四人目は誰か、それは……
エンジニア入りが確定した数日後の日曜日、雫とほのかは家に来ていた。そして…
ピンポーン
家のチャイムがなりドアを開けるとそこには七草会長がいた。
「こんにちは!今日はお願いね!」
「ずいぶん早いですね、会長」
「そう?もう9時よ?」
「休日はゆっくりしたいんです……まぁいいですけどね……」
「……なんだかごめんなさいね……」
「いえ…どうぞ…」
「お邪魔します」
そして俺は会長を家にあげてリビングにまで案内するとそこには雫とほのかがいて会長はそれを見て憤慨する。
「ちょっと!北山さんと光井さんが来ているなら私もこの時間に来ても問題ないじゃない!」
「雫とほのかは暫く一緒に暮らしてるんですよ。九校戦の練習をするために」
「……なんで九校戦の練習をしに和樹君の家に来るの…?」
会長が小首を傾けて俺に尋ねてきた。
「なんなら見に行きますか?リーナも今練習中だと思いますし…」
俺がそう促し雫やほのかを含めた四人でリーナのいる地下室へ向かった。
「………普通の家に何で地下室があるの……(ボソッ)」
会長は何か言ってたみたいだが聞くことはせず先に進むとリーナが訓練場でホログラムで作り出された今まで戦ってきた敵と戦っていた。最も今戦っているのは春のブランシュ事件で戦っていた青龍とは格段に弱い相手ではあるが、四人の妖怪たちの相手をしており、一人一人が乱童クラスの実力をもっており並の人ではまず勝てないであろう。
だが、今のリーナは青龍との戦いから大分鍛練をつけており、その程度の相手に遅れをとることはなかった。四聖獣との戦いで、俺、雫、ほのかの三人が呪霊錠を外さなかったことに対して、リーナは外さないと勝てなかったことに酷くプライドが傷ついたらしい。雫とほのかが相手した玄武、白虎相手なら外さなくても勝てただろうがリーナはプライドが高い女だ。なのでリーナはそれから誰よりも訓練を厳しくこなしていき、今なら呪霊錠を外さなくても青龍に勝てるだろう強さになっていた。
そうこうしているうちに俺たちは地下室に着き訓練室の前にある部屋からガラス越しでリーナの訓練を見学していた。七草会長は『何で一般家庭の家にこんなにいい部屋があるの…?』と言いたそうな呆れ顔をしていた。
丁度俺たちが来たところでリーナは仮想敵の一人を倒したところだったらしく部屋から出てきた。
「あっ!和樹!?見ててくれたのね!ねぇ!ねぇ!どうだった?私、とっても強くなったと思わない!?」
「ああ……悪い……。今来たところでリーナが戦っていたところは全く見てなかった」
「なんでよ!!」
リーナが訓練場から出てきて和樹を見つけると、周りには目もくれず自分の成長ぶりを見ててくれたと思い勢いよく話しかけてきたが、本当に今来たところなのでそれを言うと、納得できないとばかりの勢いで捲し立ててきた。
「リーナ、そんなことより雫とほのかがきているぞ」
「あら、ホント…」
「和樹君!リーナさん!私もいるんだけど!」
「……勿論忘れていませんよ」
「ちょっと!今の間は何!?」
「気にしないでください。さぁ、隣の部屋でCADの調整をするのでそこに行きましょう」
後ろの方で会長が何か騒いでいるが無視した。実際俺は会長がいることを忘れてはいなかった。ただ、からかいたくなっただけだ。でもそんなことを会長に言えるわけがなく、そのまま何事もなく隣の部屋へ向かった。そこにはCADを調整するための機器が置かれていた。俺に続いて、リーナ、会長、雫、ほのかと部屋へ入ってきた。
「さて、会長。今からCADを調整するんですが、その前に服を脱いでください」
「…えっ?」
俺の言葉に会長は数秒間硬直したが頭が俺の言った言葉を理解すると途端に会長の顔が茹で蛸のように真っ赤になった。
「(この人って人をからかうのが好きなくせにからかわれるのはメチャクチャ弱いんだよな…)家にある調整機では服を着ながらだとできないんですよ。因みに下着までなら大丈夫ですので安心してください…」
「全然安心できないじゃない!!」
「ああ……じゃあ会長は後にしましょう。まず心の準備が必要みたいですから。じゃあ雫、ほのか、二人からやろうか」
「はい!」
「うん…」
「え?え?やろうかって?二人はそれでいいの!?」
会長は何の躊躇いもなく服を脱ぎに隣の部屋まで向かったので、それでいいの?とでも言わんばかりに慌てて止めようした。
