ダンジョンに遺志と石を求めるのは至極当たり前の事だろう   作:古狩人

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戒められし、悪狼の王。
一傷、拘束。二傷、痛叫。三傷、打杭。飢えなる涎が唯一の希望。

川を築き、血潮と交ざり、涙を洗え。癒さぬ傷よ、忘れるな。

この怒りと憎悪、汝の惰弱と汝の烈火。世界を憎み、摂理を認め、涙を枯らせ。

傷を牙に、慟哭を猛哮に、喪いし血肉を力に、解き放たれる縛鎖、轟く天叫。

怒りの系譜よ、この身の代わりに月を喰らえ、数多を飲み干せ。その炎牙をもって平らげろ。


第七夜:血闘と傷と牙

会った時から気に入らなかった。

 

その覇気のねぇ眼も、何を考えていやがるかわからねぇ面も、他を圧倒するようなその力も。

 

だが何よりも気に入らなかったのはその在り方だった。

 

酒に酔ってバカな事口走ったのは自覚している。だがコケににされてそのまま引き下がれるかよ!

 

その気に入らねぇ面に思い切り拳をぶち込んでやる!店の外に出て喧嘩を売ってきた雑魚に相対する。

 

「血塗れ野郎!!覚悟はできてんだろうなぁ!!ぶっ飛ばす!!」

 

苛立ち塗れの感情のまま叫ぶ。気に入らねぇ。澄ましたその面が、涼しい顔と態度が。

 

頭に血が上るのを感じる。まるで俺の事などなんら障害になりえないと。そんな態度が癪に障る。

 

「貴公の内心、計りかねるが言葉は選ぶべきだ。そして貴公もまた成長の途上だという事を知るといいだろう。」

 

野郎の言葉が耳に入った瞬間、頭の中が真っ白になる。だが次の瞬間思考を埋め尽くしたのは憤怒だ。

 

てめぇは・・・・『成長の途上』。そんな事は知っている。だがてめぇみてぇな野郎に。何も知らねぇ雑魚が見透かしてんじゃねぇ!

 

怒りのまま野郎に・・・・狩人野郎に手加減無しの全力の蹴りを見舞うために地を蹴り。

 

俺は野郎に襲い掛かる。

 

 

 

 

 

 

 

 

石畳が割れ、ベートが狩人くんに襲い掛かる。拳撃と蹴撃の嵐、自分でも守勢回れば一撃二撃容易く貰ってしまいそうなほどの無数の乱打。

 

狩人くんはその嵐の中心にいながらその全てを紙一重で避け切っている。

 

周囲には自分も含めたファミリアの仲間に野次馬の冒険者が何人もいる。

 

だけどおそらく本気であろうベートのあの猛攻を一切の被弾をせずに避け切るなんて真似をこの中にいる者の中で出来る人物がいるだろうか?

 

自分には出来ないと思ってしまう。同じレベルである姉ティオネも、敏捷の高いアイズでも、もしかしたらレベルが上の団長でも無理かもしれない。

 

振るう拳と脚から放たれる圧がベートが本気であるという事を十二分に感じさせる。

 

それら全てを事も無げに躱し続けている狩人くん。彼は一体どれだけの力を秘めてるんだろう?

 

猛攻に対して一切の反撃もせず攻撃を回避しつづける狩人くんにベートも焦れていたのかな。

 

攻撃の手を止め盛大な舌打ちの後距離をとって怒声をあげる。

 

「てめぇ・・・ケンカ売ってきといて舐めてやがんのか!!撃ってきやがれ!獲物を抜け!雑魚の上に腰抜けなのか!鼠みてぇにちょろちょろと!

