ブランシュとの事件から1ヶ月が過ぎた。俺達は特に何事もなく平和に暮らしていた。今日は風紀委員の仕事は非番だったので帰ることになった。
家に帰ろうと校門に向かっていると、その途中のベンチに入学二日目の放課後に会って以来一度も会っていない幹比古が本を読んでいた。
「幹比古、久しぶりだな」
「え?…ああ和樹。久しぶりだね」
「何の本を読んでいるんだ?…古式魔法に関する本か?」
「うん。僕の家は精霊魔法の名門吉田家だから…」
「…前から気になってたんだけど、幹比古って何で二科生なの?」
本当は知ってるけどあえて聞いた。ボロが出るかもされないから。
「……簡単に言うと去年に起きた魔法事故で魔法を思うように使えなくなったんだ…」
「…俺にはそうは見えないけどな…」
「え?」
「俺は相手の顔を見ればそいつがどれだけ強いのかが分かる。間違いなく幹比古は強い部類に入る」
実際幹比古のステータスはこうだ。
ステータス
吉田幹比古
高校一年 15歳
レベル 27
体力 125/125
サイオン 211
力 49
敏捷 78
頑強 45
器用 74
魔法力 98
魔法技能 83
魔法ポイント
加速 25
加重 40
移動 30
振動 30
収束 35
発散 20
吸収 20
放出 20
無 30
系統外 35
知覚 80
精霊 95
魔法
精霊魔法 喚起魔法 人払いの結界 雷童子 五感同調 木霊迷路 霧壺 地鳴り
やっぱり精霊魔法の魔法ポイントは高いな。ていうか精霊って書いてある魔法ポイントを見るのは初めてだな。
「……そんなわけないじゃないか。魔法を上手く使えないのに…」
精霊の魔法ポイントがこんなに高いのに魔法をうまく使えないなんてありえないだろ。
「だから違和感があるんだ。何で魔法を上手く使えないのかが。……幹比古今日は無理だが明日は土曜だ。よかったらウチに来ないか?お前の魔法を見てみたい」
「…いいよ」
そして俺達は、明日に会う約束をして俺は自分の店に帰った。
翌日、幹比古は約束通り家に来た。幹比古は俺の家の場所がわからなかったため家の近くの公園で待ち合わせをして家に着いた。
「とりあえずあがって」
「おじゃまします」
そして、二人は入るとリビングにリーナがいた。
「あ、お帰り和樹。吉田君もいらっしゃい」
「ただいま」
リーナに俺が言うと俺も返事したのだが、幹比古は何の反応も見せなかった。気になって幹比古の方を見ると眼を見開いて何か驚いていた。
「…ねぇ和樹、クドウさん?間違ってたら悪いんだけど、二人は一緒に住んでるのかい?」
幹比古の言葉に俺は反射的にリーナを見た。リーナも同じタイミングで俺を見る。すると自然と互いに口元が笑ってしまい
「何を今さら」
「てっきり知ってると思ってたけど…」
「…そうなんだ…」
俺とリーナがそう言うと、幹比古は答えた。
暫くリビングで紅茶を飲みながら三人で雑談をしていると
「さて、そろそろ幹比古の魔法を見せてもらってもいいかい?」
「…ああ、頼むよ」
俺達は地下の訓練場に向かった。
俺達は地下室にある訓練場に来ていた。
「なんだいここは!!」
「何って訓練場だよ」
「いやいや、一般の家の地下になんでこんな広大な訓練場があるんだよ」
そう、俺の家の地下室は、今や東京都と同じぐらいの広さがある地下室になっているのだ。 四聖獣との戦いの 翌日 神様からの手紙がまだ届いてきて その手紙の内容に地下室が今後の戦いのために、広くしたことと新たな設定が加えられていたのだ。
「さて、とりあえず市街ステージにするか」
俺がそんなことを呟くとながら機械を操作すると その部屋が突然市街地になった。
「なっ!?」
幹比古は突然部屋が変わってしまったことにひどく驚いていた。
「なにこれ?」
「ここでなら思う存分魔法が使えるぞ」
幹比古の言葉を無視し俺は作業を続ける。
「幹比古、これから武装した敵を三人だす。一人で全滅させてみろ。この部屋では攻撃を受けてもビービー弾位の痛さしかしないから安心しろ」
俺が幹比古にそう告げ、俺は部屋から出ていった。
「えっ…あっ…ちょっ…」
幹比古は混乱していて頭がついてこれていない。そんな状態で一人にされてしまったので慌てている。
「幹比古、俺だ。聞こえてるか?」
「和樹?うん、聞こえてるよ」
「OK、じゃあ早速始めよう。今から人型の敵を三人だすから」
俺がそう言うと市街地の所々に三人の武装した人が出てきた。
「幹比古、さっき言った通り三人の人を魔法で倒してほしい。時間制限はなし。OK?」
「…わかった。ちょっとまだ混乱してるけど後で聞くことにするよ」
「おし、じゃあ始め!」
幹比古は和樹に言われ今一対三の模擬戦が始まった。てっきりただ魔法を見せるだけで終わりだと思っていたけど、まさか模擬戦形式でやらされるとは思わなかった。
フィールドは横浜市内に似たような景色でビルが多く建っていた。
僕は魔法を使い辺りを警戒していた。
すると魔法の探知に引っ掛かった人がいたしかも三人同時に別々な場所で。流石に別方向から三人同時に攻められたら一溜りもないためとりあえず一人排除するため一番近い相手のいる方に走っていった。
