クラブ活動新入部員勧誘期間二日目以降俺は達也と行動することになった。達也が誤爆と見せかけて魔法の攻撃をされたのだ。偶々俺はその場にいたのでその相手を取り押さえた。それから毎日達也が狙われているのだ。明らかに嫌がらせだと分かることを…。
そのため、俺はよく達也行動をともにし一週間が過ぎ 新入部員勧誘期間も終わった。
ちなみに、検挙数は俺と達也が一位、二位だった。 まあ当然と言えば当然だ。達也が毎回仕組まれて 狙われている以上 トラブルに巻き込まれないはずがない。何度か相手を捕まえようとするとき邪魔する奴らがいたがそれを振り切って俺が捕まえていた。妨害を受けたといっても俺の動きについてこれるわけがない。犯人とグルになって悪さをしている奴らの話などいちいち聞く必要もない。だから達也にその場を任せて俺は捕まえていった。
それが一週間続いて疲れたが、頭にくる奴らを捕まえて中には停学を受けた者もいたので『ザマァ』とか思っていたりもする。
それから数日後の放課後、いつも通り風紀委員本部へ行こうとすると…
「真田くん」
声をする方を振り向くとそこには剣道部の壬生先輩がいた。
「 はじめましてって言った方がいいかな?」
「 そうですね。はじめまして、 剣道部の壬生先輩ですよね?」
「 2年の壬生紗耶香です。 この前はありがとう。 助けてもらったのに黙って帰ってごめんなさい。 あの時のお礼も含めてお話ししたいことがあるんだけど。 今から少し付き合ってもらえないかな?」
「いいですよ」
そして俺は壬生先輩と一緒にカフェに行った。
「 単刀直入に言います。真田くん、 剣道部に入りませんか?」
「 お断りします」
壬生先輩の言葉に俺は即答で返した。
「 理由を聞かせてもらってもいい?」
「 むしろこちらが聞きたいです。 壬生先輩なら分かっていることでしょう? 俺の剣は剣道によるものではなく剣術です。 剣術部ならわかりますが何故剣道部へ?」
「…… 魔法科高校では魔法の成績が最優先、 そう納得して入学したけどそれだけで全部決められるのはおかしいと思わない? 授業で差別されるのは仕方ない。 でも高校生活ってそれだけじゃないはずよ。 クラブ活動まで魔法の腕が優先なんて間違ってる。 魔法がうまく使えないからって私の全てを否定させはしないわ」
確かに魔法競技系のクラブは学校からバックアップされているが それは魔法科高校の宣伝のためだから当然だ。「優遇されていない」ことと「冷遇されている」ことの区別がついていないのか?
「 だからあたしたちは非魔法競技系クラブで部活連とは違う組織を作ろうとしているの。 そして私たちの考えを学校に伝えるつもり。 そのためにもあなたに協力をお願いしたい! 」
「 それなら俺より達也の方がいいんじゃありませんか?アイツは壬生先輩と同じニ科生なら勧誘しやすいでしょう」
「 実は司波くんに先に話したんだけど断られちゃって、他に誰かこの話を聞いてくれそうな人を紹介してもらったんだけど司波くんも真田くんを指名してきたのよ」
あの野郎、 俺を巻き込みやがって… こうなったらあの野郎にも ちょっと痛い目を見てもらおうか…
「 壬生先輩、 先輩は考えを学校に主張して何をしたいのですか?」
「えっ?…そ…それは…」
「…… 自分の考えがまとまったらまた話を聞かせてください。 俺の返事はその後で…」
「…わかったわ…」
深夜
「リーナ、ちょっといいか?」
「和樹?どうしたの?」
「 実は頼みがあるんだ。……………………ということでよろしく」
「………和樹………それは………」
翌日の昼休みの生徒会室ではいつものメンバーで昼食をしている。
「 ところで真田くん。 昨日2年の壬生を言葉責めにしたんだって?」
「 そんな事実はありませんよ」
「 そうなのか? 婚約者がいる身としてはあまり多くの女性と一緒に2人きりになるのはどうかと思うが?」
「 俺と婚約しているのはリーナだけじゃありませんので気にしなくても大丈夫ですよ」