てめぇが雑魚じゃねぇってんなら!俺を発展途上だなんだと宣う強者だってんなら!俺をぶち殺してみやがれ!!」

 

激昂するベートの咆哮(こえ)が周囲を震わせ狩人くんが足を止めて静かにベートと相対する。

 

「貴公のような良い狩人が誤解と疑心の果てに埋もれ行くのを見ているのは忍びない。だがこれ以上は貴公に対する侮辱となるだろう。私も本気を出す。」

 

そういって狩人くんが取り出したのは二つの武器。右手には大きな大きな鉈。自分の得物、ウルガに負けず劣らない重厚で一目見て凶悪な威力を内包させる見た目をしている。

 

左手に持つのはまるで装飾品の様に飾り付けた武器。狩人くんがエヴェリンと呼んでいた遠距離武器だ。

 

二つの武器を手にした狩人くんは明らかに放つその圧を増した。

 

その雰囲気はとても談笑していた彼とは思えないほど悍ましく、恐ろしい。たった一人なのにまるで階層主のようだ。

 

それはベートも感じているのだろう。狩人くんの放つ圧に身構える。

 

そして石畳を踏み砕き再びベートは狩人くんに攻撃を仕掛けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見下しやがって。気に入らねぇ!こっちの攻撃は全部躱される。

 

攻撃の後の隙にいくらでも反撃の機会はあったはずだろうが。舐めやがって、イラつくまま俺は目の前のクソ野郎に言葉を叩きつける。

 

「てめぇ・・・ケンカ売ってきといて舐めてやがんのか!!撃ってきやがれ!獲物を抜け!雑魚の上に腰抜けなのか!鼠みてぇにちょろちょろと!

てめぇが雑魚じゃねぇってんなら!俺を発展途上だなんだと宣う強者だってんなら!俺をぶち殺してみやがれ!!」

 

言葉を受けクソ野郎が応える。

 

「貴公のような良い狩人が誤解と疑心の果てに埋もれ行くのを見ているのは忍びない。だがこれ以上は貴公に対する侮辱となるだろう。私も本気を出す。」

 

言葉と共に野郎が得物構える。右に鉈か・・・?左に牛野郎の脳天を攻撃した遠距離武器を装備した。

 

そして得物を手にした瞬間から野郎の雰囲気が変わった。階層主の様に重く。呪道具(カースウェポン)の様に禍々しく悍ましい。

 

それでいて触れれば容易く肌を貫くような、そんな鋭利の刃のような圧。

 

俺はその圧に身構え息を整え野郎に攻撃をぶち込むため本気の踏み込みのまま奴に飛び込む。

 

だがその機先を制するように野郎が右腕を大きく振るう。遠い間合いの全く射程外のその行動とは裏腹。

 

右手に持った鉈が分断されて、まるで大型のモンスターが振るう尾の様に足を刈ろうと地を這うように近づいてくる。

 

その攻撃の回避と更に距離を詰めるため低く素早く跳躍し野郎のそのスカした面に蹴りを叩きこんでやる。

 

だが跳躍し蹴りのモーションに入ったときにはもう遅かった。左手に持つ遠距離武器を構える野郎。

 

完全に読み切られた!気づいたときにはもう遅かった。

 

轟音と共に蹴りを放とうとしていた足を衝撃が貫き血花が咲く。

 

衝撃に体勢を崩し膝立ちで野郎の前に崩れる。悪寒が走る。思い起こすのはダンジョンでモンスター共を屠っていた野郎の技だ。

 

素手でモンスターの体内に腕を打ち込み内臓を引きちぎりぶち殺す。悍ましい必殺の一撃。この隙を野郎が見逃すはずがねぇ!

 

衝撃が腹に走る!野郎の貫手が深々と腹筋を貫き刺さっている。どうするか考える前に頭に衝撃が走り俺は意識を明滅させつつフッ飛ばされる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よすんだ!!狩人!!!」

 

フィンの危機感が満載された声がウチの耳に届く。

 

せやった!あれは聞いとった技や!又聞きやけど『内臓攻撃』たしか相手の内臓を引きちぎり致命傷をあたえる。

 

そんな凶悪な攻撃がうちの子に放たれとる!アカン!下手したらベートが死んでまう!

