艦これ Modern Record   作:箕理 田米李

22 / 38
深海棲艦潜水艦隊の群狼戦術により戦没した重航空巡洋艦 ミンスク。ミンスクと同じ艦隊に所属する原子力ミサイル巡洋艦 アドミラル・ウシャコフ艦長 アレクサンドラから交戦記録を受け取った提督は、それに違和感を感じ大鳳と多田部を士官室に招いた。


記録22「中国への疑念」

QFOP 第1艦隊

総旗艦 装甲空母 大鳳

士官室

大鳳、多田部「中国が深海棲艦と手を組んでるッ⁉️」

提督に士官室へ呼び出された2人は思わず声を出して言うが、提督は「しーっ」口元に人差し指を当てる。

多田部「あ〜、データはさっき目を通しましたし間違いではないんでしょうがありえるでしょうか❓それじゃ中国空母機動部隊壊滅の説明がつかないでしょう。」

提督「そうだ、疑問に思う事がそれなんだ。芝居にしてはやり過ぎだし、遼寧の艦長を見た感じその手のものは感じ取れなかった。」

多田部「提督がそう仰るなら、今から渡した乗員達に尋問しても意味ないでしょうね。どうします閣下❓」

提督「手を考えるよ。結論に飛びつくにはまだ早過ぎるからな。この事は一切他言無用で頼む。無用な混乱を避けたいからな。」

大鳳「分かりました。」

多田部「アイアイサー。」

そう言って2人が部屋を出ようとすると、提督は「多田部は残ってくれ。」と言い大鳳はそのまま部屋を出て艦橋に戻り多田部は呼び止められてドアを閉める。

多田部「なぁ提督。」

提督「なんだよ、珍しく深刻そうな顔してさ。」

軍務に就いている時は上司と部下の間柄である提督と多田部だが、2人きりの時は"同期の桜"らしくタメ口になる。

多田部「いや、改めて俺達が戦ってる深海棲艦ってなんなのかな❓って思ってさ。」

口にしたのは「深海棲艦とは何者か❓」という長年の疑問だ。

提督「そうだな...俺達が深海と戦い続けて4年、いやもうすぐ5年になるな。それにしては我々は敵を知らないままだ、全くな。」

深海棲艦...突如として海から現れた異形の侵略者。その正体を探ろうと各国海軍と研究機関が躍起になっているが、4年経った現在でもそれに迫れた者はいない。彼らがが何処から来て、何を為そうとしているのかさえも......。

多田部「今まで色んな説が飛び交ったよな❓"怨念集合体説"に"某国が作った生体兵器説"まで出てきてるとあっちゃ〜もう何が何だか分からんな。」

突拍子も根拠もない仮説のオンパレードに「やれやれ」と言った感じで手を横に広げてやる。

提督「ふっ、そんな未知過ぎる連中との付き合い方が本当にあるなら是非ご教授願いたいな。」

多田部「でどうするよ❓和平でも結ぶか❓」

提督「ハハハ、向こうだって俺達人間と同じく知性のある生き物の筈。なら可能だと思うんだ。けどそれは俺達軍人のじゃない、政治屋の仕事だ。」

軽く冗談混じりな会話を交わした2人は笑みを少し溢した後、再び真剣な顔つきに戻った。

多田部「さてさてこれからどうします提督閣下❓」

提督「作戦は続行だ。しかし気になるものはやはり気になる。中国空母機動部隊の壊滅も何か意図があるはずだ。」

多田部「意図ってまさか、島の攻略が無謀だと分かってて別の目的の為にわざと壊滅するよう出したってことか❓」

提督「あくまで推論さ、推論はどこまでいっても推論だろ❓」

多田部「そうだな、で探るおつもりなのでしょう❓どう探りますか❓」

提督「"山猫"に動いて貰うさ。」

提督はそう言うと「良い考えだ」と多田部は口元に笑みを浮かべた。




「中国が深海棲艦と手を組んでるのではないか❓」という疑念が今回の話のテーマです。深海棲艦と艦娘が現れて4年経った2017年が舞台の本作ですが、4年が経過しても「深海棲艦が何者であるか❓」というのが核心を掴む程分かってません。そんな相手と4年も戦い続けてるQFOPの艦娘と国連平和維持海軍ですが、仮に組んでるのが本当だとしたら中国は一体どんな手段を使ってコンタクトを取っているのでしょうか❓次回は"山猫"ことオセロットがそれを暴きに行きます❗️

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。