艦これ Modern Record   作:箕理 田米李

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航空攻撃とトマホークによる対地攻撃に加え艦砲射撃のため尖閣諸島に接近するヒマラヤ達だったが、突如として現れた戦艦棲姫艦隊の迎撃に大和、武蔵らが割かれてしまい火力が低下して思う様なダメージを与えられずにいた。それでも射撃を続ける中、突如としてヒマラヤが魚雷攻撃を受け...。


記録28「尖閣諸島攻略戦 後編」

尖閣諸島沖

アメリカ海軍

バージニア級攻撃型原子力潜水艦

SSN-775 テキサス

発令所

ソナー手「艦長。爆発音を探知、先頭の空母が被弾の模様です。」

QFOP第1艦隊と同じく尖閣諸島沖の海中で戦闘空母 ヒマラヤの被弾に聞き耳を立てているのはアメリカ海軍の攻撃型原潜テキサスだ。

艦長「速力落としたな。1本当たったくらいだ、沈みはしないが小さくねぇ被害が出たんだろうな。」

副長「我々は動かなくて良いんですか❓空母の型は不明ですが、後続に続いている間は日本艦で少なくとも味方ですよ。」

艦長「我々の任務は戦闘ではなく哨戒だ。中国との戦端を開くきっかけを作ることじゃない。」

艦長の言う通りだ。同盟国の艦が危険にあってるなら日米安保条約に則って助けるのが道理であるが、交戦許可が下りない以上は不用意に介入すべきではない。

艦長「それにだ副長。あの艦隊は例の太平洋上の基地を根城にしてる奴らかもしれんぞ。」

副長「まさか、存在すら怪しいとされる独立機動艦隊の❓」

艦長「そうだ。国連太平洋艦隊の精鋭中の精鋭が集まった艦隊だ。そんな連中ならこの状況だって乗り切ってやれる筈さ。それでもヤバくなったら、その時は命令無視して"助け舟"をしてやるとするかな。」

艦長は制帽を被り直し「必要なら命令無視も厭わない」という姿勢に副長や他の乗員もホッとする。

 

一方のヒマラヤの被害は決して軽くはなかった。艦首左舷に命中した魚雷は艦首バウ・ソナーを抉り浸水を発生させ、それによりか電気系統と機関系に異常をきたし20.3㎝連装砲が使用不能になってしまった。

 

ヒマラヤ 艦橋

滝澤「ラヤ、復旧までどのくらい❓」

ヒマラヤ(擬似艦娘)「約2時間と見積もります。それまでは本艦を後方に移し、射撃中の駆逐艦 モーニング・グローリー、ビーナス・ベルトを前方に出して対潜戦配置に着かせる事を具申します。」

滝澤「提督❓」

提督「よろしい。修理が最優先だ、今は下がろう。」

提督も了承し、滝澤はヒマラヤを後方に下がらせ2隻の駆逐艦を前に出すよう指示する。

ヒマラヤ(擬似艦娘)「... ... ... ...。」

滝澤「ラヤ、どうかした❓」

いつも通りの無表情な"擬似艦娘"ヒマラヤだが、艦長である滝澤と生みの親である提督には分かる。彼女が「気を落としている」という事を。

ヒマラヤ(擬似艦娘)「申し訳ありませんミユ、お父様。私の反応速度が遅かったばかりに招いたミスです。」

艦内管理AIである自分自身の過失であると反省するヒマラヤ。

滝澤「ラヤのせいじゃないわ。」

提督「そうだ、自分を責めるな。幸いな事に負傷者だけで済んだ。」

ヒマラヤ(擬似艦娘)「しかし...。」

提督「"お前も我々人間も完璧じゃない"。確かにお前はこの艦を制御しているAIプログラムだ。だが人に完璧は作れないし故に君も完全無欠にはならない。そういうことだ。」

ヒマラヤ(擬人艦娘)「ミユ...お父様...。」

提督「ラヤはここまでちゃんとやれている。再発防止に努めてくれればそれでいいさ。」

滝澤「そうよ、ラヤ。私には私の、ラヤはラヤのやれる事を引き続きお願い。」

ヒマラヤ(擬似艦娘)「了解しました。ヒマラヤ、精進する様努めます。」

提督と滝澤の言葉に赦され、またもや無表情だが滝澤と提督には彼女の表情が明るくなった事は伝わっている。

 

ヒマラヤ CIC

ソナー手「申し訳ありません。私の対応が遅れた為に...。」

倉田「謝るな。サポートとはいえラヤの方が俺達人間より反応が早いのは当然なんだ。負けてられないぞ。」

ソナー手「はい❗️」

倉田も「自身の責任だ」と攻めていたソナー手を宥める。

倉田「20.3㎝が使えない今頼れるのは5インチ砲だけだ。向こうにとっては蚊に刺された程しか感じないだろうが、無いよりマシだ射撃を続けろ。」

5インチ砲担当砲手「了❗️」

 