 

焦りとは裏腹に狩人は貫手を容赦なく放った。せやけどそのまま聞いとった凶悪な技をベートに放つ思とったら腹に刺した貫手を抜いて蹴りを顔面に見舞った。

 

考えとったよりもマシやけどそれでも凄まじい威力を秘めた蹴りを受けベートは石畳の上をけたたましい音をあげて転がっていく。

 

そしてその勢いのまま壁に叩きつけられ意識も朦朧としていただろう顔をあげた。

 

前に立つのは武器を構えとる狩人。その狩人が静かに告げる。

 

「貴公の負けだ。」

 

静まり返る群衆の中に狩人の声が響き渡る。それに返すのは怒れるベートの声やった。

 

「なんで・・・てめぇは俺を殺さねぇ!!てめぇは強者だろうが!だったら弱ぇ奴をぶちのめせ!力のままに蹂躙しろ!踏み砕け!俺を舐めてんのか!憐れんでやがんのか!見下してんじゃねぇ!!」

 

ベート・・・・・怒った口調。せやけどそれはどこかまるで理不尽に駄々をこねる子供の泣き声の様にウチには聞こえた。

 

そんなベートに狩人はまるで大人が子供を諭すような優しい口調で返事を返す。

 

「ならば貴公も本気を出せ。」

 

と、まるでベートの傷(切り札)を知っているかのように話す。

 

「貴公こそが本気をだせ。貴公ほどの狩人がこれだけのはずがない。貴公はまだ若く未熟だ。だが自分の言葉を誤魔化して甘えるのは辞めることだ。優しさは美徳だが強者に甘えは許されぬ。優しさを乞うな。過去も傷も乗り越えるために最も必要なのは己自身の意志だ。」

 

ベートは血反吐を石畳に吐き出し立ち上がる。戦いの素人のウチの眼から見ても一目瞭然の満身創痍の状態で立ち上がる。

 

立ち上がるベートに驚くウチ。せやけどもっと驚いたんはその口から紡がれるベートの言葉やった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『戒められし、悪狼の王。』

 

痛みをこらえて立ち上がり口にするのは呪文の詠唱。

 

『一傷、拘束。二傷、痛叫。三傷、打杭。飢えなる涎が唯一の希望。』

 

自分の傷を弱さを想起させるその忌まわしき呪文。

 

『川を築き、血潮と交ざり、涙を洗え。癒さぬ傷よ、忘れるな。』

 

逃れられない過去と消えない痕。

 

『この怒りと憎悪、汝の惰弱と汝の烈火。世界を憎み、摂理を認め、涙を枯らせ。』

 

自分の弱さの象徴、逃避の証。

 

『傷を牙に、慟哭を猛哮に、喪いし血肉を力に、解き放たれる縛鎖、轟く天叫。』

 

それでも、強くあろうと、今度こそは誰も失くさぬように失わないために自分が心のうちに望んだ力。

 

『怒りの系譜よ、この身の代わりに月を喰らえ、数多を飲み干せ。その炎牙をもって

平らげろ。【ハティ】!!』

 

炎が四肢を覆い燃える。激しく激しく燃え盛る炎が夜を明るく照らし出す。自分の傷も今この炎に照らされて明らかにされている様だ。が今はそんな事はどうでもいい。

 

こいつに、この男に証明しなければならない。俺は、ベート・ローガは弱者ではないと。甘ったれた雑魚ではないと。戒めも何もかもを解き放ち全てをだしきり絶対にこの男に己を認めさせると。

 

証明してやる俺は、ベート・ローガは強者だと。魔法も武装も力もすべてを出し切りその全力を狩人に解き放つ。

 

その為に腰を落とし力を溜める。

 

回りからフィンやロキやババアの声が耳に入ってくるがそんなもん頭には入ってこねぇ。

 

相対する狩人は二つの得物をしまいまた違う武器を構えて此方を待ち受けている。月を思わせるような青白い光を放つ幅広の大剣。

 

フェイントもタイミングも何もない。石畳を踏み砕き砕きながら奴に疾走する。自分の存在、全力を込めて拳を野郎に解き放つ。

 

同時に奴もこちらの攻撃に向けて迎撃のために大剣を振るう。奴の武器が蒼い波動を放ちながら俺の拳と炎と拮抗する。

 

負けねぇ!絶対に負けたくない!こいつにだけは絶対に負けたくない!

