劣等生の世界でRPG   作:無理やー

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占拠

「 それで答えは出ましたか?」

 

翌日、今俺は壬生先輩とカフェに来ていた。 昨日の今日で答えが出るって言うのはちょっと早いんじゃないかと思ったが…

 

「 …前に達也君にも同じことを言われたの。 昨日よく考えたんだけどやっぱり私たちの考えは変わらないわ。 学校側に待遇改善を要求したいと思う。」

 

「 改善と言うと具体的に何を改めて欲しいんですか?」

 

「 それは全般的に…」

 

「 例えば授業ですか?それともクラブ活動? しかし剣道部と剣術部のスペースは同じ割り当てのはずですが? それとも予算ですか? 確かに魔法競技型には多く割り当てられていますが ここは魔法科高校です。 魔法競技系の部活動はデモンストレーションも兼ねていますので 予算を多くするのは当然だと思いますが?」

 

野球やサッカーの優秀な生徒を特待生として入学させることは名門校なら当たり前のことだ。そして、上手くなるために遠征をして強豪校と練習試合等をすることも。だがそれには多くのお金がかかる。学校側がその予算を出すのは当たり前だ。

 

「…貴方も実技の成績だけで私たちを見ているのね…」

 

「… どうでしょうか。 少なくとも俺は壬生先輩のことを蔑んだりしませんよ」

 

「え?」

 

「 あくまで俺の主観ですが、 魔法の才能がないことに耐えられないのなら他の生き方を見つけるべきだと思ってます。 魔法を学ぶ者が魔法による差別を否定するのは魔法から離れられないからじゃないかと俺は思います。 魔法から離れたくはない。 でも一人前に見られないことには耐えられない。 だから魔法による評価を否定する。 壬生先輩は確かに魔法の実技は低いのでしょう。ですが 以前桐原先輩との 戦いを見せてもらいましたが剣の腕は相当なものです。 それを評価できないのはただの馬鹿です。」

 

「真田くん…」

 

「 それともう少し壬生先輩は周りを見た方がいいですよ」

 

「えっと…それってどういう…」

 

「 俺だってトップでこの学校に入学しましたが、 全ての人に評価されているわけではありません。 というより万人に受け入れられる人なんていないと思います。数人でいいんです。俺も一昨年まで俺を見てくれた人は一人もいなかった。 まあ俺の場合俺から近づかなかったということもありますが… ですがそのような有象無象の輩以上に俺のことを評価して認めてくれる人の方が大事です。 壬生先輩あなたには本当にあなたを認めてくれる人いなかったんですか? 俺にとって一科生は『ブルーム』と優越感に浸り、二科生は『ウィード』と自分を劣等感に蔑むのは自分自身なんです。」

 

それを最後に俺は席を立ちカフェから去っていった。 壬生先輩はその言葉を聞き頭が真っ白になり呆然としていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから 一週間が経った放課後

 

「和樹は今日も風紀委員?」

 

十三束が俺に聞いてきた。

 

「いや、今日は非番だから店に行く」

 

「店?」

 

「スイーツショップを経営してるんだ」

 

「「え?」」

 

俺の言葉に十三束とエイミィが反応した。

 

「和樹ってスイーツショップやってるの!?」

 

「ああ」

 

「スゴい!!ねぇねぇじゃあ今から皆で行かない!?」

 

エイミィが少し興奮気味に言ってきた。

 

「いいよ。じゃあ『全校生徒の皆さん!我々は 学内の差別撤廃を目指す有志同盟です。 我々は生徒会と部活で引退し対等な立場における交渉を要求します』……すまない、 さっきの話はまた今度ということで…」

 

「…そうだね…」

 

俺の言葉に十三束は納得したようで苦笑いしながら答えた。 俺とリーナはどうせ呼ばれるだろうと思い放送室へ向かった。

 

放送室の前には既に風紀委員のメンバーと市原先輩、十文字会頭が来ていた。暫くして司波兄妹もやってきた。

 

「 全員揃ったな。状況を説明する。 本人はどういうのマスターキーを盗み扉を封鎖、中に立てこもっておりこちらからは開けられない」

 

