多田部「そこ❗️早くすくい上げろ‼️直に日が暮れる❗️見えなくなってからじゃ遅いんだ‼️クソッ...こりゃまた酷ぇザマだな。」
ヒマラヤ達第1戦闘空母打撃群と大和、武蔵の第1戦艦戦隊が戦艦棲姫の水上部隊と交戦している中、本隊のQFOP 第1艦隊は深海棲艦との戦闘により壊滅した中国海軍空母機動部隊の救助を行っていた。
QFOP 第1艦隊
総旗艦 装甲空母 大鳳
艦橋
提督「多田部、状況はどうだ❓」
無線機を取り多田部に連絡をつける提督。
多田部「絶賛救助活動中ですよ。"中国海軍の野望"が燃える光景を見ながらです。」
中国空母機動部隊は旗艦の空母 遼寧が大破、052A型駆逐艦のハルピン、青島、江凱Ⅱ型ミサイル・フリゲート艦 煙台、塩城、揚州が戦没し残ったのは旅洋Ⅲ型ミサイル駆逐艦 海竜と大原そして江凱Ⅱ型の大慶の3隻のみだ。多田部の眼前ではその総旗艦たる空母 遼寧が炎上し黒煙を吐きながら傾斜している。総員退艦が発せられ今も乗員達が海へ飛び込んでいる。
多田部「見るも無惨ですよ。」
提督「そうだな。※ヴァリャーグ...いや遼寧にとって良い人生、いや"艦生"だったのかなってな。」
(※遼寧の旧艦名。ソビエト連邦海軍 アドミラル・クズネツォフ級重航空巡洋艦の2番艦として建造が進められるもソビエトが崩壊しその後紆余曲折を経て中国海軍にて改名の末、就役した。)
多田部「ははは、上手いですね提督。どうでしょうね、でも少なくとも錆びついて朽ちていくよりかは国は違えど生まれ変わらせてくれた中国には感謝はしてたんじゃないですかね❓」
2人は遼寧という軍艦がどの様な思いを抱いて今まさに海中に没しようとしているのかというのを話した。しかしどんなに考えようとそれは遼寧自身にしか分からない事だという答えに行き着くと、2人は感傷に浸るのをやめ各々の仕事に戻った。大鳳の艦橋から救助作業の様子を覗く提督。外は綺麗な夕焼けだった。その綺麗な夕焼けをバックにして沈んでいく空母 遼寧に対しその乗員達が敬礼を贈っている。それを見て提督は無線で艦隊全艦艇と救助作業中の隊員達にも彼らと同じく敬礼をするよう伝え、皆が遼寧に対し敬礼をする。例え敵対している国の艦であっても敬意を払わなければならないと思ったが故の行動である。
大鳳「提督、ヒマラヤの滝澤艦長から「敵水上艦隊を撃破」の報よ。」
提督「そうか、見事だな。被害はあるのか❓」
大鳳「大和さんが戦艦棲姫からの直撃弾を受け小破した以外は全艦無事だそうです。戦艦棲姫は1隻を撃沈、2隻が健在で内1隻が小破だそうです。」
提督「いくら大和と武蔵でも3隻の戦艦棲姫の相手はキツかったか...まぁ"全艦を相手にしろ"とは命じてないし1隻沈めて1隻損傷なら後はどうにかなるな。
大鳳、戦艦棲姫の動きを監視しつつ状況次第じゃ沈めれれるよう航空隊を準備させておいて。」
大鳳「分かったわ。」
第1戦闘空母打撃群と大和、武蔵の奮闘ぶりを称えつつ撃ち漏らした戦艦棲姫への備えをすべしと大鳳に伝えた。
提督「通信、本土からの救助隊到着は❓」
大鳳 通信妖精「はっ、あと30分とのこと。」
提督「分かった。(ミサイル巡洋艦2隻を失い、戦闘可能だが損傷してる艦も出ている。老朽艦とは言え、タイコンデロンガとヴィンセンスには私も愛着があったから残念だ...いやここでネガティブ陥っては士気に関わる。これ以上犠牲を出さない手を打つ、それが私の仕事だ。)」
そう心の中で提督は思ったのだった。
前回同様に今回も戦闘パート無し回です。中国海軍空母機動部隊の救助という"寄り道"をしていますが、例え作戦の妨害か何かで来たとはいえ「目の前で溺れてる人を見捨てない」のがQFOPの提督です。中国海軍の外洋進出の野望の象徴である空母 遼寧に対し敬礼もしました。提督という登場人物のキャラクター性が少しでも理解していただければ幸いです。