 

鍔勢りあう拳と剣。互いに相手を蹂躙しようとする紅蓮の炎と蒼い波動。

 

拳の骨が砕け痛みが走る。蒼い波動の衝撃が全身を打ち腹に受けた刺傷、全身に刻まれた裂傷から血を吐き出させる。

 

それでもそんな痛みには負けねぇ!絶対に勝つ!野郎の剣が放つ波動と自分が受ける損傷を吸収し炎がその勢いを更に増す。

 

「---------------------------!!!!」

 

声にもならぬ咆哮と共に野郎を・・・・狩人を打ち倒すために拳を押し込み力を入れる。

 

だが、その拳を弾き飛ばしながら野郎の大剣が振り切られる。

 

蒼の爆発の奔流が俺を飲み込み衝撃に頭が揺さぶられ血を吐き出しながらぶっ飛ばされる。

 

意識が朦朧としながら頭に去来するのは【負けた】という実感。

 

そしてなぜだろう、死んだはずの・・・・族長の・・・・オヤジの笑顔が俺の頭に思い浮かんだ・・・・・。

 

もはや指一本も動かせない・・・・・吹き飛ばされ遠くに見える野郎と・・・・狩人と視線が交錯する。

 

「次は・・・・負けねぇ・・・・!」

 

声が届いたかはわからない。だけど覇気のねぇ野郎のその目がほほ笑んだように感じて俺はそのまま意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よせ!ベート!!」「辞めんか!!馬鹿者!」「よさんか!!」「やめんかい!アホー!」

 

ウチ以外の幹部連中。ベートの魔法を知る面々が口々に叫ぶ。

 

ベートの傷。その魔法の特性、その神髄【損傷吸収】。それをあんな満身創痍のボッコボコの状態でつこてもうたらどないなる思てんねん!

 

詠唱を終えたベートの四肢は激しい炎に包まれる。こんだけ離れとるのに熱風が肌を焼く。それほどの火力を放ちながらそれと相対するのはあの狩人。

 

さっきまで持っとた二つの得物をいつの間にかしまい、今は大剣を両手で構えとる。

 

素人目に見ても業物やと一目でわかる蒼白い光を放つ威容を持った大剣。

 

それを後ろに引き襲い掛かろうとするベートを迎え撃つべく半身で構える狩人。

 

冗談や無いで!?どう見ても本気のベートが放つ最大級の攻撃とそれに匹敵する武器を構える狩人。そんな二つがぶつかり合うたらどんなことになる思ってんねん!

 

「辞めぇ!!ベート!!」再び挙げた静止の声も届かずベートの姿は紅蓮の炎の線を残し掻き消える。

 

耳を震わす金属同士の激しい衝撃音の先。紅の炎と蒼の波動が互いを蹂躙せんとぶつかり合う。

 

拮抗して数秒。響き渡るベートの咆哮。激しく燃え盛る紅蓮の炎を食い破り蒼い爆発と衝撃がベートを覆い喰らいつくす。

 

吹き飛ばされ、転がり意識を失くし倒れるその姿。拳や足の骨は砕け一部肌を貫きその白い身を露出させている。

 

全身には夥しい裂傷が刻まれ体中を血で染めている。まさしく満身創痍。瀕死の重傷。そんなベートに近寄る狩人。

 

まだやる気なんか!?そんな危惧をしとるその間にベートと狩人の間に誰よりも早く団長。フィンが立ちはだかる。

 

「これ以上はさすがにやらせない例えベートに非があったとしてもだ。」

 

ウチも数えるほどしか知らんフィンの覚悟を決めた本気のその目。レベル6『勇者』の本気を受けて狩人は穏やか優し気に言葉を告げる。

 

「手当をするだけだ。」と懐から小さな鐘を取り出すと横たわるベートの隣に立ちその鐘を鳴らす。

 

すると狩人の身とその鐘から光が放たれベートの傷が見る見るうちに癒えていく。

 

なんや!?この光は!?神威!?いや神威とはまた違う。けどよくわからん力。せやけどそれを行使するこの男は一体何者なんや?