「「「なっ!///////」」」
俺の言葉を聞き七草先輩や司波さん、あーちゃん先輩が頬を赤らめてしまった。
「……君がいろんな女に手を出していたとはな……」
「 人聞きの悪いこと言わないでください。 女なら誰でもいいってわけじゃないんですからね」
「ほう、例えば真由美が告白してきたらどうするんだ?」
「ちょ、ちょっと摩利!」
「 もちろん付き合いますよ」
「!?…////////」
「ただ結婚ってなると少々考えますね」
「えっ?」
「俺は政略結婚だけはしないって決めてるんです。どんな惚れた相手でも家の柵を俺によこす相手はゴメンですね」
「しかし君は九島家のリーナと関係をもっているではないか」
「私は嫁になりますし、もし本家の人間が和樹に何か命令をしてきたら家とは縁を切るって言っていますから」
「…和樹君、あなたそれだと危ないわよ…」
それを聞いて生徒会室にいるリーナ以外は皆絶句していた。 優れた魔法師は命を狙われるモノだ。それゆえ、十師族の後ろ楯があれば安全になるにも関わらずそれを拒んだのだ。なぜそんなことをするのか理解できなかった。
「問題ありません。例え全てのナンバーズが敵になったとしても俺は負けませんから」
『『『………………………』』』
またもリーナ以外が絶句した。いかに和樹がどんな魔法も吸収する防御魔法が使えるといっても全てのナンバーズに勝てるという自信が理解できない。
だがリーナだけはそれを理解していた。何故ならリーナは今まで和樹がこの世界には存在しない妖怪共を次々と倒してきていたからだ。中でも二年前雫とほのかに初めて会った日、九校戦の会場の近くに現れた剛鬼という妖怪は当時の私は震えが来るほど怯えていた。『勝てない』スターズ部隊の副隊長であり戦略級魔法が使える私が。だが和樹はそんな相手を瞬殺した。そしてあとから聞いたが剛鬼より強い妖怪と幾度も戦ったことがあると和樹は言った。その事を聞いた私は和樹に勝てる人間はこの世に存在しないと確信している。
「 まあそれはともかく、 どうやら風紀委員は相当反感を買っているようですね」
「どういうことだ?」
俺は昨日壬生先輩から聞いたことを話した。
「………ということです」
『『…………………』』
俺の話を聞きその場にいる人は黙ってしまったが…
「………和樹………」
「なんだ達也?」
「お前はそれを聞いてどう感じた?」
達也が俺に声をかけてきた。
「そうだな……強いて言うならば何かが噛み合ってないように感じたな」
「噛み合ってないってどういうこと?」
俺の言葉に七草先輩が首を傾けて聞いてきた。
「 俺にもしっかりとわかってるわけではないので説明は難しいのですが、 魔法の成績が悪いからと言って剣の腕まで貶されるのは我慢できないということでこのような行動に出るという動機は理解できます。ただ、 肝心なところが抜けているような気がしました」
「肝心な部分?」
「壬生先輩は非魔法系の部活動に協力を募って団結し学校に自分達の思いを訴えると言ってました。 魔法の成績のせいで他の部分の不当に貶められていて学校側に伝える。そこはいいとしましょう。 でも学校側に伝えた後何をするのかという肝心なところがまるで考えてなかったように感じます」
「なるほどな」
「…それで和樹はどうするの?」
リーナが俺に聞いてきた。
「今は俺の質問の返事を聞いてからだが、問題はバックにいる連中がどう出てくるかだな。おそらく近いうちに動きがあるだろう」
「バックね……。どうやら忙しくなりそうね」
「そういうことだ。ほのかや雫にも一応伝えておけよ」
「了解よ」
「こっちから手を打つのもありだがそれをすれば向こうにも警戒される。やはり臨機応変に動くべきだな」
「でも十文字会頭とかには話しておいたほうがいいんじゃない?」
「まだ起きるとは限らないんだ。今話すことでもないだろう」
「でも今ここに七草会長と渡辺委員長がいるのよ。この場でここまで話しちゃったんだし」