「何慌ててんですか?二人のCADは俺が調整してるんですからこれくらい毎週のことですよ」
「それでも簡単に受け入れすぎでしょ!?」
「二人とも付き合ってるんですから別に今さら…」
「…………え?…………付き合ってる?…………誰が?」
「だから俺と雫、ほのかが…」
「………え?……でも……確か工藤さんと……」
「ええ。リーナとも付き合ってますよ」
「3股って……真田君……あなた……」
「軽蔑しますか?会長は大多数の女子と付き合うことは不健全だと思いますか?」
「……それが普通だと思うけど……」
会長はジト目で此方を睨んでいた。
「俺は大多数の女子と付き合うことが不健全だとは思いません。付き合っている女子に親愛を抱けないことが最も愚かなことだと思っています。一時の感情で身を任せてその場限りで終わらせること等最低以外の何モノでもない。周りの人で恋人ができても数ヶ月、早いときは数週間で別れる人なんているけど、正直バカにしか見えなかったですね…。だから俺は、この先他にも好きな人が出来たらその人を離さず、愛し愛される関係でい続けるつもりです…」
和樹の言葉を聞き、真由美は呆けてしまった。最初は多くの女性を恋人にする優柔不断、不健全だと思っていた。でもそうじゃない。工藤さんのことも北山さんのことも光井さんのことも八神君は好きなんだ。誰がかけてもダメ。一番とか二番とかじゃなく、三人とも大切な存在。その三人を幸せにしたいから例えここで私がどれだけ非難しようとも彼は折れるつもりはないのだ。
そんな彼を見て真由美は羨ましいと思ってしまった。三人という恋人はいるが、ここまで愛されている三人が羨ましい。どんな障害からも守ってくれる、そんな気がして……
そんなことを考えているうちに雫とほのかが簡素ガウンを身に付けていた。二人のCADは既に和樹は預かっていたので準備は整っている。
最初はほのかからだ。調整装置の寝台に横になるほのかは下着姿なのでしっかり目に焼き付けておく。
暫くしてデータがとれたので服を着ていいといい意識をモニターの方に集中し調整していった。
その後雫のCADも調整し、次は七草会長の番だ。会長も覚悟を決めたのがガウンに着替え頬を赤らめていた。
「……和樹君……その……本当に…その……するの……?……でも私………初めてだし……えっと……経験がない………か…ら……」
「えっと……何を言ってるんですか?七草会長…」
「え!?…いや!?…えっと!?……そうじゃないのよ!……別に気にしないでいいから!!」
「えっと………」
「とにかく和樹君!CADの調整お願い!」
会長は暴走気味に言い、CADを和樹に渡してから、勢いよくガウンを脱ぎ捨て寝台に横になった。モニターを見ながらチラチラと七草先輩の方を見てしまう。七草先輩は小柄だが実は胸が大きく腰も細い、つまり出るとこ出て引っ込むところは引っ込む、女性としては魅力的なプロポーションをしているのだ。だが和樹もいつまでも会長をそのままにしておくわけにもいかないのでCADの調整に入った。
CADの調整が終わり会長に渡すと、会長は頬を紅く染めながらCADを受け取りお礼を言ってきた。そして早速試してみると、いつもより段違いに使いやすく負担も少ない。それなのに発動速度もいつもより速くなっていたため超機嫌だった。
「ああそうそう!実は三人に試して欲しいことがあってね」
和樹がそう言うと三人とも首を傾げた。和樹はそんな三人を無視して三つの同じタイプのCADを取り出した。
「えっと…和樹君?…これは…?」
「前に会長に頼まれていたもの、常中型飛行魔法です」
「「「えええええええええええええええ!!!???」」」
3人は一斉にして声を大にして叫んだ。
「嘘でしょ!!あの時冗談って言ったのに本当にできちゃったの!?」
「……常中型飛行魔法って……」
「……私は驚かないよ……」
七草会長は驚いて取り乱しているが、ほのかと雫は驚くというより呆れているといったところだ。二人にとって和樹ならそれくらいやりそうだと思っていたらしい。
「…一体何騒いでいるの?」
そんなことをしていると、隣の部屋からリーナがやってきた。
「三人に飛行魔法の話をしていたんだよ」
「ああ、なるほど。それなら驚いても可笑しくないわね」