「 明らかに犯罪行為じゃないですか…」

 

「 その通りです。 だから私たちもこれ以上彼らを暴発させないよう慎重に対応すべきでしょう」

 

「 いや、多少強引でも短時間の解決を目指すべきだ」

 

「… 十文字会頭はどうお考えなのですか?」

 

達也が聞くと

 

「 俺は彼らの要求する交渉に応じても良いと思っている」

 

「 ではこのまま待機しておくべきだと?」

 

「 それについては決断しかねている。 不法行為を放置してはおけんが性急な解決を要するほどではない」

 

「…和樹、お前壬生先輩のナンバーを知らないか?」

 

俺は達也の言葉に一つため息を吐き、携帯を取り出した。

 

「壬生先輩ですか? 放送しているんですか? そうですか、 それで本題に入りたいんですが、 十文字会頭は交渉に応じるとおっしゃっています生徒会はまだ未確認ですが…」

 

市原先輩を見たら頷いていたので

 

「 いえ、生徒会も同様です。 ということで交渉について打ち合わせを今すぐしたいんですが?ええ、 学校側の横槍が入らないうちに、 先輩の自由は保証します。 だから扉を開けてもらえませんか?……わかりました。では…」

 

携帯を切りすぐ出てくることを話した。

 

「今のは壬生紗耶香か?」

 

「ええ」

 

渡辺先輩の言葉に俺がそう答えると

 

「 委員長、今すぐ中の奴らを拘束するための体制を整えるべきだと思います」

 

達也がそう言ってきたので

 

「待て、 さっき真田が自由を保障すると発言していただろう」

 

渡辺先輩が言ってきたので

 

「 渡辺先輩、俺が自由を保障したのは壬生先輩だけです。それに俺は風紀委員を代表して話しているとは一言も言ってませんよ」

 

俺の言葉を聞き俺と達也以外は開いた口が塞がらないようだ。

 

「 お兄様も和樹さんも悪い人ですね」

 

「いまさらだろ?」

 

「そうか?」

 

「はい。 でも壬生先輩のナンバーをわざわざ端末に保存されていらした件、後ほど詳しくお話を伺わせてくださいね?」

 

深雪はにこやかにしているが目が笑っていなかった。端から見れば恐ろしいだろう。だが…

 

「何故?」

 

「恋人であるリーナさんがいるのに壬生先輩とも親密になるのはよくありませんよ」

 

「それは俺とリーナの問題であって司波さんに詳しく話さなきゃいけない理由になってないと思うけど?」

 

「………」

 

司波さんは表情を変えず無言のまま俺を見ている。

 

「それとも、俺は司波さんの許しがないと女子と仲良くしてはいけないのか?だとしたら俺はエリカや美月とも縁を切らないといけないな。司波さんから許しをもらってないからな」

 

「…………」

 

和樹はそんな司波さんをモノともせず言い返した。周りも司波さんに冷たい言葉をかけてる和樹に少し戸惑い気味のようにみえる。

 

そうすると放送室の鍵が開いた。

 

その事に気づいた十文字会頭は渡辺先輩に声をかけた。

 

「渡辺!」

 

十文字会頭の声に渡辺先輩も気づいた。

 

「今だ!総員突入!!」

 

「風紀委員だ、おとなしくしろ!!」

 

「CADの不正使用で逮捕する!!」

 

「委員長、 違反生徒4名拘束完了しました!」

 

「よし!」

 

渡辺先輩の言葉を聞き 風紀委員は素早く動き全員を拘束した。

 

「真田くん!!どういうことなのこれ! 私たちを騙したのね!」

 

壬生先輩が血相を変えて俺に言い寄ってきた。

 

「 真田はお前を騙してなどいない。お前たちの言い分は聞こう。交渉にも応じる。だが、要求を聞き入れることとお前たちのとった手段を認めることは別の問題だ」

 

十文字会頭の言葉に壬生先輩は後ずさった。

 

「 それはその通りなんだけど、彼らを離してあげてもらえないかしら」

 