マシンガンを持っている人がいた僕は物陰に潜み落雷を落とした。やはり発動速度が遅いと思った。
だが不意をつけたため相手は簡単に鎮圧できた。僕はそれを見て安心して警戒を怠ってしまった。
背後から僕を襲ってきた相手がいたのだ。僕はその事に気づいてなんとか逃げ魔法を使おうとしたが、逃げた先に待ち伏せていたもう一人の仲間がいたため魔法の発動が遅かったため僕は先に撃たれてしまった。
「おし、これで終了だ」
俺がそう言うと部屋は元のただっ広いだけの部屋に戻った。
「どうだった幹比古?」
「…見てたんなら分かってるだろ?全然ダメだった。今のが仮に実戦だったら間違いなく僕は殺されていた…」
幹比古は俯き口を噛みしめながらそう告げてきた。
「確かにそうだな。だが俺は何の脅威もないところで魔法を上手く使えても実際何の役にもたたないと思っている。何の妨害もないところと実戦で銃を向けられているプレッシャーでは何もかも違うからな」
「…そうだね。そして、僕はどちらもてんでダメだった」
「いや、これはお前の問題ではない」
「え?」
「問題があるのは魔法の術式の方だ。あまりにも無駄が多すぎる」
「な!?何でそんなことがわかるんだよ!!僕の術式は吉田家が何十年も培ってきたモノだ!それを一度見た程度で!」
「わかるんだよ。俺には術式を読み込むことができる。そして、相手でどれだけの強さを持っているかも見ることができる」
「…そんなこと…できるわけが…」
「無理に信じてもらう必要はないさ。それにさっき幹比古は吉田家が何十年も培ってきた術式だと言ったな」
「あ…ああ」
「だからだろう?無駄が多いのは」
「え?」
「昔は現代と違って長い呪文が必要だったはず。その時代なら相手に術式の正体を知られないために色々偽装が必要になる。それが無駄に繋がるんだろう。だが現代ではCADで高速化されているためその必要がない。」
「そういうことか!?確かに僕の術式には発動中に術の弱点を突かれないよう偽装が施されているけど…それが無駄に繋がっているって事か…ははっ、古式魔法が現代魔法に威力では勝ってもかなわないわけだ」
「それは違うわ」
「え?」
俺達の会話にリーナが加わってきた。
「一対一なら発動速度が勝る現代魔法に分があるけど、知覚外の奇襲なら古式魔法の威力と隠密性に分配が上がるわ」
「九島閣下がよく言ってたからな。魔法で大事なのは使い方だと」
「九島閣下って、まさか九島裂!?」
「ええ、お祖父様が言っていたわ。『使い方を間違えた大魔法は、使い方を工夫した小魔法に劣るのだ』ってね」
「…使い方か…」
「幹比古、どうする?お前がよかったら俺がその無駄を取り除いてもいい」
「ちょっと、いくらなんでもそれは…」
俺の言葉にリーナは強く反応する。幹比古は目を瞑り暫し考えて目を開き何かを決心したようにCADを取り出した。
「術式はCADにもプログラムしてある。和樹の思うようにアレンジしてよ」
「…いいんだな」
「うん。僕は和樹を信じることにする」
「…ありがとう」
幹比古の覚悟を決めた目を見て俺も答えた。
それから一時間で俺は幹比古のCADを書き換えた。達也ならもっと早いのかなとか思ったりもしたが、俺なりにいいできだと思い、そのCADを試すためにさっきと同じ一対三の模擬戦をやってみた。
相手が三人ということで苦戦はしたが、今回は積極的に相手が自分のところへ来る前に自分から近づき一人一人倒していった。
CADも先ほどと違い違和感なく素早く魔法を放てたことに幹比古自身驚いていた。
17時から店があるのでその前の15時には幹比古も帰っていった。その表情から大分満足したように俺には見えた。
「和樹、よかったの?吉田君のCADを弄って。もしかしたら彼も雫達のように…」
「それは問題ない。奴らが狙うのはこの世界に存在しないはずの魔法を使っている人であって、幹比古のCADは本来達也が幹比古に教えて調整したCADになっていたモノだからだ。未来は少し変わっても奴らが狙う対象じゃないのさ」
「それならいいけど…」
「それよりリーナ」
「何、和……………ん…………っ……………ぁ………………」
俺はリーナに声をかけ、リーナがこっちを振り向くと、俺はリーナと口を重ねた。
突然のことでリーナも驚いたが、すぐにもちなおし更なる追い討ちをしてきた。
「ん……………………ちゅぱ……………………ぁ………………………」
いわゆるディープキスってやつだ。
俺は気持ちが良すぎてさらにリーナを求め背中に手を回した。リーナも俺の顔に手を回してきた。
「「……………………ちゅる…………………ん………………」」
俺達は止めなかった。どれくらいの時間が経ったか分からない。でも離れたくなかった。いつまでもこうしていたかった。
先に口を離したのはリーナの方だった。
「ちょっと待って………………気持ち良すぎて疲…ん……………」
だが俺はキスを止められなかった。
俺はリーナを抱き抱えて自分の寝室に連れ込み、そして二人の互いの距離が一つになっていった。