん感謝しているが彼はいったい何者だろうか?
こちらに何か仕掛けをしているのか?団を守るため様々な思考が高速でフィンの脳内を駆け巡る。
こうして血と灰の戦場の中でロキ・ファミリアと彼・・・狩人は出会った。
つづく?
フィン「ロキファミリアの団長である自分を認識した瞬間に空気が変わった何だこのヤバい雰囲気は!?」
狩人「ファッ!?なんでダンジョンに子供がおんねん!危険が危ない!早く安全にしなきゃ(使命感)」