艦橋

ヒマラヤ(擬似艦娘)「モーニング・グローリー及びビーナス・ベルト配置完了。対潜戦用意よしとの事。」

滝澤「いかが致しますか提督❓」

提督「無論、飛行場姫に集中すべきだ。かといって沈めるわけにもいかないね。」

同じ人間とその艦を相手にしている暇はない。だが沈めれば深海棲艦だけでなく中国も敵に回す事になってしまう。難しい判断を迫られ、提督は浅すぎず深すぎずでどうするか思考を巡らせる。

提督「モーニング・グローリーに繋いで。」

 

第1艦隊前方の海中

中国海軍潜水艦

遠征102号 発令所

副長「やりましたね艦長。敵空母に損傷を与えましたよ。」

艦長「安心するのは早いぞ、下がって態勢を立て直す気だ。駆逐艦が2隻前に出たのはその証拠、向こうはまだまだやる気満々だぞ。」

空母に損傷を与えるという近代海戦では大戦果を成し得た事に喜ぶ副長に「まだ終わりじゃない」という艦長。実に冷静だ。

ソナー手「ッ❗️先頭に出た敵駆逐艦からアクティブ・ソナーが❗️」

副長「回避運動ッ❗️取り舵一杯❗️」

ソナー手「お待ちを❗️これはモールスです❗️」

副長「また同じ手を❗️」

艦長「待て、聞こうじゃないか。読み上げろ。」

ソナー手「「我ガ艦隊ハ先ト同様に貴艦隊トノ戦闘ヲ望マズ。尖閣諸島ノ深海棲艦ノ撃滅ガ我ラノ任務デアル。」」

副長「ふんっ❗️くどい奴らめ❗️魚釣島は我れ中国のものだとなぜ分からんッ‼️」

ソナー手「続きます。「貴国ノ機動部隊ハ壊滅的打撃ヲ受ケタ。我ラハコレヲ救助シ、現在救助シタ乗員等ノ身柄ハ日本本土艦隊ガ預カリ後ニ貴国ニ送還サレル手筈デアル。」

副長「機動部隊の壊滅は本当だったのかッ⁉️」

壊滅の報は届いていたもののにわかには信じていなかった副長。だが艦長は機動部隊の生存者の無事に安堵しつつ、敵ながらも救助の手を差し伸べた事に対し心中で感謝の思いを実らせた。

ソナー手「「前回対峙シタ時、"真ノ敵ハ誰カ❓"ト問イタト思ウ。私ハ深海棲艦ノ事ヲ言ッタ。ダガ、ソレダケデハナイ事ガ判明シタ。」

副長「な、何を言っているだ❓」

「深海棲艦ではない真の敵」との言葉に少しの戸惑いを見せる副長。

ソナー手「「真ノ敵ハ貴方達ノ中ニ、中国海軍上層部ノ中ニイル。」」

副長「ハッタリです艦長❗️我々を動揺させようとしてデタラメをッ‼️」

ハッタリだとして信じない副長。まぁいきなりこんな侮辱とも取れるような事を言われては無理もないし当然だ。しかし、逆に艦長の方は冷静だった。

艦長「副長、実は私はこの作戦の事を始まる前から不可解に思っていたんだ。」

副長「は❓」

艦長「攻略するには戦力的には少なすぎる上に情報の提供不足だ。あの機動部隊の数で魚釣島が墜とせたと思うか副長❓」

副長「そ、それは... ...。」

これまでの作戦行動を冷静かつ的確に分析する艦長に、副長は反論ができなかった。

艦長「(そうだ、あの艦隊の提督は何か知っている。我々の知り得ない何かを、でなければこんなハッタリ紛いな事はやるまい。)操舵手...。」

 

ヒマラヤ 艦橋

滝澤「戦術、兵装の復旧はどれくらい❓」

 

CIC

倉田「もう少しです❗️あと5分ください❗️」

 

艦橋

滝澤「なら4分半でやりなさい❗️」

 

CIC

倉田「はっ❗️」

 

艦橋

滝澤「ラヤ、第6次攻撃隊の到着予定は❓」

ヒマラヤ(擬似艦娘)「到達まで約10分です。」

提督「......。」

修理も攻撃隊到着もものの数〜数十分と来ている。自体は良くなるが、目の前の中国潜がモールスをどう受け取るかでまたさらに状況が一変する。その時が怖いと提督は思っているのだ。

滝澤「提督❓」

提督「ん❓あぁ、すまない。敵さんがどう動くか考えててね。」

滝澤「通じたでしょうか❓」

提督「さぁね、正直ハッタリと捉えられてもしょうがないような文面だし。」

命じた提督本人としても自信はなかった。逆に怒らせて事態を悪化させてしまうかもしれないと思わずにはいられなかった。

損傷した戦闘空母 ヒマラヤの前に出てモールスを放った駆逐艦 モーニング・グローリーと僚艦で姉妹艦のビーナス・ベルトはASROCとRBU-6000、三連装短魚雷発射管をいつでも放てるよう海面に睨みつかせていた。モールスの内容に逆上しての攻撃からいつでも自艦と艦隊を守る為だ。