「工藤さん!?何でそんなに冷静なんですか!?飛行魔法ですよ!三大難問と言われた飛行魔法ができたと言っているんですよ!?」
「だって私は昨日のうちに試しましたから」
「「「えええええええええええええええ!!!???」」」
三人は又もや絶叫した。
「リーナには既に試してもらってたんですよ。でもリーナって九島家の人間ですから一般ではありません。そういう点では会長も同じですけど、一人ハブにするのはかわいそうだと思いまして」
「さりげにディスられてない!?」
「まあそれはともかく…どうですか?」
「やる!やるわよ!こんな面白いこと止められるわけないでしょ!」
「はい!私もやりたいです!」
「…うん、やる!」
そして三人は飛行魔法のテストを開始した。数10分試しに飛んでもらって何事もなくテストを終了した。
「お疲れ、どうだった?」
「もうサイッコーだったわ!まだまだ飛んでいたかったわ」
「私もです!」
「私も…ただ…」
「ただ?」
「サイオンの消費量が他の魔法と比べて激しい。私たちだったからよかったけど…」
「…確かにな…だがサイオンを流し続けるのは仕方ない。サイオンを流すのを止めたら魔法を使えない。使えないということは重力にしたがってそのまま落下するということだ。つまり飛行魔法の時点でサイオンを出し続ける以外ないということだ」
雫の懸念に和樹がそう答えると
「確かにサイオンの消費量が半端じゃなかったわね。一般の魔法師は私たちよりもサイオン量が少ないからすぐにガス欠になってしまうわ」
「まずはそれの安全性を得てから世間に公表ですね。こんな未完成品では後々不安が残りますから」
「…ちょっと残念ね…。でも完成の目処は出来たわね。完成したら教えてね」
「ええ。世間に公表してからですね」
「何でよ!?」
「今回はついででしたから…。いなかったら、話すのはもっと先でしたね」
会長は少し納得いかないといった顔をしていたが七草家の人間にバレるのはあまりよろしいことではない。本当に今回はついでなのだ。
そして三日後雫の家の会社に行き、今回の飛行デバイスを渡した。だが二日前にトーラス=シルバーが飛行魔法を公表したことで、俺は二番目ということで会長は悔しがっていた。何故?とも思ったが気にしないことにした。逆にリーナ達には原作知識で教えていたため特に気にしてなかった。
和樹君が飛行デバイスを作って私は自分のことのように喜んだ。でも二日前にトーラス=シルバーが公表しているので史上初とはならなかったことにガッカリした。もしあの時出来ていたら…でも安全性がない物を公表できないといった和樹君の気持ちもわかる。それでも後ちょっと早かったらと思うと悔しくて仕方がない。
でも何で?和樹君のことでこんなに悔しがっているの?え?ちょっと待って?私もしかして和樹君のこと好きなの!?え?でも和樹君って工藤さんとも北山さんとも光井さんとも付き合ってるのよね。私は私しか見てくれない人以外とはいや!……でも……そういえば和樹君が言ってたわね。
『大多数の女子と付き合うことが不健全とは思えません。付き合っている女子に親愛を抱けないことが最も愚かなことだと』
『この先他に好きな人が出来たらその人を離さず愛し愛される関係でいたい』
もしかして私…………ダメ!ダメ!ダメ!好きになったらダメ!…好きになったらダメ!……好きになったら………
『他にも好きな人が出来たらその人を離さず、愛し愛される関係でい続けるつもりです』
……………………………………………………………………………………………………………………………………好きになっても…………………………………………いいかも………………………………………
その日の夜、真由美は一人ベッドの上で物思いに耽り、顔を赤くしながらベッドの上を転がっていたことは本人以外誰も知らなかった。
どうだったでしょうか?なんだか書いてみてハーレムというより、リーナがヒロイン、他の雫やほのか、そして新たに加わりそうな真由美はあまりイチャイチャしているところがないのでサブヒロインなのではないかと思ってしまいそうです。それとも恋人関係になればイチャイチャシーンが少ない、もしくはなくてもハーレム扱いでいいんですかね…?
今後の更新予定は未定です。いつになるかはわかりませんがまだ書きたいと思っていますのでよろしくお願いします。