「七草会長!?」

 

そこに七草会長がやってきた。

 

「だが真由美!」

 

「 ごめんね摩利、 言いたいことは理解しているつもりよ。でも、 学校側は今回の件を生徒会に委ねるそうです」

 

「何!?」

 

「壬生さん、 私たち生徒会はあなたたち有志同盟の主張をこれから聞こうと思うんだけどついてくる気はある?」

 

「 私たちは逃げる気はありません!」

 

「 じゃあ決まりね。 それじゃあみんなお先に失礼するわね」

 

そう言って七草会長は壬生先輩と共に放送室からいなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

今後の交渉人についての話し合いの結果あることが決まった。それは、生徒会と有志同盟の公開討論会。 日時は立てこもりから二日後、つまり明日。 有志同盟はそれを承諾し生徒会から討論会に参加するのは七草会長一人ということだった。

 

学校では同盟の勧誘を積極的に やっている生徒が大勢いた。 俺とリーナ、雫、ほのかは一科生だから勧誘は受けなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜九重神社では、 達也と深雪は師匠である九重八雲に会いに来ていた。達也は八雲に頼んで一高にいる司甲について聞きに来た。彼の義兄は『ブランシュ』の 日本支部のリーダーを務めている。表向きだけじゃなく裏の仕事を仕切ってる本物のリーダーだ。他にも色々聞いたが特に警戒するような内容がなかった。

 

「 それと師匠実はもう一人 真田和樹について何かわかりましたか?」

 

達也は以前和樹のことを師匠に頼み調べてもらった。

 

「彼については特にわからなかったよ。」

 

「わからない?師匠がですか?」

 

「彼は小学四年から中学に上がるまでまともに魔法が使えなかったらしい。」

 

「使えなかった?」

 

深雪を抜いて入試主席になれるのに?

 

「ただ、中学に入ってからどんどん魔法の上達が上がってきて、あの九島家の令嬢と出会ってから才能が開花したってところかな?」

 

「(ということは和樹は才能が秀でていたのではなく努力を怠らないで今の力を手にいれたということか…)」

 

「ただ、気になるのは毎年夏休みになると県外に旅行に行って、中学一年の時にいったのが沖縄なんだ」

 

「沖縄!?ってことは」

 

「うん、ちょうど大亜連合が攻めてきた時期と一緒だね」

 

それを聞き達也と深雪は驚いた。

 

「しかし、その頃は大した魔法は使えなかったはずですよね?」

 

深雪はそういうが

 

「(確かあのとき焔の抜刀斎が使ったと推測する魔法はマシンガンの弾の温度を上げて暴発させる魔法だけだった。後は刀で斬られた痕に火傷の痕があったことくらいだ。斬られた痕に火傷の痕があったのは何故かわからないが、弾の温度を上げて暴発させることはそう難しくないはずだ)…師匠、小学四年からと言いましたがそれ以前はどうだったのですか?」

 

「それが全くと言って出てこなかったんだよ」

 

「和樹は海外に行ってたことがあると言っていましたが」

 

「それについてももちろん調べたよ。でも何処を調べても出向記録がなくてね」

 

「……もしかしたら九島家が記録を消したのではないでしょうか?」

 

「(…それが一番可能性が高いが何のために…)」

 

結局和樹の十歳以前のことはわからなかったが、達也は八雲の話を聞いて和樹が焔の抜刀斎だという可能性が高くなった。

 

「…お兄様…」

 

「深雪?」

 

「…私は和樹さんに嫌われているのでしょうか…」

 

深雪は俯き悲しそうな声色で達也に告げた。

 

「(確かに何故かはわからないが和樹は深雪に少し冷たいように見える。まるでわざと嫌われようとしているようにも見える。だが何のために…)」

 

「お兄様…私…私は…」

 

「深雪…俺には和樹の考えはわからない。だが、もし和樹が焔の抜刀斎だとしたら深雪を嫌っているなんてことはない。もしそうならあのとき命を助けようとしないだろう」

 

「…お兄様…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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