 

汎用駆逐艦 モーニング・グローリー

CIC

ソナー手「ッ⁉️大尉❗️大戦に動きありました‼️」

戦術行動士官「艦長に伝える❗️」

 

戦闘空母 ヒマラヤ

艦橋

通信士「艦長、モーニング・グローリーより入電。「敵潜、海域ヲ離脱ス。」です。」

滝澤「提督。」

提督「あぁ、なんとか退いてくれたか。」

最悪の事態は避けられホッと胸を撫で下ろす提督と滝澤そして艦橋にいるクルー。

 

CIC

20.3㎝連装砲担当砲手「やった❗️動きました‼️」

時を同じくしてヒマラヤのCICでは先の中国潜の魚雷攻撃により使用不能となっていた20.3㎝連装砲がようやく復旧した。

倉田「艦橋、CIC。20.3㎝連装砲が復旧❗️」

艦橋

ヒマラヤ(擬似艦娘)「ミユ、20.3㎝が復旧。動作確認問題なし。」

滝澤「射撃再開❗️沈黙した分だけ撃ち込めッ‼️」

息を吹き返した20.3㎝連装砲は活きが良いくらい軽快にバカスカ撃ちまくっている。しかし、復旧して火力が戻ったは良いものの飛行場姫の障壁を破れるかは怪しかった。ヒマラヤ以外の艦艇はほぼ休む間も無く撃ち続けたせいで弾薬をかなり消耗しているからだ。

提督「ラヤ、僚艦の弾薬消耗率は⁉️」

ヒマラヤ(擬似艦娘)「現在消耗率78%、計算だとこのままでは弾薬欠乏により射撃不可となります。」

思ったよりも厳しい状況だった。このままでは飛行場姫を落とす事が叶わない、そう思った時だった。ヒュウゥゥゥゥゥ〜という砲弾の落下する音がし、その音はバキンッ❗️という障壁にぶつかる音になった後、ドドォンッ❗️連続した爆発音に変わった。それはQFOPの全員がよく聞き慣れている音だった。

滝澤「提督今のは⁉️」

提督「46㎝❗️戻ってきたか‼️」

それは大和、武蔵の46㎝だった。戦艦棲姫艦隊の迎撃を終え、僚艦と共に戻ってきたのだ。

通信士「大和、武蔵より入電❗️」

大和(映像通信)「提督❗️」

武蔵(映像通信)「待たせたすまない❗️」

提督「いいさ、無事で何よりだ。こっちの弾が少なくなった、盛大にやってくれ❗️」

大和「了解❗️1番及び2番主砲、照準を飛行場姫に‼️

武蔵「了解だ❗️1、2番主砲、飛行場姫へ‼️」

大和、武蔵の46㎝の巨砲が魚釣島の飛行場に向けられる。

大和「薙ぎ払え‼️

武蔵「吹き飛ばせ‼️」

2人の号令で放たれた計12発の砲弾はいつもながら凄まじい爆音と衝撃を発し、飛行場姫目掛けて飛翔していく。障壁にぶつかり「ガシャリーンッ❗️」とガラスが割れた様な音を立てた。頑強な飛行場姫の障壁が遂に破れたのだ。攻撃に参加したすべての艦娘と妖精、乗員がそれぞれの艦で歓声を上げた。

装甲空母 大鳳所属航空隊

第1戦闘攻撃飛行隊 "ビーフェックス1"

ビーフェックス1-2「隊長、飛行場姫の障壁が割れたそうです。」

飛行場姫の障壁破壊は攻撃に向かうQFOP第1艦隊の空母航空隊のパイロット妖精達も肉眼で確認していた。

ビーフェックス1-3「ハッ❗️やりましたね隊長❗️」

ビーフェックス1-1「あぁ、仕上げは我々がやるぞ。ついて来いッ‼️」

鉄壁の守りを失った飛行場姫に群がる様に襲いかかるQFOP空母航空隊。引導を渡しこの戦いに終止符を撃つ為、その攻撃は容赦がなく行われた。




今回は珍しく長丁場となりました。アメリカ海軍の原潜 テキサスが戦いの様子を見物しています。手出ししないのは劇中でも触れられた通り「アメリカも中国と戦争をするつもりがない」からです。でもテキサスの艦長はどうしようもなくなったら助けるつもりでいるみたいなので、そこまで冷たい訳ではないようですね。
ヒマラヤは魚雷の探知に遅れた自分の責任だと落ち込みますが、滝澤と提督により再発防止に努めると奮起します。AIとはいえ精巧に作られてますね"擬似艦娘"は。
前にも対峙した中国潜水艦2隻もまたモールスによる説得を受けます。遠征102号の艦長も今回の自分達の作戦行動に疑問を抱いていたみたいですね。なんとか退いてくれて、ヒマラヤの20.3㎝砲も直り、大和達も戻ってきて、障壁を破壊して、航空隊も来てくれて、やっとこさ尖閣諸島を墜とせたか❓次回に続きます。
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