フィリピン海
ここフィリピン海域ではQFOP 第2艦隊が布陣し待機している。「トライデント作戦」での三方向作戦の内の真ん中に位置する艦隊だ。現在、作戦予定海域手前で「待機」を命じられている。
QFOP
第2艦隊 第2空母戦隊
戦隊及び総旗艦 翔鶴型航空母艦 翔鶴
艦橋
翔鶴(艦娘)「通信、提督達の様子は傍受していますか❓」
銀髪ロングヘアーのおっとり空母艦娘の翔鶴が、通信妖精に味方艦隊の様子を尋ねる。
通信妖精「はい、第1艦隊が深海棲艦機動部隊と交戦しこれを撃破しました。損失艦2隻と損傷艦あれど作戦続行は可能のようです。そのあと壊滅した中国海軍機動部隊の救助と戦艦棲姫率いる水上部隊の迎撃に分かれたようです。」
翔鶴「雲龍さん達の第3艦隊は❓」
通信妖精「まもなくオーストラリア海軍との会合海域に到達するようです。」
翔鶴「そう、提督のご命令とはいえ皆頑張ってるのにここで待機してていいのかしら私達...。」
通信妖精「私らはともかく瑞鶴さんは今頃ぶつくさ言って不貞腐れてるんじゃないでしょうか❓おっと通信が...。」
突然入ってきた通信を聞く通信妖精。
翔鶴「どうかしたの❓」
通信妖精「噂をすればなんとやらです。艦長の妹さんからですよ、話してやってください。」
そう言ってヘッドセットを手渡すと翔鶴は頭に装着して無線のスイッチを入れる。
翔鶴「瑞鶴❓」
瑞鶴(通信)「翔鶴姉❗️いつになったら進軍命令が来るのよぉ❗️」
ヘッドセットから聞こえてきたのは翔鶴の妹で帝国海軍きっての「幸運艦」として知られる緑色のツインテールとツンデレさが特徴の瑞鶴だ。
同戦隊
翔鶴型航空母艦 瑞鶴
艦橋
瑞鶴(艦娘)「皆もう戦闘を始めてるのにあたし達はその「せ」の字もないじゃない❗️」
ヘッドセット越しに待機命令に不満を漏らす瑞鶴。第1も第3も動きがあるのに自分達第2はまだ動かない。瑞鶴の性格上、不満を垂れるのも無理はなかった。
翔鶴「落ち着いて瑞鶴、いつも言ってるでしょ❓焦ったら負けよ。提督にも考えがあるのよ。」
瑞鶴「分かってるけどさ❗️でもこう待たされるのは嫌なのよ‼️」
???「翔鶴の言う通りまで瑞鶴。」
翔鶴「龍驤さん...。」
2人の通信を聞き、割って入って来たのは第5空母戦隊所属のベテラン軽空母の龍驤だった。
同艦隊 第5空母戦隊
軽空母 龍驤
艦橋
龍驤「大きな声で話しとったからよう聞こえたで❓提督がなんの考えもなしにうちらを退屈させる訳ないのはお前さんも分かってるやろ❓龍鳳、お前さんもなんか言うたれや。」
そう言って龍驤は同じ戦隊で旗艦の軽空母 龍鳳に声をかける。
同戦隊所属 旗艦
軽空母 龍鳳
艦橋
龍鳳「え わ、私はその...龍驤さんの言う通りだと思います❗️提督は私達の事ちゃんと考えて信頼してくれてますから❗️」
軽空母艦娘の中でも良心的で※前世で潜水母艦から軽空母に改装されたものの活躍が叶わず戦運にも恵まれなかった龍鳳だったが、転生し提督の下で戦い奮闘してきた。それによりオドオドしさはあるものの戦闘への自信もつけ提督への信頼も厚い。
(※「龍鳳」と名乗り軽空母になる前は潜水母艦 大鯨であった。主要な戦いはマリアナ沖海戦(1944年 6月19日)のみ参加し、以降は輸送船団の護衛に従事し呉軍港空襲(1945年 3月19日)にて大破しその後終戦を迎えた。)
姉の翔鶴に戦友である龍驤、龍鳳に言われ、気の強い瑞鶴も「う〜...」と頭を掻きむしりながら言うとまた1人無線に割り込んで来た。第2戦艦戦隊の戦艦 金剛だ。
同艦隊 第2戦艦戦隊
旗艦 金剛型戦艦 金剛
艦橋
金剛「Hey everyone❗️皆でTea timeにしてはどうデスか〜❓」
と持ち前の明るさと片言デース口調Tea timeの提案をしてきた。
瑞鶴「はぁ⁉️あんたこんな時に何言って...。」
金剛「提督がよく言ってたネ、「待つのも大事な任務、その間にしっかりと休息を取るんだ」って。」
金剛はすかさず提督の言葉を出して瑞鶴の反論を制した。QFOPの"ムードメーカー"的存在であり自他共に認める「提督LOVE❤️」な彼女だが、その実姉妹の事のみならず提督や艦隊の皆の事をよく見て考えているリーダーの資質も備わっている。
翔鶴「金剛さんの言う通りよ瑞鶴。休むのも仕事の内よ。」
瑞鶴「了解、翔鶴姉。いえ、総旗艦。」
翔鶴「総旗艦 空母 翔鶴より艦隊全艦へ、警戒しつつ各自休息を取ってください。(提督、皆さん...私達は待っております。ですからどうかご無事で.....。)」
総旗艦らしく皆を纏める為そう言う翔鶴だったが、内心は瑞鶴や皆と同じく提督達が心配である事に変わりはなかった。
今回は戦闘無しの「待機回」です。息抜きにこういう回があっても良いかな❓と思って書きました。翔鶴や瑞鶴、龍驤、龍鳳それに金剛も艦娘それぞれのキャラクター性を分かりやすく描きました。
瑞鶴は性格上、待機命令とか待たされるのは嫌なタイプだと思います。むしろ彼女は活発的に動いてる姿の方が似合いますからね。それを宥める姉の翔鶴も大変です 金剛はお得意のムードメーカーっぷりでそれを制しました。アニメ版でもそういう「時折見せるやり手」感がありましたから、この創作の金剛もそういう感じにしました。