そう。リーナの言う通り今の会話はこの場にいる全員に聞こえていたためほとんど俺とリーナの話についていけないでいた。
「………悪いんだが………一体お前たちは何の話をしていたんだ?」
渡辺先輩の言葉に七草先輩たちがウンウンと頷いていた。
「もちろん今後のことを話していたんですよ」
「それはわかっているんだが話の流れについてこれない。何よりクドウが今私と真由美がこの場にいるんだからと言ったな?詳しく聞かせてくれないか?」
俺は一つため息を吐いた。
「さっきも言いましたがバックにいる連中がどう動いてくるかを話していたんです。」
「バックにいる連中?」
「 反魔法国際政治団体「ブランシュ」ですよ」
「な…何故それを!?情報規制されているのに!?ってクドウか…」
「達也も多分知ってますよ」
俺の言葉に達也が一瞬眼を細めた。
「はい。俺も知ってます。部活勧誘期間中何度か『エガリテ』をつけている生徒を見かけましたから」
『なっ!?』
つまり校内に『ブランシュ』の手か延びているということだ。
「 規制がかかっていようが噂の出処を全て塞ぐなんて無理でしょう。 こういうことはむしろ明らかにしておくべきだと思います。 この件に関する政府のやり方は拙劣です」
俺がそう言うと
「…そうね… 魔法を敵視する集団があるのは事実なのにその集団を隠し正面から対決することを避けて…いえ…
逃げてしまっているわ」
七草先輩は顔を俯いた。
「 会長の立場なら仕方ないことでしょう。 ここは国立の機関でその国が規制をかけて隠しているんですから」
「…… 慰めてくれているの?」
「でっでも会長、 追い詰めたのも真田君ですよね…」
「 自分で追い込んで自分でフォローするとは凄腕のジゴロだね。 真由美もすっかり籠絡されているようだしな」
「まっ摩利! 変なこと言わないで」
「 なんなら本当に恋人になりますか? 俺はいつでも OK ですよ」
「おっ!聞いたか真由美! いつでもお前のことを受け入れてくれるらしいぞ!」
「ししし知らないわよ!!////////」
七草先輩は顔全体が真っ赤になって俯いてしまった。
「和樹、いい加減にしなさいよ…」
リーナは俺を睨み付けている。
「まぁまぁ、俺にとって一番はリーナなのはよくわかってるだろ?」
俺はリーナを自分の胸に抱きながらそう言った。
「………もう////////」
リーナは顔を真っ赤にしながら受け入れていた。この場にいる達也以外も顔を真っ赤にしていた。
「こういうのをバカップルというのだろうな」
達也がそんなことを呟いた。
「 達也、俺にそんなこと言っていいのか?」
「… どういう意味だ…」
俺の言葉に達也は目を細めてそんなことを言ってきた。 俺はみんなの前で ある映像を見せた。
それは夜、深雪が寝ているとき達也が夜這いをかけてきて深雪の寝ているベッドの中に入り深雪の上に股がり寝ている深雪の顔に顔を近づけて……そこで映像が消えた。
それを見た生徒会メンバーは全員顔を真っ赤にし顔を俯かせていた。
「…………お兄様?…………私の……寝ているときになななな何をしているのでしょうか?」
深雪は顔が沸騰しているのではないかというほど真っ赤になり達也に尋ねた。そして、段々周りが寒くなってきた。
「ちょっと待て深雪!落ち着け!これは…」
「何が落ち着けですか!?私が寝ている隙に一体何をしているんですか!?しかも和樹さん見られるなんてどう責任とってくれるんですか!?」
「いや…だからこれは…」
実は昨日壬生先輩との件を俺に押し付けられたのでちょっと憂さ晴らしがしたくリーナに頼んで『仮想行列(パレード)』を使い、俺は達也に、リーナは深雪に変装して二人のベッドシーンを撮ったのだ。
その後俺とリーナは静かにその場を去った。深雪が最後に俺がどうのこうのといっていたような気がするがまあいい。俺達のいなくなった生徒会室ではどのような惨殺劇があったのかはご想像にお任せします。