 

疑問がウチの頭の中を埋め尽くす中、狩人は傷の癒えきったベートの様子を見て鐘を仕舞うとフィンに言葉を紡ぐ。

 

「良い狩人を育てるのは難しい。見守るだけでは成長せず、突き放せば終わってしまう。若者を導くのは先達者の務め。部外者の私などよりも貴公ら仲間の言葉の方が伝わるだろう。」

 

その言葉に態度には出さんがウチも狩人の目の前におるフィンも驚愕する。極短いその時間しか接しとらんはずのベートの隠したその内情をこの男は見抜いとると。

 

どんな化け物じみた洞察力しとんねん此奴!わけわからん力も持っとるしホンマは正体隠したどっかの神ちゃうんか!?

 

「君は優しいね。肝に銘じておくよ。大事な家族のことだからね。」

 

先ほどとはうって変わって穏やかな表情で返すフィン。それに返す狩人。

 

「私も昔は幾度となく死に打ちのめされ、貫かれ、焼かれ、撃たれ、切り裂かれ、落とされ、喰らわれた。だがそんな時に先達者たちの助力に助けられた。私もそう在りたいと思っただけさ。」

 

先ほどまであれだけ激しい戦闘をした人間と同じ人物だとは思えぬほど穏やかな口調で答える狩人。

 

「もう一つ野暮用を片付ける今日は騒がしくしてすまなかった。」

 

そう言って去っていく狩人。

 

ふと目を落とし意識を失くし横たわるベートに目をやる・・・・・ウチも顔に笑顔を浮かべる。

 

「見てみフィン。」

 

振り返ってベートの顔を覗き込み苦笑を浮かべるフィン。

 

「あんだけ大暴れして暴れまわっとったのに見てみぃこの寝顔!」

 

「これは・・・・」口元を抑えて笑いをこらえるフィン。

 

「あんだけ大暴れしてどんだけ迷惑かけてんのよコイツ!」「全くだ。」怒りながらも顔に笑顔を浮かべるのはティオネとリヴェリアや。

 

「ベートばっかりずるい!ずるい!」と不満を口にしながらも楽し気なティオナ。

 

「今度は私も狩人さんと戦いたい」と決意を表すアイズ。

 

ガハハと腹を抱えて大笑いするのはガレス。

 

横たわるベートは血や泥でその身を汚して凄まじい戦闘があったことを感じさせる姿をしている。

 

だけどその寝顔は、遊んで遊んで遊び疲れて泥だらけでそのまま寝てしまった。そんなまるで幼子のようなすっきりとした安らかな顔だった。

 

「まぁでも皆に迷惑と心配かけたお仕置きはせんとあかんなぁ。」

 

ウチも含めて周りの家族も笑みが浮かぶ。

 

「皆!ベートに悪戯や!何してもかまへんウチが許すで!」

 

笑い声が挙がり空気が綻ぶ。

 

やっぱりウチの家族は最高やな!

 

よっしゃ!やっぱりここは寝てるもんへの悪戯の定番と王道をウチがみせたるか!




額に【肉】

古来から伝わる寝顔に対する最もポピュラーな悪戯書き。

古典的とされるがやはり王道中の王道といえる。

その他にも【笑】【バカ】【アホ】など様々なバリエーションが存在する。

なお人を呪わば穴二つ。

寝顔に対する落書きをする者は自分自身もいずれその復讐に身を焼かれるのを覚悟しておかねばならない。

酒につぶれる道化の神の額に書かれたのは【壁】という文字だったのを知るのは誰だったであろうか。

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